【完結】浮気男はごめんです!再会した同級生は一途に愛する

葉月光

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11.さようならの決心

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 「おはよう」
 「ああ、おはよ」

 なんとなく気まずくて目を合わせることができなかった。
 
 昨日は結局、お風呂のお湯が張るまでトモキは黙ったまま私の隣にいてくれて、私も無言のまま泣いていた。お風呂から出たあと、トモキは私の方を見ないで「もう寝ちまえよ」とだけ言ってくれたので、私もそのまま部屋に行って寝ることにしたのだ。
 
 そして迎えた今朝、私は勝手に朝ごはんを作っていた。と言っても、トモキの家にあった食パンにバターを塗ってトーストしたものと、目玉焼きを焼いただけなんだけど。トモキの家の冷蔵庫は家族用の大型のものなのに、野菜類が全く入っていなかった。

 「ねえ、冷蔵庫の中、なんにも入ってなくてびっくりなんですけど?」
 「いつも朝はそんなに食べない。それにほぼ外食だし」
 「こんなに立派な冷蔵庫があるっていうのに・・・」
 と、ついついブツブツ文句を言ってしまった。本当は「昨日はありがと」とかお礼を言いたいのに、トモキと一緒だとついつい高校生のころのような口調になってしまう。

 トモキはじーっと私を見つけた後、ふいっと洗面台の方に行ってしまった。やっぱりトモキも私の泣き顔なんて見てしまったから少し気まずいのだろう。申し訳ないことをした。さらに、昨日私は着の身着のままトモキの家に来てしまったから、手持ちの化粧品もメイク直しのために持って行ったもので、つまりは私は今ほぼすっぴんだ。とりあえず眉毛だけ描いた状態。高校生のころなんかメイクもしてなかったし、好きな人でもないから、全く気にせずすっぴんを晒してしまったけれど、もしかしたらこのすっぴん顔を見てドン引きしたのかもしれない・・・。

 とりあえず私はパンと目玉焼きが載ったお皿をダイニングに運ぶ。顔を洗って来たであろうトモキが、先ほどよりシャンとした目つきでリビングに戻って来た。

 「おー、さんきゅー」
 「目玉焼き焼いただけだし」

 トモキはさっそくトーストしたパンに噛り付いた。パンを焼いて目玉焼きを作っただけなので感想を求めていたわけでもないのに、ふいにトモキが「うまいな」と呟いた。

 「・・・目玉焼き、焼いただけなんですけど」
 「うん、そうなんだよな。卵がうまいんだろうな」
 「そんな高級卵だったの?」
 「いや全然。普通に買っただけ」

 確かに冷蔵庫の中に入っていた卵は普通の白い卵だったし、パッケージも普通の見慣れたものだったから、スーパーかコンビニで買って来たんだろう。

 お互いほとんど無言のまま朝ごはんを食べ終え、私は軽くメイクをして、昨日も着ていた洋服を着た。

 「何時ころ行く?」
 「うーん」
 「昼でも夜でもいいけど、お礼はハンバーグでいいぞ」
 「ええっ! ちょっと面倒なヤツを・・・!」
 「高校の時、調理実習で作ったから作れるだろ?」
 「もう! 何年前の話よ! そうじゃなくても普通に作れますからっ!」
 
 ハンバーグは自分でも大好きなメニューだが、どうも玉ねぎに毎回泣かされてしまう。対策として水泳用のゴーグルをつけてみたら涙は出なかったけど、目の周りにクッキリハッキリとゴーグルの跡がついてしまって恥ずかしい思いをした。その後は、野菜をみじん切りできるキッチンアイテムを買って来て、それでみじん切りにしている。とはいえ、みじん切りのアイテムの中に入れる前に玉ねぎを小さくカットする時点で涙は出てきているんだけど。この家にはそんなものもなさそうだから、これは久しぶりに大きな戦いになりそうだ。

 「一応、何時に行っていいか聞いてからにしようかな。ほら、勝手に行って勝手に荷物持って来て、後から『あれがない』『これがない』って言われてもヤだし」
 そう言って、さっそくヤマトに今日荷物を運び出すこと、何時だったら行ってもいいか確認のメッセージを送った。

 少ししてから、ヤマトから返事に来た。今日は家にいるから何時でもいいけど、できれば昼過ぎくらいに終わらせて欲しいとのことだったので、支度したら行くとメッセージを送り、私はトモキとヤマトの家に向かった。
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