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第2章 北楊村編
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晏寿は身を潜め、秀英、景雲は外で北楊村で暴挙を繰り返す者を待った。
すると、村の南側が何やら騒がしくなってきた。どうやら目的人物が来たらしい。
「晏寿、頼んだ。
あと絶対そこから出るな」
「わかった。二人も気をつけて」
秀英がこっそりと晏寿に声をかけて、ゆっくりと騒がしい場所へと向かった。
「昨日も払っただろう!
もう、お前らに払う金はびた一文ないんだ!!」
銀悠の叫び声が聞こえる。
そこへ秀英と景雲が近寄った。
「何を揉めている」
「ああ?誰だ、おめぇら。
俺らが誰だかわかってて割り込んできてんのか?」
男達は全員で五人。
一番前にいた男が秀英に食ってかかる。
秀英はそれにも動じずに、無表情だ。
「俺らはなぁ、国からここを任されて税の取り立てをしてんだ。
痛い目に合いたくなきゃ、その絹の着物を置いていきな」
「奇遇だなぁ。俺達も国から今日派遣されてきたんだ。
どこの管轄の者だ?」
「は?」
景雲が飄々と言う。
その態度で相手を刺激しないか晏寿はひやひやしていた。
「何を意味のわからないことを言ってんだ?
ごちゃごちゃ言わず、さっさと金出せよ」
だんだん男達がいらついているのが雰囲気で伝わる。会話が成り立たないのではないかと感じ始めていた。
「お姉ちゃん」
「花蘭!どうしてここに来たの。
危ないから帰りなさい」
晏寿が隠れているところに、危険だからという理由で帰した花蘭が何故か来ていた。
晏寿は小声で花蘭を諌め、帰るように言う。
けれど花蘭は帰ろうとしない。
「だって…あの男の人達すごく怖いから
お姉ちゃんとお兄ちゃん達が心配で…」
「気持ちは嬉しいけど、仕事なの。
花蘭が怪我したら、私もあの二人も悲しいわ。
だから安全なところに行きなさい」
「でも…」
「あぁ?なんだ、女か?」
秀英達が対峙している男達と仲間と思われる男が別で現れ、晏寿が隠れていた所を発見してしまった。晏寿はその場に凍りつく。
しかし、咄嗟に花蘭を守らなければと小さな身体を抱きしめる。
「ああん?よく見りゃこの村の人間じゃねぇな。
良いもん着てるし。まぁ、顔はそこそこだし、楽しめるだろ」
更に男の言葉を聞いて晏寿は体を強張らせた。
「へへ…、じっとしてろよ」
ゆっくりと手が伸びてくる。
花蘭の身体を一層強く抱きしめた。
「…っ!!お兄ちゃーん!!
お姉ちゃんがっ」
花蘭が晏寿の危機を感じ、二人を呼ぶように叫んだ。もちろん男が黙っているわけもなく、慌てて花蘭の口を押さえる。
「くそ餓鬼が…!」
「っ、花蘭を離して!」
花蘭が叫んだことにより、晏寿の緊張も吹っ飛び懸命に花蘭を守ろうとする。
男に掴まれてしまったことが花蘭の中に恐怖を植え込んでしまったらしく、花蘭はすっかり震えあがってしまった。
「晏寿!!」
不意に名前を呼ばれて、そちらを見れば秀英が必死の形相で晏寿のもとに来ていた。
すると、村の南側が何やら騒がしくなってきた。どうやら目的人物が来たらしい。
「晏寿、頼んだ。
あと絶対そこから出るな」
「わかった。二人も気をつけて」
秀英がこっそりと晏寿に声をかけて、ゆっくりと騒がしい場所へと向かった。
「昨日も払っただろう!
もう、お前らに払う金はびた一文ないんだ!!」
銀悠の叫び声が聞こえる。
そこへ秀英と景雲が近寄った。
「何を揉めている」
「ああ?誰だ、おめぇら。
俺らが誰だかわかってて割り込んできてんのか?」
男達は全員で五人。
一番前にいた男が秀英に食ってかかる。
秀英はそれにも動じずに、無表情だ。
「俺らはなぁ、国からここを任されて税の取り立てをしてんだ。
痛い目に合いたくなきゃ、その絹の着物を置いていきな」
「奇遇だなぁ。俺達も国から今日派遣されてきたんだ。
どこの管轄の者だ?」
「は?」
景雲が飄々と言う。
その態度で相手を刺激しないか晏寿はひやひやしていた。
「何を意味のわからないことを言ってんだ?
ごちゃごちゃ言わず、さっさと金出せよ」
だんだん男達がいらついているのが雰囲気で伝わる。会話が成り立たないのではないかと感じ始めていた。
「お姉ちゃん」
「花蘭!どうしてここに来たの。
危ないから帰りなさい」
晏寿が隠れているところに、危険だからという理由で帰した花蘭が何故か来ていた。
晏寿は小声で花蘭を諌め、帰るように言う。
けれど花蘭は帰ろうとしない。
「だって…あの男の人達すごく怖いから
お姉ちゃんとお兄ちゃん達が心配で…」
「気持ちは嬉しいけど、仕事なの。
花蘭が怪我したら、私もあの二人も悲しいわ。
だから安全なところに行きなさい」
「でも…」
「あぁ?なんだ、女か?」
秀英達が対峙している男達と仲間と思われる男が別で現れ、晏寿が隠れていた所を発見してしまった。晏寿はその場に凍りつく。
しかし、咄嗟に花蘭を守らなければと小さな身体を抱きしめる。
「ああん?よく見りゃこの村の人間じゃねぇな。
良いもん着てるし。まぁ、顔はそこそこだし、楽しめるだろ」
更に男の言葉を聞いて晏寿は体を強張らせた。
「へへ…、じっとしてろよ」
ゆっくりと手が伸びてくる。
花蘭の身体を一層強く抱きしめた。
「…っ!!お兄ちゃーん!!
お姉ちゃんがっ」
花蘭が晏寿の危機を感じ、二人を呼ぶように叫んだ。もちろん男が黙っているわけもなく、慌てて花蘭の口を押さえる。
「くそ餓鬼が…!」
「っ、花蘭を離して!」
花蘭が叫んだことにより、晏寿の緊張も吹っ飛び懸命に花蘭を守ろうとする。
男に掴まれてしまったことが花蘭の中に恐怖を植え込んでしまったらしく、花蘭はすっかり震えあがってしまった。
「晏寿!!」
不意に名前を呼ばれて、そちらを見れば秀英が必死の形相で晏寿のもとに来ていた。
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