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3話 優しさ
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空腹が満たされ、心に余裕が取り戻される。
今までのような味気のない食事ではなく、他者の優しさがスパイスとして加わった食事は格別だった。
クロムは丁寧に箱を閉じ、右手で目を擦って涙を拭き取る。
「ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」
「お粗末さまでした。そんなに美味しそうに食べてくれるんならまた作りたくなっちゃうね」
どうやらこれはエルミアの手作りだったようだ。
また味わえるなら嬉しいな、とクロムは思いつつ、彼女の好意に甘えすぎるのは良くないと自制した。
身体に活力が戻ったのを感じつつ、ふと思い出したように懐をまさぐる。
そしてすぐ近くに妖刀があるのを確認すると、ほっと息を付いた。
「……その刀、キミのだよね? 近くにあったから一緒に持ってきたけど」
「えっと、はい。一応僕の刀です」
正確には追い出される際に父親から押し付けられただけの呪われた妖刀だ。
持ち主を呪い殺すという噂の恐ろしい武器が手元にあることで安堵するだなんて不思議な気分になる。
でも現状自分が戦う上で必要な武器がこれしかないので、なくなってしまっては困るのだ。
「もしよかったらその刀、どこで手に入れたのか教えてもらえる?」
「これは――ごめんなさい、分かりません。目が覚めたら隣にあっただけなので……」
「そっか。それならいいの。不思議な雰囲気を持つ刀だったからちょっと気になっちゃってね」
このことについて、エルミアは深く追求しなかった。
妖刀がクロムを主として認め、自らの意思で彼に付いてきたことは敢えて伏せて置いた。
クロムとしても妖刀がジーヴェスト公爵家の所有物であったことを明かすと面倒なことになると思ったので、嘘にはならない範囲で答えた。
「――ところで、どうしてクロムくんはあんなところで一人で倒れてたの? 話せる範囲でいいから、教えて欲しいな」
「それは――」
クロムは一瞬、言葉に詰まった。
それは自分がどこまで言葉にしてよいのかという疑問と、あまりに惨めな自分のこれまでの人生をあまり語りたくないという思いからだ。
だけど、この人になら。生まれて初めて母親と師匠以外で自分を救ってくれたこの人なら。
自分のことを少し、話してもいいかもしれないという気持ちになった。
「僕は――父親に捨てられたんです。出来損ないだったから、もういらないって」
「……そっか。だからあんな危険なところに一人でいたんだね」
「はい。行く当てもなく彷徨っていました」
「でもよくあんな場所で魔物に襲われずに生き延びられたね。上手く隠れられたのかな?」
「何度か襲われたけれど倒してきました。幸いあんまり強くなかったので、運が良かったです」
それを聞いたエルミアは表情を曇らせた。
あんまり強くなかった――そう平然と口にするクロムは嘘を言っているようには見えなかった。
このあたりの魔物が大して強くない? 冗談じゃない。
あのファアリの森に住まう魔物は、多少腕に覚えがある程度の者では太刀打ちできない凶悪な魔物が跋扈する危険地帯だ。
それをあんな小さな刀一本で何体も倒してきたというこの少年はいったい何者なのだろうか。
もしそれが真実だとすれば、彼のどこが出来損ないなのか。
「……そっか、辛いことを思い出させちゃってごめんなさい」
「いえ、大丈夫です」
「一応聞いておきたいんだけど、お母さんとかおじいちゃんおばあちゃんとか、誰か頼れる人はいない?」
「お母さんはもう何年も前に亡くなりました。おじいちゃんとかは……会ったことがないので、ちょっと分からないです」
その答えを聞いたエルミアは己の失言を悔いた。
先ほど以上に辛いことを思い出させてしまった配慮のなさに申し訳なさが滲み出る。
この子はもう、本当の意味で独りなのだ。
そう思うと己の内に眠る庇護欲が湧き出てくる。
もしかしたらとんでもない危険人物なのかもしれないけど、今の自分に彼を見捨てるという選択肢は到底取れそうになかった。
「――ねえクロムくん。もしよかったら、私と一緒に来ない?」
「エルミアさんと一緒に……? 良いんですか?」
「もちろんよ。とりあえず、町まで連れて行ってあげる」
そう笑みを浮かべてクロムに手を差し伸べたエルミア。
誰かに優しくされるという経験に乏しかったクロムは、何故この人はこんなにも自分を良くしてくれるのかと言う疑問が噴き出てくる。
屋敷のメイド達ですらクロムのことを邪険に扱ってきたというのに。
しかし今のクロムにこの提案を断るという選択肢は存在しなかった。
このままここに放置されてエルミアがどこかへ行ってしまえば、次に人に会えるのはいつか分からない。
そもそも生きるためにはどうすれば良いのかと言う知識に乏しいクロムは、誰かに頼るしか方法がなかった。
最強の剣士になるという夢を叶える以前に、まずは人間として生きていく術を教わらなければいけなかったのだ。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「よーし、そうと決まれば早速町へ行こうか! ほら、立って立って」
「えっと、はいーーうわっ!?」
言われるがままに立ち上がると、エルミアはクロムを一瞬にして抱きかかえた。
ちょっとばかし気恥ずかしさを覚えるクロムだったが、久しく触れてこなかった人のぬくもりと言うものが思っていた以上に心地よかったのでそのまま抱えられることを選ぶ。
今度はしっかり自分の手で妖刀を握り、再び柔らかい感触を味わいながら彼女の腕の中に納まった。
そしてエルミアが鞄へ視線を向けると、なんと突如として鞄が自動で浮かび上がり、彼女のすぐ傍へと移動してきた。
これは物体を浮かせる上級魔法であり、エルミアが得意とする魔法でもあった。
彼女はこの魔法を使って自分自身すら浮遊させ、空を自在に駆けることが出来る。
「それじゃ、行くよ! しっかりつかまっててね!」
「は、はい!」
その宣言と共に、エルミアとクロムの体は空高く打ちあがっていく。
空を飛ぶという経験が初めてなクロムは本能的に恐怖を感じ、掴む力が少し強まった。
それを察したのか、エルミアはより強くしっかりと抱えてくれたので落ちる心配はなさそうだ。
「――ところで、エルミアさんはどうして僕を助けてくれたんですか?」
「私、ギルドの依頼でこの近辺の調査に来ていたの。ファアリの森の魔力が大きく乱れていたから確かめて来いってさ」
「ギルド? ファアリの森?」
「町に着いたらその辺も詳しく教えてあげる。とりあえず今はお仕事で来たって理解してくれればいいわ」
「分かりました」
「それで謎の縦型の大穴が出来ていたから、その近辺を見て回っていたらたまたまクロムくんを見つけたから保護したの」
縦型の大穴。その正体はクロムが妖刀を使って切り裂いた跡だろうと推察した。
魔力の乱れについては全く心当たりがなかったけれど、穴を沿うように歩いていたのは正解だったなと過去の自分を褒めた。
そのおかげでこのように幸運に恵まれ、助けてもらえたのだから。
「なるほど。ありがとうございます」
「うんうん。他にも聞きたいことがあったら町に着いてから答えるね。それじゃ、飛ばすよ!」
そう言って再びクロムの小さな体を強く抱きしめ、加速した。
今までのような味気のない食事ではなく、他者の優しさがスパイスとして加わった食事は格別だった。
クロムは丁寧に箱を閉じ、右手で目を擦って涙を拭き取る。
「ごちそうさまでした。とっても美味しかったです」
「お粗末さまでした。そんなに美味しそうに食べてくれるんならまた作りたくなっちゃうね」
どうやらこれはエルミアの手作りだったようだ。
また味わえるなら嬉しいな、とクロムは思いつつ、彼女の好意に甘えすぎるのは良くないと自制した。
身体に活力が戻ったのを感じつつ、ふと思い出したように懐をまさぐる。
そしてすぐ近くに妖刀があるのを確認すると、ほっと息を付いた。
「……その刀、キミのだよね? 近くにあったから一緒に持ってきたけど」
「えっと、はい。一応僕の刀です」
正確には追い出される際に父親から押し付けられただけの呪われた妖刀だ。
持ち主を呪い殺すという噂の恐ろしい武器が手元にあることで安堵するだなんて不思議な気分になる。
でも現状自分が戦う上で必要な武器がこれしかないので、なくなってしまっては困るのだ。
「もしよかったらその刀、どこで手に入れたのか教えてもらえる?」
「これは――ごめんなさい、分かりません。目が覚めたら隣にあっただけなので……」
「そっか。それならいいの。不思議な雰囲気を持つ刀だったからちょっと気になっちゃってね」
このことについて、エルミアは深く追求しなかった。
妖刀がクロムを主として認め、自らの意思で彼に付いてきたことは敢えて伏せて置いた。
クロムとしても妖刀がジーヴェスト公爵家の所有物であったことを明かすと面倒なことになると思ったので、嘘にはならない範囲で答えた。
「――ところで、どうしてクロムくんはあんなところで一人で倒れてたの? 話せる範囲でいいから、教えて欲しいな」
「それは――」
クロムは一瞬、言葉に詰まった。
それは自分がどこまで言葉にしてよいのかという疑問と、あまりに惨めな自分のこれまでの人生をあまり語りたくないという思いからだ。
だけど、この人になら。生まれて初めて母親と師匠以外で自分を救ってくれたこの人なら。
自分のことを少し、話してもいいかもしれないという気持ちになった。
「僕は――父親に捨てられたんです。出来損ないだったから、もういらないって」
「……そっか。だからあんな危険なところに一人でいたんだね」
「はい。行く当てもなく彷徨っていました」
「でもよくあんな場所で魔物に襲われずに生き延びられたね。上手く隠れられたのかな?」
「何度か襲われたけれど倒してきました。幸いあんまり強くなかったので、運が良かったです」
それを聞いたエルミアは表情を曇らせた。
あんまり強くなかった――そう平然と口にするクロムは嘘を言っているようには見えなかった。
このあたりの魔物が大して強くない? 冗談じゃない。
あのファアリの森に住まう魔物は、多少腕に覚えがある程度の者では太刀打ちできない凶悪な魔物が跋扈する危険地帯だ。
それをあんな小さな刀一本で何体も倒してきたというこの少年はいったい何者なのだろうか。
もしそれが真実だとすれば、彼のどこが出来損ないなのか。
「……そっか、辛いことを思い出させちゃってごめんなさい」
「いえ、大丈夫です」
「一応聞いておきたいんだけど、お母さんとかおじいちゃんおばあちゃんとか、誰か頼れる人はいない?」
「お母さんはもう何年も前に亡くなりました。おじいちゃんとかは……会ったことがないので、ちょっと分からないです」
その答えを聞いたエルミアは己の失言を悔いた。
先ほど以上に辛いことを思い出させてしまった配慮のなさに申し訳なさが滲み出る。
この子はもう、本当の意味で独りなのだ。
そう思うと己の内に眠る庇護欲が湧き出てくる。
もしかしたらとんでもない危険人物なのかもしれないけど、今の自分に彼を見捨てるという選択肢は到底取れそうになかった。
「――ねえクロムくん。もしよかったら、私と一緒に来ない?」
「エルミアさんと一緒に……? 良いんですか?」
「もちろんよ。とりあえず、町まで連れて行ってあげる」
そう笑みを浮かべてクロムに手を差し伸べたエルミア。
誰かに優しくされるという経験に乏しかったクロムは、何故この人はこんなにも自分を良くしてくれるのかと言う疑問が噴き出てくる。
屋敷のメイド達ですらクロムのことを邪険に扱ってきたというのに。
しかし今のクロムにこの提案を断るという選択肢は存在しなかった。
このままここに放置されてエルミアがどこかへ行ってしまえば、次に人に会えるのはいつか分からない。
そもそも生きるためにはどうすれば良いのかと言う知識に乏しいクロムは、誰かに頼るしか方法がなかった。
最強の剣士になるという夢を叶える以前に、まずは人間として生きていく術を教わらなければいけなかったのだ。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「よーし、そうと決まれば早速町へ行こうか! ほら、立って立って」
「えっと、はいーーうわっ!?」
言われるがままに立ち上がると、エルミアはクロムを一瞬にして抱きかかえた。
ちょっとばかし気恥ずかしさを覚えるクロムだったが、久しく触れてこなかった人のぬくもりと言うものが思っていた以上に心地よかったのでそのまま抱えられることを選ぶ。
今度はしっかり自分の手で妖刀を握り、再び柔らかい感触を味わいながら彼女の腕の中に納まった。
そしてエルミアが鞄へ視線を向けると、なんと突如として鞄が自動で浮かび上がり、彼女のすぐ傍へと移動してきた。
これは物体を浮かせる上級魔法であり、エルミアが得意とする魔法でもあった。
彼女はこの魔法を使って自分自身すら浮遊させ、空を自在に駆けることが出来る。
「それじゃ、行くよ! しっかりつかまっててね!」
「は、はい!」
その宣言と共に、エルミアとクロムの体は空高く打ちあがっていく。
空を飛ぶという経験が初めてなクロムは本能的に恐怖を感じ、掴む力が少し強まった。
それを察したのか、エルミアはより強くしっかりと抱えてくれたので落ちる心配はなさそうだ。
「――ところで、エルミアさんはどうして僕を助けてくれたんですか?」
「私、ギルドの依頼でこの近辺の調査に来ていたの。ファアリの森の魔力が大きく乱れていたから確かめて来いってさ」
「ギルド? ファアリの森?」
「町に着いたらその辺も詳しく教えてあげる。とりあえず今はお仕事で来たって理解してくれればいいわ」
「分かりました」
「それで謎の縦型の大穴が出来ていたから、その近辺を見て回っていたらたまたまクロムくんを見つけたから保護したの」
縦型の大穴。その正体はクロムが妖刀を使って切り裂いた跡だろうと推察した。
魔力の乱れについては全く心当たりがなかったけれど、穴を沿うように歩いていたのは正解だったなと過去の自分を褒めた。
そのおかげでこのように幸運に恵まれ、助けてもらえたのだから。
「なるほど。ありがとうございます」
「うんうん。他にも聞きたいことがあったら町に着いてから答えるね。それじゃ、飛ばすよ!」
そう言って再びクロムの小さな体を強く抱きしめ、加速した。
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