7 / 22
6. 校舎裏の衝撃
しおりを挟む
追い打ちをかけるように、悲惨な出来事が襲った。
校舎裏で芽衣香さんが真白さんにキスをしているのを見た。キスをする直前、芽衣香さんは私の方をチラッと見た。まるで勝ち誇ったような笑顔を浮かべながら。
気づいたら非常階段にいた。芽衣香さんも、真白さんも大嫌いだ。芽衣香さんは、私が真白さんを好きなのを知っているはずだ。それなのに見せつけるみたいにあんなことをする、その神経が知れない。あと、されるがままになっている真白さんも嫌だ。
階段に座り込み、膝に顔を埋めた。熱いものが込み上げてくる。その雫は目と制服のスカートを同時に濡らした。
きいと、屋上に続く鉄扉が開く。
「見てたろ?」
という聞き慣れた声が耳に入る。顔を上げると、沖田さんがいた。天文学部の三年の男子だ。
「俺も屋上から見てたんだ。女同士でキスする奴らなんて、初めて見たよ」
沖田さんは皮肉な笑いを浮かべて、涙を拭っている私を見下ろしている。
「俺と同じだな」
「何がですか?」
「失恋組ってことだ」
「一緒にしないでください」
沖田さんが芽衣香さんを好きなのは知っていた。隠そうとしても、態度には滲み出る。男子は特に。こんなことを言うってことは、沖田さんも私の気持ちに気づいていたってことだろうか。
「何で知ってるんですか?」
「何が?」
「私が真白さんを好きなこと」
「そりゃあ、さっき君があそこにいたの見えたし、今こうして泣いてるから。見てしまってショックだったのかなって。それに、君は田崎と一番仲が良かったしな」
沖田さんに気づかれてしまったのは心外だった。彼と傷の舐め合いなんかするつもりはなかった。早くどっか行ってほしい。
「一人にしてくれませんか」
「ああ、悪かったよ。邪魔して」
こつこつと靴音を響かせて、沖田さんがいなくなる。先ほどの校舎裏のシーンがフラッシュバックしてきて呼吸困難になりそうになり、また大きく息を吸った。
校舎裏で芽衣香さんが真白さんにキスをしているのを見た。キスをする直前、芽衣香さんは私の方をチラッと見た。まるで勝ち誇ったような笑顔を浮かべながら。
気づいたら非常階段にいた。芽衣香さんも、真白さんも大嫌いだ。芽衣香さんは、私が真白さんを好きなのを知っているはずだ。それなのに見せつけるみたいにあんなことをする、その神経が知れない。あと、されるがままになっている真白さんも嫌だ。
階段に座り込み、膝に顔を埋めた。熱いものが込み上げてくる。その雫は目と制服のスカートを同時に濡らした。
きいと、屋上に続く鉄扉が開く。
「見てたろ?」
という聞き慣れた声が耳に入る。顔を上げると、沖田さんがいた。天文学部の三年の男子だ。
「俺も屋上から見てたんだ。女同士でキスする奴らなんて、初めて見たよ」
沖田さんは皮肉な笑いを浮かべて、涙を拭っている私を見下ろしている。
「俺と同じだな」
「何がですか?」
「失恋組ってことだ」
「一緒にしないでください」
沖田さんが芽衣香さんを好きなのは知っていた。隠そうとしても、態度には滲み出る。男子は特に。こんなことを言うってことは、沖田さんも私の気持ちに気づいていたってことだろうか。
「何で知ってるんですか?」
「何が?」
「私が真白さんを好きなこと」
「そりゃあ、さっき君があそこにいたの見えたし、今こうして泣いてるから。見てしまってショックだったのかなって。それに、君は田崎と一番仲が良かったしな」
沖田さんに気づかれてしまったのは心外だった。彼と傷の舐め合いなんかするつもりはなかった。早くどっか行ってほしい。
「一人にしてくれませんか」
「ああ、悪かったよ。邪魔して」
こつこつと靴音を響かせて、沖田さんがいなくなる。先ほどの校舎裏のシーンがフラッシュバックしてきて呼吸困難になりそうになり、また大きく息を吸った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
乙女三年会わざれば恋すべし!
楠富 つかさ
青春
同じ小学校を卒業した幼馴染同士だけど、中学で離れ離れになってしまった。そして三年ぶりに再会する少女二人。
離れていた時間があるからこそ、二人の少女の恋心は春よりも熱く、強く、熱を帯びる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合色雪月花は星空の下に
楠富 つかさ
青春
友達少ない系女子の星野ゆきは高校二年生に進級したものの、クラスに仲のいい子がほとんどいない状況に陥っていた。そんなゆきが人気の少ない場所でお昼を食べようとすると、そこには先客が。ひょんなことから出会った地味っ子と家庭的なギャルが送る青春百合恋愛ストーリー、開幕!
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
【完結まで毎日更新】籐球ミットラパープ
四国ユキ
青春
主人公・阿河彩夏(あがわあやか)は高校入学と同時にセパタクロー部から熱烈な勧誘を受ける。セパタクローとはマイナースポーツの一種で、端的に言うと腕を使わないバレーボールだ。
彩夏は見学に行った時には入部する気はさらさらなかったが、同級生で部員の千屋唯(せんやゆい)の傲慢で尊大な態度が気に食わず、売り言葉に買い言葉で入部してしまう。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
花
TEN-ent
青春
女子高生5人が
多くの苦難やイジメを受けながらも
ガールズバンドで成功していく物語
登場人物
ハナ 主人公
レイナ ハナの親友
エリ ハナの妹
しーちゃん 留学生
ミユ 同級生
マキ
あるグループの曲にリスペクトを込め作成
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる