5 / 26
5.再会した同級生
しおりを挟む
ヤマトと暮らしてはいるものの、今週はほとんど顔を合わせることがなかった。朝はすれ違いになるようにヤマトが調整しているし、帰りは元々遅い。ネックレスが見つかる前までは、毎朝朝ごはんだけは一緒に食べていたけれど、それもなくなり、夜は私が早めに寝室にひきこもり、ヤマトはリビングで過ごしていた。
私はなんとかヤマトとやり直せないかと考えてしまっていた。諦めが悪い、往生際が悪い、自分でもそう思っているけれど、3年も付き合ってきたのに簡単に別れを受け入れられなかった。とはいっても、ヤマトには避けられているし、どうしたらいいのか全く分からない状態だ。毎日寝つきも悪いし、体調もよくない。
私生活では暗い毎日を過ごしていたが、今日は高校の同級生との同窓会だ。同窓会の連絡が来た時はあんなにワクワクしていたのに、当日にこんなに重たい気持ちのままこの日を迎えると思っていなかった。先週美容室で揃えてもらった髪の毛もパサつきが分かる。
同窓会の会場となるホテルの前に来ると、ドレスで着飾った子やワンピースの女の子が目立っていた。男子はほとんどがスーツだったが、たまにジャケットの人もいる。私は案内状に書かれたレストランに向かう。途中途中で懐かしい顔を見ては挨拶を交わしていった。そのうち段々と私もヤマトとのことは忘れて明るい気持ちになっていた。
同窓会はクラスごとに幹事が受付係やお金の管理をしているようだった。受付で会費を手渡し、自分の名前に〇をしたところで懐かしい名前を発見した。
城ケ崎トモキ
すでにトモキの名前の隣には〇がつけられていた。
『トモキ、来てるんだ!』
城ケ崎トモキは高校時代に仲が良かった男子だ。いつも2人で言い争ってばかりだったけど、私達は恋人同士ではなかった。私はもっと私に優しくしてくれる人が好きだった。トモキから好きな子の話を聞いたことがなかったけど、たぶん当時のトモキに彼女はいなかったはずだ。男子同士では話していたのかもしれないけど。
高校時代の3年間全て同じクラスだった私とトモキだったけど、お互いの連絡先は知らなかった。ほぼ毎日学校で顔を合わせるし、夏休みや冬休みなどの長期休みの間に2人で出かけるなんてこともしなかったからだ。私達は卒業後はお互い別々の大学に行くことが決まっていたけど、それでも連絡先を交換することはなかった。「じゃーな」と言って教室から出ていくトモキを見送ったのが、トモキを見た最後。約12年ぶりの再会だ。
そういえばトモキは医者になるという目標があったから、医大に行ったはずだ。その後どうしたんだろう、お医者様にはなったのだろうか。太ってたりして?ちょっと前髪後退してたりして?色んな想像が頭の中で繰り広げられる。
会場内に入ると当たり前だけど同級生で溢れかえっていた。1年生のときだけ同じクラスだった子、3年生のときに同じクラスだった子。子どもを抱えている子もチラホラ目にする。凄いなぁ、お母さんしてるんだ。立派だなぁ。あ、あの子少し太ったな~とか考えながら無意識のうちにトモキを探していた。
そのとき、肩をぽん!と叩かれたので振り返ると、高校時代に仲が良かったクラスメイトに声をかけられた。
「わ、ひっさしぶりー!」
「こずえこそ! 久しぶり! 今なにしてるの? 仕事とか! あ、向こうにうちのクラス集まってるから行こうよ!」
高校時代から変わらぬ弾丸トークを繰り広げるクラスメイトについていくと、そこには確かに高校3年生のときのクラスメイトが集まっていた。
きゃあきゃあ言いながら高校卒業以来の再会を懐かしみ合う。一通りみんなと言葉を交わしてると、1人の女の子が私の後ろを指さした。
「あ、城ケ崎くん!」
「よう」
振り返ると、そこにはスーツをビシっと着こなした城ケ崎トモキが立っていた。
私はなんとかヤマトとやり直せないかと考えてしまっていた。諦めが悪い、往生際が悪い、自分でもそう思っているけれど、3年も付き合ってきたのに簡単に別れを受け入れられなかった。とはいっても、ヤマトには避けられているし、どうしたらいいのか全く分からない状態だ。毎日寝つきも悪いし、体調もよくない。
私生活では暗い毎日を過ごしていたが、今日は高校の同級生との同窓会だ。同窓会の連絡が来た時はあんなにワクワクしていたのに、当日にこんなに重たい気持ちのままこの日を迎えると思っていなかった。先週美容室で揃えてもらった髪の毛もパサつきが分かる。
同窓会の会場となるホテルの前に来ると、ドレスで着飾った子やワンピースの女の子が目立っていた。男子はほとんどがスーツだったが、たまにジャケットの人もいる。私は案内状に書かれたレストランに向かう。途中途中で懐かしい顔を見ては挨拶を交わしていった。そのうち段々と私もヤマトとのことは忘れて明るい気持ちになっていた。
同窓会はクラスごとに幹事が受付係やお金の管理をしているようだった。受付で会費を手渡し、自分の名前に〇をしたところで懐かしい名前を発見した。
城ケ崎トモキ
すでにトモキの名前の隣には〇がつけられていた。
『トモキ、来てるんだ!』
城ケ崎トモキは高校時代に仲が良かった男子だ。いつも2人で言い争ってばかりだったけど、私達は恋人同士ではなかった。私はもっと私に優しくしてくれる人が好きだった。トモキから好きな子の話を聞いたことがなかったけど、たぶん当時のトモキに彼女はいなかったはずだ。男子同士では話していたのかもしれないけど。
高校時代の3年間全て同じクラスだった私とトモキだったけど、お互いの連絡先は知らなかった。ほぼ毎日学校で顔を合わせるし、夏休みや冬休みなどの長期休みの間に2人で出かけるなんてこともしなかったからだ。私達は卒業後はお互い別々の大学に行くことが決まっていたけど、それでも連絡先を交換することはなかった。「じゃーな」と言って教室から出ていくトモキを見送ったのが、トモキを見た最後。約12年ぶりの再会だ。
そういえばトモキは医者になるという目標があったから、医大に行ったはずだ。その後どうしたんだろう、お医者様にはなったのだろうか。太ってたりして?ちょっと前髪後退してたりして?色んな想像が頭の中で繰り広げられる。
会場内に入ると当たり前だけど同級生で溢れかえっていた。1年生のときだけ同じクラスだった子、3年生のときに同じクラスだった子。子どもを抱えている子もチラホラ目にする。凄いなぁ、お母さんしてるんだ。立派だなぁ。あ、あの子少し太ったな~とか考えながら無意識のうちにトモキを探していた。
そのとき、肩をぽん!と叩かれたので振り返ると、高校時代に仲が良かったクラスメイトに声をかけられた。
「わ、ひっさしぶりー!」
「こずえこそ! 久しぶり! 今なにしてるの? 仕事とか! あ、向こうにうちのクラス集まってるから行こうよ!」
高校時代から変わらぬ弾丸トークを繰り広げるクラスメイトについていくと、そこには確かに高校3年生のときのクラスメイトが集まっていた。
きゃあきゃあ言いながら高校卒業以来の再会を懐かしみ合う。一通りみんなと言葉を交わしてると、1人の女の子が私の後ろを指さした。
「あ、城ケ崎くん!」
「よう」
振り返ると、そこにはスーツをビシっと着こなした城ケ崎トモキが立っていた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説

邪魔しないので、ほっておいてください。
りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。
お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。
義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。
実の娘よりもかわいがっているぐらいです。
幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。
でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。
階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。
悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。
それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる