25 / 39
第4章 第3の事件へ
24話 犯人からの電話《4/2修正》
しおりを挟む
突如、舩木家の固定電話に非通知の電話がかかった。
「お宅の娘は預かった。娘が返して欲しければ指示を待て」
何気なく出た非通知の電話からは機械で加工された音声で男性とも女性とも見分けがつかなかった。
「もしもし、警部さん。私の家の固定電話に……」
「どうしたんですか? 貴女の固定電話に?」
「はい……我が家の固定電話に掛かってきたんです! 非通知の電話が」
「それがどうされました?」
「是非これを聞いて欲しいです……。娘が、娘が。誘拐されたんじゃないか? とにかく……警部さん。私の家に来て頂けますか?」
「いいでしょう。わかりました、直ぐに向かわせて頂きます」
お宅の娘は預かった、次の指示を待て──ただの一言を聞いてぴーんっと来た、とある警部によって、ひろ子が誘拐されたと言う情報が所轄の警部補らに共有された。
そして、警部らにとって、これほど感情を表だって出した事がないほどの「誘拐」と言う一つの事件が始まりを見せたのである。
早速、誘拐捜査の為に着信の逆探知が舩木家にて行われた。誘拐が母親の梓乃に甚大な不安を与える為に、母親の梓乃には警部らの口から何度も繰り返し、安心させる為に、「安心してください! 娘さんは必ず助けますから」と言う問答が行われた。
「えぇー、今回の誘拐事件について、犯人の電話のIPアドレスを調べた所、海外のIPアドレスを経由しており、詳細は不明でした」
「なら、犯人からの要求は?」
「未だありません」
「娘さんの安否は?」
「未だ確認できていません」
「……そうか……」
幾つもの事件を手掛ける警部らから成る誘拐捜査特別チームの会話を聞き、安堵する母親の梓乃。
「娘は……娘は……助かりますよね?」
「勿論で……」
そんな母親の梓乃を安心させる会話が交わされて、会話が途切れて沈黙が流れた数分後。着信音が梓乃の固定電話から鳴り響いた。非通知である。
「来た! 非通知です!」
「私達警察の指示を思い出しながら、電話にでてください」
とある警部が電話に出る前の秒数を残り五秒から数え出した。数える目的は逆探知を行う為の準備が整い開始された事と、逆探知を現在行っていると言う警察がバックについている事である。そして、犯人の所在地を掴み、誘拐された娘を持つ家族を安心させる為でもある。
「もう一度言う。娘を返して欲しければこれから言う指示通りに動け。普段使いの鞄と現金千八百万円を持って、一人で鶴舞線の平針駅から電車に乗り、電車内に紙袋を置いてあるから受けとり──」
「待って! 娘は? 娘は?」
誘拐犯からの電話は一方的に切られた。
「お宅の娘は預かった。娘が返して欲しければ指示を待て」
何気なく出た非通知の電話からは機械で加工された音声で男性とも女性とも見分けがつかなかった。
「もしもし、警部さん。私の家の固定電話に……」
「どうしたんですか? 貴女の固定電話に?」
「はい……我が家の固定電話に掛かってきたんです! 非通知の電話が」
「それがどうされました?」
「是非これを聞いて欲しいです……。娘が、娘が。誘拐されたんじゃないか? とにかく……警部さん。私の家に来て頂けますか?」
「いいでしょう。わかりました、直ぐに向かわせて頂きます」
お宅の娘は預かった、次の指示を待て──ただの一言を聞いてぴーんっと来た、とある警部によって、ひろ子が誘拐されたと言う情報が所轄の警部補らに共有された。
そして、警部らにとって、これほど感情を表だって出した事がないほどの「誘拐」と言う一つの事件が始まりを見せたのである。
早速、誘拐捜査の為に着信の逆探知が舩木家にて行われた。誘拐が母親の梓乃に甚大な不安を与える為に、母親の梓乃には警部らの口から何度も繰り返し、安心させる為に、「安心してください! 娘さんは必ず助けますから」と言う問答が行われた。
「えぇー、今回の誘拐事件について、犯人の電話のIPアドレスを調べた所、海外のIPアドレスを経由しており、詳細は不明でした」
「なら、犯人からの要求は?」
「未だありません」
「娘さんの安否は?」
「未だ確認できていません」
「……そうか……」
幾つもの事件を手掛ける警部らから成る誘拐捜査特別チームの会話を聞き、安堵する母親の梓乃。
「娘は……娘は……助かりますよね?」
「勿論で……」
そんな母親の梓乃を安心させる会話が交わされて、会話が途切れて沈黙が流れた数分後。着信音が梓乃の固定電話から鳴り響いた。非通知である。
「来た! 非通知です!」
「私達警察の指示を思い出しながら、電話にでてください」
とある警部が電話に出る前の秒数を残り五秒から数え出した。数える目的は逆探知を行う為の準備が整い開始された事と、逆探知を現在行っていると言う警察がバックについている事である。そして、犯人の所在地を掴み、誘拐された娘を持つ家族を安心させる為でもある。
「もう一度言う。娘を返して欲しければこれから言う指示通りに動け。普段使いの鞄と現金千八百万円を持って、一人で鶴舞線の平針駅から電車に乗り、電車内に紙袋を置いてあるから受けとり──」
「待って! 娘は? 娘は?」
誘拐犯からの電話は一方的に切られた。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
朱糸
黒幕横丁
ミステリー
それは、幸福を騙った呪い(のろい)、そして、真を隠した呪い(まじない)。
Worstの探偵、弐沙(つぐさ)は依頼人から朱絆(しゅばん)神社で授与している朱糸守(しゅしまもり)についての調査を依頼される。
そのお守りは縁結びのお守りとして有名だが、お守りの中身を見たが最後呪い殺されるという噂があった。依頼人も不注意によりお守りの中身を覗いたことにより、依頼してから数日後、変死体となって発見される。
そんな変死体事件が複数発生していることを知った弐沙と弐沙に瓜二つに変装している怜(れい)は、そのお守りについて調査することになった。
これは、呪い(のろい)と呪い(まじない)の話
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
マクデブルクの半球
ナコイトオル
ミステリー
ある夜、電話がかかってきた。ただそれだけの、はずだった。
高校時代、自分と折り合いの付かなかった優等生からの唐突な電話。それが全てのはじまりだった。
電話をかけたのとほぼ同時刻、何者かに突き落とされ意識不明となった青年コウと、そんな彼と昔折り合いを付けることが出来なかった、容疑者となった女、ユキ。どうしてこうなったのかを調べていく内に、コウを突き落とした容疑者はどんどんと増えてきてしまう───
「犯人を探そう。出来れば、彼が目を覚ますまでに」
自他共に認める在宅ストーカーを相棒に、誰かのために進む、犯人探し。
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる