秘密の洋館

明智風龍

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本編 洋館での出会い

9話

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 守永は、彼女の案内に従い、洋館の大広間の扉をくぐった。そこには、豪奢ごうしゃで巨大なシャンデリアが一つ、中央の天井に吊り下げられていた。床一面には通路や寝室とは異なる赤を基調にした巨大なペルシャ絨毯が敷き詰められていた。大小様々なガラス細工のテーブルが幾つも置かれており、そこには白い絹のレースの布が被せられていた。

 そんな豪華な大広間の一角で、騒いでいる人の群れを守永と内田渚は見つけた。

「ねぇ、皆。新入りが来たわ。」
「今。大事な局面なんだ! 誰が負けて、あの部屋に入れられるか? もうじき決まる所だから、話かけるんじゃねーよ! 渚。」
「何よ! あんたら、見てたでしょ? あの人の目も当てられない変わり果てた姿を。」
「だから、何なんだ!」
「あんたら、もう……正気の沙汰さたじゃないわ! あんたらもあのGMゲームマスター達と同類だわ! 呆れた。」

 彼女は騒いでいる集団に吐き捨てるように台詞を残すと、守永の方を振り返って、守永に謝った。

「ごめんなさいね。あいつらも、元はここで知り合った仲間同然だったんだけどねぇ。あの人のあんな変わり果てた姿を、目の当たりにしてから、血相変えて……ひぐっ、ふぐっ……。」

 内田渚は、この場所の事や状況を何一つ理解できてない守永に話しかけると涙をぼろぼろ流した。

「ちょっ。何、急に泣いているんですか? だ、大丈夫ですか?」
「ひぐっ、グスッ。大、大丈夫。気遣ってくれてありがとう。」

 守永は、目の前で、まだ若く守永自身と同年齢に見える幼気いたいけな女性が泣いているのを、どう接すれば良いか、分からずにおたおたしていた。

「そ、それで。その……。俺はどうしたら……。貴女の名前もまだ聞いてなかったし……。」
「……そうね。何もしなくて良いわ。私が勝手に泣いていただけだもの。私は渚よ。内田渚。」
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