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第2章〜クラウンへの道〜
誕生日②
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アマゾン川には浸水樹という木が生えている。雨季と乾季で水位が大きく変わり、森が沈むのだという。シドニーやブエノスアイレスでは見られなかった光景に息を呑む。
最初にガイドに続いてジャングルを探検した。すぐ側では泥混じりのような茶色い濁流が何もかもを飲み込もうとするかのようにごうごうと音を立てている。
熱帯雨林の中はヤシやバナナなどの木々やモンステラなどの珍しい丈の長い大きな草が茂っていた。90メートルの高さを持つ巨木もあった。
ナマケモノを見つけ、ガイドの手を借り腕に抱いて記念撮影が実現したシンディは感激していた。
人の手が加えられていない、幾多の未知の生命が息づく自然に触れるのは神秘的な感覚だった。こんな場所にずっと留まっていたら、普段とは異なるインスピレーションが湧いてきそうだ。
ジャングル探検の次は再びボートに乗り込みピラニア釣りに出かけた。竹竿に肉をつけた糸を垂らしていたら、ピラニアは意外に簡単に釣れた。ジュリエッタが命懸けで50センチ近いピラニアを釣り上げたのにはびっくりした。
「危うくピラニアの餌になるところだったわ」とジュリエッタは汗を拭った。
私もピラニアを数匹釣ったが、皆まだ子どものようなので指を噛みちぎられないよう気をつけながら川に返した。
釣ったピラニアは焚き火で焼いて食べられる。味は案外あっさりしていて美味だった。魚にかぶりついたジュリエッタが「あち!! 口の中が火事だわ!!」と叫び、「急いで食べるからよ」とシンディが苦笑した。この2人は本当に仲良しだ。
腹ごしらえをしたあと岸辺にある先住民の土地に行った。居住区立ち入り禁止とのことで、入るのを許されている岸辺の小屋に入った。小屋の中には鳥の羽や魚の骨などを使ってとても精巧に造られた民芸品が飾られていた。ジュリエッタは魚の鱗でできた謎のお面を、シンディはトゥッカーノという黄色い長い嘴で黒い羽のを持つ鳥の木彫り人形を買っていた。ちなみにトゥッカーノは熱帯雨林に住んでいるブラジルの代表的な鳥だという。私は悩んだ挙句ピラニアの剥製を買った。
最初にガイドに続いてジャングルを探検した。すぐ側では泥混じりのような茶色い濁流が何もかもを飲み込もうとするかのようにごうごうと音を立てている。
熱帯雨林の中はヤシやバナナなどの木々やモンステラなどの珍しい丈の長い大きな草が茂っていた。90メートルの高さを持つ巨木もあった。
ナマケモノを見つけ、ガイドの手を借り腕に抱いて記念撮影が実現したシンディは感激していた。
人の手が加えられていない、幾多の未知の生命が息づく自然に触れるのは神秘的な感覚だった。こんな場所にずっと留まっていたら、普段とは異なるインスピレーションが湧いてきそうだ。
ジャングル探検の次は再びボートに乗り込みピラニア釣りに出かけた。竹竿に肉をつけた糸を垂らしていたら、ピラニアは意外に簡単に釣れた。ジュリエッタが命懸けで50センチ近いピラニアを釣り上げたのにはびっくりした。
「危うくピラニアの餌になるところだったわ」とジュリエッタは汗を拭った。
私もピラニアを数匹釣ったが、皆まだ子どものようなので指を噛みちぎられないよう気をつけながら川に返した。
釣ったピラニアは焚き火で焼いて食べられる。味は案外あっさりしていて美味だった。魚にかぶりついたジュリエッタが「あち!! 口の中が火事だわ!!」と叫び、「急いで食べるからよ」とシンディが苦笑した。この2人は本当に仲良しだ。
腹ごしらえをしたあと岸辺にある先住民の土地に行った。居住区立ち入り禁止とのことで、入るのを許されている岸辺の小屋に入った。小屋の中には鳥の羽や魚の骨などを使ってとても精巧に造られた民芸品が飾られていた。ジュリエッタは魚の鱗でできた謎のお面を、シンディはトゥッカーノという黄色い長い嘴で黒い羽のを持つ鳥の木彫り人形を買っていた。ちなみにトゥッカーノは熱帯雨林に住んでいるブラジルの代表的な鳥だという。私は悩んだ挙句ピラニアの剥製を買った。
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