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第2章 北楊村編

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晏寿と丹良の話で逸れたが、村を襲っていた男達の処遇をどうするかまだ決まって無かった。
その話に戻り、どうするかを悩んでいた。

「…一つあると言えば、ある」

ぽろりと秀英が漏らし、皆が一斉にそちらを向く。

「どんな策なんだ?」

景雲が聞く。秀英は話しにくそうに口を開いた。

「俺の家で、ここの近くの土地で宿泊施設を建設する話があるんだが、人事不足な状態なんだ。
楽な仕事ではないし、給金も多くは望めないとは思うが住み込みで働くことはできる」

秀英の言葉で丹良達の顔が明るくなる。
そして、我先にという感じで秀英に頭を下げた。

「兄さん、是非そこで雇ってくれないか!?」
「頭使う仕事より、身体使って仕事したほうがずっといい」
「ああ、体力は有り余ってるしな」

丹良達が口々に盛り上がる。
景雲や晏寿も良い案だと思ったが、秀英が言い渋ったことが晏寿は気になっていた。

けれど、せっかく皆がやる気になっていて、しかも自分が持ち出した話のため、話の腰を折ることもできず、秀英は続けた。

「…わかった。父に連絡してまた後日知らせる」
「よし!これでひとまず職は決定だな」

景雲がうんうんと頷く。しかし、丹良はまた顔をしかめた。

「だが…、その仕事が始まるまで時間があるな」
「ああ、退屈なんだよなぁ。何もしないのは」

丹良の仲間も同意する。
それを聞いていて、今度は晏寿が閃いた。

「ねぇ、することがなくて手持無沙汰なんでしょ?
なら、この村を復興するために手伝ってくれたら有難いんだけど」

晏寿の提案に一同表情が固まった。いつも飄々としている景雲さえ引きつっている。
晏寿は良い案だと思っていたのだが、他の人達にはそうは感じなかったらしい。

「役人の姉さんや、そりゃ無理なんじゃねぇか?」
「どうして」
「今まで、俺らはこの村で悪さって言葉じゃ軽すぎるくらいの悪さをしてきたんだ。
きっと村人たちは俺らが村の中をうろつくことさえ許しちゃくれねぇよ」
「そうね」

男の話をあっさりと肯定する晏寿。
だんだん秀英と景雲も晏寿の考えてることがわからなくなってきた。

「あなたたちだけじゃ、村の人達は信用してくれないかもね。
でもこのまま悪い印象で終わるのも後味悪いでしょ。なら、私達を利用すればいい」
「…成程。俺達で橋渡しをするのか」
「御名答。あなたたちだけでうろうろしても、きっと話さえしてくれないと思う。
でも私達の誰かが一緒にいれば、私達が介入して話すことができるわ」

途中で秀英も気づき、晏寿に加勢する。
景雲もおお、と感嘆した。
丹良達は度肝を抜かれ、ぽかんとしていた。
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