郵便屋さんとスーパーカブとその日常。

げこすけ

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第16通 郵便屋さんの一大イベント。年末繁忙期編2 〜年賀状の転送郵便の処理。郵便局の転送シールの歴史〜

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前回は年賀状の還付郵便のグレーゾーンについてお話しました。
今回は年賀状の転送についてお話します。

その前に郵便屋さんの業界用語「事故つけ」を説明するのを忘れていました。

「事故つけ」?
交通事故の事?
まず、普通そう思いますよね?

転送処理をされる転居郵便やあて所に訪ねあたらない郵便、住所が不明な郵便、住所の記入が不完全な郵便等の還付される郵便物の事を総じて「事故郵便」と呼びます。
なぜ「事故郵便」と呼ばれるのかは私はわかりませんが、この事故郵便の処理を私が配属していた地域の郵便局では「事故をつける」や「事故処理」と呼んでいました。

現在の転居郵便の「事故つけ」はノートパソコンのプリンターから印刷された転送シールを旧住所が書かれた部分に貼り付ける。
機械区分機が読み取る透明なバーコード(ブラックライトを当てると見える)を専用のペンで消す。
この作業が通常郵便の転居郵便の基本処理です。

では、1990年代の転居処理はどうだったのでしょうか?

ズバリ!手書きです。

通常郵便の場合は転居届けの原簿を見て転居郵便の旧住所の横に赤ボールペンで新住所を手書きします。
その転居郵便が2、3枚ある場合は新住所を書いた郵便を上にして輪ゴムで留めて転居先に送ります。

と、いうことは年賀状も赤ボールペンで新住所を書くの?
年賀状って縁起物なのに赤文字を書いて良いの?と、思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

さすがに年賀状に赤ペンは使えません。
私がいたA郵便局では旧住所の上にシールを貼り、そこに黒ボールペンで新住所を書いていました。
この作業は1枚単位の場合です。
この当時は令和の現在とは違って年賀状はほとんどの家庭が出されていたので枚数も多いんですね、1世帯に100~200枚なんて普通ですから。
ではどうするか?
転送用の大きめの紙封筒に新住所と世帯主の名前を黒ペンで書き、年賀状を中に入れて転送していました。
ただ、A郵便局の配達範囲内での局内転居の場合は1枚だけ転居先を記入して輪ゴムに留めて転居先にまわしてました。

この手書き転居処理が当たり前の数年後に転送シールが誕生します。

あの一世を風靡したパソコンPC98に打ち込まれた転居情報を元にプリンターで印字された転送シールを貼り付けていくわけです。
これにはみんな喜びましたね。
もう手書きから解放されると!
まあ、実際にはしばらくは転送シールと手書きと両立される時代が続きます。
なぜか?
転送シールの補充が無くなった時にパートで雇われている事務員の女性の方々に補充シールの追加印刷を頼んでいたのですが、それが面倒くさい!手で書く方が早い!と言う人が多かったんですね。この頃は昔気質な職員が多い時代でしたので。

この後、現在へと時代が変わるにつれて郵便システムも変わり機械区分機が住所や名前を読み取り、道順組み立てされる様になります。
転送シールも現在の機械読み取り用バーコードが印字されている転送シールが開発されます。
そして転送される通常郵便も輪ゴムで転送先に送る事が専用のビニール袋に入れて転送するといった形に変更されていきます。
年賀状の転送も7枚程が入る年賀状サイズのビニール袋が作られ、その袋に転送シールを貼るとその袋のまま年賀状の機械区分機に掛かって機械で道順組み立てされる事も可能にもなりました。

1990年代の手書き時代から令和の現在の転居処理を経験している私としては手書き処理をしていた時代も懐かしく味があったなあと思います。

ちなみに現在の転送シールに印字されている機械区分機読み取り用バーコードですが、新住所の下側にボゴボコした太めの横線が書かれているのがそれです。
機会があれば見てみてください。


今回もご愛読ありがとうございました。
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