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10. 第6感
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ルーシーとブルーベルと3人で撮影場所の近くのイタリアンレストランに向かう途中、初めてブルーベルに声をかけた。こんな短期間に2人のビッグスターと話せる機会が訪れるなんて半月前には夢にも思っていなかった。ルーシーの友人とはいえかなりの有名人とあって話しかけるのには勇気が要ったけれど、数日前に公開された彼女の新曲のミュージックビデオが凄く素敵だったので、どうしても作品への感想を伝えたかったのだ。
「あなたの新曲のミュージックビデオ、今までで最高に良かった」
ブルーベルは「ありがとう」と透き通った声で答えると、少女のようにはにかんで笑った。
「ずっとアニメーション風のMVを作りたいと思ってたの」
「もしかしてアニメが好きとか?」
「ええ、日本のアニメが大好きなの。『千と千尋の神隠し』とか、『隣のトトロ』とか。何度観ても感動するわ」
ブルーベルが私と同じアニメが好きということに嬉しくなって、一気に彼女が身近に感じられた。
「スタジオジブリね。私も大好きなんだ」
アニメの話で盛り上がっている私たちの横で、ルーシーは目を細めてブルーベルの姿を見つめている。
もしかしたらーー。
その時頭に浮かんだ考えは、いわゆる第6感というやつから発せられたものかもしれなかった。もしかしたら、ルーシーはブルーベルのことが好きなのかもしれない。ルーシーは以前私に撮影前のメイクを施していたとき、小さな頃からずっと好きな人がいると打ち明けたことがある。私はその話に「そうなんだ、両想いになれるといいね」と何とはなしに答えたのだが。
ルーシーがブルーベルに向ける眼差しは、眠れない夜に飲むホットミルクのようだ。優しくて、少しだけ甘くて温かい。ルーシーからこんな視線を向けられるブルーベルは幸せだ。ルーシーがもしブルーベルと付き合ったら、きっと彼女を世界一幸せにするだろう。一途で誠実そうなルーシーは浮気もしないだろうし、誕生日や記念日には綺麗な花束や心のこもった手紙や贈り物なんかをプレゼントするに違いない。恋愛話に全く興味がない私だけれど、そんな2人の惚気話なら耳を傾けるのも悪くない。
そこでふと考える。
もしルーシーがブルーベルのことを好きなんだとしたら、私は貴重な2人きりの時間を奪ってしまうことになるんじゃないか。友達の恋を応援するために私にできることは、今すぐ適当な言い訳をして退散することなんじゃないか。
「私、用事思い出したわ」
ルーシーとブルーベルを2人きりにしなければという考えが先に立った私はいかにもわざとらしい言い訳をしたあとで、不思議そうに顔を見合わせている2人に手を振って反対方向にあるコンビニへと向かった。
「あなたの新曲のミュージックビデオ、今までで最高に良かった」
ブルーベルは「ありがとう」と透き通った声で答えると、少女のようにはにかんで笑った。
「ずっとアニメーション風のMVを作りたいと思ってたの」
「もしかしてアニメが好きとか?」
「ええ、日本のアニメが大好きなの。『千と千尋の神隠し』とか、『隣のトトロ』とか。何度観ても感動するわ」
ブルーベルが私と同じアニメが好きということに嬉しくなって、一気に彼女が身近に感じられた。
「スタジオジブリね。私も大好きなんだ」
アニメの話で盛り上がっている私たちの横で、ルーシーは目を細めてブルーベルの姿を見つめている。
もしかしたらーー。
その時頭に浮かんだ考えは、いわゆる第6感というやつから発せられたものかもしれなかった。もしかしたら、ルーシーはブルーベルのことが好きなのかもしれない。ルーシーは以前私に撮影前のメイクを施していたとき、小さな頃からずっと好きな人がいると打ち明けたことがある。私はその話に「そうなんだ、両想いになれるといいね」と何とはなしに答えたのだが。
ルーシーがブルーベルに向ける眼差しは、眠れない夜に飲むホットミルクのようだ。優しくて、少しだけ甘くて温かい。ルーシーからこんな視線を向けられるブルーベルは幸せだ。ルーシーがもしブルーベルと付き合ったら、きっと彼女を世界一幸せにするだろう。一途で誠実そうなルーシーは浮気もしないだろうし、誕生日や記念日には綺麗な花束や心のこもった手紙や贈り物なんかをプレゼントするに違いない。恋愛話に全く興味がない私だけれど、そんな2人の惚気話なら耳を傾けるのも悪くない。
そこでふと考える。
もしルーシーがブルーベルのことを好きなんだとしたら、私は貴重な2人きりの時間を奪ってしまうことになるんじゃないか。友達の恋を応援するために私にできることは、今すぐ適当な言い訳をして退散することなんじゃないか。
「私、用事思い出したわ」
ルーシーとブルーベルを2人きりにしなければという考えが先に立った私はいかにもわざとらしい言い訳をしたあとで、不思議そうに顔を見合わせている2人に手を振って反対方向にあるコンビニへと向かった。
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