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番外編 1 ※ケイネスサイド
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※ケイネス視点です
愛らしい我が番は、簡単に溺愛させてくれない。
「コバ、もっと」
「もう……む、り」
「そんなことを言わず」
公務中はコバを愛でることを我慢している。その分、共に過ごす夜になれば離したくないと思うのは番として当然だと思う。
コバは王妃として未熟な点も多いけれど、精一杯学び吸収している。彼が苦手な言葉使いも来客などの際には使い分けが出来るようになった。
日中は街に出て社会貢献活動にも積極的だ。というかそっちの活動の方がコバは楽しいのだろう。文をしたため、王宮内でじっとしていることは苦手そうだ。
毎日、王妃として頑張っているコバに対して文句は言いようがない。彼の世界が広がっていくことも応援したい。けれど、私はもっとコバとの時間を確保したい……
「いや、充分くっついていると思うけどな?」
「足りない!」
「今、アンタの膝の上に座らされているけど……」
情事を終え風呂で身体を清めた後、ベッドで私の膝の上に彼を下ろした。二人っきりの夜なのだから当然だ。
たまには、もっと一緒にいたい、まだ傍にいて……などと彼の方からごねられてみたい。
公務で数日王宮を離れようとも、彼にそんな風に求められたことがない。私に対してサッパリとしている。
「明日は一日、部屋から出ずにこうしていようか」
結婚してからというもの、丸ごと一日二人っきりで過ごした日はない。たまにはいいだろう。
「いや、明日も勉強あるし。ケイネスも沢山することあるだろう?」
「一日くらいどうとでもなるよ。コバだって私との時間が足りないと思わないかい? 私達は愛し合っているのに」
「毎日夜には一緒に寝ているじゃん。まぁ、俺の方が早寝だけど」
そう、コバは早寝だ。すやすやと眠る寝顔を見るのも可愛くて楽しいけれど。いや、そういうことじゃなくてもっとこう何もせずとも一緒にいたい。それを伝えると、コバがジロッとこちらを見る。
「一緒にいて何もしないなんてことあるのか? 少なくとも今まではないぞ?」
確かに、コバと身体を密着させていれば、彼から香る甘い匂いで欲情必須だ。
「それは、ごもっともだけど。私が言いたいのはもっと二人の時間を……」
言いかけていると、コバがふわぁっと欠伸をした。……酷くないか。いや、疲れさせたのは私なので文句は言えないが。
「ケイネス、眠い」
もう寝ようと、コバが私の首に腕を巻きつけて寝ようと誘う。底なしの性欲はコバから抱き着かれただけでギュンッと再び熱を持つ。
密着しているコバには伝わっているはずだが、眠気の方が強いのかそのまま目を閉じて眠ってしまった。
◇
「はぁ~~」
馬車の中で深い溜息をついた。近隣国に招かれて、二週間も王宮を離れていたのだ。
王妃であるコバには留守を任せている。信頼できる部下を置いているし、何よりコバは人徳があり、人に好かれる。この溜息の連発は、私のいない王宮が心配なのではなく、単に淋しいからだ。
王宮を出る前日のことだ。たっぷりと抱いたのに、朝になって目覚めれば全然足りなくて、準備を始める直前まで口づけていた。
益々離れがたいと思っていると、「早く行きなよ」との一言。
求めているのは、私だけだと思うと無償に淋しいが文句も言えない。
困り顔の彼に見送られて王宮を離れた。
この二週間、コバやライの様子が気がかりで仕方がなかった。
ライがようやく私といる空間にも慣れてくれた矢先であるし、再び“獣人見知り”状態となり警戒されるのではないか。
コバはあの様子だから、私が不在の間もきっと飄々としているだろう。「よぉ、おかえり。元気だった?」と軽い感じで言ってくるに違いない。
……どんな彼の様子でもいい。早く帰って彼を抱きしめて彼の匂いを思いっきり嗅ぎたい。脳髄まで香るようなあの甘い匂いに満たされたい。
王宮までの帰路の中、コバへ思いをはせる。
ようやく帰ってくると、真っ先に迎えてくれるはずのコバの姿が見えず、きょろきょろと周りを見た。
召使いに抱きかかえられるライの姿。コバがいないのは何故だ、何か悪いことがと一瞬血の気が下がった。
「ケイネス様、コバ様のことで」
出迎えたアトレが、小声で報告した。その報告を聞いた私は、ライに挨拶だけ済ませ急いで私達の部屋に向かう。
————コバが発情期。
先程、アトレはコバが再び発情期に入ったと報告をくれた。コバの発情期は全く定まっていない。以前一度あったが、それ以降は全くなかった。コバは先祖返りで通常は発情期がない。その彼が発情期に入るのは、なんらかの心理的な要因も大きいのではないかとの診方もあった。
コバが私のいないときに発情期となり苦しんでいる。
「コバ……」
自室の部屋のドアをゆっくりと開けた。甘い匂いが空間中に広がっていてクラリと一瞬立ち眩みそうになる。
彼がどこにいるのか目で探していると、ベッド上でシーツの塊がもそりと動いた。
私はベッドに腰掛けてシーツの塊に触れた。ゆっくりとシーツを捲ると、何かに抱き着きながら裸で丸まって眠っているコバがいた。
「コバ、独りで苦しかったね……ん?」
彼が抱きしめているものはなんだ? 服?
やけに薄汚れている服だ……。
それに目を向けて——驚いた。
コバが抱きしめていた服は全体的に酷く汚れていた。深緑色の生地は所々黒ずんでいて、傷んでいる。その汚い服をコバは大事そうに抱きしめていた。
ごくりと息を飲んだ。
———私の服じゃないか……。
ルムダンの山で怪我を負った私は服を着せ替えてもらった。私の服は確か洗ってくると言っていた。そして私はコバの小さい服を身体に巻き付けられていた。
その服をまだ持っていたのか。
王宮に来た時、彼は手提げ鞄を一つしか持っていなかった。その少ない荷物の中にこの服が入っていた?
私の服を持って一人踏ん張っているコバを想像して、胸が苦しくなる。彼はそんなこと一言も言わない。
「———ケイ……」
コバの声がてっきり自分を呼んだのだと彼を見ると、まだ目を瞑ったままだ。
どんな夢を見ているのか、彼の表情は眉間にシワを寄せて苦しそうだ。
そのコバを見ているのはあまりに胸が苦しくて、眠っている彼の横に横たわった。そっとゆっくりと彼の背中を撫でる。すると、コバの口がもう一度、ケイ……と呼んだ。
いつも笑って飄々としているけれど、本当は淋しかったのだろうか。それを隠していた?
自分が思っている以上に彼は私を愛していることに気がついてしまった。
「ん……」
コバが私に近づける。胸元の匂いを嗅いでスンスンと鼻を動かしている。
私の匂いに気づいたのか?
でもコバは疲れているのか、私の胸に顔を寄せながら目を閉じている。
「……」
暫くそのまま、背中を擦っていると、コバの膝頭を擦り合わせ、モゾモゾと身体を揺らし始める。
彼はスンスンと私の匂いを嗅ぎながらゆっくりと自分の後ろに手を回した。自らの指を後孔に挿入しグチュッと濡れた音が聞こえ始めた。
「ぅ、ん……んぁあ……」
彼は前の発情期では性器を擦るだけの自慰だった。本当に何も知らない様子。
それが今は、指を後孔に抜き差ししている。
後孔への快感を覚えさせたのは自分であること、そして自分の匂いを嗅ぐと自慰をする番の姿に背筋にゾクゾクと快楽が走り身体が熱くなる。
濡れた音にコバへの飢えが増して喉が渇く。
ぬちゅぬちゅと濡れた音のする蕾に指を添えた。そして、コバが指を弄っているそこに自分の指を一本挿入した。
「あっ、うんっ!」
急に後孔に入る指が増したので彼の身体はビクリと震えたが、彼はまだ目を閉じたままだ。
彼の中は熱く潤っている。前立腺を優しく押していると、コバのペニスがピョコンと跳ねた。愛らしいペニスを手で優しく包みながら扱いてあげる。
「ん、ぁあ……、あっ、ケイ……」
彼が可愛らしく、自分の名ばかりを呼んでいる。愛おしさが身体中を駆け巡る。
コバは、私の胸元に唇を当てると、ちゅう……と吸い始めた。
きゅうっと指を咥えている孔が締め付けられると、彼は私の足に射精していた。
「はぁはぁはぁ……ぁあ?」
コバが私の胸から口を離して私の方を見る。導かれるようにその唇に軽くキスを落とした。
「ふぁ……ケイ、ネス……?」
「ん、ただいま。帰って来たよ」
目線は合うが、まだ夢の中にいるかのような表情だ。どこかうっとりとしながら、ぎゅうっと私を抱きしめた。
「ケイネスだぁ……」
「……っ」
私の名を呼ぶ彼は嬉しそうに微笑み、スリッと頭を胸に擦りつけてくる。
色香と甘えるその様子に悶絶してしまう。
「ケイネス、嬉しい。……いっぱい好き」
「!!!!!」
コバ……!?!?
そんなこと滅多に言わないのに、いっぱい好き? なんだ、その言い方は。急にそんなえげつない可愛さで告白されては抱き潰されても仕方ないのだぞ。
「好き……あっ!! んぁあああ!」
あまりの可愛さに後孔に挿入していた指をグリィと力を入れて押してしまった。宥めるように腰を撫でると、ひく、ひくと指を咥える蕾の動きに強請られているように感じる。
彼の小さい口を食べるように口付ける。
我慢できず、焦るように自分の衣服を脱ぎ彼の後孔にペニスを押し付ける。少し押し付けただけで先端がクプッと挿いってしまう。
「あっ、うんんんんっ、ん、ケイ……」
コバが抱きしめ返してきたのを合図に奥まで一気に挿入する。彼の悲鳴は私の口の中だ。激しい快楽に包まれながら、彼の唇から離れて様子を見た。
小刻みに震えて挿入しただけでイっている。快感に蕩けた表情でゆっくりと私を見た。
「あ……き、もち……いい」
「……もっと欲しい?」
「ん」
コクと素直に頷いて、彼の足が私の腰に巻き付いた。
彼は発情期で訳が分からなくなっているのだろう。私も彼の色香に充てられて発情期に入りそうだ。
「ケイネス、もっと」
「勿論だ、私は君のモノだからもっと沢山強請って」
彼に求められ心の奥から満たされる。こんな隙間なく満たすことが出来る存在はコバ以外存在しない。
健気な性格も頑張り屋なところも優しいところも、身体も髪の毛一本すら自分を魅了して止まない。
とびっきり甘えさせたくて、彼の身体を優しく抱きしめながら強く中を突き上げた。
その後、丸一日ベッドの中にいて、彼の中を蹂躙した。
離れがたくて、抜いても抜かなくともずっと彼を抱きしめていた。
次の日の朝、発情期でうっとりとしていた表情とは変わって、しっかりと目が合った。
恥ずかしそうにしている姿はいつものコバだ。もうベッドから離れてしまうだろうと思ったけれど、身体が痛いのか私の傍から離れない。
彼の腰を擦っていると、コバが呟いた。
「……甘えるの下手でごめん」
「……」
不器用な甘え方をするコバに心臓が痛くなる。心底離れがたくなってしまう気がする。
愛らしい我が番は、簡単に溺愛させてくれない。
「コバ、もっと」
「もう……む、り」
「そんなことを言わず」
公務中はコバを愛でることを我慢している。その分、共に過ごす夜になれば離したくないと思うのは番として当然だと思う。
コバは王妃として未熟な点も多いけれど、精一杯学び吸収している。彼が苦手な言葉使いも来客などの際には使い分けが出来るようになった。
日中は街に出て社会貢献活動にも積極的だ。というかそっちの活動の方がコバは楽しいのだろう。文をしたため、王宮内でじっとしていることは苦手そうだ。
毎日、王妃として頑張っているコバに対して文句は言いようがない。彼の世界が広がっていくことも応援したい。けれど、私はもっとコバとの時間を確保したい……
「いや、充分くっついていると思うけどな?」
「足りない!」
「今、アンタの膝の上に座らされているけど……」
情事を終え風呂で身体を清めた後、ベッドで私の膝の上に彼を下ろした。二人っきりの夜なのだから当然だ。
たまには、もっと一緒にいたい、まだ傍にいて……などと彼の方からごねられてみたい。
公務で数日王宮を離れようとも、彼にそんな風に求められたことがない。私に対してサッパリとしている。
「明日は一日、部屋から出ずにこうしていようか」
結婚してからというもの、丸ごと一日二人っきりで過ごした日はない。たまにはいいだろう。
「いや、明日も勉強あるし。ケイネスも沢山することあるだろう?」
「一日くらいどうとでもなるよ。コバだって私との時間が足りないと思わないかい? 私達は愛し合っているのに」
「毎日夜には一緒に寝ているじゃん。まぁ、俺の方が早寝だけど」
そう、コバは早寝だ。すやすやと眠る寝顔を見るのも可愛くて楽しいけれど。いや、そういうことじゃなくてもっとこう何もせずとも一緒にいたい。それを伝えると、コバがジロッとこちらを見る。
「一緒にいて何もしないなんてことあるのか? 少なくとも今まではないぞ?」
確かに、コバと身体を密着させていれば、彼から香る甘い匂いで欲情必須だ。
「それは、ごもっともだけど。私が言いたいのはもっと二人の時間を……」
言いかけていると、コバがふわぁっと欠伸をした。……酷くないか。いや、疲れさせたのは私なので文句は言えないが。
「ケイネス、眠い」
もう寝ようと、コバが私の首に腕を巻きつけて寝ようと誘う。底なしの性欲はコバから抱き着かれただけでギュンッと再び熱を持つ。
密着しているコバには伝わっているはずだが、眠気の方が強いのかそのまま目を閉じて眠ってしまった。
◇
「はぁ~~」
馬車の中で深い溜息をついた。近隣国に招かれて、二週間も王宮を離れていたのだ。
王妃であるコバには留守を任せている。信頼できる部下を置いているし、何よりコバは人徳があり、人に好かれる。この溜息の連発は、私のいない王宮が心配なのではなく、単に淋しいからだ。
王宮を出る前日のことだ。たっぷりと抱いたのに、朝になって目覚めれば全然足りなくて、準備を始める直前まで口づけていた。
益々離れがたいと思っていると、「早く行きなよ」との一言。
求めているのは、私だけだと思うと無償に淋しいが文句も言えない。
困り顔の彼に見送られて王宮を離れた。
この二週間、コバやライの様子が気がかりで仕方がなかった。
ライがようやく私といる空間にも慣れてくれた矢先であるし、再び“獣人見知り”状態となり警戒されるのではないか。
コバはあの様子だから、私が不在の間もきっと飄々としているだろう。「よぉ、おかえり。元気だった?」と軽い感じで言ってくるに違いない。
……どんな彼の様子でもいい。早く帰って彼を抱きしめて彼の匂いを思いっきり嗅ぎたい。脳髄まで香るようなあの甘い匂いに満たされたい。
王宮までの帰路の中、コバへ思いをはせる。
ようやく帰ってくると、真っ先に迎えてくれるはずのコバの姿が見えず、きょろきょろと周りを見た。
召使いに抱きかかえられるライの姿。コバがいないのは何故だ、何か悪いことがと一瞬血の気が下がった。
「ケイネス様、コバ様のことで」
出迎えたアトレが、小声で報告した。その報告を聞いた私は、ライに挨拶だけ済ませ急いで私達の部屋に向かう。
————コバが発情期。
先程、アトレはコバが再び発情期に入ったと報告をくれた。コバの発情期は全く定まっていない。以前一度あったが、それ以降は全くなかった。コバは先祖返りで通常は発情期がない。その彼が発情期に入るのは、なんらかの心理的な要因も大きいのではないかとの診方もあった。
コバが私のいないときに発情期となり苦しんでいる。
「コバ……」
自室の部屋のドアをゆっくりと開けた。甘い匂いが空間中に広がっていてクラリと一瞬立ち眩みそうになる。
彼がどこにいるのか目で探していると、ベッド上でシーツの塊がもそりと動いた。
私はベッドに腰掛けてシーツの塊に触れた。ゆっくりとシーツを捲ると、何かに抱き着きながら裸で丸まって眠っているコバがいた。
「コバ、独りで苦しかったね……ん?」
彼が抱きしめているものはなんだ? 服?
やけに薄汚れている服だ……。
それに目を向けて——驚いた。
コバが抱きしめていた服は全体的に酷く汚れていた。深緑色の生地は所々黒ずんでいて、傷んでいる。その汚い服をコバは大事そうに抱きしめていた。
ごくりと息を飲んだ。
———私の服じゃないか……。
ルムダンの山で怪我を負った私は服を着せ替えてもらった。私の服は確か洗ってくると言っていた。そして私はコバの小さい服を身体に巻き付けられていた。
その服をまだ持っていたのか。
王宮に来た時、彼は手提げ鞄を一つしか持っていなかった。その少ない荷物の中にこの服が入っていた?
私の服を持って一人踏ん張っているコバを想像して、胸が苦しくなる。彼はそんなこと一言も言わない。
「———ケイ……」
コバの声がてっきり自分を呼んだのだと彼を見ると、まだ目を瞑ったままだ。
どんな夢を見ているのか、彼の表情は眉間にシワを寄せて苦しそうだ。
そのコバを見ているのはあまりに胸が苦しくて、眠っている彼の横に横たわった。そっとゆっくりと彼の背中を撫でる。すると、コバの口がもう一度、ケイ……と呼んだ。
いつも笑って飄々としているけれど、本当は淋しかったのだろうか。それを隠していた?
自分が思っている以上に彼は私を愛していることに気がついてしまった。
「ん……」
コバが私に近づける。胸元の匂いを嗅いでスンスンと鼻を動かしている。
私の匂いに気づいたのか?
でもコバは疲れているのか、私の胸に顔を寄せながら目を閉じている。
「……」
暫くそのまま、背中を擦っていると、コバの膝頭を擦り合わせ、モゾモゾと身体を揺らし始める。
彼はスンスンと私の匂いを嗅ぎながらゆっくりと自分の後ろに手を回した。自らの指を後孔に挿入しグチュッと濡れた音が聞こえ始めた。
「ぅ、ん……んぁあ……」
彼は前の発情期では性器を擦るだけの自慰だった。本当に何も知らない様子。
それが今は、指を後孔に抜き差ししている。
後孔への快感を覚えさせたのは自分であること、そして自分の匂いを嗅ぐと自慰をする番の姿に背筋にゾクゾクと快楽が走り身体が熱くなる。
濡れた音にコバへの飢えが増して喉が渇く。
ぬちゅぬちゅと濡れた音のする蕾に指を添えた。そして、コバが指を弄っているそこに自分の指を一本挿入した。
「あっ、うんっ!」
急に後孔に入る指が増したので彼の身体はビクリと震えたが、彼はまだ目を閉じたままだ。
彼の中は熱く潤っている。前立腺を優しく押していると、コバのペニスがピョコンと跳ねた。愛らしいペニスを手で優しく包みながら扱いてあげる。
「ん、ぁあ……、あっ、ケイ……」
彼が可愛らしく、自分の名ばかりを呼んでいる。愛おしさが身体中を駆け巡る。
コバは、私の胸元に唇を当てると、ちゅう……と吸い始めた。
きゅうっと指を咥えている孔が締め付けられると、彼は私の足に射精していた。
「はぁはぁはぁ……ぁあ?」
コバが私の胸から口を離して私の方を見る。導かれるようにその唇に軽くキスを落とした。
「ふぁ……ケイ、ネス……?」
「ん、ただいま。帰って来たよ」
目線は合うが、まだ夢の中にいるかのような表情だ。どこかうっとりとしながら、ぎゅうっと私を抱きしめた。
「ケイネスだぁ……」
「……っ」
私の名を呼ぶ彼は嬉しそうに微笑み、スリッと頭を胸に擦りつけてくる。
色香と甘えるその様子に悶絶してしまう。
「ケイネス、嬉しい。……いっぱい好き」
「!!!!!」
コバ……!?!?
そんなこと滅多に言わないのに、いっぱい好き? なんだ、その言い方は。急にそんなえげつない可愛さで告白されては抱き潰されても仕方ないのだぞ。
「好き……あっ!! んぁあああ!」
あまりの可愛さに後孔に挿入していた指をグリィと力を入れて押してしまった。宥めるように腰を撫でると、ひく、ひくと指を咥える蕾の動きに強請られているように感じる。
彼の小さい口を食べるように口付ける。
我慢できず、焦るように自分の衣服を脱ぎ彼の後孔にペニスを押し付ける。少し押し付けただけで先端がクプッと挿いってしまう。
「あっ、うんんんんっ、ん、ケイ……」
コバが抱きしめ返してきたのを合図に奥まで一気に挿入する。彼の悲鳴は私の口の中だ。激しい快楽に包まれながら、彼の唇から離れて様子を見た。
小刻みに震えて挿入しただけでイっている。快感に蕩けた表情でゆっくりと私を見た。
「あ……き、もち……いい」
「……もっと欲しい?」
「ん」
コクと素直に頷いて、彼の足が私の腰に巻き付いた。
彼は発情期で訳が分からなくなっているのだろう。私も彼の色香に充てられて発情期に入りそうだ。
「ケイネス、もっと」
「勿論だ、私は君のモノだからもっと沢山強請って」
彼に求められ心の奥から満たされる。こんな隙間なく満たすことが出来る存在はコバ以外存在しない。
健気な性格も頑張り屋なところも優しいところも、身体も髪の毛一本すら自分を魅了して止まない。
とびっきり甘えさせたくて、彼の身体を優しく抱きしめながら強く中を突き上げた。
その後、丸一日ベッドの中にいて、彼の中を蹂躙した。
離れがたくて、抜いても抜かなくともずっと彼を抱きしめていた。
次の日の朝、発情期でうっとりとしていた表情とは変わって、しっかりと目が合った。
恥ずかしそうにしている姿はいつものコバだ。もうベッドから離れてしまうだろうと思ったけれど、身体が痛いのか私の傍から離れない。
彼の腰を擦っていると、コバが呟いた。
「……甘えるの下手でごめん」
「……」
不器用な甘え方をするコバに心臓が痛くなる。心底離れがたくなってしまう気がする。
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