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番外編1
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僕と春君は、同じ大学に進学した。
春君と出会う前だったら、絶対に合格できないレベルの大学だった。けど、春君とみっちり勉強して合格出来た。
憧れのキャンパスライフ!
僕の存在感も少しは出てきただろうかと思ったけれど、現状変化はなし。
——うん。そんなにすぐに変化ないよね。ドンマイ僕。徐々に頑張ろう。
新入生はサークル勧誘にチラシを沢山もらうのに、僕だけ一枚ももらえなかった。
横にいる春君はと言うと、ポケットの中にもチラシを突っ込まれる程、勧誘を受けていた。
そんな彼は、人酔いだとぐったりとベンチに横になっていた。
「大丈夫?」
僕は、パタパタと下敷きで彼を扇いだ。
「……うん。ごめんね。また小間ちゃんに助けてもらって」
「気にしないで」
あまりに凄い勧誘だったので、存在感薄々の僕が彼を隠して移動したんだ。
気分がマシになったのか、春君は上体を起した。隣に座っている僕の肩にコツンと頭を置いてきた。甘えるようなしぐさがくすぐったい。
「はぁ、小間ちゃんがいると本当に落ち着く」
「ふふ。僕も春君といると癒されるよ」
「ずっと、小間ちゃんといれたらいいのに……」
春君が僕をジッと見る。
あ……、この雰囲気はマズい。
雰囲気のマズさを誤魔化す為に、帰ろっかと彼に下校を促す。
「小間ちゃん、俺と同棲して」
来た。このセリフだ。
大学受験中から、ずっと春君に同棲しようと声をかけられていた。何度も誘われているけれど、のらりくらりかわしていたんだ。
「……春君、その話は前に断ったよね?」
「でも、小間ちゃんと学部が違うし、授業時間が違うでしょ。俺、バイトも始めたから会える時間が少なくなっちゃったし……」
春君は、大学に入ってから一人暮らししている。バイトも初めて凄いよね。確かに高校生の時よりも一緒にいる時間が短くなった気もする。
「切実に小間ちゃんともっと一緒にいたい」
「……」
僕だって、春君と一緒にいる時間は楽しい。
真剣な顔をしているキレイな春君を見て、目が泳ぐ。
なんて言ったら……いいのか。
————とにかく、エッチなんだ。
春君との二人っきりの時間が、とにかくエッチで僕はいっぱいいっぱいだ。
彼は元々調べたり勉強することが好きで、そして僕に対しても研究熱心なんだもん。
『はぁはぁ……んあっあ、あっひゃぁっ!』
『こっちの方が好き? もっと触ってあげる』
『……や、やめっ、おかしいのっ』
『可愛い』
僕の反応をよく見ていて、気持ちいいのにさらに気持ちよくされちゃう。
手と口で何度もイかされて、訳の分からなくなっているところに彼の性器を挿入されて、揺さぶられて……、うわぁ。僕、思い出さないで!!
だから、そんな春君と同棲なんかしちゃったら、僕は性欲魔人にでもなりそうだ。
春君は、僕がすぐにムラムラするのを、高校生だから(高校生の時)、やりたい盛りだから、恋人同士だから、好き合っているなら当たり前だよって言ってくれるんだけど。
「同棲はしたくないの。ごめんね」
「……分かった。また気が変わったら教えて?」
「うん」
「一緒に暮らすのはダメでも、今日は来れるんだよね?」
僕の腕を持って、首を傾げる。
行く約束していないよ? あ。でも、さっき、今日は春君がバイトお休みだって言ってたな。
そして、明日は土曜で今日は金曜で……。
腕を掴んでいた彼の手がゆっくりと僕の首を撫で、耳元で囁く。
「小間ちゃんのお泊りセット買ったんだ。使って欲しいなぁ」
「……」
見上げると春君はニコリと笑う。
僕のお泊りセット……使って欲しい?
「……最近、春君はズルいと思います」
「ズルくないよ」
ズルくないと言うけれど、春君はズルい。
一人暮らしを始めた春君の部屋には引っ越しの手伝いを合わせて三回行かせてもらった。泊ったのは一回だけど……。
春君が言うお泊りは、一緒にお風呂に入って、引っ付いて夜更かしすることをいうんだ。
ほら。ム……、ムラムラしてきた……。もうなんで、こんなことでムラムラしちゃうんだっ。
本当は春君がエッチなんじゃなくて、僕がエッチなんだ。
顔がどんどん赤くなる僕を、春君は微笑んで見てる。
うぅ……。
「行こうか。ね?」
「う」
「はは。小間ちゃん、ぎゅむッて顔がなっているよ?」
「春君のせいだよ!」
春君は僕の手を引いて大学を出た。
春君と出会う前だったら、絶対に合格できないレベルの大学だった。けど、春君とみっちり勉強して合格出来た。
憧れのキャンパスライフ!
僕の存在感も少しは出てきただろうかと思ったけれど、現状変化はなし。
——うん。そんなにすぐに変化ないよね。ドンマイ僕。徐々に頑張ろう。
新入生はサークル勧誘にチラシを沢山もらうのに、僕だけ一枚ももらえなかった。
横にいる春君はと言うと、ポケットの中にもチラシを突っ込まれる程、勧誘を受けていた。
そんな彼は、人酔いだとぐったりとベンチに横になっていた。
「大丈夫?」
僕は、パタパタと下敷きで彼を扇いだ。
「……うん。ごめんね。また小間ちゃんに助けてもらって」
「気にしないで」
あまりに凄い勧誘だったので、存在感薄々の僕が彼を隠して移動したんだ。
気分がマシになったのか、春君は上体を起した。隣に座っている僕の肩にコツンと頭を置いてきた。甘えるようなしぐさがくすぐったい。
「はぁ、小間ちゃんがいると本当に落ち着く」
「ふふ。僕も春君といると癒されるよ」
「ずっと、小間ちゃんといれたらいいのに……」
春君が僕をジッと見る。
あ……、この雰囲気はマズい。
雰囲気のマズさを誤魔化す為に、帰ろっかと彼に下校を促す。
「小間ちゃん、俺と同棲して」
来た。このセリフだ。
大学受験中から、ずっと春君に同棲しようと声をかけられていた。何度も誘われているけれど、のらりくらりかわしていたんだ。
「……春君、その話は前に断ったよね?」
「でも、小間ちゃんと学部が違うし、授業時間が違うでしょ。俺、バイトも始めたから会える時間が少なくなっちゃったし……」
春君は、大学に入ってから一人暮らししている。バイトも初めて凄いよね。確かに高校生の時よりも一緒にいる時間が短くなった気もする。
「切実に小間ちゃんともっと一緒にいたい」
「……」
僕だって、春君と一緒にいる時間は楽しい。
真剣な顔をしているキレイな春君を見て、目が泳ぐ。
なんて言ったら……いいのか。
————とにかく、エッチなんだ。
春君との二人っきりの時間が、とにかくエッチで僕はいっぱいいっぱいだ。
彼は元々調べたり勉強することが好きで、そして僕に対しても研究熱心なんだもん。
『はぁはぁ……んあっあ、あっひゃぁっ!』
『こっちの方が好き? もっと触ってあげる』
『……や、やめっ、おかしいのっ』
『可愛い』
僕の反応をよく見ていて、気持ちいいのにさらに気持ちよくされちゃう。
手と口で何度もイかされて、訳の分からなくなっているところに彼の性器を挿入されて、揺さぶられて……、うわぁ。僕、思い出さないで!!
だから、そんな春君と同棲なんかしちゃったら、僕は性欲魔人にでもなりそうだ。
春君は、僕がすぐにムラムラするのを、高校生だから(高校生の時)、やりたい盛りだから、恋人同士だから、好き合っているなら当たり前だよって言ってくれるんだけど。
「同棲はしたくないの。ごめんね」
「……分かった。また気が変わったら教えて?」
「うん」
「一緒に暮らすのはダメでも、今日は来れるんだよね?」
僕の腕を持って、首を傾げる。
行く約束していないよ? あ。でも、さっき、今日は春君がバイトお休みだって言ってたな。
そして、明日は土曜で今日は金曜で……。
腕を掴んでいた彼の手がゆっくりと僕の首を撫で、耳元で囁く。
「小間ちゃんのお泊りセット買ったんだ。使って欲しいなぁ」
「……」
見上げると春君はニコリと笑う。
僕のお泊りセット……使って欲しい?
「……最近、春君はズルいと思います」
「ズルくないよ」
ズルくないと言うけれど、春君はズルい。
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春君が言うお泊りは、一緒にお風呂に入って、引っ付いて夜更かしすることをいうんだ。
ほら。ム……、ムラムラしてきた……。もうなんで、こんなことでムラムラしちゃうんだっ。
本当は春君がエッチなんじゃなくて、僕がエッチなんだ。
顔がどんどん赤くなる僕を、春君は微笑んで見てる。
うぅ……。
「行こうか。ね?」
「う」
「はは。小間ちゃん、ぎゅむッて顔がなっているよ?」
「春君のせいだよ!」
春君は僕の手を引いて大学を出た。
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