有限会社DIUD 物の怪退治をする会社でアルバイトをする事になりました!

川村直樹

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学生生活 ②

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 隼人のアパートに戻った彼らは、宮田がセレクトした漫画を一緒に読んでいた。部屋の中で会話も無く静かに過ごす、男二人の読書の時間が続いた。
 隼人は読んでいた漫画を床に置き、思い出したかのように宮田に話しかける、「宮田君は、幽霊とか妖怪とか、妖なんか見たことある?」
「突然ですね、信じてもらえるか分かりませんが、お化けを見たことがあります」
 宮田は、漫画を読む手を止めると座り直し姿勢を整えた。隼人は、壁にもたれたまま彼を見た。
「本当に?どんな奴だった?」
「小学生の頃ですが、僕のお爺さんのお葬式で、死んだはずのお爺さんが参列に並んでいたのですよ」
「自分の葬式に参列していたのか?」
「そうなのです。でも、誰もお爺さんに気が付かなくて、僕だけがジッと見ていたら・・・」
「見ていたら?」
「僕の所にやって来て、『俺は死んだのか?』と聞いてきました」
「それから、どうなったの?」
「声が出なくて、頷いたら、悲しそうにして僕の目の前から消えました」
「へえー、消えるのか」
「小坂君は信じてくれるのですか?」
「ああ、ここだけの話、俺も見たことあるからな」
「やっぱり、幽霊とか居るのですかね」
「きっと・・・、居るんだろうね」
 学生同士で戯言のような会話をしていると、隼人はこれまでに見た化け物や退治の話を宮田にしたくなる。きっと彼なら、俺が餓鬼の話や妖怪の話をしても疑わず真剣に聞いてくれて、信じてくれるだろうな。しかし、命を懸けた雇用契約を結んでいるので、簡単に機密事項を話す訳にはいかない。
 16時を過ぎると彼は用事があると言い、アパートを出て行った。きっと、帰宅ラッシュ前に電車に乗りたかったのだろう。宮田はいつも気を使って「帰る」とは、言わない。

 一人になると、隼人は自分の抱える問題が頭に浮かび現実へ引き戻される。生活費に交際費、特にゴールデンウィークや夏季休暇と学生らしく楽しみたいならお金が必要になる。連休は嬉しいが、その分、出費がかさんでしまうから如何どうしようか。
 DDのバイトだけで全てが賄えるのか?
 無理して今年の夏は、短期のバイトを掛け持ちするか?
 お金のやり繰りを考えるようになってから、金銭感覚がシビアになっている。
 ゲームに課金とかしている場合じゃないぞ!
 そんな事を考えると、彼は今までアルバイトも探さず、仕送りだけに甘えていた自分が情けなくなった。
 隼人はテーブルにノートを広げた、思い当る事を書き出しながら1か月間に必要な生活費を計算して行く。出費を抑え節約する為にも、自炊を始めた方が良いな。男の一人暮らし、腹が減ったら近所のスーパーやコンビニで食料を確保してきたが、これは絶対に見直さなければならない。料理に自信は無いが保存できるレシピを覚えれば、食費はかなり浮く。そうなると、最低でも炊飯器、鍋、フライパンは揃えておかないと。
 無駄遣いをしないよう気持ちを引き締めた隼人は、一人部屋で仁王立ちしながら「欲しい物があっても我慢するんだ!」と、声に出した。
 明日は、朝からDD事務所に来るよう正人から連絡を受けている。隼人は忘れてはいけないと、仕事帰りに食事会をする林達と直接合流する為の準備をした。
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