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手当て ※
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首に獣人の牙の尖った感触が首筋に感じる。
サーッとその感触に血の気が引いた。
「ぎゃぁああっ!!」
獣人を突き飛ばした。
コイツ、俺を食おうとした!! やっぱり食うつもりなんじゃねぇかっ!!
「……っ!」
突き飛ばされた獣人は傷の痛みに唸るが、急いで俺を見て首を振った。
「首を振るんじゃねぇ! 今まさに俺のことを食べようとしただろう! 確実に急所を狙って歯を立てて来たじゃねぇか」
彼から離れて、荷物を持って洞窟から出ようとした。
「……っう……!」
うぅと呻きながら、傷ついた身体で地面を両腕をついて這いずり追いかけ
てくる。
「おい、やめろ! 折角手当してやってんのに!」
「……が、っ……ごほっ、ごほっ」
「大丈夫か!?」
必死な様子に思わず引き返して、手を貸してしまう。安静にしろと注意し、脱げてしまった服を巻きつけた。
「俺のこと食べようとしたんじゃないのか?」
ジロリと睨むと首をやっぱり横に振る。それで、俺を指さして、「……ぃ」と言っている。さっきから同じことを言っている気がする。
口の動きから見て、三文字だ。
〇〇い。
え……、なんだろう。欲しいとか? いやいや、それだと食べる気満々じゃねぇか。
しかし、獣人は俺が言っている言葉が分かるようだ。
獣人の暮らしは知らないが、彼が身に着けていた衣装、身分の高い奴が着るような上等なものだ。この獣人には学も身分もあるのではないだろうか。
「もう一度確認する、俺を食べないよな?」
コクリと獣人は首を縦に振った。
「絶対食べたら駄目だからな。俺の肌に歯を立てたら怪我人でも見捨てるから」
「……」
「分かったか?」
獣人はすぐに頷かなかった。だが、再び荷物を握りしめて怪しむ俺に慌てて首を縦に振る。
どっち……? 食べないんだよな? よく分からない。首を噛む行為は獣人による挨拶とか? いや、そんな挨拶は嫌だ。
警戒心を強めるが、獣人側から見ても俺は見ず知らずの者だということに気づき、現状を話すことにした。
「お前は山で倒れていた。通りかかった俺は、近場の洞窟に連れてきて看病をしている。お前に何かしようとは思っていない」
「……」
「いいか。俺みたいな親切な奴を食べたらバチが当たるぞ! だから食べるなよ!?」
もう一度警告した。さっき獣人の歯が首に当たった時、ゾクゾクと悪寒が身体を襲ったのだ。
獣人がしっかり頷く様子を見て、ようやく息が吐けた。
彼を見ると、額に丸い汗が噴き出ていた。頷いているが辛いのだろう。
ここには痛み止めはない。赤葉は万能薬ではあるが、最終的な治癒は彼自身の生命力にかかっている。
「おい。手を離せ。水、飲ませてやる」
「……」
獣人の頭側にまわり膝を貸す。頭を上げた状態で竹筒に入った水を飲ませてやる。
意識がない時と違って、ゴクゴクと水を飲む。手が使えるようなので、彼に竹筒ごと手渡すが、上手く飲めなくてボトリと落とした。
それを拾って再び、飲ませてやる。申し訳なさそうに視線を俺に向けた。
「気にすんな」
「……」
水を飲み干した後、家から持ってきた干し肉を彼の口に放り込んだ。彼は眉間にシワを寄せた。
干し肉は固いし噛む力がないのだろう。
「食いたくないのは分かる。だけど、今は食え」
そう言うと、獣人は数回噛んだ。一度は飲み込んだが、二度目は要らないと首を振った。
「そんな立派な歯をして食う力もないのか?」
獣人をけしかけるが、首を横に振る。
「ち、仕方ねぇな」
干し肉を口の中に入れ、そして嚙み砕いた。しっかりと口の中のモノを柔らかくしたあと、彼の唇に近づける。
「!!」
驚く獣人の口の中に噛んだ干し肉を押し込む。彼はゴクンと飲み込んだ。
それを見て、もう一度、干し肉を噛み砕いて口移しで渡す。飲み込むのを確認してもう一度。
すると、彼が俺の舌を唇で挟んだ。
「んっ!?」
干し肉だけ飲み込んで、彼の舌が俺の舌に絡んできた。
何やってんだ!? コイツ……?
獣人の舌は熱くで柔らかく、少しざらついている。意識がない時も同じように口の中に舌を入れてきた。
味わってるのか!? やっぱり俺を餌だと思っている?
「んんんっ?!」
口を離そうと思うと、獣人に舌を吸われる。ブツブツと鳥肌が立つ。
「んぁ……!? うぅ……うっ!?」
うめき声をあげると、獣人の口が離された。
至近距離で獣人と見つめ合う。熱で彼の顔が紅潮している。真っすぐな視線に心臓が痛くなる。
「何やってんだ!? 俺を食おうとするなって!?」
獣人はまた首を振った。
「本当か? 信じるぞ?」
再び頷く獣人にドキドキと動悸がしながらも、「まだ食えるか?」と聞く。獣人は頷いた。
干し肉を口に入れて噛むと彼がコバの口元に視線を向ける。
まるで、俺が干し肉を噛み砕くのを待ちわびているみたいだ。肉食動物が獲物をじっと待つようなしぐさを想像する。
だけど、獣人に見られるのは不快に思えなかった。顔が火照ってくるのを感じながら、彼の顔に近づけると唇が引っ付いてくる。
──ゾク。
前にも人助けに口移ししたことがあった。しかし、こんな風にゾクゾクすることなど一度もない。
「……変だ。お前と口引っ付けるの、……気持ちいい気がする?」
「……」
唇を引っ付いたまま、正直な気持ちを吐露する。すると、獣人の口角が上がり、ペロリと唇を舐められた。
「んっ」
意識しないようにしていた獣人の匂いが増す。嗅いだことのない匂いが脳みそを満たしていく。
彼の顔から離し、首筋の匂いを嗅いだ。
お腹の辺りがズクズクと感じたことのない重だるさが広がる。クンクンッと獣人の首筋の匂いを嗅いでしまっている。
自分の行為に気づいて恥ずかしくなって止める。
「あっ、ごめん。アンタの匂いが気になって……いや、変な匂いとかじゃなくて、いい匂い? うん。いい匂いがするんだ」
そうだ。
初めての匂いだけど、いい匂いだと思う。なんなら、もう一度彼の首筋に顔を寄せて匂いを嗅ぎたいくらいだ。
——俺、どうにかなっちゃったのか?
流石に会ったばかりの獣人にそんなことをするのはどうかと動揺する。
ブンブンと首を振って、膝枕している彼の頭を地面に降ろした。
頭を冷やさなくては、そう立ち上がろうとした時、彼に腕を掴まれて阻止された。
「……い、で」
行かないで。
今度はちゃんと彼が言っている言葉が分かった。ゾクゾクと掴まれた手から鳥肌が立つ。その感覚がおかしくて、やっぱり離れようとした時、獣人の身体の異変に目が止まった。
獣人の下半身——……。
「……」
獣人の身体には服を巻いていた。彼の雄が服を押し上げていた。大抵、熱が出れば萎えるはずなのに。
口移しで興奮したのか?
思わず、布の上から触ってしまって手を引いたが、また触れてしまった。
脈打っている。
「熱あんのに……。溜まっているのか?」
獣人の表情を見た。目元が赤いのは熱のせいだけでなく欲情しているせいでもあるようだ。触れている部分がますます腫れてくる。
「発散してやろうか?」
「!?」
獣人から返事はないが、ゴクリと喉が鳴った。
それを合図にコバは、布をめくって腹部に付きそうな程反り勃った性器を直接手に包んだ。人間と同じような形と色だが、サイズが大きい。
男のチンコを掴んでいるのに嫌悪が全然ない。
片手だと足りないので両手で上下に擦る。
彼が気持ちよさそうに呻くのを聞いて、気分が良くなる。もっと気持ちよくしてやりたい気持ちになった。
先端から先走りが溢れてきた。獣人だからか先走りも量も多い。それを陰茎にも塗り込みぐじゅぐじゅと音を立てながら強めに擦ると、程なくして勢いよく射精した。
「はぁはぁ……」
「あ、あれ? アンタ……」
射精したのに、全然萎えていない。
拭いて片付けてやろうと思ったのだが、一度抜いただけでは満足できない様子だ。
どうしよう。
どうしようと思う時点で、自分の中で別に嫌な行為ではないのだろう。もう一度抜いてやるかと思った時に、獣人の手が移動してお尻を撫でた。
「お、おい?」
驚いた俺に獣人の手は尻から離れる。彼が熱い目線で俺の身体を上から下まで見つめてくる。
俺の身体? ……見られてる。それですげぇ興奮されている?
自分のおうとつのない身体が彼とは特別にでも映っているのではと錯覚するような視線だ。その視線が俺の顔に戻り彼はゴクンと唾を飲んだ。
「……が、……い……い」
「……何言ってんのか分からねぇけど、してぇの?」
スラム街にいた時、尻を使って商売したことが二度程あった。吐き気がするほど気持ち悪い行為で、金が絶対に必要な時にしかしたくない。
この獣人も尻に挿れたいのだろうか……
「挿れる……か? 久しぶりだから挿いるか分からないけど」
思わず、そう言ってしまった。
言ってしまって、なんでこんなこと言ってしまったのか首を傾げた。
しかし、獣人は目を見開いて眉間にシワを寄せた。急に不機嫌そうだ。どっちなのか分からない。
俺は、自分の服を脱いだ。
「……ふ……っ!? ……っ、ぁ!?!?」
獣人の目がグルグル彷徨い激しく動揺している。
なんだか面白い奴だな。
肉付きが薄い身体に獣人が欲情している様に、気分がよくなる。
元々性欲が薄く、自分ではあまり前も後ろも弄らない。
それなのに、獣人の為に尻を使おうとしている。自分でも深く考えられずにいた。ただ、目に映る獣人の様子が気になる。
「あぁ、お前のデカいな。拡げるからちょっと待て。時間かかるし、見られたくないから目を瞑れ」
自分で拡げないと、後々大変なことになる。コバは、丁度いいぬめりだと彼の出した精液を尻の穴に塗りたくる。塗りたくった縁にフニフニと指を緩く挿れていく。
違和感に眉を顰めて我慢する。二本目も挿入して、拡げていく。
久しぶりすぎて上手く拡がらない……。
「……くっ」
苦しくて息が出た。
彼を見ると、目を瞑れと声をかけたのに、ジッと俺を見ていた。眉間にシワが寄ったままだが、彼の下半身は痛そうなほど反応している。見られていると思うと急に身体が火照ってくる。
彼が近くによれと言うように俺の腕を掴んで引っ張った。
獣人の手がクニッと尻の穴の縁を触ってくる。
「————ぁ……」
急に怖くなって、獣人の首筋に顔を埋める。すると、獣人の匂いがまた脳髄まで満たす。
あ……そうか。この匂いのせいだ。この匂いのする獣人だから、なんとかしたいと思ったんだ。
クンクンと獣人の匂いを嗅いでいると、身体が弛緩する。そんな俺の様子に獣人の指が尻に一気に挿れてきた。
「っ、……ぁ?」
いつもは、誰かに性的に触られると嫌悪感で気持ち悪くなるのに、気持ち悪くならない。それどころか自分の指とは違う感覚にゾクゾクする。
自分の指は一本でもしんどかったのに、彼の指は何故か苦しくない。ズゥっと根元まで挿いって抜かれる。それを繰り返すと二本目が挿される。
「……っ」
いつもと違う感覚にギュッと目を瞑って、顔の近くにある彼の唇を吸った。獣人の唇を吸うと、夢中になってしまう。
なんで、俺……?
変なのは分かっているけど、止められなくてちゅうちゅうと吸う。
彼の指がある一点を掠めた時、変な感覚が押し寄せてきたので彼の指を引っ張って抜いた。
「……はぁ、はぁ? ん、なに? あ。もう、いいや。アンタ、我慢できないだろ?」
傷口に触れないよう気をつけながら、獣人の身体を跨った。
サーッとその感触に血の気が引いた。
「ぎゃぁああっ!!」
獣人を突き飛ばした。
コイツ、俺を食おうとした!! やっぱり食うつもりなんじゃねぇかっ!!
「……っ!」
突き飛ばされた獣人は傷の痛みに唸るが、急いで俺を見て首を振った。
「首を振るんじゃねぇ! 今まさに俺のことを食べようとしただろう! 確実に急所を狙って歯を立てて来たじゃねぇか」
彼から離れて、荷物を持って洞窟から出ようとした。
「……っう……!」
うぅと呻きながら、傷ついた身体で地面を両腕をついて這いずり追いかけ
てくる。
「おい、やめろ! 折角手当してやってんのに!」
「……が、っ……ごほっ、ごほっ」
「大丈夫か!?」
必死な様子に思わず引き返して、手を貸してしまう。安静にしろと注意し、脱げてしまった服を巻きつけた。
「俺のこと食べようとしたんじゃないのか?」
ジロリと睨むと首をやっぱり横に振る。それで、俺を指さして、「……ぃ」と言っている。さっきから同じことを言っている気がする。
口の動きから見て、三文字だ。
〇〇い。
え……、なんだろう。欲しいとか? いやいや、それだと食べる気満々じゃねぇか。
しかし、獣人は俺が言っている言葉が分かるようだ。
獣人の暮らしは知らないが、彼が身に着けていた衣装、身分の高い奴が着るような上等なものだ。この獣人には学も身分もあるのではないだろうか。
「もう一度確認する、俺を食べないよな?」
コクリと獣人は首を縦に振った。
「絶対食べたら駄目だからな。俺の肌に歯を立てたら怪我人でも見捨てるから」
「……」
「分かったか?」
獣人はすぐに頷かなかった。だが、再び荷物を握りしめて怪しむ俺に慌てて首を縦に振る。
どっち……? 食べないんだよな? よく分からない。首を噛む行為は獣人による挨拶とか? いや、そんな挨拶は嫌だ。
警戒心を強めるが、獣人側から見ても俺は見ず知らずの者だということに気づき、現状を話すことにした。
「お前は山で倒れていた。通りかかった俺は、近場の洞窟に連れてきて看病をしている。お前に何かしようとは思っていない」
「……」
「いいか。俺みたいな親切な奴を食べたらバチが当たるぞ! だから食べるなよ!?」
もう一度警告した。さっき獣人の歯が首に当たった時、ゾクゾクと悪寒が身体を襲ったのだ。
獣人がしっかり頷く様子を見て、ようやく息が吐けた。
彼を見ると、額に丸い汗が噴き出ていた。頷いているが辛いのだろう。
ここには痛み止めはない。赤葉は万能薬ではあるが、最終的な治癒は彼自身の生命力にかかっている。
「おい。手を離せ。水、飲ませてやる」
「……」
獣人の頭側にまわり膝を貸す。頭を上げた状態で竹筒に入った水を飲ませてやる。
意識がない時と違って、ゴクゴクと水を飲む。手が使えるようなので、彼に竹筒ごと手渡すが、上手く飲めなくてボトリと落とした。
それを拾って再び、飲ませてやる。申し訳なさそうに視線を俺に向けた。
「気にすんな」
「……」
水を飲み干した後、家から持ってきた干し肉を彼の口に放り込んだ。彼は眉間にシワを寄せた。
干し肉は固いし噛む力がないのだろう。
「食いたくないのは分かる。だけど、今は食え」
そう言うと、獣人は数回噛んだ。一度は飲み込んだが、二度目は要らないと首を振った。
「そんな立派な歯をして食う力もないのか?」
獣人をけしかけるが、首を横に振る。
「ち、仕方ねぇな」
干し肉を口の中に入れ、そして嚙み砕いた。しっかりと口の中のモノを柔らかくしたあと、彼の唇に近づける。
「!!」
驚く獣人の口の中に噛んだ干し肉を押し込む。彼はゴクンと飲み込んだ。
それを見て、もう一度、干し肉を噛み砕いて口移しで渡す。飲み込むのを確認してもう一度。
すると、彼が俺の舌を唇で挟んだ。
「んっ!?」
干し肉だけ飲み込んで、彼の舌が俺の舌に絡んできた。
何やってんだ!? コイツ……?
獣人の舌は熱くで柔らかく、少しざらついている。意識がない時も同じように口の中に舌を入れてきた。
味わってるのか!? やっぱり俺を餌だと思っている?
「んんんっ?!」
口を離そうと思うと、獣人に舌を吸われる。ブツブツと鳥肌が立つ。
「んぁ……!? うぅ……うっ!?」
うめき声をあげると、獣人の口が離された。
至近距離で獣人と見つめ合う。熱で彼の顔が紅潮している。真っすぐな視線に心臓が痛くなる。
「何やってんだ!? 俺を食おうとするなって!?」
獣人はまた首を振った。
「本当か? 信じるぞ?」
再び頷く獣人にドキドキと動悸がしながらも、「まだ食えるか?」と聞く。獣人は頷いた。
干し肉を口に入れて噛むと彼がコバの口元に視線を向ける。
まるで、俺が干し肉を噛み砕くのを待ちわびているみたいだ。肉食動物が獲物をじっと待つようなしぐさを想像する。
だけど、獣人に見られるのは不快に思えなかった。顔が火照ってくるのを感じながら、彼の顔に近づけると唇が引っ付いてくる。
──ゾク。
前にも人助けに口移ししたことがあった。しかし、こんな風にゾクゾクすることなど一度もない。
「……変だ。お前と口引っ付けるの、……気持ちいい気がする?」
「……」
唇を引っ付いたまま、正直な気持ちを吐露する。すると、獣人の口角が上がり、ペロリと唇を舐められた。
「んっ」
意識しないようにしていた獣人の匂いが増す。嗅いだことのない匂いが脳みそを満たしていく。
彼の顔から離し、首筋の匂いを嗅いだ。
お腹の辺りがズクズクと感じたことのない重だるさが広がる。クンクンッと獣人の首筋の匂いを嗅いでしまっている。
自分の行為に気づいて恥ずかしくなって止める。
「あっ、ごめん。アンタの匂いが気になって……いや、変な匂いとかじゃなくて、いい匂い? うん。いい匂いがするんだ」
そうだ。
初めての匂いだけど、いい匂いだと思う。なんなら、もう一度彼の首筋に顔を寄せて匂いを嗅ぎたいくらいだ。
——俺、どうにかなっちゃったのか?
流石に会ったばかりの獣人にそんなことをするのはどうかと動揺する。
ブンブンと首を振って、膝枕している彼の頭を地面に降ろした。
頭を冷やさなくては、そう立ち上がろうとした時、彼に腕を掴まれて阻止された。
「……い、で」
行かないで。
今度はちゃんと彼が言っている言葉が分かった。ゾクゾクと掴まれた手から鳥肌が立つ。その感覚がおかしくて、やっぱり離れようとした時、獣人の身体の異変に目が止まった。
獣人の下半身——……。
「……」
獣人の身体には服を巻いていた。彼の雄が服を押し上げていた。大抵、熱が出れば萎えるはずなのに。
口移しで興奮したのか?
思わず、布の上から触ってしまって手を引いたが、また触れてしまった。
脈打っている。
「熱あんのに……。溜まっているのか?」
獣人の表情を見た。目元が赤いのは熱のせいだけでなく欲情しているせいでもあるようだ。触れている部分がますます腫れてくる。
「発散してやろうか?」
「!?」
獣人から返事はないが、ゴクリと喉が鳴った。
それを合図にコバは、布をめくって腹部に付きそうな程反り勃った性器を直接手に包んだ。人間と同じような形と色だが、サイズが大きい。
男のチンコを掴んでいるのに嫌悪が全然ない。
片手だと足りないので両手で上下に擦る。
彼が気持ちよさそうに呻くのを聞いて、気分が良くなる。もっと気持ちよくしてやりたい気持ちになった。
先端から先走りが溢れてきた。獣人だからか先走りも量も多い。それを陰茎にも塗り込みぐじゅぐじゅと音を立てながら強めに擦ると、程なくして勢いよく射精した。
「はぁはぁ……」
「あ、あれ? アンタ……」
射精したのに、全然萎えていない。
拭いて片付けてやろうと思ったのだが、一度抜いただけでは満足できない様子だ。
どうしよう。
どうしようと思う時点で、自分の中で別に嫌な行為ではないのだろう。もう一度抜いてやるかと思った時に、獣人の手が移動してお尻を撫でた。
「お、おい?」
驚いた俺に獣人の手は尻から離れる。彼が熱い目線で俺の身体を上から下まで見つめてくる。
俺の身体? ……見られてる。それですげぇ興奮されている?
自分のおうとつのない身体が彼とは特別にでも映っているのではと錯覚するような視線だ。その視線が俺の顔に戻り彼はゴクンと唾を飲んだ。
「……が、……い……い」
「……何言ってんのか分からねぇけど、してぇの?」
スラム街にいた時、尻を使って商売したことが二度程あった。吐き気がするほど気持ち悪い行為で、金が絶対に必要な時にしかしたくない。
この獣人も尻に挿れたいのだろうか……
「挿れる……か? 久しぶりだから挿いるか分からないけど」
思わず、そう言ってしまった。
言ってしまって、なんでこんなこと言ってしまったのか首を傾げた。
しかし、獣人は目を見開いて眉間にシワを寄せた。急に不機嫌そうだ。どっちなのか分からない。
俺は、自分の服を脱いだ。
「……ふ……っ!? ……っ、ぁ!?!?」
獣人の目がグルグル彷徨い激しく動揺している。
なんだか面白い奴だな。
肉付きが薄い身体に獣人が欲情している様に、気分がよくなる。
元々性欲が薄く、自分ではあまり前も後ろも弄らない。
それなのに、獣人の為に尻を使おうとしている。自分でも深く考えられずにいた。ただ、目に映る獣人の様子が気になる。
「あぁ、お前のデカいな。拡げるからちょっと待て。時間かかるし、見られたくないから目を瞑れ」
自分で拡げないと、後々大変なことになる。コバは、丁度いいぬめりだと彼の出した精液を尻の穴に塗りたくる。塗りたくった縁にフニフニと指を緩く挿れていく。
違和感に眉を顰めて我慢する。二本目も挿入して、拡げていく。
久しぶりすぎて上手く拡がらない……。
「……くっ」
苦しくて息が出た。
彼を見ると、目を瞑れと声をかけたのに、ジッと俺を見ていた。眉間にシワが寄ったままだが、彼の下半身は痛そうなほど反応している。見られていると思うと急に身体が火照ってくる。
彼が近くによれと言うように俺の腕を掴んで引っ張った。
獣人の手がクニッと尻の穴の縁を触ってくる。
「————ぁ……」
急に怖くなって、獣人の首筋に顔を埋める。すると、獣人の匂いがまた脳髄まで満たす。
あ……そうか。この匂いのせいだ。この匂いのする獣人だから、なんとかしたいと思ったんだ。
クンクンと獣人の匂いを嗅いでいると、身体が弛緩する。そんな俺の様子に獣人の指が尻に一気に挿れてきた。
「っ、……ぁ?」
いつもは、誰かに性的に触られると嫌悪感で気持ち悪くなるのに、気持ち悪くならない。それどころか自分の指とは違う感覚にゾクゾクする。
自分の指は一本でもしんどかったのに、彼の指は何故か苦しくない。ズゥっと根元まで挿いって抜かれる。それを繰り返すと二本目が挿される。
「……っ」
いつもと違う感覚にギュッと目を瞑って、顔の近くにある彼の唇を吸った。獣人の唇を吸うと、夢中になってしまう。
なんで、俺……?
変なのは分かっているけど、止められなくてちゅうちゅうと吸う。
彼の指がある一点を掠めた時、変な感覚が押し寄せてきたので彼の指を引っ張って抜いた。
「……はぁ、はぁ? ん、なに? あ。もう、いいや。アンタ、我慢できないだろ?」
傷口に触れないよう気をつけながら、獣人の身体を跨った。
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