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番外編
番外編 女狐フランの妖艶なあざとさ ① サモン視点 *
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【※誤字申し訳ございませんでした! ご報告大変助かりました。ご感想も嬉しいです!】
(サモン視点)
※恋人になった彼らのその後
自分の手のひらに浮かび上がる紋章。
これは自分がフランにかけた“御守”の術式が発動している証拠である。
それを見て、小さく舌打ちする。
──どこかの阿呆がフランに手を出している。
絶世の美青年であるフランの凄艶に惹かれて群がってくる虫は多い。
アレは他の奴が触って良いものではないのに、それをまだ分かっていない愚かな虫けらがいるとは。
虫駆除に急いでフランの反応を示す場所に向かった。
校舎の一番奥の使われていない──魔術物品室。
そんな場所にフランと害虫がいることに血管が切れそうな程、怒りを覚える。
勢いよく部屋のドアを開けると、目の前に広がった意外な光景に目を疑う。
フランが男の両頬に手を添えていたからだ。
男の方は俺を見て「ひぃ」と叫んでいる。それから、フランは俺が来たというのにいつものような“来てくれた!”というような喜ぶ表情はなく、ただ怪しく微笑むだけ。
「ふ──、……ねぇ、君、分かった? 君では僕にふさわしくないんだよ」
「ひぃ……わ、分かりました! 身体拘束の魔術を解除してくださいぃいいい~」
「本当?」
フランが男の頬を柔らかく撫で、妖艶さの漂う表情で男の耳元で何かを囁く。──俺の目の前で。
気付けば、二人を引き離し、男の方を瞬時に魔法で転移させていた。転移魔法は空間を飛ばすもので、非常に複雑な魔法でその男の着地点は保証しない。
だが、そんなものはどうでもよく、どういうことだとフランを睨んだ。
「ふふ──」
「……」
フランは自分の真っ赤な唇に指を添え、目を細めて微笑む。艶麗な色気は普段の彼とは別人のようだ。
「誰だ、貴様」
フランはその問いに答えず、先程の男にしたように俺の頬を柔らかく撫でる。目の動き、表情、仕草どれをとっても違和感だらけだ。
「目の下のクマは酷いけれど、目鼻立ちは整っているし、体躯の良さも非常に好ましいね。何より、魔力が美味しそうだ」
つぅっとその手が頬から首筋、胸元へ下りていく。
舌なめずりをして見上げるその瞳が、口付けを強請っていた。近づいてくる唇をパシッと手で押さえる。
「もう一度聞く。貴様は誰だ」
押さえた手を彼はそっと触れて、指に絡ませてくる。それからその手を自分の頬に寄せ頬擦りした。
男に媚びることを知っているその動き、ますますフランではないと確信する。なのに「僕はフランだよ」と言うから、眉間にシワが寄る。
「ふふ、それとも君は、僕のような美しい人が他にいるとでも?」
「……フランの中に、狐でも入ったか。調子に乗るなよ」
さっきの阿呆が、呼びよせの術で霊を呼んだのか。
フランに憑依している霊を引き離すことなど容易だが、本体に影響を及ぼす可能性もある。これが適当な奴ならば、強引に術を使うが、フランのことならばそうはいかない。万が一にでも彼が傷つくことなどあってはならない。
フランに取り付く浅ましい霊がどの程度、彼の中にくっついているのか、見極めなくては。
「大丈夫、そんなに警戒しないで」
「──……」
自分の首に腕を回されて、下を向かされると唇を重ねられた。
フランの意思でないキスなど本意ではないが、身体を合わせた方が霊のことを分かりやすい。
恐らく、霊はフランの魔力に引っ付いているはずだ。フラン以外の気を確かめるために、そのキスにのってみる。
重なった唇は角度を変えて、口付けを深めてくる。さらにその舌が口腔内に差し込まれて、自分の舌に絡みつく。
こうもキスの仕方が違うものかと萎えていたら、足が淫らに自分の足に擦り寄ってくる。俺の太腿にわざと股間を押し付けるような──……。
肩を掴み、その身体を離すと、物足りないとでもいうように唇をペロリと舐めた。
「どうしたの? もう終わり?」
「何が目的だ」
「目的は、見れば分かるでしょ? この身体は君に、ほら──こんなに反応しているよ」
フランはスラックスを下げ、それからシャツのボタンも外し始めた。そして後ろに置かれた机に緩く座った。
「発情しているのは、そういう魔法をさっきの彼がしたんだよ。でも、いいこと教えてあげよう」
シャツの隙間に除くピンク色に色づいた箇所をチラリと見せた。ぷくりと勃ち上がった乳首と既に濡れ始めている性器。
「この身体が反応するのは、君だからだよ。君を見てキスしたら、こうなったの。さっきの男では少しもそそらなかった。あれでは僕の身体は濡れない」
「…………」
「あれ? 嬉しくないのかい?」
それは意識があるフランに何度でも言ってもらいたいことだと目を細めた。
(サモン視点)
※恋人になった彼らのその後
自分の手のひらに浮かび上がる紋章。
これは自分がフランにかけた“御守”の術式が発動している証拠である。
それを見て、小さく舌打ちする。
──どこかの阿呆がフランに手を出している。
絶世の美青年であるフランの凄艶に惹かれて群がってくる虫は多い。
アレは他の奴が触って良いものではないのに、それをまだ分かっていない愚かな虫けらがいるとは。
虫駆除に急いでフランの反応を示す場所に向かった。
校舎の一番奥の使われていない──魔術物品室。
そんな場所にフランと害虫がいることに血管が切れそうな程、怒りを覚える。
勢いよく部屋のドアを開けると、目の前に広がった意外な光景に目を疑う。
フランが男の両頬に手を添えていたからだ。
男の方は俺を見て「ひぃ」と叫んでいる。それから、フランは俺が来たというのにいつものような“来てくれた!”というような喜ぶ表情はなく、ただ怪しく微笑むだけ。
「ふ──、……ねぇ、君、分かった? 君では僕にふさわしくないんだよ」
「ひぃ……わ、分かりました! 身体拘束の魔術を解除してくださいぃいいい~」
「本当?」
フランが男の頬を柔らかく撫で、妖艶さの漂う表情で男の耳元で何かを囁く。──俺の目の前で。
気付けば、二人を引き離し、男の方を瞬時に魔法で転移させていた。転移魔法は空間を飛ばすもので、非常に複雑な魔法でその男の着地点は保証しない。
だが、そんなものはどうでもよく、どういうことだとフランを睨んだ。
「ふふ──」
「……」
フランは自分の真っ赤な唇に指を添え、目を細めて微笑む。艶麗な色気は普段の彼とは別人のようだ。
「誰だ、貴様」
フランはその問いに答えず、先程の男にしたように俺の頬を柔らかく撫でる。目の動き、表情、仕草どれをとっても違和感だらけだ。
「目の下のクマは酷いけれど、目鼻立ちは整っているし、体躯の良さも非常に好ましいね。何より、魔力が美味しそうだ」
つぅっとその手が頬から首筋、胸元へ下りていく。
舌なめずりをして見上げるその瞳が、口付けを強請っていた。近づいてくる唇をパシッと手で押さえる。
「もう一度聞く。貴様は誰だ」
押さえた手を彼はそっと触れて、指に絡ませてくる。それからその手を自分の頬に寄せ頬擦りした。
男に媚びることを知っているその動き、ますますフランではないと確信する。なのに「僕はフランだよ」と言うから、眉間にシワが寄る。
「ふふ、それとも君は、僕のような美しい人が他にいるとでも?」
「……フランの中に、狐でも入ったか。調子に乗るなよ」
さっきの阿呆が、呼びよせの術で霊を呼んだのか。
フランに憑依している霊を引き離すことなど容易だが、本体に影響を及ぼす可能性もある。これが適当な奴ならば、強引に術を使うが、フランのことならばそうはいかない。万が一にでも彼が傷つくことなどあってはならない。
フランに取り付く浅ましい霊がどの程度、彼の中にくっついているのか、見極めなくては。
「大丈夫、そんなに警戒しないで」
「──……」
自分の首に腕を回されて、下を向かされると唇を重ねられた。
フランの意思でないキスなど本意ではないが、身体を合わせた方が霊のことを分かりやすい。
恐らく、霊はフランの魔力に引っ付いているはずだ。フラン以外の気を確かめるために、そのキスにのってみる。
重なった唇は角度を変えて、口付けを深めてくる。さらにその舌が口腔内に差し込まれて、自分の舌に絡みつく。
こうもキスの仕方が違うものかと萎えていたら、足が淫らに自分の足に擦り寄ってくる。俺の太腿にわざと股間を押し付けるような──……。
肩を掴み、その身体を離すと、物足りないとでもいうように唇をペロリと舐めた。
「どうしたの? もう終わり?」
「何が目的だ」
「目的は、見れば分かるでしょ? この身体は君に、ほら──こんなに反応しているよ」
フランはスラックスを下げ、それからシャツのボタンも外し始めた。そして後ろに置かれた机に緩く座った。
「発情しているのは、そういう魔法をさっきの彼がしたんだよ。でも、いいこと教えてあげよう」
シャツの隙間に除くピンク色に色づいた箇所をチラリと見せた。ぷくりと勃ち上がった乳首と既に濡れ始めている性器。
「この身体が反応するのは、君だからだよ。君を見てキスしたら、こうなったの。さっきの男では少しもそそらなかった。あれでは僕の身体は濡れない」
「…………」
「あれ? 嬉しくないのかい?」
それは意識があるフランに何度でも言ってもらいたいことだと目を細めた。
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