13 / 35
スビラ王国へ
しおりを挟む
「コバちゃん、本当に行くのかい?」
ルイーダの店に戻って来た俺は、彼女にここを出て行くことを伝えた。荷物が少ない俺の身支度は、時間がかからなかった。
「突然、ごめんなさい」
「こんなにお別れが早いなんてねぇ……」
ルイーダは店前で待機する兵士と俺を見て、不安そうに視線を下げた。彼女の顔を見ると込み上げるものがある。この気持ちはなんだろうか。言葉では言い表せないような感情だ。
一年と少しだけ。俺は彼女のことが大好きになっていた。
育児のことを何も知らない俺に、彼女は沢山教えてくれた。ミルクの与え方、おしめのかえ方。
ライにとっても本当のおばあちゃんは彼女だろう。大きな感謝の気持ちを彼女にどう返していいのかコバには分からなかった。
「ルイーダさん、また会いに来てもいいかな? その時は今までのお礼にお金を沢山渡せるといいな」
すると、下を向いていたルイーダの目からポロポロと涙が流れた。彼女には二年間だけと伝えていた。いつかくる別れがこんなに早いとはお互い思っていなかった。
「いいんだよぉ。金なんて自分で稼ぐんだから。コバちゃんは自分を大事にするんだよ!」
そんな彼女に胸いっぱいになり俺は抱きしめた。
「ルイーダさん。出会った時から優しくしてくれて、数えきれないくらいありがとうって思ってた。世界一素敵な人だ」
「コバちゃん、いつでもおいで。ルイーダ特製の焼き菓子をご馳走するから」
「へへ。嬉しいな。大好き」
暫く互いに抱きしめ合った後、身体を離すと、その時にはルイーダは涙を止めて笑っていた。「ほほほ。照れるわ」と。
その素敵な笑顔に感謝して、コバも笑顔を返した。
そうして、港町を後にしてスビラ王国に向かった。
モロ国からスビラ王国に続く道は平地が続いている。
馬車の客車は広く、俺、ライ、虎獣人のサハン、スーリャの四人が座っていた。
スビラ王国に着くまで馬車で1週間かかるとされる。その間、サハンがこれまでの事、王国の事を詳しく説明をした。
サハンは俺が獣人としての当たり前の知識を持っていないことを知り、獣人のことも教えてくれた。
獣人とは、動物・人間の特徴を持ち合わせている。
その特性により、力の強さは大なり小なりあるものの、人間よりも強い力を持つ。そんな獣人だが弱点もある。出生率が低いことだ。
獣人の妊娠率は高くない。さらにその種族との相性などでも出生確率が変わる。
ルムダン国の山で出会った傷だらけの獣人がスビラ王国の王様。ケイネス・アウグスト。彼は一足先に王国に戻った。
コバは、噂の王の探し人は自分だとは思いもしなかった。王に見つかって微塵も嬉しくはない。
そんなコバを知る由もないサハンは話を続けた。ケイネス王は、今まで相性の合う個体に恵まれなかったそうだ。コバとケイネスは相性がよい“運命の番”と呼ばれる存在らしい。
それを聞き、コバはなるほどと腑に落ちた。
だから、俺を探したんだ。妊娠確率が高くて子供を産める身体だから。
「先にスビラ王国に戻った王も二人のことをそれは大事にしたいと申されております」
「そう」
コバの横でサハンから守るように威嚇するライの頭を撫でた。
全ての話を静かに聞いた。否定はせず受け流した。でも、俺にとって、ここは敵の中だ。
もし、モロ国の港町で、ライと二人で逃げれたならば周りの住人に迷惑がかかっただろう。
この部隊が住人に何をするか分からない。噂ではスビラ王国には秩序があり野蛮さはないと聞く。だが、大国の精鋭部隊だ。いくらでも俺を困らせる手を使えるだろう。そう思い静かに従っただけ。
スビラ王国に着く前に逃げ出したいと思って何度か周囲を確認するが、俺の周りにはいつもびっしりと兵士が張り付いていた。
それに、サハンの横に座るスーリャの存在だ。
スーリャはスビラ王国に雇われ、俺を探していた。それが、俺の為になるとスーリャは思ったそうだ。スーリャが何故ここにいるのか分かったし、彼が自分の安否を心配してくれたことは嬉しく感じる。
「コバ。俺……、余計なことしちゃったんじゃないかって」
強気のスーリャもコバに対しては弱気になるため、俺は何とも言えない表情になる。
スーリャが人質に取られたら身動きがとれない。かと言って、流石にスーリャを連れていけるわけもない。
スラム街の汚いことばかりの世界で、自分に言い聞かせたことが何度もあった。それは好きなモノを大事にすること。
何にも持っていないから、単にそれだけを守った。だから、好きなスーリャを大事にするし、モロ国の住人にも迷惑をかけたくない。
小さい頃に絶対に破らないと決心したことを今も続けている。
「スーリャ、ありがとう」
「……うん」
逃亡するにしてもスビラ王国へ着いてからだ。情報を集めてからだとタイミングを見計うことにした。
馬車での移動が7日目、道中レンガ調の家が多かったが、白い壁の街並みに変わっていく。
「コバ様、スビラ王国の領土に入りました」
「え、もう?」
思っていたより早く感じた。平地が続いたこと、それと馬車がとてもいい乗り物だったからだ。
俺が長年知る馬車の形状は、馬が一頭で荷車部分の車輪が2つだ。
それに対して、今、乗っている馬車には客車部分に車輪が4つあり揺れが少ない上、しっかりとした革製の座席。
サハンが俺を気遣って休憩を挟んでくるが、こんなに楽な移動はなかった。
横でスーリャが笑う。
「どこからがスビラ王国なのか、俺もまだ分からねぇんだよな」
「うん……」
国の境目には壁も何もなかった。それはモロ国とスビラ王国が自由に行き来できることを意味している。大国と隣接しているのに侵略されず互いの国の関係を維持できることは良い政治が行われている証拠だ。
さらに馬車を走らせること数刻。商売人と思われる荷馬車の数が増えていく。その荷馬車の中、どんどん街へと進んで行く。
「お、見えて来たぜ!! スビラ王国の第一都市、フルゴルだ!」
スーリャが指をさし、俺も馬車から身を乗り出した。白い壁、街並みの人や物の多さ、賑わいに息を飲んだ。
「すげぇ……」
「だろ!? ルムダンがどれほど田舎の小さな国なのか分かるよな!!」
「あぁ」
俺は初めてみる大都市にきょろきょろと周りを見渡した。ライも俺の腕の中で興味津々になっている。
獣人、人間、売られている物、香辛料の匂い、多種多様な物が揃っていて新鮮で面白い。
「……これだけ色んな人や物が揃って、よく争いごとが起きないもんだ」
「そりゃ、お役人が怖いからだろ!」
「いいえ。それだけありません。流石番様です。目の付け所がいい」
俺とスーリャの会話にサハンが割り込んでいた。
サハンは馬車を御する従者に指示を出した。すると方向転換をし別の場所に移動し始める。
「おい、サハン! 王宮はそっちじゃないだろうが! 変な場所連れて行ったら許さねぇぞ!」
「別に王宮行かなくてもいいけどな。で、どこ行くんだ?」
サハンが連れて来た場所は賑やかな街から一転し静寂な住宅街だった。スーリャがサハンに文句を言っている中、俺はその住宅街をよく観察した。
住んでいる者は、老人ばかり。成人も稀にいるが子連れだ。住居は小さく裕福な暮らしとは言えない。その様子を見て、ハッとした。
「これが、難民の受け入れ住居か」
「えぇ、そうです」
俺は、サハンを見た。俺はいずれスビラ王国のここに入居予定だった。どういうつもりでサハンは自分にこれを見せたのだろう。
「コバ様、ようこそ。スビラ王国へ」
ニヤリとサハンは笑った。
このサハンは何か自分の反応を確かめようとしているように感じ、口を閉じた。
なんだ? コイツ……。なんで、俺にここを見せる?
そう思っていると再び賑やかな中心部に戻った。そして目の前に大きな門、大きな王宮が見えた。
ギュウッとライを抱きしめた。見たこともない大きな建物に緊張が走る。門番が馬車に頭を下げると門が開いた。
ルイーダの店に戻って来た俺は、彼女にここを出て行くことを伝えた。荷物が少ない俺の身支度は、時間がかからなかった。
「突然、ごめんなさい」
「こんなにお別れが早いなんてねぇ……」
ルイーダは店前で待機する兵士と俺を見て、不安そうに視線を下げた。彼女の顔を見ると込み上げるものがある。この気持ちはなんだろうか。言葉では言い表せないような感情だ。
一年と少しだけ。俺は彼女のことが大好きになっていた。
育児のことを何も知らない俺に、彼女は沢山教えてくれた。ミルクの与え方、おしめのかえ方。
ライにとっても本当のおばあちゃんは彼女だろう。大きな感謝の気持ちを彼女にどう返していいのかコバには分からなかった。
「ルイーダさん、また会いに来てもいいかな? その時は今までのお礼にお金を沢山渡せるといいな」
すると、下を向いていたルイーダの目からポロポロと涙が流れた。彼女には二年間だけと伝えていた。いつかくる別れがこんなに早いとはお互い思っていなかった。
「いいんだよぉ。金なんて自分で稼ぐんだから。コバちゃんは自分を大事にするんだよ!」
そんな彼女に胸いっぱいになり俺は抱きしめた。
「ルイーダさん。出会った時から優しくしてくれて、数えきれないくらいありがとうって思ってた。世界一素敵な人だ」
「コバちゃん、いつでもおいで。ルイーダ特製の焼き菓子をご馳走するから」
「へへ。嬉しいな。大好き」
暫く互いに抱きしめ合った後、身体を離すと、その時にはルイーダは涙を止めて笑っていた。「ほほほ。照れるわ」と。
その素敵な笑顔に感謝して、コバも笑顔を返した。
そうして、港町を後にしてスビラ王国に向かった。
モロ国からスビラ王国に続く道は平地が続いている。
馬車の客車は広く、俺、ライ、虎獣人のサハン、スーリャの四人が座っていた。
スビラ王国に着くまで馬車で1週間かかるとされる。その間、サハンがこれまでの事、王国の事を詳しく説明をした。
サハンは俺が獣人としての当たり前の知識を持っていないことを知り、獣人のことも教えてくれた。
獣人とは、動物・人間の特徴を持ち合わせている。
その特性により、力の強さは大なり小なりあるものの、人間よりも強い力を持つ。そんな獣人だが弱点もある。出生率が低いことだ。
獣人の妊娠率は高くない。さらにその種族との相性などでも出生確率が変わる。
ルムダン国の山で出会った傷だらけの獣人がスビラ王国の王様。ケイネス・アウグスト。彼は一足先に王国に戻った。
コバは、噂の王の探し人は自分だとは思いもしなかった。王に見つかって微塵も嬉しくはない。
そんなコバを知る由もないサハンは話を続けた。ケイネス王は、今まで相性の合う個体に恵まれなかったそうだ。コバとケイネスは相性がよい“運命の番”と呼ばれる存在らしい。
それを聞き、コバはなるほどと腑に落ちた。
だから、俺を探したんだ。妊娠確率が高くて子供を産める身体だから。
「先にスビラ王国に戻った王も二人のことをそれは大事にしたいと申されております」
「そう」
コバの横でサハンから守るように威嚇するライの頭を撫でた。
全ての話を静かに聞いた。否定はせず受け流した。でも、俺にとって、ここは敵の中だ。
もし、モロ国の港町で、ライと二人で逃げれたならば周りの住人に迷惑がかかっただろう。
この部隊が住人に何をするか分からない。噂ではスビラ王国には秩序があり野蛮さはないと聞く。だが、大国の精鋭部隊だ。いくらでも俺を困らせる手を使えるだろう。そう思い静かに従っただけ。
スビラ王国に着く前に逃げ出したいと思って何度か周囲を確認するが、俺の周りにはいつもびっしりと兵士が張り付いていた。
それに、サハンの横に座るスーリャの存在だ。
スーリャはスビラ王国に雇われ、俺を探していた。それが、俺の為になるとスーリャは思ったそうだ。スーリャが何故ここにいるのか分かったし、彼が自分の安否を心配してくれたことは嬉しく感じる。
「コバ。俺……、余計なことしちゃったんじゃないかって」
強気のスーリャもコバに対しては弱気になるため、俺は何とも言えない表情になる。
スーリャが人質に取られたら身動きがとれない。かと言って、流石にスーリャを連れていけるわけもない。
スラム街の汚いことばかりの世界で、自分に言い聞かせたことが何度もあった。それは好きなモノを大事にすること。
何にも持っていないから、単にそれだけを守った。だから、好きなスーリャを大事にするし、モロ国の住人にも迷惑をかけたくない。
小さい頃に絶対に破らないと決心したことを今も続けている。
「スーリャ、ありがとう」
「……うん」
逃亡するにしてもスビラ王国へ着いてからだ。情報を集めてからだとタイミングを見計うことにした。
馬車での移動が7日目、道中レンガ調の家が多かったが、白い壁の街並みに変わっていく。
「コバ様、スビラ王国の領土に入りました」
「え、もう?」
思っていたより早く感じた。平地が続いたこと、それと馬車がとてもいい乗り物だったからだ。
俺が長年知る馬車の形状は、馬が一頭で荷車部分の車輪が2つだ。
それに対して、今、乗っている馬車には客車部分に車輪が4つあり揺れが少ない上、しっかりとした革製の座席。
サハンが俺を気遣って休憩を挟んでくるが、こんなに楽な移動はなかった。
横でスーリャが笑う。
「どこからがスビラ王国なのか、俺もまだ分からねぇんだよな」
「うん……」
国の境目には壁も何もなかった。それはモロ国とスビラ王国が自由に行き来できることを意味している。大国と隣接しているのに侵略されず互いの国の関係を維持できることは良い政治が行われている証拠だ。
さらに馬車を走らせること数刻。商売人と思われる荷馬車の数が増えていく。その荷馬車の中、どんどん街へと進んで行く。
「お、見えて来たぜ!! スビラ王国の第一都市、フルゴルだ!」
スーリャが指をさし、俺も馬車から身を乗り出した。白い壁、街並みの人や物の多さ、賑わいに息を飲んだ。
「すげぇ……」
「だろ!? ルムダンがどれほど田舎の小さな国なのか分かるよな!!」
「あぁ」
俺は初めてみる大都市にきょろきょろと周りを見渡した。ライも俺の腕の中で興味津々になっている。
獣人、人間、売られている物、香辛料の匂い、多種多様な物が揃っていて新鮮で面白い。
「……これだけ色んな人や物が揃って、よく争いごとが起きないもんだ」
「そりゃ、お役人が怖いからだろ!」
「いいえ。それだけありません。流石番様です。目の付け所がいい」
俺とスーリャの会話にサハンが割り込んでいた。
サハンは馬車を御する従者に指示を出した。すると方向転換をし別の場所に移動し始める。
「おい、サハン! 王宮はそっちじゃないだろうが! 変な場所連れて行ったら許さねぇぞ!」
「別に王宮行かなくてもいいけどな。で、どこ行くんだ?」
サハンが連れて来た場所は賑やかな街から一転し静寂な住宅街だった。スーリャがサハンに文句を言っている中、俺はその住宅街をよく観察した。
住んでいる者は、老人ばかり。成人も稀にいるが子連れだ。住居は小さく裕福な暮らしとは言えない。その様子を見て、ハッとした。
「これが、難民の受け入れ住居か」
「えぇ、そうです」
俺は、サハンを見た。俺はいずれスビラ王国のここに入居予定だった。どういうつもりでサハンは自分にこれを見せたのだろう。
「コバ様、ようこそ。スビラ王国へ」
ニヤリとサハンは笑った。
このサハンは何か自分の反応を確かめようとしているように感じ、口を閉じた。
なんだ? コイツ……。なんで、俺にここを見せる?
そう思っていると再び賑やかな中心部に戻った。そして目の前に大きな門、大きな王宮が見えた。
ギュウッとライを抱きしめた。見たこともない大きな建物に緊張が走る。門番が馬車に頭を下げると門が開いた。
37
お気に入りに追加
1,973
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
獣人公爵のエスコート
ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。
将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。
軽いすれ違いです。
書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私の番には飼い主がいる
堀 和三盆
恋愛
獣人には番と呼ばれる、生まれながらに決められた伴侶がどこかにいる。番が番に持つ愛情は深く、出会ったが最後その相手しか愛せない。
私――猫獣人のフルールも幼馴染で同じ猫獣人であるヴァイスが番であることになんとなく気が付いていた。精神と体の成長と共に、少しずつお互いの番としての自覚が芽生え、信頼関係と愛情を同時に育てていくことが出来る幼馴染の番は理想的だと言われている。お互いがお互いだけを愛しながら、選択を間違えることなく人生の多くを共に過ごせるのだから。
だから、わたしもツイていると、幸せになれると思っていた。しかし――全てにおいて『番』が優先される獣人社会。その中で唯一その序列を崩す例外がある。
『飼い主』の存在だ。
獣の本性か、人間としての理性か。獣人は受けた恩を忘れない。特に命を助けられたりすると、恩を返そうと相手に忠誠を尽くす。まるで、騎士が主に剣を捧げるように。命を助けられた獣人は飼い主に忠誠を尽くすのだ。
この世界においての飼い主は番の存在を脅かすことはない。ただし――。ごく稀に前世の記憶を持って産まれてくる獣人がいる。そして、アチラでは飼い主が庇護下にある獣の『番』を選ぶ権限があるのだそうだ。
例え生まれ変わっても。飼い主に忠誠を誓った獣人は飼い主に許可をされないと番えない。
そう。私の番は前世持ち。
そして。
―――『私の番には飼い主がいる』
大好きだけど、結婚はできません!〜強面彼氏に強引に溺愛されて、困っています〜
楠結衣
恋愛
冷たい川に落ちてしまったリス獣人のミーナは、薄れゆく意識の中、水中を飛ぶような速さで泳いできた一人の青年に助け出される。
ミーナを助けてくれた鍛冶屋のリュークは、鋭く睨むワイルドな人で。思わず身をすくませたけど、見た目と違って優しいリュークに次第に心惹かれていく。
さらに結婚を前提の告白をされてしまうのだけど、リュークの夢は故郷で鍛冶屋をひらくことだと告げられて。
(リュークのことは好きだけど、彼が住むのは北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまう私には無理!)
と断ったのに、なぜか諦めないリュークと期限付きでお試しの恋人に?!
「泊まっていい?」
「今日、泊まってけ」
「俺の故郷で結婚してほしい!」
あまく溺愛してくるリュークに、ミーナの好きの気持ちは加速していく。
やっぱり、氷の国に一緒に行きたい!寒さに慣れると決意したミーナはある行動に出る……。
ミーナの一途な想いの行方は?二人の恋の結末は?!
健気でかわいいリス獣人と、見た目が怖いのに甘々なペンギン獣人の恋物語。
一途で溺愛なハッピーエンドストーリーです。
*小説家になろう様でも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる