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第五章 グランスレイフ
63.海の支配者
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「あの魔王が押されてるぞ……。このままじゃ、船ごと俺たちまで沈められるんじゃないか」
俺と唯葉は、物陰から魔人たちと巨大イカ……聞こえてきた声によれば、クラーケンと呼ぶらしい、その魔物との戦いを眺めていた。
しかし、あの強大な力を振るった魔王が押されているのはどういうことなのだろうか? あの竜の姿の魔王なら、あんなに手こずることはないだろう。
とにかく、このまま黙って見ていれば、あのクラーケンになす術もなく、俺たちも一緒に沈没してしまうのがオチだ。
「……でも、魔人たちに見つかったら……」
「その時はその時、何とかしよう。とにかく、このまま船が沈んだらどっちみち俺たちも死ぬんだ」
こうしているうちにも、状況は刻一刻と悪化している。どんどん魔人たちは押され続け、いつ船が崩されてもおかしくない状況だ。
「唯葉は後ろから魔法を頼む。俺は……あのクラーケンと直接戦ってくる」
「……わかった。気をつけてね、お兄ちゃん」
唯葉は巨大な魔物、クラーケンの元に向かう兄を見送りながら、魔法を唱える。
「――『サンダー・ブラスト』ッ!」
最近は活躍の場が増えてきたように感じる、超高火力の雷魔法を唱えた。
――ゴオオオオォォォォォォォッ!! と、とても雷だとは思えない轟音が響き渡るので忘れてしまいがちではあるが、これは紛れもなく雷魔法である。
唯葉の魔法は、魔人たちを襲おうとした足をいくつか吹き飛ばす。全ての足を潰すことは出来なかったが、ひとまず攻撃を遅らせることには成功した。
唯葉の魔法で吹き飛んだ足は五本。そして、一本は魔人たちと魔王で抑えている。残り四本の足は、一度後ろに下がったが、再び魔人たちを目掛けて襲い掛かろうとしていた。
その残った足が攻撃に入ろうとした瞬間、今度は魔人たちの後ろから一人の人影が飛び出してくる。それは、魔王プレシャと互角に戦った男。
「――『マジック・コンバータ』……『力』ッ!」
勢いよく飛び上がった俺は、目の前の足に右手の剣を――スパンッ!! と、全力で振るい、一本の足を真っ二つに切り飛ばす。
真っ二つになって落ちていく太い足を足場にして再び飛び上がると、次の足へと向けてさらに加速し、ペットボトルロケットのように飛んでいく。
勢いに任せて次の足も剣で真っ二つにした俺は、一度船上へと着地する。
クラーケンが自由に動かせる足は二本。あとは下手にこちらから攻めずに、向かってくる足を切るだけだ。
そう思った矢先、二本の足が俺に目掛けて伸ばされ、向かってくる。うち一本を、俺は右手の剣を振って真っ二つにする。
しかし、その間に背後からもう一本の足が迫っていた。足は速く、間に合う気がしない――が、その足が俺を叩き潰すことはなかった。
――ギュウウウゥゥゥンッ!!
後方から、一本の雷撃が放たれる。その雷撃は、俺へと向かう足を貫いて、動きを止める。
その止まった足を、俺は右手の剣で一振り。スパンッ、と真っ二つにした。
そして、残った最後の一本である、魔王と魔人たちで抑え続けていた足もついでに真っ二つにし、無事クラーケンの足を全て切断することに成功した。
「グギイイイ!? ギギギガアアアァァァァァッ!!」
「……足が無ければ何もできない……よな」
クラーケンは絶叫を上げながら、俺たちの乗る船から遠ざかっていく。
何とかクラーケンを撃退した俺は、一度剣をしまうと、こちらを見て呆気に取られる魔人たちに向けて、声をかける。
「その……、大丈夫だったか?」
俺と唯葉は、物陰から魔人たちと巨大イカ……聞こえてきた声によれば、クラーケンと呼ぶらしい、その魔物との戦いを眺めていた。
しかし、あの強大な力を振るった魔王が押されているのはどういうことなのだろうか? あの竜の姿の魔王なら、あんなに手こずることはないだろう。
とにかく、このまま黙って見ていれば、あのクラーケンになす術もなく、俺たちも一緒に沈没してしまうのがオチだ。
「……でも、魔人たちに見つかったら……」
「その時はその時、何とかしよう。とにかく、このまま船が沈んだらどっちみち俺たちも死ぬんだ」
こうしているうちにも、状況は刻一刻と悪化している。どんどん魔人たちは押され続け、いつ船が崩されてもおかしくない状況だ。
「唯葉は後ろから魔法を頼む。俺は……あのクラーケンと直接戦ってくる」
「……わかった。気をつけてね、お兄ちゃん」
唯葉は巨大な魔物、クラーケンの元に向かう兄を見送りながら、魔法を唱える。
「――『サンダー・ブラスト』ッ!」
最近は活躍の場が増えてきたように感じる、超高火力の雷魔法を唱えた。
――ゴオオオオォォォォォォォッ!! と、とても雷だとは思えない轟音が響き渡るので忘れてしまいがちではあるが、これは紛れもなく雷魔法である。
唯葉の魔法は、魔人たちを襲おうとした足をいくつか吹き飛ばす。全ての足を潰すことは出来なかったが、ひとまず攻撃を遅らせることには成功した。
唯葉の魔法で吹き飛んだ足は五本。そして、一本は魔人たちと魔王で抑えている。残り四本の足は、一度後ろに下がったが、再び魔人たちを目掛けて襲い掛かろうとしていた。
その残った足が攻撃に入ろうとした瞬間、今度は魔人たちの後ろから一人の人影が飛び出してくる。それは、魔王プレシャと互角に戦った男。
「――『マジック・コンバータ』……『力』ッ!」
勢いよく飛び上がった俺は、目の前の足に右手の剣を――スパンッ!! と、全力で振るい、一本の足を真っ二つに切り飛ばす。
真っ二つになって落ちていく太い足を足場にして再び飛び上がると、次の足へと向けてさらに加速し、ペットボトルロケットのように飛んでいく。
勢いに任せて次の足も剣で真っ二つにした俺は、一度船上へと着地する。
クラーケンが自由に動かせる足は二本。あとは下手にこちらから攻めずに、向かってくる足を切るだけだ。
そう思った矢先、二本の足が俺に目掛けて伸ばされ、向かってくる。うち一本を、俺は右手の剣を振って真っ二つにする。
しかし、その間に背後からもう一本の足が迫っていた。足は速く、間に合う気がしない――が、その足が俺を叩き潰すことはなかった。
――ギュウウウゥゥゥンッ!!
後方から、一本の雷撃が放たれる。その雷撃は、俺へと向かう足を貫いて、動きを止める。
その止まった足を、俺は右手の剣で一振り。スパンッ、と真っ二つにした。
そして、残った最後の一本である、魔王と魔人たちで抑え続けていた足もついでに真っ二つにし、無事クラーケンの足を全て切断することに成功した。
「グギイイイ!? ギギギガアアアァァァァァッ!!」
「……足が無ければ何もできない……よな」
クラーケンは絶叫を上げながら、俺たちの乗る船から遠ざかっていく。
何とかクラーケンを撃退した俺は、一度剣をしまうと、こちらを見て呆気に取られる魔人たちに向けて、声をかける。
「その……、大丈夫だったか?」
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