スーパーカブに乗る異世界の郵便屋さんは冒険がしたい。

げこすけ

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第42話 すごいぞ!竜王カッター

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「竜王の鱗だ…」
俺は革製のウエストポーチから竜王の鱗を取り出す。
薄く赤黒い、角度によっては虹色の光を発する鋭利な鱗を見ていると、咄嗟に頭に閃いた!

ガヂガヂガヂ……     ガチ… ガチ

ラグノの咆哮が消えた!!

「来るぞッッッ!!」
トム爺の叫び声に俺は一か八かの賭けに出た!

「うおおおりゃああああっっっ!!!!」
竜王の鱗を水平に構え、フリスビーの要領で手首のスナップを効かせて渾身の力でデモンラグノに投げる!!

シュルルルルッッッ!!
回転しながらラグノの脚に向かって飛んで行く…

ズバババババババッッッ!!

竜王の鱗は俺達を中心にグルリと円を描くように飛んで行くと、次々と俺達を囲むデモンラグノの殻を纏った前脚を切り落としていく。
ドドーンッッッ!!脚を切り落とされたラグノ達が、その場で前のめりに崩れ落ちた!

俺達を囲む6体全てのラグノの前脚を切り落とすと、俺の手元に鱗がブーメランの様に返ってくる。

パシッ!とその鱗を手に掴むと俺、いや、その場にいた全員が目を丸くして驚愕の表情を浮かび、次の瞬間歓喜の歓声に沸いた!

「うおおおっっ!!なんだこれ!?すっげえーッッッッ!!」
俺も両手で持った鱗を見ると、思わず叫んでしまった!

「なんじゃ今のは!すごいアイテムじゃぞ!!」
「なにそれ!?ちょっとヤバすぎっしょ!!」
一気に俺に駆け寄るトム爺とギャル。

「!!!!」
ニンジャも手に持ったクナイを振り回して大興奮だ!て、いうか危ねーっつうの!!

リザードマンも遠目に目を丸くして、俺達を見ている。
「ふふん♪どうだ?俺の実力を!」
俺はドヤ顔でリザードマンを見返してやった!
一か八かの賭けだったが、まさか、こんなに上手くいくとは思わなかったぜ。

「それにしても、とんでもねえ切れ味だな。
それに意のままに操れる感覚って言うか、なんだかとんでもねえアイテムだぜコレ!?」
俺は改めて竜王の鱗を見ると閃いた!
「よし!!この技を竜王カッターと名付けよう!!」

「おおーっ!!さすがリオン!!最高のネーミングじゃ!!」大興奮のトム爺。
「ええ~!?何それ?超ダサじゃーん!」と呆れるギャル。
「!!!!」
ニンジャはクナイを振り回して飛び跳ねて大興奮!
だから、危ねーっっつうの!!

 だが、前脚を切り落とされたデモンラグノ達も黙ってはいない。
あんまり言いたくないけど、目の前にシバというご馳走がいるんだ。
獰猛な食欲に抗えずにヨタヨタと襲いかかろうと近づいてくる。

リザードマンは両足を開くと腰を落とし、あの漆黒の槍を構える。

ボッボッ!ボボボボボボッッッ!!

リザードマンが繰り出すファントムナイトの連打で次々とデモンラグノが崩れ落ち、ギャルの弓、ニンジャの近接戦闘、そして俺の『竜王カッター』であっという間にデモンラグノの群れは倒された。

…はずだった。

…カチカチカチ…

ガチガチガチ…

ガヂガヂガヂガヂガヂ…
ガヂガヂガヂガヂガヂガヂガヂガヂガヂガヂ!!!!!!

 今までの戦闘の騒ぎのせいか、仲間を殺された恨みか、さては俺のニューアイテム竜王の鱗のオーラに引き寄せられたのか、さっきまで森の奥にあった他の群れのデモンラグノの殺気が近づき、捕食の咆哮を上げながらドンドン広場に集まって来た!!
森の茂みからはさっきとは比べ物にならない無数の赤い目の光、そして、森全体を震わすに十分のデモンラグノの咆哮に、数多の殺気!!

俺達はシバを囲むように再び陣形を整える。
「何これ!?多いってもんじゃないよ!?森中のラグノが集まってんじゃないの!?」ギャルの悲鳴が上がる。

チラリと気絶して横たわるアローラを見ると、相変わらず泡吹いてる。
お前はカニか!?

広場に新しい群れの斥候が、真っ赤な目を光らせて頭を出した。
ちくしょう!!やってやる!!
俺は竜王の鱗を構える。

その時!!

バウンッ!! バウンッ!! バルルルルーンッッッッッッ!!

「!!」
ナルシスのハンターカブの空吹かしだ!

 デモンラグノ達は、聞いたことの無い異世界の乗り物の音に驚き、体がピタリと止まった!

「随分と賑やかではないか!?
パーティの始まりだな?リオン」
ニヤリと不敵に笑うナルシス。

「ナルシスッッッッ!!」
俺は木々の間から飛び出ている大きな岩の上で、長剣を片手にハンターカブに乗る俺の相棒ナルシスの名を叫んだ!
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