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俺がリードしてキスしていると、すぐに、こう? というように俺の動きを真似てくる。
こういう面も優秀だ。
先程と違って柔らかくゆっくりと、でも深く口づけられる。
ゾクゾクをする感覚をあまり追わないようにしているのに、身体を弄る行為が再び再開される。

俺などでは勃起しないというのは、かなり誤解だった。
ゴリゴリと俺の股間に擦りつけてくる。キスをしながら刺激されるのは辛い。

……これは、まずいかもしれない。

キスだけでは終わらなくなりそうなのに、唇が離されない。
「———っは、お、いっ!! はぁ———んっ!!」
唇を離しても、また唇で塞がれる。
まだ駄目だと言うように、唇を吸われ甘噛みされる。

キスするのにハマったのだろうか。

くそ。ここまでくれば、擦り合いくらいしてやるべきか。

無駄な身体の力を抜く。
俺の身体を弄っている手が、確実に意志を持って胸を触り始める。乳首を触ってくる女は今までに何人かいたが、感度は微妙だ。
気持ちいいというよりはくすぐったさが勝る。
リヒテルは、乳首に直接ふれず、乳輪の周りをくるくると指で触れていた。なんで、先端ではなく乳輪ばかり弄るのだろう。よく分からないが、耐えられないくすぐったさではなく、キスに集中した。
すると、彼の指が小さく尖っている乳首をきゅうっと摘まみ、ゆるゆると引っ張っていく。
それをキスしながら、何度も何度も繰り返される。

何十回めに引っ張られた時に、じゅわぁっと股間の先走りが溢れたのを感じた。

「———っん!」
思わず声が漏れ、乳首をひっぱるリヒテルの手を掴む。唇が緩く離れたので、顔を振って唇を完全に離す。
唇の感覚が重くジンジンするようだ。

「———はぁはぁ、おい。これが“ついでのキス”なのかよ?」
「……ついで?」

リヒテルは、まだ、うっとりしているようだ。

「……驚きました。キスが凄く気持ちいい」

そう言いながら、リヒテルの視線が俺の唇だ。また、キスしたいとその視線が物語っている。

「もしかして、キス初めてか?」
「えぇ」
今までの玄人の子は? と顔に出ていたのだろう。
「今まで、キスはしてません。ただの性欲処理ですから。マクさんへの欲情を吐き出すだけの穴ですし」

そう言って、また、我慢が出来なくなったのか、俺の唇横の頬にキスを落とし始める。左右に揺れる尻尾が早い。
早くキスしたい。と全身で伝えてくる。

「……お前ぇ……」

全身で俺を好きだと伝えてくる、この様子は俺に色々刺さる。
……やっぱり可愛いと思ってしまうのだ。
そういうテクニックなのだろうか。だとしたら、すげぇよ。

「————っそんなんじゃ、俺から離れられねぇぞ?」

頬にキスするだけじゃ我慢できなくなったのか、俺の首を甘噛みし始める。俺の首筋の匂いが好きなんだそうだ。
しかし、こんなにカミカミと甘噛みされては、痕が随分残ってしまうだろう。

「聞いてるか? いつまで経っても親離れできねえって!」
「しません。親と思った事はありませんが、世間体にそうならば、ずっと子として書類上でマクさんを縛って死ぬまで傍にいるんです」

興奮しているのか、いつもよりベラベラと本音が……。

死ぬまでいるのか? 重すぎねぇか?

そんな重すぎる発言聞いても引かないどころか胸がザワザワ嬉しくなるのはなんでだ。
俺が思っている以上に互いに重症なのだと気が付いたら、モヤモヤしていた気持ちが整理されていく。

「……いや、じゃなくて、事業拡大に転勤するんだろ?」
リヒテルの身体をグイっと押しのけて奴の顔を首から離す。リヒテルは少しムッとして涎を腕で拭いた。

「転勤などしませんよ。一緒に住むために働いているのに、それでは働く意味がない。あぁ、それともマクさんが住居を移そうとしている件の話ですか? マクさんの住居移した先に俺もついて行くので無駄ですよ」
「…………」

今度は俺が黙った。
俺の情報がいっぱい漏れている。
リヒテルは、この話は好きではないようで、少しイライラした様子を見せたが、アレ?っと首を傾げる。
俺が転勤? 離れる? と呟く。

「マクさんの様子が変なのって、俺が転勤すると思ったからですか?」
「————………………」

違わないのだが、俺ばっかり色んなものがバレていくのが恥ずかしいので、違うと小声で言う。
顔を逸らして、暫く沈黙する。リヒテルが何も反応ないので、またリヒテルの方へ向くと、リヒテルの耳がピクピク動いている。
目が合うと、口角を上げながら目を瞑ってブルブルしている。

……何してんだ? コイツ。

普段、俺以外にはシュッとしてんだから、他の人が見たら驚くぞ。
リヒテルが閉じていた目を開くと頬を染めてキラキラした上目目線でこちらを見る。

「マクさん、嘘つく時、右下斜めに視線がいくんです。……俺が離れると思うと不安になったんですね! 可愛い!!」
「っ!!」


俺の知らない癖を言い当てると、はぁはぁ、と息荒く、顔中にキスされる。

キスされながら、腰を擦りつけられる。
コイツ、ずっと賢い犬だと思っていたのに、駄犬だ……。

「————っふ、ふぅうっ!」
だ、だから、擦りつけが激しいっつーの。
それに俺の顔中涎まみれだ。

「…………おい、しゃーねぇ。ズボン下げろ。俺のも脱がせよ」

コイツが激しく擦りつけるから俺のも必然的に勃起してしまっている。
それを聞いたリヒテルは、素早く互いのズボンを器用に下げる。その機敏な動きに呆気にとられる。
「あっという間に裸だ」
「はは……チャンスは逃がさないタチですので」
「…………」

ジロっと睨んで、勃起しているリヒテルの性器に目を向ける。

リヒテルのチンコ……、久しぶりに見たけどでけぇ……。
獣人は人よりデカいが、リヒテルもそうだ。

コイツは、俺にツッコみたいのか? 以前、尻を舐めていたくらいだからそのつもりなのだろう。

俺がタチならば、テクニックの方は問題ない。だが、この足だと出来る体位が限られてくる。騎乗位が楽なのだが、コイツの重みに俺は耐えられるだろうか……。
体格がいい分、体重も相当だ……。可愛い女の子や小柄な男とはワケが違う。

「マクさん、とりあえず擦らせてください」
「———っ」
既に大量の先走りでテカテカと濡れているリヒテルの性器が俺の性器とが一緒に掴まれる。

リヒテルの手が上下に擦る。コイツの先走りが多いせいかローション代わりになって、ヌルヌルして気持ちがいい。
先に射精したのは、彼の方だったが、衰えず俺が射精するまで一緒に擦り続ける。
「———くっ!」

トプトプと射精すると、全身がだるおもくてリヒテルの身体に寄りかかる。
しばらく俺が落ち着くのを待って、それからベッドに寝かされ、股をパカっと開かれる。流石に、これは恥ずかしい。

「っ! 馬鹿、何して……」
「はぁ、マクさん、全部美味しそう」

マジマジと興奮した様子で色んな所を眺められる。目がヤバい。

「リヒ、テルッ!?」
「マクさん、好き。大好き」

俺の尻にスリスリと性器を擦りつけられる。
まさか、このまま挿れられるかと思ったが、後孔の縁にクニクニとくっつけるだけでそれ以上は進まない。リヒテル自身が陰茎を扱き始めて、二度目の精を尻にかけられた。

「……っ!」

こ、こいつぅ!!

その独りよがりな行為に腹が立ち、どかっと軽くリヒテルの腹部を健脚で蹴って、リヒテルの理性を取り戻す。

リヒテルもハッとし……「い、いけませんでしたか? 我慢が出来なくて」などと反省している。

「一人でオナニーすんな! 俺が……いるだろうが」
「……」
「だから、……俺でしていいって」

ゴクリと生唾を飲む声がした。
リヒテルの熱い手が再び激しく俺の身体を弄り始めた。
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