花嫁探しはまさかの自分だった!?

モト

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セクハラ星人になってしまわれた!?

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マリーナとの見合いから一週間後、手紙が屋敷に届いた。
この屋敷に来るためにかかった交通費の請求書だった。その間の彼女らのおやつ代まで請求されている。
婚活コミュニティからも、理不尽な理由で一方的に見合いを断ったことに対し、マリーナに謝罪するよう通達が届いた。
コミュニティを通して謝罪(と言う名の金)をして、互いに今後関わらないことを約束し合い、この一件は幕を閉じた。



「うーんうーん」

僕は財形簿を見て頭を悩ませた。
誰からも求められていないことを勝手にした。ムダ金を使うとはこのことを言うのだと反省する。

申し訳なさにアル様とジジ様に謝った。ジジ様からは「大馬鹿者め」と叱咤され、アル様からは大きな口で笑われた。

「はは、謝る事はないよ。金ならまた貯めればいいし。スッキリ終われてサッパリしたよ」
「アル様……」


アル様はこの件に対してはもう僕を責めることはなかった。

婚活している時は眉間にシワを寄せていたけれど、今のアル様は眉間にシワを寄せることはなく、穏やかに笑っている。精力的に畑仕事をこなし、村人に困っていることはないかと声をかける。

元の生活に戻った——……?


「ひゃっ!?」
「どうしたの?」
「ど、どうしたのって、ア、アル様の手がお尻、ひぅ!?」

アル様の手が僕の尻を揉んでいる。堂々とセクハラしている。首を横に振ると彼が身体を密着させてきた。それだけで息苦しさを感じる。前はそんなことなかったのに。

「何故? もっと凄いことしたでしょ?」

急に色香を含んだ声色で僕の耳元でアル様が囁いた。
ジンとそれだけのことで腰が疼くようだ。

「……あっ」
「忘れたのか? リースの中に沢山出しただろ?」
「————っ!!」

叱咤するように耳を噛まれた時、僕はアル様から猛ダッシュで逃げた。





何もなかったように元に戻ったように見えて、明らかに違う。
触り方、声のかけ方、雰囲気、それは二人っきりになると酷くなる。唇を掠めた頬へのキスはしっとりとしていて、唇への深いキスを想像させるし、見てくる場所も僕の唇や、首、身体の至る場所。

「————っ」

アル様がセクハラ星人となってしまった!!
セクハラ星人と化した彼から逃げ惑う日々。

食事の片づけをアル様と共にしていると、腰を抱き寄せられる。

「ねぇ、なんで逃げるの?」
「アル様が変なところ触るからっ!!」

今は腰を触られているだけだけど。腰を触られるのは昔からだけど。でも、そう、雰囲気が!色気ムンムンムラムラと言うかセクハラなのだ。

「嫌?」
「……」

別に嫌ではないから困っている。
返事をしないと、アル様の手が僕の腰からずっと上に上がってきて、親指でくっと乳首を押してくる。確実にピンポイントでその突起をクニクニと押してくる。

「嫌に見えないけど?」
「っ!」

少し彼に乳首を潰されているだけなのに、自分のペニスがズボンを緩く押し上げていた。
それが密着しているアル様にも伝わっちゃっている。

押しつぶしているだけの親指が乳首の周りを円を描くようになぞった。布越しの柔らかな刺激がゾクゾクと快感を産む。


「————ぁ、っ、い、嫌です! 僕にだって、やりたいことがあるのです!」
「やりたいこと?」

大きな声を出すと、アル様は胸から手を離し少し身体を離した。ちゃんと聞いてくれようとしている。僕は荒くなりそうな呼吸を整える。

「はい。夢だってあるのです」
「リースの夢? 初耳だ」
「えぇ、僕の夢のためにアル様には幸せになってもらわないと……」


僕の夢は、この屋敷でずっと彼の傍にいることだ。アル様が元気で健やかで幸せそうならそれでいい。お爺さんになっても僕がアル様の横でこうしていることだ。
子供の頃、彼が女性と付き合っている時、軍に入っている時にそう思った。一緒にさえいてくれれば僕は……


「君の夢か」


アル様は暫く考えた後、分かったと僕の頭を撫でて寝室に戻られた。朝まで寝室から出ることはなかった。

早朝起きて畑に向かうと、いつも通りアル様は畑にいた。いつも同じように早朝から仕事をしている農民達と話している。
アル様は見ての通り、社交的で領地に住む村人の大抵ととても仲がいい。話し込んでいる風景も特にいつも通りだった。


だけど、その二日後の昼下がり、アル様が珍しくスーツに着替えていた。
きちんとした洋服を着れば、その容姿は麗しさを増し一気に上品な貴族に見える。

スーツ姿のアル様を久しぶりに見た僕は、あまりの恰好良さにポーっと見惚れてしまった。
アル様と目が合うとニヤリと不敵な笑みを浮かべた。



「リース、私にも夢の為に行動することにしよう」
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