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想いは通じて
番外編 アーモンは見た。 ◇アーモン視点
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おまけの番外編です。アーモン視点なので本篇の進行に関係ありません。
◇アーモン視点
伯爵家の長男として生まれた僕。昔は貧乏貴族だったけれど、祖父母の代で始めた卸業が成功した。
祖父がよく僕に「人をよく観察するんじゃ」と言っていた。幼い心にその言葉がすんなり入って僕の趣味は人間観察。
魔力が一般の子供よりも高かったため、名門魔法学園に入学することが出来た。家から学園は距離があるため、寮暮らしだ。
そこで、人形みたいなフラン・アイリッシュと悪評高いサモン・レイティアスの二人に出会った。
特にサモンは入学式の頃に窓ガラスを割ったイメージが強く、恐ろしかった。
天使と悪魔が一緒にいる。その姿はあまりに異質で、出来れば平凡な僕は関わりたくないなと思った。
「卑猥なモノを着用するな!」
いつも声に凹凸がなく低い声でしか話さないサモンが、洗面所の前でちょっとうわずった声を上げた。サモンの前には当然フランがいる。
寮では爵位関係なく、自活を義務付けられている。公爵家だろうと掃除も洗濯も自分で行う。
大人びたサモンが9歳年相応の少年に見えて、僕は思わず隠れて様子を見てしまった。
「卑猥なモノってただのパンツだけど。アイリッシュ家ではこれが普通だよ」
「これはは男が着用するものではない。事故に合う前にやめろ」
あの怖いサモン・レイティアスが美人のパンツに対して文句を言っている。しかもお母さんみたいにブツブツ言っている。
「事故。……なるほど。僕、無知だから何でも教えてね。ちなみにどんな下着がいいのだろう」
下着など人の好みだろう。それなのに、下着への注意に対して、疑うことなく聞くフラン。天然なのか?
────きゅうん。
なんだこの二人。
とんでもないものを見てしまったとときめいてしまった。
それ以降、彼らを眺めるようになってしまった。それから寮生で僕と同じように感じる人は多いようだ。
あれやこれや寮生同士で彼等の情報を交換する。
『サモン様がリンゴをウサギにして部屋に戻ったぞ。きっと風邪で寝込まれているフラン様のためだ』
『フラン様が褒めるとサモン様の顔が赤くなった。フラン様は全く気にしていない様子』
サモンは普段表情がなく、声色も変わらない。そんな彼がフランだけは明らかに違う為、僕らはすぐに気が付いた。
だけど、当人同士はそれが当たり前になり過ぎていて、気付かない様子だ。
サモンの見つめる先にはいつもフラン。
こんな楽しいことが身近で見られるなんてと、ただ見守りたいだけのファンクラブを結成した。
彼等が過ごしやすいように手助けするのが僕らのモットー。
でも、調子に乗って近づきすぎた。ある日、サモンにバレてしまったのだ。
鋭く瞳、傍にいるだけで圧がかかり、彼の肩からあの黒いおぞましい何かが出てくる。
怨霊? 呪い? その黒いモノの正体には様々な噂がある。
ゾッとしながら理由を話し、二人を応援したいと伝えると、サモンは僕の全身を値ふみするように眺めた。
「暫く様子を見よう」
「……はっはい」
その後、僕はガクリと膝に力が入らなくて地面に尻餅を付いた。
サモンは噂通りの怖い人かもしれない。
「……やっぱり萌えますね」
ファンクラブの一人が言う言葉に大きく頷く。僕はサモンが怖かろうとなんだろうと遠目に見る分には別に構わないではないかと楽観視するようになっていた。
だって……
「寮では、娯楽が少ないですからね。あぁ、こんな小説を書いてみました」
「是非、私にも読ませてください」
「おぉ……これは……あまりに凄すぎやしませんか……これはアレがアレに入って?」
「ふふふ」
怖くても楽しんだもの勝ちなのではないだろうか。
番外編おわり
~~~~~~~~
お読みくださりありがとうございます。皆さまのおかげで悪役令息の腰巾着が奨励賞を頂けました。
本当に嬉しく、今後の執筆の糧となります。皆様への感謝の気持ちでいっぱいです。
この話も残りわずかなのですが、今年内には終わりそうになく大変申し訳ありません。最後まで読んで頂けると本当に嬉しいです。
◇アーモン視点
伯爵家の長男として生まれた僕。昔は貧乏貴族だったけれど、祖父母の代で始めた卸業が成功した。
祖父がよく僕に「人をよく観察するんじゃ」と言っていた。幼い心にその言葉がすんなり入って僕の趣味は人間観察。
魔力が一般の子供よりも高かったため、名門魔法学園に入学することが出来た。家から学園は距離があるため、寮暮らしだ。
そこで、人形みたいなフラン・アイリッシュと悪評高いサモン・レイティアスの二人に出会った。
特にサモンは入学式の頃に窓ガラスを割ったイメージが強く、恐ろしかった。
天使と悪魔が一緒にいる。その姿はあまりに異質で、出来れば平凡な僕は関わりたくないなと思った。
「卑猥なモノを着用するな!」
いつも声に凹凸がなく低い声でしか話さないサモンが、洗面所の前でちょっとうわずった声を上げた。サモンの前には当然フランがいる。
寮では爵位関係なく、自活を義務付けられている。公爵家だろうと掃除も洗濯も自分で行う。
大人びたサモンが9歳年相応の少年に見えて、僕は思わず隠れて様子を見てしまった。
「卑猥なモノってただのパンツだけど。アイリッシュ家ではこれが普通だよ」
「これはは男が着用するものではない。事故に合う前にやめろ」
あの怖いサモン・レイティアスが美人のパンツに対して文句を言っている。しかもお母さんみたいにブツブツ言っている。
「事故。……なるほど。僕、無知だから何でも教えてね。ちなみにどんな下着がいいのだろう」
下着など人の好みだろう。それなのに、下着への注意に対して、疑うことなく聞くフラン。天然なのか?
────きゅうん。
なんだこの二人。
とんでもないものを見てしまったとときめいてしまった。
それ以降、彼らを眺めるようになってしまった。それから寮生で僕と同じように感じる人は多いようだ。
あれやこれや寮生同士で彼等の情報を交換する。
『サモン様がリンゴをウサギにして部屋に戻ったぞ。きっと風邪で寝込まれているフラン様のためだ』
『フラン様が褒めるとサモン様の顔が赤くなった。フラン様は全く気にしていない様子』
サモンは普段表情がなく、声色も変わらない。そんな彼がフランだけは明らかに違う為、僕らはすぐに気が付いた。
だけど、当人同士はそれが当たり前になり過ぎていて、気付かない様子だ。
サモンの見つめる先にはいつもフラン。
こんな楽しいことが身近で見られるなんてと、ただ見守りたいだけのファンクラブを結成した。
彼等が過ごしやすいように手助けするのが僕らのモットー。
でも、調子に乗って近づきすぎた。ある日、サモンにバレてしまったのだ。
鋭く瞳、傍にいるだけで圧がかかり、彼の肩からあの黒いおぞましい何かが出てくる。
怨霊? 呪い? その黒いモノの正体には様々な噂がある。
ゾッとしながら理由を話し、二人を応援したいと伝えると、サモンは僕の全身を値ふみするように眺めた。
「暫く様子を見よう」
「……はっはい」
その後、僕はガクリと膝に力が入らなくて地面に尻餅を付いた。
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「……やっぱり萌えますね」
ファンクラブの一人が言う言葉に大きく頷く。僕はサモンが怖かろうとなんだろうと遠目に見る分には別に構わないではないかと楽観視するようになっていた。
だって……
「寮では、娯楽が少ないですからね。あぁ、こんな小説を書いてみました」
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「おぉ……これは……あまりに凄すぎやしませんか……これはアレがアレに入って?」
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~~~~~~~~
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