郵便屋さんとスーパーカブとその日常。

げこすけ

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第37通 郵便屋さんの一大イベント 〜お正月の郵便屋さん②〜 お年玉編

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今回はいかにもバブル期なお正月の郵便屋さんのお話しをしたいと思います。
 
 午前中に配達する書留の準備をしていると先輩が声を掛けてきました。
「お?〇〇さんの家に書留あるんだ?
ラッキーだな?お前!
俺が行こうか?」と、ある配達先の書留を見てニコニコ顔で話すのです。

 何がラッキーなんだろう?と不思議な気持ちで出発です。
高校生バイトの年賀状配達のペースを考えながら手持ちの書留や書状年賀の配達を進めると、その〇〇さんの家に到着したので書留をもって早速玄関チャイムを鳴らします。
 この〇〇さんの家はこちらの町内では由緒ある旧家の雰囲気がある邸宅でした。
玄関内から「はーい」と声が掛かったので、ガラリと玄関の引き戸を開けると玄関内には立派な石畳が引かれてあり、古き良き旧家の雰囲気が感じ取れました。
 すると奥から和服姿のご主人が現れ、私からの書留を受け取ると「正月からご苦労さんやな」と和服の袖から私に何か手渡ししてくれたのです。

そう。今回のタイトルにもありましたが、『お年玉』をくれたのです。

 今ではなかなか見かけなくなりましたが、まだ平成初期の頃では旧家の邸宅に住まれてる方で、昭和の頃の様に和服姿の方がお正月ではチラホラと見かけられたのです。
先輩方から聞いた話だと、その方はお正月の縁起物として、毎年郵便屋さんにお年玉を手渡していたそうで、その年は私がいただきました。
 翌年も運良く、その町が私の年賀状配達の担当区でしたので2年連続で元旦の書留配達時にお年玉を頂いたのですが、「なんだ?高校生のアルバイトはもう配達しないのか?」と言われたのです。

その時気づきました。
そうか!職員ではなく、高校生にお年玉をあげたいのだと。
そりゃそうですよね?いくら縁起物だと言っても職員より高校生バイトにお年玉をあげたいですよね?

 実は私が職員になる前は、今では考えられませんが高校生バイトにも書留配達をさせていたので、直接高校生がお客様と接する機会があったのです。
しかし、一般雇用のアルバイトがハンコやサインを偽造してお客様の現金書留などを着服するという事件が某郵便局で起こり、書留をアルバイトに渡さなくなったのです。
ですので少し前まで年賀状と書留を配達に来てくれていた高校生バイトにお年玉を渡していたのが、職員に代わっているので、お客様も面白くないわけです。
 それが分かったので、翌年からは高校生バイトに「〇〇さんの家に配達する時はポストじゃなくて、玄関の呼び鈴押して直接渡してね」と指示を出すようにしました。
当然、〇〇さんの家に配達した後の高校生は良い笑顔をしていましたね。

 年配の郵便屋さんの方々から昔の話を聞くと、この様に年賀状配達のアルバイトにお年玉を渡してくれるお客様もよくいらした様ですね。
今ではあまり無いですが、まだ昭和の良き風習が残っていた平成初期のバブル期のお話しでした。
  
 この年賀状にもお年玉クジが付いているのは皆さんご存知だと思いますが、このお年玉クジとは別に年賀状の早期差出人に当たるプレゼントというものもありました。
そのプレゼントで一風変わったプレゼントがありました。次回はそのお話しをしたいと思います。



今回もご愛読いただきありがとうございました。
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