獣人王の想い焦がれるツガイ

モト

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発散※

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 「うぅう……でか、い」

 なんで、これが自分の中に収まると思ったんだろう。ギチギチに拡がって、もうこれ以上動ける気がしない。

 無理に腰を進めたら尻が切れてしまいそうで怖い。
 フーフーと息を吐いて力を抜こうとするが上手くいかない。すると、獣人がコバの腕を引っ張った。思わず傷だらけの彼の身体にダイブするところを腕で突っ伏して耐えた。

「アンタ、大丈夫かっ……」
「はぁーっ、はぁーっ……」

 獣人が汗だくで興奮しているのが目に見える。傷が痛いのも気にならないほど興奮しているようだ。

 繋がっている箇所が先ほどからドクドクと脈打っているのを感じる。もう少し尻を下に落とさないと獣人が気持ちよくなれないだろう。

「ご、ごめん……。馴染むまで待って」

 獣人は眉間にシワを寄せて堪えながら、俺の顔にスリっと顔を寄せてくる。
 唇を合わせたいのだろうか。
 そう思い、ゆっくりと彼の唇を合わせる。

「……ふ」

 カサついた唇。なのにこれがくっつくととても気持ちがよくなる。
 獣人はペロリと俺の唇を舐めてゆっくりと口腔内に舌を差し出してくる。その舌を受け入れ舌を絡める。熱くてぬるりと柔らかくて、心地よさが口の中に広がる。

「んふぅ、はぁ、ぁ」

 そうしていると、身体の力が抜けていくのを感じる。

 彼の大きな性器を受け入れられるような気がして、コバは獣人の性器を片手で掴んで少し腰を下ろした。
 挿いる。……さっきより拡がる。

「うぅ……ん、はぁあんっ……んんっ!」

 ぴっちり隙間なく満たされていく。一番太い所を自分の中に収めると、また動けなくなった。

 頭ン中、チカチカする。あぁ~……、なんっだ、これぇ。

「んぅ~~~……、はぁはぁはぁ……???」

 うぅ、うぅっと彼の性器を尻に埋め込みながら唸る。

 通常感じることのない尻の内部が、彼の太い性器を含んでビクビクと蠕動する。俺の意志など関係なく結合部分が変な感覚がする。おかしなことにジュワジュワと内部が愛液でも出ているのかと思うほど濡れていく感覚がするのだ。
 男の内部は愛液なんて出ないはずなのに。

「ひぅっ」

 ヒクヒク内股も痙攣してくる。疼く下半身が怖くなって、彼を見た。

「……あ、ごめ……こわ、い。変だ……」
「……」
「お……、俺、お前のこと、発散してやろうと……なのに、なんで?」

 嘘じゃなかった。そう思ったのに。
 自分の下半身を見ると、性器が勃っていた。性行為をするときは萎えてしまうのに。

 獣人は困惑している俺の頬を撫で、チュッと軽めのキスを落とした。

「ん」

 何度も軽めのキスが落とされてくすぐったい。
 じゃれて遊んでいるかのようだと彼を見た。獣人は汗だくで眉間にシワを寄せていた。腰を動かしたいのを我慢しているかのようだ。

 ……落ち着くのを、待ってくれているのか?

 彼も俺の身体を気遣ってくれている気持ちが嬉しくてならなかった。

「ぁあうっ、う。はぁはぁ、動かすから……」

 決心して腰をゆっくりと浅く動かしていく。ギチギチに動けなかった内部は浅く動かす程、ゆっくり弛緩していく。グッと彼の性器が質量を増す。

「——うぁ!? っ、大きいっ! あぁあ!?」

 腹の中にいっぱい精を出された。内壁に勢いよく精液が出されている。
 獣人は胸が上下しながら俺だけを見ている。無意識に顔を寄せてしまう。

「……ん」

 互いに見つめてキスし合った。彼を中に収めたままするキスは不思議と満たされる。
 その時、獣人が腰をゆるゆると上下に動かした。

「——んっはぁ、動いちゃ、傷がっ!」
「はぁはぁ」

 突然の動きに逃げようとすると我慢できないとばかりに腰を掴まれた。猛った熱が俺を深く貫く。

「……あっ!」

 いつしか、自分も精を出していた。快感はあまりにも強くて夢中になってしまった。



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