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番外編2 (ほのぼの)
しおりを挟む髪の毛をサイドに緩やかにまとめてスーツ姿の華生リューイチがトロフィーを持って檀上に立っていた。
栄えある賞を連続受賞する若手俳優華生リューイチはその名声と地位を確固たるものにしている。
『助演男優賞おめでとうございます。今のお気持ちは?』
マイクを向けられたリューイチは、興奮する周りとは違い涼やかに微笑んだ。テレビで見る彼はとても落ち着いている。
『とても嬉しいです。こうして頑張れたのは応援してくれる方々と支えてくれる方のおかげです』
物静かな低い声。
その微笑みを間近で見た女性アナウンサーは頬を染めている。
——————誰だ? コレ?
俺は、そのテレビを見ながら、首を傾げた。
「さぁくたぁ~~んっ! 仕事行きたくないよぉ~! さくたんと一緒にずっといたいぃよぉ、さくたんのお洋服になりたいぃいい」
俺の背中に抱き着いて駄々こねているコレは、テレビに映っているアレと同じなのか?
あまりに違いすぎて、持っていたリモコンを落としてしまう。
抱き着いてズビズビと鼻水と涙を垂れ流すリューイチだが、暫く気の済むように(放置)させていると次第に落ち着くどころか……
「ハァハァ……、さくたん、俺、ちんちんデカくなっちゃった」
「……」
「さくたんのお尻の中に恋人ですよって挨拶したい」
そう言って発情して背後からグリグリ勃起したチンコを押し付けられる。昨日もやったのに朝からヤル気満々か。
「いや、お前が恋人なの、もう分かっているからしなくていい」
「はぁ~♡♡ 恋人♡ さくたんと俺恋人だもんね♡」
うるせ。このやり取り何百回目だよ。
でも、リューイチが仕事へ行けば真面目にしていることは誰より知っている。
彼の経歴を見れば努力の結晶だ。
幼少期から、厳しいダンス生活、海外遠征。さらにあのスパルタな母親。
以前、マネージャーにこそっとリューイチの練習風景を見学に行ったのだけど、ぶっ通しでずっと踊り続けていた。何をそんなに必死に取りつかれたように情熱を込められるのかと周りを圧倒させていた。
俺も思わず声をかけられず帰った程だ。そんな頑張り屋な彼だから甘えさせたいとは……思っているんだが……。
「さくたんはマイナスイオンなのに、チンチンだけイライラしちゃう」
「……」
言動はちょっとアレだけど、これはリューイチの愛情表現……
くんくん。
「あ。興奮しすぎて鼻血でた」
…………これは一体、どうかなと思う。ちょっと落ち着いてくれ。
ちょっと遡ること半年前。
リューイチに海外映画のオファーが来た。現地入り合わせて三か月海外で過ごす。勿論リューイチは拒否をしたが、事務所一丸となってリューイチに仕事をごり押ししたのだ。
絶対嫌だと言うリューイチに事務所がぶら下げた条件は、【市谷さくらと同棲】だった。
そう。俺、リューイチのマネージャーに朝昼夜問わず説得されて同棲を頷いたんですよ。いや、元々別に同棲に関してこだわりはなかったので、まぁいいかとOKしたんだけど。
『え!? さくたんがその条件OKしたの? ほんと? 俺とさくたんが24時間一緒にくっついていられるの? お風呂入っている姿もご飯食べている姿もおトイレも? 見つめ放題? はぁはぁ……。朝からちんちんくっつけあって……そんなの俺、我慢出来ない』
はぁはぁはぁとマネージャーの前で気持ち悪い発言をしたリューイチ。多分、気持ち悪いリューイチを初めて見たんだろう。マネージャーが固まっていた。(あと、トイレは絶対鍵つける)
そして、海外遠征した後、約束通り俺とリューイチの同棲がスタートした。
——とまぁ、今日で一週間目だ。興奮するのは分かる。半年ぶりだし。でもな? そろそろ落ち着いてくる時期だろう!?
「さくたぁん、仕事まで、はぁはぁはぁ、63分8秒あるよ。さくたんのお尻の中できゅうきゅう抱きしめてほしい」
「駄目だって、そんな……っ、あ、よせ、乳首摘まんでくるなっ!! お前、一回じゃ、終わらないもんっ!!」
キューッと乳首を甘く引っ張られながら首筋をペロペロ舐められる。俺のどこが気持ちよくなるのか把握されている。
だ、駄目だ。腰が浮く。腰が浮いたら絶対ズボンを脱がされて尻に指を挿入されてセックスの準備をされる。んで、ずぼぉってリューイチのちんこ挿れられたら時間ギリギリまでずっと挿れっぱなしにされるっ!!
「や、やだって! 俺も午後から仕事だっ!」
やだやだやだと首を振ってごねて身体を離そうとすると、リューイチがシュンと項垂れた。
「そんなに嫌かな……、ごめんなさい」
「……ぁ?」
「も、もうしないから」
そそそ、と捲りあげたシャツを治してくれる。
きゅ~ん。もう嫌がらないで? と見えない犬みたいな耳が垂れている幻覚が見える。
「ごめんね?」
「……う」
聞き訳が良い時のリューイチってなんでこう母性がくすぶられるんだ(父性?)
「————……帰ったら」
「帰ったら?」
「しようぜ」
そう言うとしょげていたリューイチがパァッと花咲いたみたいな顔になり思いっきり抱きつかれる。コクコクと全力で頷かれると反応が可愛すぎて何も文句などなくなってしまう。ペロペロと嬉しがって顔中舐めてくる。ホント、犬。
「あはは。リューイチ、それはくすぐった……い」
カプリと俺の下顎を甘噛みし、ペロリと俺の口を舐める。ゾクゾクと腰から快感が込みあがってくる。口の中に彼の舌が挿入されてくちゅりと唾液の音が鳴る。
口の中をくるりと舌が器用に動き、俺の舌を甘噛みし引っ張った。
「————んっぁ」
口の中が気持ちいい。
溢れた唾液を啜られて、長い舌が器用に口の中を弄って来る。奥歯まで一本ずつ舐められて上顎、下の付け根。
リューイチのキスって攻撃力ある。
「ん、ふぅん……」
腰が勝手に浮く。嫌って言ったけど、やばい。キスしてたら股間疼いてきた。
ちゅっと軽めのキスをされ、唇を離された。
「さくたん、はぁはぁ……我慢難しい。さくたんも大きくなっちゃったよね? キャンディ舐めるだけならいい? 舐めるだけ。それで仕事行くから」
「……」
いや、リューイチのこと何も責められない。俺もしたくなってきた。
おずおずと股を拡げると、彼が俺の下半身の方へ身体を移動し、ズボンを下げた。既に勃起して下着が濡れている。
「さくたんのおつゆで下着濡れてるの好き。かわいい」
「っお前ねぇ……っ」
「俺もさくたんと恋人キスするといつも股間ビシャビシャになる。パンツの替えいくらあっても足りない」
「んっはぁ」
下着ごと、パクリと食べてくる。布越しでも咥えられると生温かい。でも、感覚が鈍い。あのヌルヌルで舐められているのを知っている性器はこれでは足りない。ヌルヌルが欲しくてもどかしい。
コイツの舌で舐られたい。
「リューイチ……、頼む。するなら直接してくれ」
「……さくたん♡ も、勿論だよ♡ 俺も俺もそう思ってた♡」
腰を上げて下着をずらすと、迷わずパクリと咥えられる。
リューイチは自分のズボンと下着をずらしてガチガチに勃起したチンコを取り出して自慰を始める。
舐めながら……オナニーって。俺のコレのどこにそんな興奮するのか。
「ん。ぁ、き、気持ちいい……リュー、
……、あぁっ、お尻駄目」
チンコを舐めながら、指でクニクニと蕾を触られる。昨日したばかりなので、まだ緩く指が簡単に挿入できてしまいそうだ。
あ。でも、そこ、触られたら舐められるだけじゃ足りなくなる。
指でくっくっと蕾を軽く押し込んでくる度、じゅわっじゅわっと先端から先走りが溢れるのが分かる。前立腺と乳首をコリコリに虐められて射精する快感を覚えた俺は蕾を触られるとヒクヒクしてしまう。
————したい。
「——……っ」
さっき断ったことを強請ろうとした時、一際吸引が強まり上下に動かされる。口の中で扱かれ精液が込み上げてくるのが分かる。
「あっ、あ——ん、ぁ、イ、イクッ!」
内股に力が籠り、射精しそうなのを伝えるのに彼は相変わらず口を離そうとせず、そのまま精液を飲み込んだ。
見ると、リューイチもポタポタと射精していた。
リューイチは無言で俺のチンコから口を離し、サイドに置いて合ったウェットティッシュで俺のチンコを拭いてくれるので、俺もリューイチの手とチンコをふきふきしてやる。
——結局朝から濃くないか?
フェラされながら恋人のオナニー見るって何事よ……。慣れって怖い。光景にも全く驚かない自分。
まぁ、でもこれでお互いすっきりしたし無事に仕事へ……。
あれ? ふきふきしているリューイチのチンコが一向に萎えない。
俺はちらりと恋人の顔を見ると、はぁはぁしていた。
「リューイチ、引っ込めろ! これではズボンが入らない。お前のデカいから」
「はぁはぁはぁはぁ♡」
いや、なんで、はぁはぁなんだよ!?
どうにかこうにかしてリューイチにズボンを履かせることに成功して仕事へ行くことを見送った俺は謎の達成感に満たされていた。
不思議だ……。
□□□□
素敵なイラストを桐乃鈴様より描いて戴きました!!!
メッチャクチャ素敵!!!リューイチがかっこいいです!!!!嬉しいです。
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番外編2の下辺りの
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だと思います。間違っていたらすみません。
番外編更新ありがとうございます。相変わらずの残念な感じの攻でホッとしました。
ルフ様
お読みくださりありがとうございます。そして誤字脱字ご報告大変ありがとうございます。修正いたしました。
リューイチはあいも変わらず元気に変態です。今回の話は少し落ちついていましたね。
お越し下さりありがとうございました。
番外編ありがとうございます〜(≧∀≦)
思わず、更新通知を二度見してしまいました〜w
久しぶりにリューイチとさくたんのラブラブが読めて良かった〜(*´꒳`*)
みこ様
番外編の番外編までお読みくださりありがとうございます!!のんびりとした同棲生活でした。もうずっとリューイチはリューイチな感じで桜を好きで居続けると思います。お読みくださりありがとうございました。
リューイチが最高に好きです。
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