18 / 19
番外編 七夕 前
しおりを挟む
【大学2年生の彼等】
晴天の七夕は約5年ぶりだ。
近所の土手で七夕祭りが開催されるため、小間ちゃんを誘った。
「春君、バイト休んで大丈夫だったの?」
「うん!」
思わず全力で頷いてしまったのは、小間ちゃんが浴衣姿だから。俺は、浴衣を持っていないので白Tシャツにジーンズ姿。小間ちゃんが浴衣で来るなら、俺もそれに合わせて浴衣を用意しておけばよかった。
艶やかな黒髪、柔らかい表情の小間ちゃんと浴衣。スズランとかが似合いそうなイメージだ。なんて和装が似合う人なんだろう。
横目に何度も見ながら歩いていると、出店が並んでいる。たこやき、りんご飴、くじ引きに、焼きとうもろこし。
その出店を通りすぎると、大きい笹がある。
大きな笹の横には一般客用に厚紙の短冊とペンが用意されている。
「短冊に願い事を書こうか」
「うん!」
厚紙とペンを持って用意されている簡易テーブルに向かった。
俺は、チラリと小間ちゃんを見た。小間ちゃんの短冊は【春】の文字。俺の事を書こうとしていることに口が緩む。
「小間ちゃんは、なんて書くの?」
「——あ、——あぁあっ!? え、えーと何にしようかな」
何にしようって、もう俺の名前を記入しているよね。変な横やりいれちゃった。
「春君と皆が健康にいられるように——にしようかな」
絶対、それ、途中で考え直したよね。最初に考えていたのは何だったんだろう。……まぁ、その願いも小間ちゃんらしくていいなと思い、俺は俺で願いを書くことにした。
【小間ちゃんとずっと一緒にいられますように】
小間ちゃんとキスもエッチも沢山出来ますように。俺の性技がアップしますように。小間ちゃんが俺にメロメロになりますように。同棲できますように。
一言に願いをいっぱい込めた。
欲深い俺。
俺の書いた短冊を見た小間ちゃんは「あ……」と小さな声を漏らした。その後、何も反応なし。
引かれたかな。でもまぁ、真実の願いだし。
短冊を笹に括りつけた俺達は、出店でかき氷を買って土手で食べることにした。
ビルや建物の灯りで星は見えない。田舎だったら沢山星を見ることができたのだろうな。
「星、見えないね」
そう言って小間ちゃんを見ると、彼が俺を見つめていて、かぁあっと頬を赤らめた。
「…………」
小間ちゃんのそういう反応、本当、可愛い。
本当の友達だった頃は、全然俺を意識してなくてさ。付き合い始めてからどんどんそんな風な反応する姿を横で感じていくの。
控えめに言って最高だよね。悶える。その結果、益々彼にのめり込んじゃう。
シャクシャクとかき氷を食べる音。
小間ちゃんの食べているかき氷がイチゴ味だからか、シロップの赤さが唇にも付いちゃって、いつもより色っぽく見える。
暑いのにきっちり着込んでいる浴衣を乱したくなる。白い肌を俺に見せて欲しい。
しばらく無言で見つめ合った後、小間ちゃんがてへっと小さく笑う。
「あのね、僕もさっき同じこと書こうと思ったの。春君とずっといれますようにって——ふふ。でも、恥ずかしくなっちゃって誤魔化しちゃった」
「……そう、なんだ」
顔を赤らめながら、そんな嬉しい事言うの反則。人がいるのに今すぐ抱きしめたくて仕方がない。我慢出来なくてコッソリ、彼の唇に軽いキスをした。小間ちゃんの体質がキスを隠してくれるといいけど。
カキ氷を食べて互いに唇が冷たい。
こんな場所だから、すぐに離れた。
だけど、我慢出来なかったのは俺だけじゃなくて小間ちゃんもだった。
少ししか触れ合っていないのに、小間ちゃんが体育座りになった。
「————ぼ、僕……変」
「……」
浴衣から見えるうなじにゴクリと息を飲んだ。
「小間ちゃん、行こう」
「——へ!? あっ!?」
立ち上がって小間ちゃんの腕をぐいぐい乱暴に引っ張っていく。頭がのぼせ上って、家まで我慢出来そうになくて、近くのラブホテルに入った。
小間ちゃんはラブホテルに入ることが初めてで、凄く緊張していた。とは言え、俺も初めてなので使い勝手が分からない。
ソワソワしている小間ちゃんをベッドにどさりと押し倒す。
「ごめん、小間ちゃんが色っぽくて我慢出来そうにない」
晴天の七夕は約5年ぶりだ。
近所の土手で七夕祭りが開催されるため、小間ちゃんを誘った。
「春君、バイト休んで大丈夫だったの?」
「うん!」
思わず全力で頷いてしまったのは、小間ちゃんが浴衣姿だから。俺は、浴衣を持っていないので白Tシャツにジーンズ姿。小間ちゃんが浴衣で来るなら、俺もそれに合わせて浴衣を用意しておけばよかった。
艶やかな黒髪、柔らかい表情の小間ちゃんと浴衣。スズランとかが似合いそうなイメージだ。なんて和装が似合う人なんだろう。
横目に何度も見ながら歩いていると、出店が並んでいる。たこやき、りんご飴、くじ引きに、焼きとうもろこし。
その出店を通りすぎると、大きい笹がある。
大きな笹の横には一般客用に厚紙の短冊とペンが用意されている。
「短冊に願い事を書こうか」
「うん!」
厚紙とペンを持って用意されている簡易テーブルに向かった。
俺は、チラリと小間ちゃんを見た。小間ちゃんの短冊は【春】の文字。俺の事を書こうとしていることに口が緩む。
「小間ちゃんは、なんて書くの?」
「——あ、——あぁあっ!? え、えーと何にしようかな」
何にしようって、もう俺の名前を記入しているよね。変な横やりいれちゃった。
「春君と皆が健康にいられるように——にしようかな」
絶対、それ、途中で考え直したよね。最初に考えていたのは何だったんだろう。……まぁ、その願いも小間ちゃんらしくていいなと思い、俺は俺で願いを書くことにした。
【小間ちゃんとずっと一緒にいられますように】
小間ちゃんとキスもエッチも沢山出来ますように。俺の性技がアップしますように。小間ちゃんが俺にメロメロになりますように。同棲できますように。
一言に願いをいっぱい込めた。
欲深い俺。
俺の書いた短冊を見た小間ちゃんは「あ……」と小さな声を漏らした。その後、何も反応なし。
引かれたかな。でもまぁ、真実の願いだし。
短冊を笹に括りつけた俺達は、出店でかき氷を買って土手で食べることにした。
ビルや建物の灯りで星は見えない。田舎だったら沢山星を見ることができたのだろうな。
「星、見えないね」
そう言って小間ちゃんを見ると、彼が俺を見つめていて、かぁあっと頬を赤らめた。
「…………」
小間ちゃんのそういう反応、本当、可愛い。
本当の友達だった頃は、全然俺を意識してなくてさ。付き合い始めてからどんどんそんな風な反応する姿を横で感じていくの。
控えめに言って最高だよね。悶える。その結果、益々彼にのめり込んじゃう。
シャクシャクとかき氷を食べる音。
小間ちゃんの食べているかき氷がイチゴ味だからか、シロップの赤さが唇にも付いちゃって、いつもより色っぽく見える。
暑いのにきっちり着込んでいる浴衣を乱したくなる。白い肌を俺に見せて欲しい。
しばらく無言で見つめ合った後、小間ちゃんがてへっと小さく笑う。
「あのね、僕もさっき同じこと書こうと思ったの。春君とずっといれますようにって——ふふ。でも、恥ずかしくなっちゃって誤魔化しちゃった」
「……そう、なんだ」
顔を赤らめながら、そんな嬉しい事言うの反則。人がいるのに今すぐ抱きしめたくて仕方がない。我慢出来なくてコッソリ、彼の唇に軽いキスをした。小間ちゃんの体質がキスを隠してくれるといいけど。
カキ氷を食べて互いに唇が冷たい。
こんな場所だから、すぐに離れた。
だけど、我慢出来なかったのは俺だけじゃなくて小間ちゃんもだった。
少ししか触れ合っていないのに、小間ちゃんが体育座りになった。
「————ぼ、僕……変」
「……」
浴衣から見えるうなじにゴクリと息を飲んだ。
「小間ちゃん、行こう」
「——へ!? あっ!?」
立ち上がって小間ちゃんの腕をぐいぐい乱暴に引っ張っていく。頭がのぼせ上って、家まで我慢出来そうになくて、近くのラブホテルに入った。
小間ちゃんはラブホテルに入ることが初めてで、凄く緊張していた。とは言え、俺も初めてなので使い勝手が分からない。
ソワソワしている小間ちゃんをベッドにどさりと押し倒す。
「ごめん、小間ちゃんが色っぽくて我慢出来そうにない」
88
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
【完】研究好きの僕と生物学首席は幼馴染
おはぎ
BL
研究に没頭すると周りが見えなくなるヒルカは生活能力が皆無。そんなヒルカの生活の面倒を見る生物学首席のシャリオは幼馴染。ある日、シャリオがヒルカのことを友人に話しているのを聞いてしまい…。
マイペースでシャリオに甘え倒すヒルカと、そんなヒルカに呆れつつも面倒を見るシャリオのお話。
催眠術をかけたら幼馴染の愛が激重すぎる⁉
モト
BL
魔法が使えない主人公リュリュ。
ある日、幼馴染で庭師の息子のセスが自分をハメようと企てていることを知る。
自分の身の危険を回避する為に、魔法が使えなくても出来る術、催眠術をセスにかけた。
異常に効果が効きすぎてしまって、おぉお!? 俺のことをキレイだと褒めて褒めて好き好き言いまくって溺愛してくる。無口で無表情はどうした!? セスはそんな人間じゃないだろう!?
と人格まで催眠術にかかって変わる話だけど、本当のところは……。
2023に『幼馴染に催眠術をかけたら溺愛されまくちゃった⁉』で掲載しておりましたが、全体を改稿し、あまりに内容変更が多いのでアップし直しました。
改稿前とストーリーがやや異なっています。ムーンライトノベルズでも掲載しております。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
きみはオメガ
モト
BL
隣に住む幼馴染の小次郎君は無表情。何を考えているのか長年ずっと傍にいる僕もよく分からない。
そんな中、僕がベータで小次郎君がアルファだと診断を受ける。診断結果を知った小次郎君は初めて涙を見せるが僕が言った一言で、君は安心した。
執着、幼馴染、オメガバース、アルファとベータ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる