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※ヤマダ番外編です。ヤマダ視点です。
~ヒロがお城で働く前の3日間の話~
三日後、ヒロは、レイの紹介で城へ働きに出ることになっている。
レイが、ヒロの要望に応えて素直に城の紹介状を持ってきたことには驚いた。
城なんて行かなくていいのに。
日中、騎士のレイは城で仕事。ヒロはレイの家で留守番だ。留守中のヒロの様子を見て欲しいと頼まれているので、今レイの家に向かっている。
コンコンとレイの家のドアをノックした。「ヤマダだよ。」と名乗ると、中から「はい。」と声がした。
ドアが開くと、包帯を緩く巻いているヒロの姿。
「おはよう。ヒロ。」
「おはよう。ヤマダ、今日はよろしくな!」
ヒロは、獣人のとても好みの顔と雰囲気をした人間だ。
どういうわけか、初めにヒロを見ただけで腰砕けになった。僕は自分にそういう好みとかあることすら知らなかったのに。
今は顔に包帯を巻きつけているから話せるけど、素顔だったら、まともに話せる自信がない。
包帯以外に何か方法ないかなってヒロは悩んでいるけど、その不自然さがヒロの魅力を抑えるのにピッタリだと思った。
「レイの奴、俺一人でも留守番できるのに心配してさ‥‥あ、ヤマダには会いたかったんだよ?」
「うん。レイ、正しい。ヒロはもっと獣人の事警戒した方がいい。」
ヒロに関しては、レイが大袈裟なのではない。
ヒロは獣人について分かっていない。一番初めに出会った獣人がレイみたいなお人よしの変わり者だったから勘違いしている。
「でも、ごめん。僕、家の畑をしなくちゃいけないから、僕の家で留守番でもいい?」
僕の家は、農家だ。毎日作業をしなくてはいけない。
「え?外出られるの?やった!」
そういえば、ヒロは異世界に来て、あまり外の様子をみれてないんだよな?
色々みたいんだろうな。
僕の家は、街とは逆の方向で、畑と田んぼばかりだ。
せっかく異世界に来たのに、田舎方面だとあまり物珍しい風景はない。田畑は特に日本の風景と似たり寄ったりだった。
それなのに、ヒロの目はキラキラと子供のようにキョロキョロしていた。
田んぼのあぜ道を歩いていると、村の獣人がこちらを見て、ひそひそと話していた。
僕たちが過ぎ去るまで、ずっとひそひそが聞こえた。
「う、うーん。やっぱり?この包帯だよね?」
ヒロが、どう考えても怪しいよな……と呟いた。
でも、先ほどの獣人が噂していたのは、ヒロより自分の方だ。ヒロが勘違いしているのを僕は訂正しなかった。
僕は被っていた帽子を出来るだけ深くかぶった。
「僕の家の前に小さな倉庫があるんだ。そこで今日は作業するんだ。ヒロもそこでしばらく過ごしてもらっていい?」
「あぁ、どこでも全然かまわないよ。俺も手伝いするよ。」
倉庫内では収穫した野菜をこんもり積み上げている。
これを店で売ってもらう為に、いらない葉や根っこを切って見栄えをよくする。
「あ、そういう作業ね。俺得意だよ。元々、トリマーだから、手先が器用な方なんだ。」
「トリマーって動物の髪の毛切る人?」
前世で一度、犬が人間に髪の毛をカットされているところを見たことがある。僕は経験ないけど。
「よく知ってるな。そうそう動物の髪の毛整えるのが主な仕事!動物好きな俺にとってはいい仕事だったな。まぁ、異世界に来て獣人に会えたのは結構嬉しいけどさ。」
にこっと笑う。
その笑顔をみると、ぞわぞわするから、あまり直視できない。
包帯しているのに、うっとり見つめてしまい、すぐに抱きつきたくなってしまう。
「はい。ハサミ。要らない根っこを切ってほしいんだ。」
ヒロのハサミを渡すと、ササっと作業を始めた。
出来ると言っただけあって、物凄い早い。
そういえば、人間って手先が凄く器用だったんだっけ?
本当は一日かけて作業を終えようと思っていたのに、半日が過ぎるころには、終わってしまった。
「荷物積むのはヒロには重たすぎるから、僕に任せて。先に用意していたご飯食べてて。」
「あーそだな。それはお願いするわ。でも、ご飯は一緒に食べようぜ。」
ヒロは、休んでいいと言ったのに、俺が荷物を荷台に運んでいる横で、不要になったゴミをまとめたり掃除をしてくれていた。ヒロはそういう人間なんだな。
荷台の荷物をまとめていると、村の獣人達がやって来た。
ニヤニヤと蔑む顔。
「病気持ちがどれだけ頑張ったって、売れ残るだけだぜ?」
「気持ち悪い。お前の作ったもんなんて、誰も食べたくねぇって。」
ある獣人が野菜に唾をぺっと吐いていった。
村の獣人達が俺に対してこういう行為をするのには理由があった。
だけど、その理由を知らないヒロにとっては、おかしく見えたのだろう。
「おいっ!お前ら!何するんだ!折角キレイにしてんだぞ!」
「ヒロッ!」
包帯まみれのヒロを見た獣人は、その奇妙さにぎょっと驚いた。
「おい、まさかお前も病気なのか?」
「は?お前も?どういう意味だ?いや、意味なんて関係ない!ヤマダに謝れ!」
ヒロは持っていた箒をブンブン振り回した。
村の獣人たちは、はんっと鼻で笑った。
「お前みたいなガリガリに何が出来るって言うんだ!?」
「ヒロ、いいんだ。やめて。」
別に、村の獣人達は怖くない。僕の方が力は強い。
そうじゃない。僕は、その前に農家なんだっ。変なケンカをしたら、家に迷惑がかかる。
「よわっちぃ奴は、眠っていろよ。」
手をゴリゴリ鳴らしている。
‥‥ここまでか。いざとなったら、僕がヒロを助けなければ。
村の獣人達がヒロに向かった時だ。
ヒロは、すぅーと息を吸った。
「おすわりっ!!!!!!!!」
びくっとなった村の獣人たちは、反射的にピタッと座ってしまった。あ、僕も。
「な、なんだぁ?」
村の獣人が何がなんだか分からないと、座ってしまってことに驚愕していた。
ヒロは箒をパンと地面に叩いた。
それから、村の獣人に近づく。それから、ずいっと野菜を獣人の前に出した。
「見ろ!ヤマダが大事に育てた野菜だ。とーーても、キレイだろう?これは、虫がついたら丁寧にとったりしていた証拠だ。(消毒とかなさそうだし。)そんな丁寧に作った野菜は絶対に旨い!美味しくなれって願いがこもっているからな!」
「は……はぁ。」
獣人達がきょとんと正座しながら頷いた。
「ヤマダに謝ってくれるな?」
「ちょっ!調子に乗るな!」
獣人が立ち上がろうとした時、ヒロが再度手をかざし「おすわりっ!」と声をあげた。
びくっと身体が驚き反射的にまた座ってしまう。
「ダメ!NO!」
さらに、ビクビクっと身体が反射する…。
なにこれ。ヒロ、チートなの?支配されて気持ちいいんだけど……。
「わかったか?」
「は、はい。」
獣人達が頷いた。
「そっか。分かってくれたか。」
ヒロはにこっと笑った。
よしよしよし。と獣人たち一人一人撫ぜていった。
……その瞬間、獣人たちの目がハートマークになっていた。
それから、村の獣人達が俺に丁寧に謝った。ヒロが謝った獣人達に「そうだ。謝って偉いな!」とにこっと笑うので、きゅ~ん♡と変な声をあげていた。
ヒロ…凄い。
さらに、奴らが去る時には、ヤマダの野菜を買って行ってくれよなっとちゃっかり宣伝までしてくれた。
「ふふふ。あはははっ!」
堪えていた笑いが溢れてきた。
あんなに僕の事蔑んでいたのに、帰り道には「は~い♡また買いに来ます」なんて言っていた。
笑いのツボがなかなか引かなくてしばらく笑った。
はー‥‥と深呼吸すると、横でヒロが優しい顔をしていた。
「…なぁ、本当は、ヤマダの方が強いんだろ?」
優しい声。まるで、前世の頃に一緒にいたおじいちゃんみたい。
よくやったなぁ。そういう顔をしている。
すぐに、抱きつきたくなる優しさ。
僕は、苦手だなぁっと思った。
早めに作業を終え、僕はヒロを連れて自宅に帰った。
母が、僕とヒロを見ると、ぎょっとした。
「ただいま。母さん。」
僕がドアを開けると、あ、あぁっと自室に戻ってしまった。
ヒロを紹介しようと思ったのに。
「ご、ごめん。やっぱり、この包帯姿はおかしいよな?」
ヒロがまた勘違いして、謝ってきた。
僕は、ブンブン首を横にふった。
「ううん。いつものことだから。」
僕は、ヒロにテーブル横の椅子に座ってもらった。たっぷりの野菜ジュースを置いた。
ヒロは、ゴクゴクとその野菜ジュースを飲みほした。
「旨いよ!ありがとう。」
「ううん。こちらこそ、沢山手伝ってもらってありがとう。」
「…なぁ。村の獣人達が話していた事、聞いていい?」
勿論、ヤマダが話せる範囲でいいんだけどと付け加えられる。
別に隠してないからいいよ。
「僕ね。小さい頃、髪の毛が真っ白になって呼吸困難になる病気になったんだ。さっきの獣人達が病気だって言っていたのは僕の事。とても、感染力の強い病気だったから、僕は隔離施設に入ったんだ。で、帰ってきたら…こんな感じ。」
感染力が強いから施設に入る事は仕方ない。だけど、施設から帰ってきたら、村の獣人達から差別を受けるようになった。
僕だけが差別を受けるならいい。
だけど、農家の家まで風評被害が起きて、作物が売れなくなってしまった。
今は、遠くの街に売りに行くことで、細々と食べていける。
「隔離施設から帰ってこれたってことは、もう完治しているんだろう?」
「うん。でも、ぼくの場合、真ん中の髪の毛だけが真っ白なんだ。それを見て、僕はまだ体内に病気を持ってるって。」
おかしいでしょ?もう何年も前の事なのに。
ヒロの顔を見ると、まるで自分が痛いみたいな顔をしていた。
「そんなの……おかしいよ。」
そうだね。僕もそう思う。だけど、一番、苦労しているのは、僕ではなくて母だから何も不満なんて言えないんだ。
僕は、午後から畑へ出た。
ヒロは、何故か家で母によばれていた。
帰ると、ヒロが母の横で、野菜の皮むきをしていた。その雰囲気が優しいものだったので、僕は思わず隠れてしまった。
母とはもうずっと挨拶くらいしか交わしていない。
あの隔離施設から戻ってきた時に母も変わってしまったのだ。
「俺、病気持ちなんです。」
ヒロが、母に言った。突然、ヒロは何嘘をついているんだろう?
「……そうだろうね。その包帯グルグルなのは、病気か何かだと思ったよ。」
「俺を差別しないんですか?」
しないさ。と母は言った。
「病気というのはうそです。ごめんなさい。ヤマダのお母さんがどういう人か知りたかっただけです。やっぱり優しい人です。なぜ、ヤマダに素っ気ない態度をとるんです?」
嘘をつくことで、母がどういう人なのか確かめた?
嘘ってあんたねぇ……と呆れた声を出した母だったけど、特に何も言及しなかった。
母は、野菜を切りながら答えた。
「私は、あの子を一度隔離施設に送ってしまった。子供は重症化しない病気なのにさ。本当に強い人間なら差別なんて怖がらずに自宅であの子と過ごす事だって出来た。あんなにかわいい子を独りぼっちにさせてしまったんだ。私は親として失格だよ。」
母がどんな顔でその事を言っているのか見えなかった。
母は、僕を疎んでいるのだと思っていた。
帰ってきた僕のせいで、農家としてまともな生計を立てる事が出来なくなってしまった。生活は一気に貧乏になり、村の獣人達の差別的発言は増える。僕と同じように、いや、それより、もっとひどい事を母さんは言われていた。
僕を施設に預けた鬼だって。
幼子を平気で手放す悪魔だって。
それを言われる度、母は陰で泣いていた。
だから、母は、僕を見なくなった。僕が全ての元凶だから。
「本当は、いつも思いっきり抱きしめたいんだ。だけど、私は、鬼で悪魔だから、そんな汚い手でさわったら、あ
の子を傷つけてしまうだろう?」
違うよ。言わなくちゃ、僕はずっと、母さんに…
黙って聞いていたヒロだったけど、「違いますよ」と言った。
「ヤマダは、見ず知らずの俺を助けてくれています。優しい子です。そんな優しい心を育てたのは貴女なんじゃないですか。ヤマダを見たら分かります。」
ヒロ、違うよ。僕は優しいんじゃない、ヒロと一緒にいたかっただけなのに。
でも、その言葉を母にかけてくれて嬉しかった。
僕は、壁をコンコンと叩いた。
「母さん、ただいま。」
僕を見た、母さんはまた視線を下に向けた。いつもはすれ違うだけだけど、僕は母の横に座り野菜の皮むきを手伝った。
母さんはうつむいたままだった。
ずっとそうだ。口数は多くないし避けられているけど、母が愛情深い人だって知っている。
差別されても、どんなに風評被害で食物が売れ残っても。
母さんは、僕を責めたりしなかった。あれから一度も僕を手放そうとしなかった。本当なら、見捨てられても仕方なかったはずなのに。
僕はずっと母さんに感謝しているんだ。
母と僕はそのまま無言で野菜を剥いた。母もいつもはすぐに席を立とうとするけど、今日は隣で座ったままだ。
「ううぅ。うう。うう。ずびっずびっずーーー。うううっ。」
あれ?
横を見ると、ヒロが大泣きしている。
「グッ!ごめん。ごめんなぁ。ずっふっ。なんか、涙が‥‥こういうのっぐず、弱くてっ!!ごめん。俺、邪魔だからぁ……」
ヒロが泣きながら去ろうとするので、母と僕が一斉に「いや!急に二人っきりとか恥ずかしいから!」と叫んだ。
あぁ、そっか。
ヒロが言った。
「似た者同士だな!」
その次の日の農作業は、母とヒロと3人で行った。
「手際がいいねぇー!ヒロはいいお嫁さんになるよ!!」
「え?婿でしょ?!」
はははっと3人の中で笑い声が広がる。
少しずつ作業中に母と目が合うようになった。
こんな日がくるなんて。
「なぁ?ヤマダ、ちょっといいか?」
休憩時間中、ヒロが切り株をポンポン叩いた。
これに座れって事?
素直に促されるままに、切り株に腰をかけた。
「ようこそ。お越しくださいました。ヤマダ様。本日担当させて頂くのは私、吉田ヒロと申します。」
「え…?」
後ろを振り向くと、ヒロの手にはハサミと櫛が。
「なんてな。ヤマダの髪の毛整えさせてくれよ。ずっと触ってみたかったんだ。」
ヒロはそう言って櫛で僕の髪の毛を梳いた。
キューっと胸がざわつく。
獣人にむやみやたらと、そんな風に触っては駄目なのに。
僕のしっぽがパタパタ動いてしまう。その様子を見てヒロは「オーケーの合図だな。」と髪の毛を切り始めた。
チョキ…チョキ…
ハサミの音すら優しい。
気持ちいい手が僕の髪の毛に触れる。
やっぱり、おじいちゃん思い出すなぁ。僕よりずっと早くに死んでしまった人。優しくて大好きだった。
ヒロの優しさを感じると寂しい気持ちになるから苦手なんだ。
ずっと側にいて欲しくなる。
胸が苦しい。
「出来たよ。」
最後に櫛で軽く梳かしてくれる。
水に写った自分を、見る。
「ヤマダの一部分白い所がカッコよく見えるように整えたんだ。今まで、ボサボサだっただろう?これなら、オシャレって感じに見えない?」
キレイに整えられた髪の毛。これなら、病気に見えない?
「かっこいい。」
水に写った僕が揺れて見えなくなる。ポタポタと涙が落ちたから
「かっこいいよ。」
全然映らなくなった水辺に、もう一度言った。
ヒロは、優しく頭を撫ぜようとしたけど、やめて、背中をポンポン叩いた。
それ、一緒だよ?なぜなぜもポンポンも同じ。
ほんと、どうなっても知らないんだから。
「ありがとう。ヒロ、大好き。」
今は、抱きしめたい欲を堪える。もっともっとヒロが油断したら…
その時は食べてしまおう。
~ヒロがお城で働く前の3日間の話~
三日後、ヒロは、レイの紹介で城へ働きに出ることになっている。
レイが、ヒロの要望に応えて素直に城の紹介状を持ってきたことには驚いた。
城なんて行かなくていいのに。
日中、騎士のレイは城で仕事。ヒロはレイの家で留守番だ。留守中のヒロの様子を見て欲しいと頼まれているので、今レイの家に向かっている。
コンコンとレイの家のドアをノックした。「ヤマダだよ。」と名乗ると、中から「はい。」と声がした。
ドアが開くと、包帯を緩く巻いているヒロの姿。
「おはよう。ヒロ。」
「おはよう。ヤマダ、今日はよろしくな!」
ヒロは、獣人のとても好みの顔と雰囲気をした人間だ。
どういうわけか、初めにヒロを見ただけで腰砕けになった。僕は自分にそういう好みとかあることすら知らなかったのに。
今は顔に包帯を巻きつけているから話せるけど、素顔だったら、まともに話せる自信がない。
包帯以外に何か方法ないかなってヒロは悩んでいるけど、その不自然さがヒロの魅力を抑えるのにピッタリだと思った。
「レイの奴、俺一人でも留守番できるのに心配してさ‥‥あ、ヤマダには会いたかったんだよ?」
「うん。レイ、正しい。ヒロはもっと獣人の事警戒した方がいい。」
ヒロに関しては、レイが大袈裟なのではない。
ヒロは獣人について分かっていない。一番初めに出会った獣人がレイみたいなお人よしの変わり者だったから勘違いしている。
「でも、ごめん。僕、家の畑をしなくちゃいけないから、僕の家で留守番でもいい?」
僕の家は、農家だ。毎日作業をしなくてはいけない。
「え?外出られるの?やった!」
そういえば、ヒロは異世界に来て、あまり外の様子をみれてないんだよな?
色々みたいんだろうな。
僕の家は、街とは逆の方向で、畑と田んぼばかりだ。
せっかく異世界に来たのに、田舎方面だとあまり物珍しい風景はない。田畑は特に日本の風景と似たり寄ったりだった。
それなのに、ヒロの目はキラキラと子供のようにキョロキョロしていた。
田んぼのあぜ道を歩いていると、村の獣人がこちらを見て、ひそひそと話していた。
僕たちが過ぎ去るまで、ずっとひそひそが聞こえた。
「う、うーん。やっぱり?この包帯だよね?」
ヒロが、どう考えても怪しいよな……と呟いた。
でも、先ほどの獣人が噂していたのは、ヒロより自分の方だ。ヒロが勘違いしているのを僕は訂正しなかった。
僕は被っていた帽子を出来るだけ深くかぶった。
「僕の家の前に小さな倉庫があるんだ。そこで今日は作業するんだ。ヒロもそこでしばらく過ごしてもらっていい?」
「あぁ、どこでも全然かまわないよ。俺も手伝いするよ。」
倉庫内では収穫した野菜をこんもり積み上げている。
これを店で売ってもらう為に、いらない葉や根っこを切って見栄えをよくする。
「あ、そういう作業ね。俺得意だよ。元々、トリマーだから、手先が器用な方なんだ。」
「トリマーって動物の髪の毛切る人?」
前世で一度、犬が人間に髪の毛をカットされているところを見たことがある。僕は経験ないけど。
「よく知ってるな。そうそう動物の髪の毛整えるのが主な仕事!動物好きな俺にとってはいい仕事だったな。まぁ、異世界に来て獣人に会えたのは結構嬉しいけどさ。」
にこっと笑う。
その笑顔をみると、ぞわぞわするから、あまり直視できない。
包帯しているのに、うっとり見つめてしまい、すぐに抱きつきたくなってしまう。
「はい。ハサミ。要らない根っこを切ってほしいんだ。」
ヒロのハサミを渡すと、ササっと作業を始めた。
出来ると言っただけあって、物凄い早い。
そういえば、人間って手先が凄く器用だったんだっけ?
本当は一日かけて作業を終えようと思っていたのに、半日が過ぎるころには、終わってしまった。
「荷物積むのはヒロには重たすぎるから、僕に任せて。先に用意していたご飯食べてて。」
「あーそだな。それはお願いするわ。でも、ご飯は一緒に食べようぜ。」
ヒロは、休んでいいと言ったのに、俺が荷物を荷台に運んでいる横で、不要になったゴミをまとめたり掃除をしてくれていた。ヒロはそういう人間なんだな。
荷台の荷物をまとめていると、村の獣人達がやって来た。
ニヤニヤと蔑む顔。
「病気持ちがどれだけ頑張ったって、売れ残るだけだぜ?」
「気持ち悪い。お前の作ったもんなんて、誰も食べたくねぇって。」
ある獣人が野菜に唾をぺっと吐いていった。
村の獣人達が俺に対してこういう行為をするのには理由があった。
だけど、その理由を知らないヒロにとっては、おかしく見えたのだろう。
「おいっ!お前ら!何するんだ!折角キレイにしてんだぞ!」
「ヒロッ!」
包帯まみれのヒロを見た獣人は、その奇妙さにぎょっと驚いた。
「おい、まさかお前も病気なのか?」
「は?お前も?どういう意味だ?いや、意味なんて関係ない!ヤマダに謝れ!」
ヒロは持っていた箒をブンブン振り回した。
村の獣人たちは、はんっと鼻で笑った。
「お前みたいなガリガリに何が出来るって言うんだ!?」
「ヒロ、いいんだ。やめて。」
別に、村の獣人達は怖くない。僕の方が力は強い。
そうじゃない。僕は、その前に農家なんだっ。変なケンカをしたら、家に迷惑がかかる。
「よわっちぃ奴は、眠っていろよ。」
手をゴリゴリ鳴らしている。
‥‥ここまでか。いざとなったら、僕がヒロを助けなければ。
村の獣人達がヒロに向かった時だ。
ヒロは、すぅーと息を吸った。
「おすわりっ!!!!!!!!」
びくっとなった村の獣人たちは、反射的にピタッと座ってしまった。あ、僕も。
「な、なんだぁ?」
村の獣人が何がなんだか分からないと、座ってしまってことに驚愕していた。
ヒロは箒をパンと地面に叩いた。
それから、村の獣人に近づく。それから、ずいっと野菜を獣人の前に出した。
「見ろ!ヤマダが大事に育てた野菜だ。とーーても、キレイだろう?これは、虫がついたら丁寧にとったりしていた証拠だ。(消毒とかなさそうだし。)そんな丁寧に作った野菜は絶対に旨い!美味しくなれって願いがこもっているからな!」
「は……はぁ。」
獣人達がきょとんと正座しながら頷いた。
「ヤマダに謝ってくれるな?」
「ちょっ!調子に乗るな!」
獣人が立ち上がろうとした時、ヒロが再度手をかざし「おすわりっ!」と声をあげた。
びくっと身体が驚き反射的にまた座ってしまう。
「ダメ!NO!」
さらに、ビクビクっと身体が反射する…。
なにこれ。ヒロ、チートなの?支配されて気持ちいいんだけど……。
「わかったか?」
「は、はい。」
獣人達が頷いた。
「そっか。分かってくれたか。」
ヒロはにこっと笑った。
よしよしよし。と獣人たち一人一人撫ぜていった。
……その瞬間、獣人たちの目がハートマークになっていた。
それから、村の獣人達が俺に丁寧に謝った。ヒロが謝った獣人達に「そうだ。謝って偉いな!」とにこっと笑うので、きゅ~ん♡と変な声をあげていた。
ヒロ…凄い。
さらに、奴らが去る時には、ヤマダの野菜を買って行ってくれよなっとちゃっかり宣伝までしてくれた。
「ふふふ。あはははっ!」
堪えていた笑いが溢れてきた。
あんなに僕の事蔑んでいたのに、帰り道には「は~い♡また買いに来ます」なんて言っていた。
笑いのツボがなかなか引かなくてしばらく笑った。
はー‥‥と深呼吸すると、横でヒロが優しい顔をしていた。
「…なぁ、本当は、ヤマダの方が強いんだろ?」
優しい声。まるで、前世の頃に一緒にいたおじいちゃんみたい。
よくやったなぁ。そういう顔をしている。
すぐに、抱きつきたくなる優しさ。
僕は、苦手だなぁっと思った。
早めに作業を終え、僕はヒロを連れて自宅に帰った。
母が、僕とヒロを見ると、ぎょっとした。
「ただいま。母さん。」
僕がドアを開けると、あ、あぁっと自室に戻ってしまった。
ヒロを紹介しようと思ったのに。
「ご、ごめん。やっぱり、この包帯姿はおかしいよな?」
ヒロがまた勘違いして、謝ってきた。
僕は、ブンブン首を横にふった。
「ううん。いつものことだから。」
僕は、ヒロにテーブル横の椅子に座ってもらった。たっぷりの野菜ジュースを置いた。
ヒロは、ゴクゴクとその野菜ジュースを飲みほした。
「旨いよ!ありがとう。」
「ううん。こちらこそ、沢山手伝ってもらってありがとう。」
「…なぁ。村の獣人達が話していた事、聞いていい?」
勿論、ヤマダが話せる範囲でいいんだけどと付け加えられる。
別に隠してないからいいよ。
「僕ね。小さい頃、髪の毛が真っ白になって呼吸困難になる病気になったんだ。さっきの獣人達が病気だって言っていたのは僕の事。とても、感染力の強い病気だったから、僕は隔離施設に入ったんだ。で、帰ってきたら…こんな感じ。」
感染力が強いから施設に入る事は仕方ない。だけど、施設から帰ってきたら、村の獣人達から差別を受けるようになった。
僕だけが差別を受けるならいい。
だけど、農家の家まで風評被害が起きて、作物が売れなくなってしまった。
今は、遠くの街に売りに行くことで、細々と食べていける。
「隔離施設から帰ってこれたってことは、もう完治しているんだろう?」
「うん。でも、ぼくの場合、真ん中の髪の毛だけが真っ白なんだ。それを見て、僕はまだ体内に病気を持ってるって。」
おかしいでしょ?もう何年も前の事なのに。
ヒロの顔を見ると、まるで自分が痛いみたいな顔をしていた。
「そんなの……おかしいよ。」
そうだね。僕もそう思う。だけど、一番、苦労しているのは、僕ではなくて母だから何も不満なんて言えないんだ。
僕は、午後から畑へ出た。
ヒロは、何故か家で母によばれていた。
帰ると、ヒロが母の横で、野菜の皮むきをしていた。その雰囲気が優しいものだったので、僕は思わず隠れてしまった。
母とはもうずっと挨拶くらいしか交わしていない。
あの隔離施設から戻ってきた時に母も変わってしまったのだ。
「俺、病気持ちなんです。」
ヒロが、母に言った。突然、ヒロは何嘘をついているんだろう?
「……そうだろうね。その包帯グルグルなのは、病気か何かだと思ったよ。」
「俺を差別しないんですか?」
しないさ。と母は言った。
「病気というのはうそです。ごめんなさい。ヤマダのお母さんがどういう人か知りたかっただけです。やっぱり優しい人です。なぜ、ヤマダに素っ気ない態度をとるんです?」
嘘をつくことで、母がどういう人なのか確かめた?
嘘ってあんたねぇ……と呆れた声を出した母だったけど、特に何も言及しなかった。
母は、野菜を切りながら答えた。
「私は、あの子を一度隔離施設に送ってしまった。子供は重症化しない病気なのにさ。本当に強い人間なら差別なんて怖がらずに自宅であの子と過ごす事だって出来た。あんなにかわいい子を独りぼっちにさせてしまったんだ。私は親として失格だよ。」
母がどんな顔でその事を言っているのか見えなかった。
母は、僕を疎んでいるのだと思っていた。
帰ってきた僕のせいで、農家としてまともな生計を立てる事が出来なくなってしまった。生活は一気に貧乏になり、村の獣人達の差別的発言は増える。僕と同じように、いや、それより、もっとひどい事を母さんは言われていた。
僕を施設に預けた鬼だって。
幼子を平気で手放す悪魔だって。
それを言われる度、母は陰で泣いていた。
だから、母は、僕を見なくなった。僕が全ての元凶だから。
「本当は、いつも思いっきり抱きしめたいんだ。だけど、私は、鬼で悪魔だから、そんな汚い手でさわったら、あ
の子を傷つけてしまうだろう?」
違うよ。言わなくちゃ、僕はずっと、母さんに…
黙って聞いていたヒロだったけど、「違いますよ」と言った。
「ヤマダは、見ず知らずの俺を助けてくれています。優しい子です。そんな優しい心を育てたのは貴女なんじゃないですか。ヤマダを見たら分かります。」
ヒロ、違うよ。僕は優しいんじゃない、ヒロと一緒にいたかっただけなのに。
でも、その言葉を母にかけてくれて嬉しかった。
僕は、壁をコンコンと叩いた。
「母さん、ただいま。」
僕を見た、母さんはまた視線を下に向けた。いつもはすれ違うだけだけど、僕は母の横に座り野菜の皮むきを手伝った。
母さんはうつむいたままだった。
ずっとそうだ。口数は多くないし避けられているけど、母が愛情深い人だって知っている。
差別されても、どんなに風評被害で食物が売れ残っても。
母さんは、僕を責めたりしなかった。あれから一度も僕を手放そうとしなかった。本当なら、見捨てられても仕方なかったはずなのに。
僕はずっと母さんに感謝しているんだ。
母と僕はそのまま無言で野菜を剥いた。母もいつもはすぐに席を立とうとするけど、今日は隣で座ったままだ。
「ううぅ。うう。うう。ずびっずびっずーーー。うううっ。」
あれ?
横を見ると、ヒロが大泣きしている。
「グッ!ごめん。ごめんなぁ。ずっふっ。なんか、涙が‥‥こういうのっぐず、弱くてっ!!ごめん。俺、邪魔だからぁ……」
ヒロが泣きながら去ろうとするので、母と僕が一斉に「いや!急に二人っきりとか恥ずかしいから!」と叫んだ。
あぁ、そっか。
ヒロが言った。
「似た者同士だな!」
その次の日の農作業は、母とヒロと3人で行った。
「手際がいいねぇー!ヒロはいいお嫁さんになるよ!!」
「え?婿でしょ?!」
はははっと3人の中で笑い声が広がる。
少しずつ作業中に母と目が合うようになった。
こんな日がくるなんて。
「なぁ?ヤマダ、ちょっといいか?」
休憩時間中、ヒロが切り株をポンポン叩いた。
これに座れって事?
素直に促されるままに、切り株に腰をかけた。
「ようこそ。お越しくださいました。ヤマダ様。本日担当させて頂くのは私、吉田ヒロと申します。」
「え…?」
後ろを振り向くと、ヒロの手にはハサミと櫛が。
「なんてな。ヤマダの髪の毛整えさせてくれよ。ずっと触ってみたかったんだ。」
ヒロはそう言って櫛で僕の髪の毛を梳いた。
キューっと胸がざわつく。
獣人にむやみやたらと、そんな風に触っては駄目なのに。
僕のしっぽがパタパタ動いてしまう。その様子を見てヒロは「オーケーの合図だな。」と髪の毛を切り始めた。
チョキ…チョキ…
ハサミの音すら優しい。
気持ちいい手が僕の髪の毛に触れる。
やっぱり、おじいちゃん思い出すなぁ。僕よりずっと早くに死んでしまった人。優しくて大好きだった。
ヒロの優しさを感じると寂しい気持ちになるから苦手なんだ。
ずっと側にいて欲しくなる。
胸が苦しい。
「出来たよ。」
最後に櫛で軽く梳かしてくれる。
水に写った自分を、見る。
「ヤマダの一部分白い所がカッコよく見えるように整えたんだ。今まで、ボサボサだっただろう?これなら、オシャレって感じに見えない?」
キレイに整えられた髪の毛。これなら、病気に見えない?
「かっこいい。」
水に写った僕が揺れて見えなくなる。ポタポタと涙が落ちたから
「かっこいいよ。」
全然映らなくなった水辺に、もう一度言った。
ヒロは、優しく頭を撫ぜようとしたけど、やめて、背中をポンポン叩いた。
それ、一緒だよ?なぜなぜもポンポンも同じ。
ほんと、どうなっても知らないんだから。
「ありがとう。ヒロ、大好き。」
今は、抱きしめたい欲を堪える。もっともっとヒロが油断したら…
その時は食べてしまおう。
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