上 下
10 / 29

10*

しおりを挟む
「ぎゃひぃい、無理無理無理無理無理ムリィ! 物理的に無理、何があってもムリィ!」
「指が三本入ったし、潤いを足す……」

 セスがハァハァと息を荒げながら俺の腰を掴んで後孔に今にも入りたそうにしている。

「よせっやめろ。セスならば、上級魔法使いだって引く手あまただろう! 考え直せっ!」
「お前以外に興奮したことがない」

「ぎゃっ! うあっ。さきっぽがぁああ」

 四つん這いが仇となった。
 まさに挿入するのにうってつけのポーズだ。
 セスがかけた魔法のせいで尻の中も外もヌルヌルに濡れていて、尻に力を入れて拒もうとするもセスの剛直が尻の括約筋を押し拡げていく。

「ひぅっ」
「く、リュリュ、力を抜け……」

 先端を含めただけで、セスはこれ以上挿入が困難なのが分かったのだろう。腰の動きを止めて、こちらを覗きこんできた。

「……リュリュ」
「っ」

 ギュッと恐怖に目を閉じている俺の目からプクリと涙の粒が誕生し、ポロポロと溢れ出す。

「ふっう、うっ、したことないって言っているだろう! 最低だ! 嫌い、嫌い嫌い嫌い!」
「──え」

 セスが身体を強張らせた。そこから彼はすぐに俺から先端を抜く。その抜け具合で、ほんの先っぽしか入っていないことが分かった。

 少し押し込まれただけでみっともなく泣き出してしまったのだ。

「うぅううう。ひでぇえ……ひっ、く」

 しかし、一度出した涙は引っ込むことを忘れてしまった。
 セスは俺の尻に再び手を添えたので、ビクリと震える。

「悪い。尻は切れてないが手当てするから」

 向きを変えられ、ひょいと持ち上がられてセスの膝の上に跨らされる。泣いている顔を見られたくなくて両手で隠した。

「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い……」
「……すまない」

 どんなに謝られても許すものかと嫌いを連発していると、腰に回されている彼の手が温かくなってくる。
何をするつもりかと両手の隙間から覗けば、穏やかな光が自分を包み込んでいた。
 魔法──身体が一瞬で軽くなるような、最大出力のヒーリング。
 目の前がチカチカと光が飛び交う。

「ふぁあぁあああっ、あ、あ、ぁ……ぁ、あ」

 特上の魔法を受け、頭も身体も一気に蕩けた。
 全身の力が抜けて、セスの身体にもたれる。

「中も治療する」
「は……へぇ?」

 セスが指を再び尻の中に挿入した。そこでもヒーリングを使うものだから俺の身体は小刻みに震え、彼の指をヒクヒクと締め付けてしまう。尻でも射精感に似た強い快感が起きて、あまりの気持ちよさに暫く彼の胸に顔を突っ伏して動けなくなってしまった。

「──あっぁ、……にゃに……こふぇ?」

 何したの? 呂律が回らない。ふわふわする。

「リュリュ?」
「……んっ……じんじん、する……おしっこ、出そうな……変な、の」

自分の性器を見ると、とろぉっと先走りが溢れて、陰茎を濡らしている。

「……ぁ、あ……ん」

 身じろぎしたら、ずっと尻の中に挿れっぱなしになっている彼の指が、いいところを掠めた。

「ふぁあんっやっ、なぁ、に?」
「リュリュ?」
「君の指……変……はあ、ぁ……おなかのとこぉ」

 分厚い胸に顔を埋めて太い指を感じていると、セスが俺の頭にキスをする。

「ここか? 少し膨らんでいるところ」

 セスが腹部側を指でトントンする。

「あんっ! やああ……ん、んひゃあ、なぁにっあん、あっ、なんか、れ、れるっ」

 そこを押される度、身体に甘い電流が走る。セスの前なのに、自分の性器に手を伸ばす。陰茎を上下に擦ろうとしたのに、セスの手に阻まれる。

「あっ、ん、なぁんで? したい……はぁ、はぁ、出したいよぉ」
「リュリュ、俺も見ているだけで出そうだ。性器同士を擦りあってもいいか? それだけなら痛くないだろう?」
「へ、あ……」

 見ると、セスの性器がはち切れそうなほど膨れ上がって、今にも射精しそうな勢いだ。

「……あん、うん、う……ん、いいからっ、出したい」

 こんなに強い快感ははじめてで、早く出すことしか考えられなかった。

 俺が頷くと、セスは身体と性器を密着させる。どくどく脈打って生々しい。互いに酷く濡れていて、視界がとても隠微だ。そして大きな手は二本の肉棒を包んだ。

「っ、熱い、ん……ふ、ぁ、ん」

 本当なら嫌悪していいはずなのに、凄くドキドキしてしまう。性器の裏筋にセスの性器の先端が触れて、擦れる。今まで知らなかった快感が身体に走った
 彼の方が早くに射精して、俺は三度目ということもあってか彼より少し遅かった。

 快感の余韻かはたまた最大ヒーリングのせいか、暫く放心して動けないでいた。その間セスは離しがたいようにずっと俺を抱きしめている。
 彼は一度放っただけでは興奮が収まらなかったが、それを俺に要求することはなかった。
 興奮が治まってきたころ、心地よさだけに包まれていた意識も覚醒してくる。動揺して固まっていたが、時刻を見て声を荒げた。

「まずい! 午後の授業が終わりそうじゃないか!」

 昼休憩だったのに、すっかり午後の授業が終わる。

「そうだな」
「そうだなって、君だって授業をサボっているのだぞ!」
「あぁ、今の時間より大事な時間はない」
「ぎへぇ」

 甘い言葉にのけ反った俺の身体は、ふわりと宙に浮いた。彼が俺を姫抱きにして立ち上がったのだ。そのまま部屋の外に出ようとするから下せと藻掻く。

「リュリュには無理をさせた。反省する。もっと大事にするから、どうか愛させておくれ」
「……」
「可愛い頬をつねってどうした?」
「? ……いや、誤作動だ」

 彼が気障なことを言うから一瞬胸がざわついた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!

たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった! せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。 失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。 「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」 アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。 でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。 ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!? 完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ! ※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※ pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。 https://www.pixiv.net/artworks/105819552

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

強制結婚させられた相手がすきすぎる

よる
BL
※妊娠表現、性行為の描写を含みます。

親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺

toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染) ※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。 pixivでも同タイトルで投稿しています。 https://www.pixiv.net/users/3179376 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/98346398

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

【完結】目が覚めたら縛られてる(しかも異世界)

サイ
BL
目が覚めたら、裸で見知らぬベッドの上に縛られていた。しかもそのまま見知らぬ美形に・・・! 右も左もわからない俺に、やることやったその美形は遠慮がちに世話を焼いてくる。と思ったら、周りの反応もおかしい。ちょっとうっとうしいくらい世話を焼かれ、甘やかされて。 そんなある男の異世界での話。 本編完結しました よろしくお願いします。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

処理中です...