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殺人鬼 ④
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事務所に入ると、白髪交じりのオールバックにノーネクタイで黒のスーツを着る初老の男性が正人の席に座っていた。
呼び出された隼人は、鋭い目つきのダンディーな男性にペコリとお辞儀をする。給湯室から麦茶の入ったグラスを片手に隼人が出て来た。
「隼人、初めてだったな。こちらは、前支部長の山本源一郎さんだ。茜の親父さんだよ」
「初めまして、小坂君。君の話しは、娘から聞いているよ」
源一郎の瞳の奥に見え隠れする凄みに、隼人は後退りしそうになった。
「は、初めまして、小坂隼人です。茜さんには、何時もお世話になっています」
「怖がらなくて良いよ。見た目は怖いかもしれないが・・・ふっ」
笑みを浮かべる源一郎に隼人は、更なる恐怖を覚え警戒してしまう。
何なんだろう、このただならぬ雰囲気は。
例えるなら何だ・・・、殺し屋とか裏社会の類かも知れない。
「隼人、大丈夫だから。俺の武術の師匠でもある源一郎さんは、優しい人だから」と、正人は麦茶の入ったグラスを源一郎に手渡した。
「はい、ちょっと凄い雰囲気が漂っているので」
「常人は、気が付かないはずだが。多分、龍の力を持つ君だから私の気配に敏感になっているのかも知れないね」
「そうなのかも知れません」と、隼人は苦笑いした。
「そんな事より、今日は急にどうしたのですか? ここに来るなんて珍しいですよね」と、正人は椅子に座りパソコンを起動させた源一郎に聞いた。
源一郎は、起動したパソコンに慣れた手つきで暗証番号を入力する。
デスクトップに現れたアイコンを彼がクリックすると、地図が表示された。
「何時もなら、こんなに遅くならないのだがね。深夜になっても連絡をしてこないのは、変だと思わないか?」
「茜の事ですか? 変ですよね、いつも通り定時で帰ったのですが。まだ戻っていないのですか?」と、腰に手を当てる正人が答えた。
「そうなのだ。深夜に君たちを呼び出して申し訳ないが、娘を探す手伝いをして欲しい。それと、小坂君に聞きたいことがある」
「はい、何でも聞いてください」
「そう言ってくれると助かるよ。本人達に直接聞くのは、忍びないからね。最近、正人と茜の仲はどうなのかな? 喧嘩とかしていなかったか」
「喧嘩はしていませんね。沖縄旅行後は、更に仲が良くて。最近の二人の雰囲気も良いですよ」
「け、喧嘩!? 俺と茜が喧嘩して、あいつが帰ってこないと思っていたのですか」
「一応、確認だよ。気にしたのなら悪かった」
顎に手をやり正人は、「何かに巻き込まれたのですかね? 妖怪とか悪霊とかに」
「どうやら人間の厄介事に、巻き込まれた可能性が高いな」
源一郎は、パソコン画面を見るよう正人と隼人を呼び寄せた。
「画面の点滅を見て見ろ、建物の中で動かない」
「何ですか、これ?」
「茜のGPS信号だよ」
「えっ、GPS? 俺も?」と、隼人は焦りながら正人を見た。
「教えてなかったな。アルバイトも含めここで働く人は、全員GPSで追跡できるようになっている。隼人の場合は、スマホに細工させてもらった。職員の俺と茜は、手のひらにマイクロチップが埋め込まれている」
「事前に教えてくださいよ、別に拒否しないのに」
「ごめんな。ほら、今の学生はプライベートとか気にするから」
「どうして、GPSで追跡できるようにしているのですか?」
「危険を伴う仕事だ、過去に発生した物の怪の仕業による失踪や誘拐事件を考慮してな。必要な時は、関係者を常に追跡できる仕組みになっている」
「正人の説明で理解したかな、小坂君。これは職員の命を守るシステムだよ」
源一郎は、マウスを動かし茜の居る現在地を表示すると、京都府京田辺市と出た。みんな茜の事が心配になる。特に正人は気が急くのか苛立っているのか、食いしばる彼の額には血管が浮き出ていた。
呼び出された隼人は、鋭い目つきのダンディーな男性にペコリとお辞儀をする。給湯室から麦茶の入ったグラスを片手に隼人が出て来た。
「隼人、初めてだったな。こちらは、前支部長の山本源一郎さんだ。茜の親父さんだよ」
「初めまして、小坂君。君の話しは、娘から聞いているよ」
源一郎の瞳の奥に見え隠れする凄みに、隼人は後退りしそうになった。
「は、初めまして、小坂隼人です。茜さんには、何時もお世話になっています」
「怖がらなくて良いよ。見た目は怖いかもしれないが・・・ふっ」
笑みを浮かべる源一郎に隼人は、更なる恐怖を覚え警戒してしまう。
何なんだろう、このただならぬ雰囲気は。
例えるなら何だ・・・、殺し屋とか裏社会の類かも知れない。
「隼人、大丈夫だから。俺の武術の師匠でもある源一郎さんは、優しい人だから」と、正人は麦茶の入ったグラスを源一郎に手渡した。
「はい、ちょっと凄い雰囲気が漂っているので」
「常人は、気が付かないはずだが。多分、龍の力を持つ君だから私の気配に敏感になっているのかも知れないね」
「そうなのかも知れません」と、隼人は苦笑いした。
「そんな事より、今日は急にどうしたのですか? ここに来るなんて珍しいですよね」と、正人は椅子に座りパソコンを起動させた源一郎に聞いた。
源一郎は、起動したパソコンに慣れた手つきで暗証番号を入力する。
デスクトップに現れたアイコンを彼がクリックすると、地図が表示された。
「何時もなら、こんなに遅くならないのだがね。深夜になっても連絡をしてこないのは、変だと思わないか?」
「茜の事ですか? 変ですよね、いつも通り定時で帰ったのですが。まだ戻っていないのですか?」と、腰に手を当てる正人が答えた。
「そうなのだ。深夜に君たちを呼び出して申し訳ないが、娘を探す手伝いをして欲しい。それと、小坂君に聞きたいことがある」
「はい、何でも聞いてください」
「そう言ってくれると助かるよ。本人達に直接聞くのは、忍びないからね。最近、正人と茜の仲はどうなのかな? 喧嘩とかしていなかったか」
「喧嘩はしていませんね。沖縄旅行後は、更に仲が良くて。最近の二人の雰囲気も良いですよ」
「け、喧嘩!? 俺と茜が喧嘩して、あいつが帰ってこないと思っていたのですか」
「一応、確認だよ。気にしたのなら悪かった」
顎に手をやり正人は、「何かに巻き込まれたのですかね? 妖怪とか悪霊とかに」
「どうやら人間の厄介事に、巻き込まれた可能性が高いな」
源一郎は、パソコン画面を見るよう正人と隼人を呼び寄せた。
「画面の点滅を見て見ろ、建物の中で動かない」
「何ですか、これ?」
「茜のGPS信号だよ」
「えっ、GPS? 俺も?」と、隼人は焦りながら正人を見た。
「教えてなかったな。アルバイトも含めここで働く人は、全員GPSで追跡できるようになっている。隼人の場合は、スマホに細工させてもらった。職員の俺と茜は、手のひらにマイクロチップが埋め込まれている」
「事前に教えてくださいよ、別に拒否しないのに」
「ごめんな。ほら、今の学生はプライベートとか気にするから」
「どうして、GPSで追跡できるようにしているのですか?」
「危険を伴う仕事だ、過去に発生した物の怪の仕業による失踪や誘拐事件を考慮してな。必要な時は、関係者を常に追跡できる仕組みになっている」
「正人の説明で理解したかな、小坂君。これは職員の命を守るシステムだよ」
源一郎は、マウスを動かし茜の居る現在地を表示すると、京都府京田辺市と出た。みんな茜の事が心配になる。特に正人は気が急くのか苛立っているのか、食いしばる彼の額には血管が浮き出ていた。
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