有限会社DIUD 物の怪退治をする会社でアルバイトをする事になりました!

川村直樹

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妹の訪問 ②

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 昨日は、桜に兄妹揃ってパフェをごちそうになった。
 彼女が奢ってくれるなんて、よほど楽しかったんだろうな。
 朝早くから蒼は、ゴソゴソと出掛ける準備をしていた。
「兄い~、早く起きなよ」
「朝早くからどこに行くんだよ?」
 玄関のベルが鳴り、蒼がドアを開けた。
「何時まで寝ているのよ。早く着替えて用意しなさい!」
「桜か、何しに来たんだ?」
「私と蒼ちゃんとあなたで、大阪観光に行くの。昨日、蒼ちゃんと約束していたのよ」
 そうか、それで二人はお互いの連絡先の交換していたのか。 
 隼人が服を着替えてバスルームを出ると、桜は冷蔵庫を物色する。
「偉い、偉い。君は、ちゃんと自炊しているんだね」
「生活費を考えてね、自炊は節約になるから」
「そうだよ、今や男性でも料理は必須だからね」
「桜は、キッチンで何するの?」
「蒼ちゃんに朝ごはんを作るのよ」
「お前、料理できるのか?」
「当たり前でしょ、料理ぐらい出来るわよ」
 桜の言葉に嘘は無かった。
 チャチャと料理すると、あっという間にトーストに合うプレーンオムレツを作りベーコンを添えた。別の器には、簡単なサラダを手際よく盛り付けた。
「ありがとう、桜」
「どういたしまして、早く食べてしまって」と、2人分の食事を用意してくれた彼女は、恥ずかしそうに答える。
 正直、隼人はドヤ顔で彼女に自慢されるのかと思っていた。

 大阪北エリアの梅田に着くと二人は行く場所を決めていたのか、隼人にかまう事無くウインドーショッピングを始める。
 ルクア、グランフロント、ヘップファイブ、各百貨店、さすがに隼人はへとへとになった。この女性二人のショッピングに注がれるパワーは何なんだ?
 男には理解できない領域なのだろう。
 衣料店に入ると、10分以上は出てこない。
 雑貨店に入ると、小物を手にして二人で会話が弾む。
 可愛いアクセサリーショップで、真剣に品定めをする。
 店頭で隼人が待っていると、蒼がこちらに視線を向けてきた。彼女の表情から、欲しいアクセサリーを買おうか迷っている様子だった。
「何か、欲しい物でもあったのか?」
「これ、このネックレスが欲しいの、でも、ちょっと高い」
 隼人が値札を見ると、2,500+税と書かれている。
「これくらいなら、俺が買ってやるよ」
「本当に♪ 兄い~、有り難う。これも一緒に買ってくれる?」と、蒼はネックレスと一緒にお揃いのブレスレットを手にしている。
「良いよ」と、隼人は蒼にお金を渡した。
 店を出ると桜が隼人の傍に来る、「あの、ネックレス、有り難う」
「えっ、ネックレス・・・蒼が欲しがっていたやつか?」
「蒼ちゃんとお揃いで可愛いねって、話していたの。そしたら、さっき隼人が私達の為に買ってくれたと聞いて」
 俺の妹は何を考えているのだ、してやられた感はあったが、二人の出会いと思い出になるなら安い買い物だなと、隼人は嫌な気持ちにならなかった。


「この後は、どうする?蒼は何処か行きたい場所あるのか?」
「私は、天神橋商店街に行きたい!」
 ユニバーサルスタジオとかじゃないんだ。我が妹ながら渋いチョイスだな。
「梅田からだと、地下鉄で一駅か。電車で移動しようか」
 時間的にも天神橋商店街で食事をしてから、地下鉄で帰れる。地下鉄堺筋線は、阪急電鉄と相互乗り入れをしているから、そのまま京都に帰りやすい。
 天神橋商店街に着くと、1丁目から6丁目を目指して三人は散策していく。日本一長い商店街で、海外からの観光客も増えている。色々なお店はあるが、彼らの印象としては飲食店が多い。
 商店街の中にあった洋食屋で夕食を取ってから帰路についた。
 電車の中では、桜も蒼も隼人の肩を枕に寝ていた。よほど疲れたのか、二人とも心地よさそうだ。京都に着くと、別れ際に桜は隼人に袋を手渡してきた。
「楽しかったから、今日のお礼よ。じゃあね!」
 走り去った彼女が、どんな顔をしていたのか見えなかった。手渡された袋の中身を見ると、Tシャツが入っていた。
 横から蒼がTシャツを見て呟く、「兄い、服のセンス悪いから、良かったね」
―――良かったのか?
 一人で連休を過ごして居たら、何も無かっただろう。妹の訪問がきっかけになったけど、桜と仕事以外の話しも出来たので、隼人は嬉しくなった。
「蒼、母さんと父さんに、俺の事は心配ないからと伝えておいてくれ」
寝ぼけまなこで「うん」と頷いた妹の頭を撫でた。
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