あやふや昔話

鳳来 悠

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桃太郎?の話

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 昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ植林に、おばあさんは川へ水質調査に行きました。

 おばあさんが水の採取をしていると、川の上流から大きな桃がものすごい速さで流れてきました。おばあさんは今時の桃は凄いんだなぁ、と思いながら桃をぼーっと見ていました。勿論取ろうなんて思いません。おばあさんはあまり桃が好きではなく、また、桃は本当に速かったので取るのは危険だと判断したからです。おばあさんは水の採取の続きを行い、家に帰りました。

 家でおじいさんに今日の出来事を話すと、桃は凄いのぉと言いました。また、ようやっと流れて来てくれたのぉとも言いました。


 ――そうなのです。実はこの二人は桃太郎の桃がちゃんと流れてくるか確認する役目だったのです。本来拾うおばあさんはもっと下流の方に住んでいるのです。


 こうしておじいさんとおばあさんは役目を無事に終えることが出来ました。肩の荷もおりたことでしょう。めでたしめでたし!


……え?桃太郎はどうなったかって?


 実は桃太郎は下流のおばあさんに拾われずにそのまま鬼ヶ島に着いてしまったのです。

 それもそのはず、下流のおばあさんが洗濯してる川を流れていた時刻は丑三つ時を少し過ぎた頃だったからです。そんなに真夜中に洗濯なんてしませんよね。


 こういうわけで、川を流れて海に流され波に揉まれ辿り着いた所が鬼ヶ島だったのです。


 鬼ヶ島の砂浜で桃太郎は鬼に拾われました。そして鬼に育てられ、仲良く暮らしたという事です。あと、鬼を討伐しにやって来た方達には桃太郎が事情を話し、帰ってもらったそうです。……ええ、そうです。桃太郎は絶世の美男子だったので、皆さんすんなり桃太郎の言うことを聞いていましたよ。 やっぱりイケメンは最強ですね!
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