有限会社DIUD 物の怪退治をする会社でアルバイトをする事になりました!

川村直樹

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祠の封印 ③

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 おもむろにポケットから隼人はスマートフォンを取り出し、写真を長老に見せた。
「何故じゃあー!腹を出して大の字で眠る儂の姿、どうやってその箱に収めた?」
「長老、スマホですよ。スマホで酔っぱらう長老を撮影しました」
「それを儂に渡せ!」、長老は俺に顔を近づけた。
 隼人は顔を背ける、「駄目ですよ!絶対に消しませんから」
「悔しいー!こんな小僧にバカにされるとは」
「調子に乗って飲むからですよ、長老」
「黙れ、正人。お主も酔っぱらってヘロヘロだったじゃろうが」
「それより、長老、その足元の妖怪は?」
 長老の足元では、のっぺらぼうが動けず、手足をバタバタしていた。
 のっぺらぼうは、子供ぐらいの身長で目鼻口が無い。
「こいつも殺さず、封印するのですか?」
「ああ、封印するよ。害は無いからな、むやみに殺す必要はないよ」
「殺すなら、儂が食うけどな」、長老がペロッと舌を出す。
「こいつ等、俺達には分からないが、何か意味があってこの世界に存在しているように感じる。妖怪だから妖だからと言って、害のない物まで退治しなくて良いよ」
「そうですね」
 たしかに、人に害を及ぼさないなら殺す必要は無い。
 それに、この世界に共存する意味とは?
 そんなこと、隼人は今まで考えたことも無かった。
「長老、のっぺらぼうを回収しておいてください」
 正人からのお願いに長老は、のっぺらぼうを口にくわえ走り去った。

「残るは、一つ目小僧とろくろ首だけだ」
 隼人は、子供の頃にアニメで見たこの2匹の妖怪の姿を思い出す。
「どこか、探す当てでもあるのですか?」
「地図を見てね、近くに神社があっただろう」
「ありましたね、ここからだと10分ほどの距離だと思いますが」
「そこに潜んでいる可能性が高い。行こう!」
 正人と隼人は並んで、細いあぜ道を歩いて移動する。
 長閑のどかな田舎町、危険が無ければ、急ぐ必要もない。
 石造りの階段を昇ると、古い神社が見えて来る。
 敷地内の雑草は、綺麗に刈られている。きっと地元の人が毎日清掃しているのだろう。境内に入り本殿の扉を開けると、正人の予測通り妖怪は2匹ともそこに潜んでいた。

「俺は、ろくろ首を捕まえるから、隼人君は、その一つ目小僧を捕まえて」
「了解です!」
 境内の中を逃げ惑う妖怪に隼人は、翻弄される。
 ちょこまかちょこまかと、逃げ回るので鬱陶うっとうしく感じる。
 壁際に追い詰めたがフェイントを付け、隼人の横から上手くすり抜けた。
 すばしっこい子供と鬼ごっこをしている様に見える。
 隼人は、四苦八苦しながらやっとの思いで一つ目小僧を捕まえた。
 ろくろ首の首を掴む正人は、回収した妖怪を祠の前まで連れ来るよう外を指さす。
「全部、祠に入れますよ」と、正人は妖怪を無理矢理、押し込む。
「こんな小さな祠、入るんですか?」
「入り口は狭いけど、中は広い部屋のような空間だよ」
 にゅるにゅると柔らかいゴム人形の様にに入り口から中へ吸い込まれた。
 正人は祠の扉を閉め、持って来た封印札を貼り付けた。突然ドサッと音がしたので、振り返ると隼人は気を失い地面に倒れていた。

 気を失った隼人は、夢で自分の過去の記憶を見る。
 急にどうした?・・・俺の頭の中で子供の頃の記憶が蘇ってくる。
 祠、そうだ、古い小さな祠、俺の祖父母が暮らす田舎町にもあった。
 あぜ道を走る足、小学生の足が見えるが、どこに向かっている?
 池、そうそう、池のほとりに祠はあったな。
 あれ、小さな手が御札の貼られた扉を開けようとしている。
 俺の手だよな、お札を破いて扉を開けた?
 それは、何かの封印を解いた事になるのか?
 忘れていた、小学2年生だった俺は、中を見たくて祠の扉を開けたのを。
 断片的な記憶の光景、スライドショー見たいにグルグルと頭の中で回りだした。
 目が回る、気持ち悪い、・・・意識が遠ざかる。
“お前が、俺を解放したんだよ”
 あの声、いつも聞こえる声だ。

 気が付いたかと、正人の声が聞こえる。あれ車の中に居る、背もたれを倒した助手席に座る隼人は、何が起こったのか直ぐには理解出来ず困惑する。
「ええ、気を失っていましたか?」
「祠を封印したら、フラフラと倒れるから、熱中症かと思ったよ」
「小僧の中に居るアイツが、目覚めかけたのだよ」
 後部座席で気持ち良く横たわり毛づくろいする長老が、意味深な言葉を口にする。
 俺の中に居るアイツとは誰なのだろうと、隼人は長老の言葉が耳から離れなくな
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