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スミ
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※スミ視点になります。
「人間達が武装して魔王城へ近づいてきております。」
人間達の調査をしているキャタから報告を受けた。
キャタが「どうしますか?」と聞いてきた。
「くだらないな。人間用の目隠しでもしておけ。」
魔力で永遠と迷う迷路を作り出すことなどたわいのない事だ。
さらに、普通の目からは見えないように魔力の霧で魔王城を覆いかぶせば、人間相手になど十分であった。
人間たちがこちらを目指してやってくるのはこの世界の性なのだろうか。
勇者、魔法使い、騎士、様々な人間がこちらに攻めたいとばかりに向かってくる。
いつの世も繰り返される。こちらは全く興味もないというのに。
「くだらない。」
本当にくだらない。
俺はキャタに出て行くように命じ、自分の部屋に戻った。ポー様が作った物ばかりの部屋。
あの方はまだみつからない……。
ポー様がいなくなって、本当の独りを知った。
今までは知らなかったのだ。独りだという事も気が付かなかったから。
一度知った温かな存在。それを失う事に弱い自分は耐えられなかった。
日に日に押し寄せてくる孤独は闇を抱えた。その闇の中、人間への憎しみが溢れてきた。
闇が大きくなればなるほど、自分の中の魔力が溢れ出してくる。
プツンと糸が切れるようだった。
その糸が切れた瞬間、自分の生い立ちを思い出した。
自分は魔王だ。
人間と魔族の間に生まれた。だが、生まれながらにして魔王。
魔王というのは、魔力が一番高い者を指す。そして、自分も物心ついた時には自分がそういう存在だという事に気が付いた。
だが、人間の親は俺の魔力を恐れた。
俺の魔力を恐れるが故、親は俺の魔力を封じ込めた。魔力を封じることで記憶も一緒になくなってしまった。
魔力が強い程、それを抑える封じの力は強くなる。
魔力と一緒に封じられた記憶のせいで、俺は自分の親が親だと思えなくなってしまっていた。
知らない人と歩いている。
その事に恐怖して、俺はその人から離れた。
その人は追ってこなかったから、そういうモノだと感じた。
だが、何も分からない子供が生きていくには、人間の世界は残酷だった。
俺は路頭に迷い、奴隷商に売られていた。
そして、気が付けば「済み」だと放りだされる最下位の人間になっていた。
何も分からないからそれでも平気だった。何もかもが朧気でどうでもよかった。
なのに、それをポー様が変えてしまった。
温かで穏やかで、感じたことのない幸福。
ずっと、この方の傍にいたいと思ってしまった。そして、この方ならそれを許してくれるはずだ。
自分の中のすべてがこの方に満たされる事が幸せだった。
あの方がいなくなって3年がたった。探しても見つからない。
見つかったと報告が受けた時は、確かにポー様の気配を感じだ。あの方だと思った。
急いで向かった先にいたのは、一人の青年だった。
短く切りそろえられた髪、大きな目に意志の強そうな眉毛、比較的大きな口。
普通の人間なのに、一瞬目が離せなかった。目が離せないどころか、その人間を事細かに見ていた。
何故だ・・・?
驚くことにポー様と同じ匂いがした。
こんなに匂いが強くつくほど一緒にいるのか。と頭に血が昇った。自分以上の存在があの方にある事に腹がたった。
魔王城に連れてきて無理やり抱いた。
動かないように身体も言葉も封じた。
自分でもどうしてこんなに最低な事が出来たのか信じられなかった。
何故だか、強くこの人間が欲しかった。そんな訳がない。だが、触れていくうちにさらに思った。どうしようもなく欲しい。
初めて沸き上がった感情だった。この感情をどう表したらいいのか分からなかった。
初めはポー様と同じ匂いに憤りを感じだ。そのはずだったのに気が付けば夢中になって抱いていた。
気が付けば、その人間は失神していた。
……なんて事をしてしまったんだ。その細い身体を見て呆然とした。
無理やり抱いたから、俺を憎んでいると思った。謝ろうと人間が住む部屋のドアを開けた。
そいつの目に怒りも悲しみもなかった。
ただ……そう。俺を慈しむ目。そして、嘘のない匂い。
コイツは本当に俺の事を憎んでいない。
それが腹が立つのに、まただ。包み込まれるような感覚。
欲しい…。
我慢が出来なくて、もう一度抱きたくなって抱けば、吸い付くような肌、喘ぎ声。満たされる事などずっとないと思っていた部分が温かくなる。
胸の中から身体全体熱くなってどうしようもなく苦しい。なのに、やめられない。
こいつは、何だ?
気持ちよくて、放った後も何度も挿れたくなって、すぐに勃ちあがってしまう。
何度抱いても、受け止めてくれるそいつ。
あっけらかんと笑うところはまるで…‥‥ポー様に似ていた。そして、ポー様もこいつも俺の事など見ていない。誰にでも優しい存在なのだ。
俺だけのものにならないのだと、その優しさを知る度に胸の奥がぎゅうっと縮こまり吐き気がこみあげてくる。
「魔王様、再び人間が交戦してきました。」
魔族の報告を受け、俺は、人間界の様子を見ようと頭で念写した。
また、人間達が残虐な行為を働いていた。
一部の残酷な自分たちの欲望の為、下級魔族・モンスター、そして同族である人間に残虐行為を行っている。感じたこともない憎悪だった。ここまで酷い憎悪を集めるにはどれだけの残虐行為が行われてきたことだろう。
怨念を溜めている?呪術師が何かを言いながらその怨念を器に封じ込めている。
その怨念で作った膨大なエネルギ―は今にもその器から出てきそうだ。
人間は時折、魔族よりずっと残酷だ。
残酷であることを自身が理解していない事が魔族と人間の違いだろうか。
その様子を念写で読み取りながら、人間がこちらに向かっていることを知る。これほどの力になると、人間用に作った目隠しも大した効果を発揮しない。
それに、あの膨れ上がった憎悪をこちらに向けられては、流石に死者も多いだろう。交戦など面倒くさい。
回避するにはこの城から離れる必要があった。
どこか遠くへ。
俺は立ち上がり、アイツを探した。
あの人間を連れて行かねば。ただ、そう思った。
いつもはすぐ傍で何かを食べたり作ったりして傍にいるはずなのに。どこかの魔族に遊ばれているのか……。
しかし、気配が城内にいない。
俺は、慌てて、遠くに意識を向け半径500メートル圏内のアイツ気配を探した。アイツはべったりと俺から離れなかったから名前を知らなかった。
名前を知っていると魂が近くなる為、本当に信用する者同士しか教えない。その代わり、教えれば、位置の特定もしやすく守りやすくなる。
いた。
俺は、すぐにアイツのいる森にテレポートして向かった。
森へ向かうと、アイツが男と裸で抱き合っていた。
その瞬間、この森一体焼き払ってやろうかと思うくらい腹が煮えくりかえった。
アイツが抱き合っていた男に向かって魔法弾を飛ばすと、アイツが自分の腕がボロボロになるのも気にせず助けた。
俺は、大事な奴かと聞いていた。
「大事さ。」
そうアイツの口が言った。
ふらりと立ち眩みしたのかと思うくらい、周りが暗くなった。
しかし、同時に危ない目をさせる必要なないのだと冷静な自分もいた。ただの人間が俺の傍にいて危険な目に合わせるのか。だが、この人間に俺以外の誰かが触れるのは許せない。
だけど‥‥コイツを危ない目に合わせたくはなかった。
どうしていいのか判断できなかった。
まるで、幼子だ。自分で考えられない。考えがまとまらない。傍にいて欲しい。口から出そうになるのをぐっと堪えた。
複雑な思いのまま、背をむけて俺は城に戻った。
城に戻る前から人間の大量の気配を感じた。
憎悪の塊のようなものを一緒に連れてきている。
きたな。
その危険な気配に、城にいるすべての個体を遠くの空中に魔力でテレポーテーションさせて飛ばした。
流石にすべての個体を遠くに移動させることは魔王の力をもってしても疲れてしまった。
何より、アイツが傍にいない事実に疲れた。
俺は魔王城の前で立った。
人間達が続々と森から姿を見せた。
「ははー!魔王!何が世界の破滅者だ。何にもしないうちに魔力切れを起こしているぞ!?」
首謀者とみられる一人の男が偉そうに話している。
それを、冷めた目で見る。
「捕まえろっ!」
男が言った瞬間、一斉に魔術で俺の身体を縛り上げた。
人間にしては力が強いと思った。だが、それだけ。
一瞬でそれを解除した。
人間は、その一瞬の時間で十分だったようで、憎悪の器が開けられた。
器の中から様々な生物の悲鳴やうめき声が聞こえる。
人間達には聞こえないのだろうか。
この悲鳴を聞き共鳴してしまう自分がいた。そして、金縛りよりずっと強い何かが俺の身体をグルグルと締め上げた。
「はははっ!いくら、この世で最強の魔王と言えど、これを食らえばひとたまりもあるまい。」
何人かが呪文をブツブツと唱え、禍々しい光が俺の視界を奪った。
「くだらない。」
俺は、禍々しい光を腕一本で反らした。
腕も折れたが、反れた禍々しい光が魔王城に当たりドンッ!と爆発した。
人間達は自分たちの攻撃だったのに、その爆発の突風に耐え切れず飛んでしまう者もいた。
だが、首謀者は飛んで行った者には目もくれなかった。
「怯むな!第二破いけっ!!」
首謀者が言うと、また後ろで待機している人間が呪文をブツブツと唱え始めた。この者達はこれの為に残虐行為を働いたのか。
それをどこか冷めた目で見ていた。
すると、城に近づく優しい気配を感じた。少しずつ真っすぐ近づいてくる。
真っすぐ、俺の元へ近づく気配………。
「……。」
アイツだ……。
すぐに分かった。こんな時なのに胸が温かくなる。
俺の口元が笑みを作った。
俺は、人間達に向けて手をスッと出した。
その場にいた人間全てと自身を人間界の城へとテレポーションさせた。
「人間達が武装して魔王城へ近づいてきております。」
人間達の調査をしているキャタから報告を受けた。
キャタが「どうしますか?」と聞いてきた。
「くだらないな。人間用の目隠しでもしておけ。」
魔力で永遠と迷う迷路を作り出すことなどたわいのない事だ。
さらに、普通の目からは見えないように魔力の霧で魔王城を覆いかぶせば、人間相手になど十分であった。
人間たちがこちらを目指してやってくるのはこの世界の性なのだろうか。
勇者、魔法使い、騎士、様々な人間がこちらに攻めたいとばかりに向かってくる。
いつの世も繰り返される。こちらは全く興味もないというのに。
「くだらない。」
本当にくだらない。
俺はキャタに出て行くように命じ、自分の部屋に戻った。ポー様が作った物ばかりの部屋。
あの方はまだみつからない……。
ポー様がいなくなって、本当の独りを知った。
今までは知らなかったのだ。独りだという事も気が付かなかったから。
一度知った温かな存在。それを失う事に弱い自分は耐えられなかった。
日に日に押し寄せてくる孤独は闇を抱えた。その闇の中、人間への憎しみが溢れてきた。
闇が大きくなればなるほど、自分の中の魔力が溢れ出してくる。
プツンと糸が切れるようだった。
その糸が切れた瞬間、自分の生い立ちを思い出した。
自分は魔王だ。
人間と魔族の間に生まれた。だが、生まれながらにして魔王。
魔王というのは、魔力が一番高い者を指す。そして、自分も物心ついた時には自分がそういう存在だという事に気が付いた。
だが、人間の親は俺の魔力を恐れた。
俺の魔力を恐れるが故、親は俺の魔力を封じ込めた。魔力を封じることで記憶も一緒になくなってしまった。
魔力が強い程、それを抑える封じの力は強くなる。
魔力と一緒に封じられた記憶のせいで、俺は自分の親が親だと思えなくなってしまっていた。
知らない人と歩いている。
その事に恐怖して、俺はその人から離れた。
その人は追ってこなかったから、そういうモノだと感じた。
だが、何も分からない子供が生きていくには、人間の世界は残酷だった。
俺は路頭に迷い、奴隷商に売られていた。
そして、気が付けば「済み」だと放りだされる最下位の人間になっていた。
何も分からないからそれでも平気だった。何もかもが朧気でどうでもよかった。
なのに、それをポー様が変えてしまった。
温かで穏やかで、感じたことのない幸福。
ずっと、この方の傍にいたいと思ってしまった。そして、この方ならそれを許してくれるはずだ。
自分の中のすべてがこの方に満たされる事が幸せだった。
あの方がいなくなって3年がたった。探しても見つからない。
見つかったと報告が受けた時は、確かにポー様の気配を感じだ。あの方だと思った。
急いで向かった先にいたのは、一人の青年だった。
短く切りそろえられた髪、大きな目に意志の強そうな眉毛、比較的大きな口。
普通の人間なのに、一瞬目が離せなかった。目が離せないどころか、その人間を事細かに見ていた。
何故だ・・・?
驚くことにポー様と同じ匂いがした。
こんなに匂いが強くつくほど一緒にいるのか。と頭に血が昇った。自分以上の存在があの方にある事に腹がたった。
魔王城に連れてきて無理やり抱いた。
動かないように身体も言葉も封じた。
自分でもどうしてこんなに最低な事が出来たのか信じられなかった。
何故だか、強くこの人間が欲しかった。そんな訳がない。だが、触れていくうちにさらに思った。どうしようもなく欲しい。
初めて沸き上がった感情だった。この感情をどう表したらいいのか分からなかった。
初めはポー様と同じ匂いに憤りを感じだ。そのはずだったのに気が付けば夢中になって抱いていた。
気が付けば、その人間は失神していた。
……なんて事をしてしまったんだ。その細い身体を見て呆然とした。
無理やり抱いたから、俺を憎んでいると思った。謝ろうと人間が住む部屋のドアを開けた。
そいつの目に怒りも悲しみもなかった。
ただ……そう。俺を慈しむ目。そして、嘘のない匂い。
コイツは本当に俺の事を憎んでいない。
それが腹が立つのに、まただ。包み込まれるような感覚。
欲しい…。
我慢が出来なくて、もう一度抱きたくなって抱けば、吸い付くような肌、喘ぎ声。満たされる事などずっとないと思っていた部分が温かくなる。
胸の中から身体全体熱くなってどうしようもなく苦しい。なのに、やめられない。
こいつは、何だ?
気持ちよくて、放った後も何度も挿れたくなって、すぐに勃ちあがってしまう。
何度抱いても、受け止めてくれるそいつ。
あっけらかんと笑うところはまるで…‥‥ポー様に似ていた。そして、ポー様もこいつも俺の事など見ていない。誰にでも優しい存在なのだ。
俺だけのものにならないのだと、その優しさを知る度に胸の奥がぎゅうっと縮こまり吐き気がこみあげてくる。
「魔王様、再び人間が交戦してきました。」
魔族の報告を受け、俺は、人間界の様子を見ようと頭で念写した。
また、人間達が残虐な行為を働いていた。
一部の残酷な自分たちの欲望の為、下級魔族・モンスター、そして同族である人間に残虐行為を行っている。感じたこともない憎悪だった。ここまで酷い憎悪を集めるにはどれだけの残虐行為が行われてきたことだろう。
怨念を溜めている?呪術師が何かを言いながらその怨念を器に封じ込めている。
その怨念で作った膨大なエネルギ―は今にもその器から出てきそうだ。
人間は時折、魔族よりずっと残酷だ。
残酷であることを自身が理解していない事が魔族と人間の違いだろうか。
その様子を念写で読み取りながら、人間がこちらに向かっていることを知る。これほどの力になると、人間用に作った目隠しも大した効果を発揮しない。
それに、あの膨れ上がった憎悪をこちらに向けられては、流石に死者も多いだろう。交戦など面倒くさい。
回避するにはこの城から離れる必要があった。
どこか遠くへ。
俺は立ち上がり、アイツを探した。
あの人間を連れて行かねば。ただ、そう思った。
いつもはすぐ傍で何かを食べたり作ったりして傍にいるはずなのに。どこかの魔族に遊ばれているのか……。
しかし、気配が城内にいない。
俺は、慌てて、遠くに意識を向け半径500メートル圏内のアイツ気配を探した。アイツはべったりと俺から離れなかったから名前を知らなかった。
名前を知っていると魂が近くなる為、本当に信用する者同士しか教えない。その代わり、教えれば、位置の特定もしやすく守りやすくなる。
いた。
俺は、すぐにアイツのいる森にテレポートして向かった。
森へ向かうと、アイツが男と裸で抱き合っていた。
その瞬間、この森一体焼き払ってやろうかと思うくらい腹が煮えくりかえった。
アイツが抱き合っていた男に向かって魔法弾を飛ばすと、アイツが自分の腕がボロボロになるのも気にせず助けた。
俺は、大事な奴かと聞いていた。
「大事さ。」
そうアイツの口が言った。
ふらりと立ち眩みしたのかと思うくらい、周りが暗くなった。
しかし、同時に危ない目をさせる必要なないのだと冷静な自分もいた。ただの人間が俺の傍にいて危険な目に合わせるのか。だが、この人間に俺以外の誰かが触れるのは許せない。
だけど‥‥コイツを危ない目に合わせたくはなかった。
どうしていいのか判断できなかった。
まるで、幼子だ。自分で考えられない。考えがまとまらない。傍にいて欲しい。口から出そうになるのをぐっと堪えた。
複雑な思いのまま、背をむけて俺は城に戻った。
城に戻る前から人間の大量の気配を感じた。
憎悪の塊のようなものを一緒に連れてきている。
きたな。
その危険な気配に、城にいるすべての個体を遠くの空中に魔力でテレポーテーションさせて飛ばした。
流石にすべての個体を遠くに移動させることは魔王の力をもってしても疲れてしまった。
何より、アイツが傍にいない事実に疲れた。
俺は魔王城の前で立った。
人間達が続々と森から姿を見せた。
「ははー!魔王!何が世界の破滅者だ。何にもしないうちに魔力切れを起こしているぞ!?」
首謀者とみられる一人の男が偉そうに話している。
それを、冷めた目で見る。
「捕まえろっ!」
男が言った瞬間、一斉に魔術で俺の身体を縛り上げた。
人間にしては力が強いと思った。だが、それだけ。
一瞬でそれを解除した。
人間は、その一瞬の時間で十分だったようで、憎悪の器が開けられた。
器の中から様々な生物の悲鳴やうめき声が聞こえる。
人間達には聞こえないのだろうか。
この悲鳴を聞き共鳴してしまう自分がいた。そして、金縛りよりずっと強い何かが俺の身体をグルグルと締め上げた。
「はははっ!いくら、この世で最強の魔王と言えど、これを食らえばひとたまりもあるまい。」
何人かが呪文をブツブツと唱え、禍々しい光が俺の視界を奪った。
「くだらない。」
俺は、禍々しい光を腕一本で反らした。
腕も折れたが、反れた禍々しい光が魔王城に当たりドンッ!と爆発した。
人間達は自分たちの攻撃だったのに、その爆発の突風に耐え切れず飛んでしまう者もいた。
だが、首謀者は飛んで行った者には目もくれなかった。
「怯むな!第二破いけっ!!」
首謀者が言うと、また後ろで待機している人間が呪文をブツブツと唱え始めた。この者達はこれの為に残虐行為を働いたのか。
それをどこか冷めた目で見ていた。
すると、城に近づく優しい気配を感じた。少しずつ真っすぐ近づいてくる。
真っすぐ、俺の元へ近づく気配………。
「……。」
アイツだ……。
すぐに分かった。こんな時なのに胸が温かくなる。
俺の口元が笑みを作った。
俺は、人間達に向けて手をスッと出した。
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