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第40話 デモンラグノとファントムナイト
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ー『デモンラグノ』ー
黒と白のシマ模様の体だけでも3メートルはあろう毒蜘蛛のモンスターだ。
背中や足の表面に甲殻類の様な硬質な白い殻を持ち、図体の割に俊敏な動きをする。
その長い手足からの攻撃と口から吐き出される蜘蛛の糸は脅威だ。
そして、噛まれるとゆっくりゆっくりと効いて死に至る猛毒を持つ。
図体の割に遅延性の猛毒を持つのはじっくりと獲物が衰えていくのを楽しんでいるのか?それとも獲物を狩る事を楽しむ本能なのかわからない。
ただ言えるのは残忍な『肉食』のモンスターだ。
その肉食のデモンラグノの口から出した蜘蛛の糸がシバの体を包み込むとそのままシュルルルルと口元に巻き取る!!
「お?おわわわわわぁ~!」と蜘蛛の糸で体中ぐるぐる巻きにされて顔だけ出してるシバが驚きの顔でふわりと宙に舞い上がると、まるでスパゲティを啜る様にデモンラグノの口元に吸い込まれそうに!
ブワッッッ!!
俺は反射的にマントをひるがえす!!
アーティファクト『風切りのマント』は風の塊を弾き出し、その風圧はシバを口元に吸い込もうとするデモンラグノの蜘蛛の糸を引きちぎり、シバの体をさらに高く舞い上げた!
「シバ!!」
思わずリザードマンが叫ぶ。
だけど、俺は慌てない。
『え?ちょっと待てリオン?
お前の風切りのマントは風のコントロールが難しいんだろ!?
小さな子供がお前の風で飛び上がってるんだぞ!無責任な奴め!!』だって?
君達、読者諸君が呆れる気持ちや怒る気持ちもわかるけど、落ち着いてよーく見てくれ。
いや、そっちじゃない。
俺の指先。上の方だ。
俺の指先が指す方向には脅威的な跳躍で飛び上がったニンジャが空高く舞い上がったシバをキャッチすると優しく抱き抱え、そしてクルリと前宙をするとふわりと降り立った。
な?慌てなくても大丈夫だろ?俺には頼れる仲間がいるからさ。
しかし、これで収まるわけはない。
獲物を横取りされたデモンラグノは目を真っ赤に光らせ怒りに燃えていた。
図体の割に俊敏な動きで俺達に襲いかかる!
あの長い手足は厄介だ!
俺達のパーティには槍使いはいない。俺とナルシスの長剣でインファイトを挑むのも簡単ではないな。(ナルシスはまだのびてるが…)
頼みの綱はアローラの魔法なんだけど…
「むごーっ!むがっむがーっっ!!」とリザードマンに投げられ顔に張り付いているガムの実を剥がすのに悪戦苦闘している。
トム爺のショートスティックも力不足だし、ギャルはすっかりビビって動けない。ニンジャはシバを守って動けない。
「さーて、どうすっか?」と不敵に呟きながら剣を構えた時、俺の隣から凄まじい殺気を感じた。
さっき俺の首筋に槍を当てた時とは比べものにならない殺気を纏ったリザードマンは両足を開くと腰を落とし、あの漆黒の槍を構える。
リザードマンが発する殺気もそうだが、艶のない漆黒の槍から発するオーラも半端ない。
間違いない。
あの槍は…
—アーティファクト『ファントムナイト』—
漆黒の槍から繰り出される攻撃はまるで夜の世界に踊り狂う亡者の様に素早く翻弄されるという。
そしてその槍の切っ先を目にした時、亡者に引き込まれる様に待っているのは死だ。
噂では聞いた事があるが、まさかこんな所でお目にかかるとは…
その槍とリザードマンの姿に圧倒された俺は思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。
その刹那、大きく切れ長で眼光鋭い目をギラリと光らせると、リザードマンから繰り出される槍の連打が空気が切り裂く!!
ボッ!ボボッ!ボボボボボボッッッ!!
ドンドンドンッッッ!!とデモンラグノの体は次々と削り取られる様に無数の穴が開けられ、グシャッと崩れ落ちた。
凄まじい連打!そしてこの威力!
アーティファクト『ファントムナイト』の力もさることながら、このリザードマン只者じゃない。
「にいーにっ!つよーいっ!」と、ニンジャにデモンラグノの蜘蛛の糸から解放されたシバが兄リザードマンの足元に笑顔で飛びついた。
「すげーな!その槍!!ファントムナイトだろ!?初めて見たぜ!」
俺も腕を広げ興奮しながらリザードマンに近ずく。
が、めっちゃ睨んで無言で俺に向かって槍を構える。
「りーおん!りーおんもすごいねっ!ありがと!」と、今度は笑顔で俺の足元に抱きついてきた。うん。可愛い。
「おい…シバから離れろ」
シバを引き離す兄リザードマン。
「あのね?にいーにっ!りーおんはね。クッキーもおいしいんだよ?」
「…なに?」槍を構えながらシバを見る兄。
「うん!おいしいクッキー、たくさんくれるんだ♪」
「そ、そうだよ!!な?クッキー食ったの本当の事だろ?」俺は慌てながらリザードマンに説明する。
こんな奴が敵に回ったらたまったもんじゃない。
「俺たちは迷子のシバを助けようと…!」
リザードマンの弁明に必死になってる途中で俺達は新しい殺気を感じる!
しかも、この気配はただ事じゃない!
あたりを見回すと無数の赤い目!!
どうやらデモンラグノの群れに俺達は囲まれたようだ。
黒と白のシマ模様の体だけでも3メートルはあろう毒蜘蛛のモンスターだ。
背中や足の表面に甲殻類の様な硬質な白い殻を持ち、図体の割に俊敏な動きをする。
その長い手足からの攻撃と口から吐き出される蜘蛛の糸は脅威だ。
そして、噛まれるとゆっくりゆっくりと効いて死に至る猛毒を持つ。
図体の割に遅延性の猛毒を持つのはじっくりと獲物が衰えていくのを楽しんでいるのか?それとも獲物を狩る事を楽しむ本能なのかわからない。
ただ言えるのは残忍な『肉食』のモンスターだ。
その肉食のデモンラグノの口から出した蜘蛛の糸がシバの体を包み込むとそのままシュルルルルと口元に巻き取る!!
「お?おわわわわわぁ~!」と蜘蛛の糸で体中ぐるぐる巻きにされて顔だけ出してるシバが驚きの顔でふわりと宙に舞い上がると、まるでスパゲティを啜る様にデモンラグノの口元に吸い込まれそうに!
ブワッッッ!!
俺は反射的にマントをひるがえす!!
アーティファクト『風切りのマント』は風の塊を弾き出し、その風圧はシバを口元に吸い込もうとするデモンラグノの蜘蛛の糸を引きちぎり、シバの体をさらに高く舞い上げた!
「シバ!!」
思わずリザードマンが叫ぶ。
だけど、俺は慌てない。
『え?ちょっと待てリオン?
お前の風切りのマントは風のコントロールが難しいんだろ!?
小さな子供がお前の風で飛び上がってるんだぞ!無責任な奴め!!』だって?
君達、読者諸君が呆れる気持ちや怒る気持ちもわかるけど、落ち着いてよーく見てくれ。
いや、そっちじゃない。
俺の指先。上の方だ。
俺の指先が指す方向には脅威的な跳躍で飛び上がったニンジャが空高く舞い上がったシバをキャッチすると優しく抱き抱え、そしてクルリと前宙をするとふわりと降り立った。
な?慌てなくても大丈夫だろ?俺には頼れる仲間がいるからさ。
しかし、これで収まるわけはない。
獲物を横取りされたデモンラグノは目を真っ赤に光らせ怒りに燃えていた。
図体の割に俊敏な動きで俺達に襲いかかる!
あの長い手足は厄介だ!
俺達のパーティには槍使いはいない。俺とナルシスの長剣でインファイトを挑むのも簡単ではないな。(ナルシスはまだのびてるが…)
頼みの綱はアローラの魔法なんだけど…
「むごーっ!むがっむがーっっ!!」とリザードマンに投げられ顔に張り付いているガムの実を剥がすのに悪戦苦闘している。
トム爺のショートスティックも力不足だし、ギャルはすっかりビビって動けない。ニンジャはシバを守って動けない。
「さーて、どうすっか?」と不敵に呟きながら剣を構えた時、俺の隣から凄まじい殺気を感じた。
さっき俺の首筋に槍を当てた時とは比べものにならない殺気を纏ったリザードマンは両足を開くと腰を落とし、あの漆黒の槍を構える。
リザードマンが発する殺気もそうだが、艶のない漆黒の槍から発するオーラも半端ない。
間違いない。
あの槍は…
—アーティファクト『ファントムナイト』—
漆黒の槍から繰り出される攻撃はまるで夜の世界に踊り狂う亡者の様に素早く翻弄されるという。
そしてその槍の切っ先を目にした時、亡者に引き込まれる様に待っているのは死だ。
噂では聞いた事があるが、まさかこんな所でお目にかかるとは…
その槍とリザードマンの姿に圧倒された俺は思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。
その刹那、大きく切れ長で眼光鋭い目をギラリと光らせると、リザードマンから繰り出される槍の連打が空気が切り裂く!!
ボッ!ボボッ!ボボボボボボッッッ!!
ドンドンドンッッッ!!とデモンラグノの体は次々と削り取られる様に無数の穴が開けられ、グシャッと崩れ落ちた。
凄まじい連打!そしてこの威力!
アーティファクト『ファントムナイト』の力もさることながら、このリザードマン只者じゃない。
「にいーにっ!つよーいっ!」と、ニンジャにデモンラグノの蜘蛛の糸から解放されたシバが兄リザードマンの足元に笑顔で飛びついた。
「すげーな!その槍!!ファントムナイトだろ!?初めて見たぜ!」
俺も腕を広げ興奮しながらリザードマンに近ずく。
が、めっちゃ睨んで無言で俺に向かって槍を構える。
「りーおん!りーおんもすごいねっ!ありがと!」と、今度は笑顔で俺の足元に抱きついてきた。うん。可愛い。
「おい…シバから離れろ」
シバを引き離す兄リザードマン。
「あのね?にいーにっ!りーおんはね。クッキーもおいしいんだよ?」
「…なに?」槍を構えながらシバを見る兄。
「うん!おいしいクッキー、たくさんくれるんだ♪」
「そ、そうだよ!!な?クッキー食ったの本当の事だろ?」俺は慌てながらリザードマンに説明する。
こんな奴が敵に回ったらたまったもんじゃない。
「俺たちは迷子のシバを助けようと…!」
リザードマンの弁明に必死になってる途中で俺達は新しい殺気を感じる!
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どうやらデモンラグノの群れに俺達は囲まれたようだ。
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