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第4章 第3の事件へ

24話 犯人からの電話《4/2修正》

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 突如とつじょ、舩木家の固定電話に非通知の電話がかかった。

「お宅の娘は預かった。娘が返して欲しければ指示を待て」

 何気なく出た非通知の電話からは機械で加工された音声で男性とも女性とも見分けがつかなかった。


「もしもし、警部さん。私の家の固定電話に……」
「どうしたんですか? 貴女の固定電話に?」
「はい……我が家の固定電話に掛かってきたんです! 非通知の電話が」
「それがどうされました?」
「是非これを聞いて欲しいです……。娘が、娘が。誘拐されたんじゃないか? とにかく……警部さん。私の家に来て頂けますか?」
「いいでしょう。わかりました、直ぐに向かわせて頂きます」

 
 お宅の娘は預かった、次の指示を待て──ただの一言を聞いてぴーんっと来た、とある警部によって、ひろ子が誘拐されたと言う情報が所轄の警部補らに共有された。
そして、警部らにとって、これほど感情を表だって出した事がないほどの「誘拐」と言う一つの事件が始まりを見せたのである。


 早速、誘拐捜査の為に着信の逆探知が舩木家にて行われた。誘拐が母親の梓乃に甚大な不安を与える為に、母親の梓乃には警部らの口から何度も繰り返し、安心させる為に、「安心してください! 娘さんは必ず助けますから」と言う問答がおこなわれた。


「えぇー、今回の誘拐事件について、犯人の電話のIPアドレスを調べた所、海外のIPアドレスを経由しており、詳細は不明でした」
「なら、犯人からの要求は?」
「未だありません」
「娘さんの安否は?」
「未だ確認できていません」
「……そうか……」

 
 幾つもの事件を手掛ける警部らから成る誘拐捜査特別チームの会話を聞き、安堵する母親の梓乃。

「娘は……娘は……助かりますよね?」
勿論もちろんで……」

 そんな母親の梓乃を安心させる会話が交わされて、会話が途切れて沈黙が流れた数分後。着信音が梓乃の固定電話から鳴り響いた。非通知である。

「来た! 非通知です!」
「私達警察の指示を思い出しながら、電話にでてください」

 とある警部が電話に出る前の秒数を残り五秒から数え出した。数える目的は逆探知を行う為の準備が整い開始された事と、逆探知を現在行っていると言う警察がバックについている事である。そして、犯人の所在地を掴み、誘拐された娘を持つ家族を安心させる為でもある。

「もう一度言う。娘を返して欲しければこれから言う指示通りに動け。普段使いの鞄と現金千八百万円を持って、一人で鶴舞つるまい線の平針駅から電車に乗り、電車内に紙袋を置いてあるから受けとり──」
「待って! 娘は? 娘は?」

 誘拐犯からの電話は一方的に切られた。
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