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第8章 無駄な経費削減編
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悔しそうな顔をした佐嶽は、今度は標的を晏寿に変えた。
「そもそもてめぇが余計なこと調べるからこっちは肩が狭い」
「肩身が狭いだよ」
「うるさい夏維!ちょっかい出すな!
とにかく、文官がちょろちょろすると気が散るんだよ!それに隊長である俺になぜ話を先にしない」
「晏寿ちゃんは悪くないよ。隊長に話が通じないからおれの所に来たんだし」
「だから夏維黙ってろ!俺にだって話くらいできる」
晏寿の前に夏維が正すために、佐嶽のイライラが募っていく。
そろそろ自分で説明せねばと晏寿も口を開く開く。
「佐嶽隊長、隊長を差し置いて軍師である夏維君に先に話をしてしまって申し訳ございませんでした。ですが、佐嶽隊長はお取込み中で火急に確認を取りたかったので、夏維君に話をした次第です。
軍費の件ですが、先程水蓮さんが仰ってくださったとおり、大事に正しく使用していればそうそう折れるものではないかと存じます。また丁寧に扱って手入れをしっかりとなされた武具であれば、愛着も持てるかと思います」
「…つまり?」
結局理解が追いつかず、夏維に説明を要求する佐嶽であった。
「だーから!自分でこだわって最高の刀や武具を用意すれば、刃こぼれしても手入れして使いたいって思うんじゃないの?」
子供が大の大人に分かりやすい言葉で噛みに噛み砕いて説明をしている。
その滑稽な姿に自分の説明では、理解が出来なかったのかと晏寿は落胆する。
それを横で見ていた水蓮は、真っ直ぐと我が子を見据えたまま晏寿に言う。
「佐嶽は昔から考えることが苦手だ。だから夏維がいる。気にすることはない」
「…お気遣いありがとうございます」
「佐嶽!」
晏寿と話していたと思っていた水蓮は、突然佐嶽の名を呼ぶ。
「なんだよ」
「この子は、お前が煙たがっている杜 宗寬の部下だ。くれぐれも言葉には気をつけろ?」
「は!?杜文官の部下!?聞いてねぇぞ!」
「今はただの文官ではなく大臣補佐だがな。この子の後ろには杜宗寬、斉水蓮が付いていること、くれぐれも忘れるな?」
杜補佐の名前が出ただけで、佐嶽は震え出す。その姿に更に水蓮はにやりとした。
「そしてお前の直には私達の息子の夏維がいる。何かした場合、すぐに私達の耳に入るということだ。せいぜい杜宗寬の逆鱗に触れないように注意することだな」
とどめを刺すように言い放つ水蓮に佐嶽は、打ちひしがれるのみだった。
だんだんと佐嶽が不憫になってきた晏寿は、佐嶽に近寄り尋ねた。
「あの、さっきの自分のお気に入りの刀なら愛着がわくかもって話なんですが、私は全然わからないんですけども、しかしたら良い所を知っているかもしれない人に心当たりがあるんです。もし良ければその人を紹介しましょうか?」
「晏寿ちゃん、隊長を甘やかしちゃ駄目だよ?」
眉を下げて夏維が晏寿を諭す。
「本当に黙ってろ、夏維。
それは信用できる話なんだろうな?」
「もちろん!この後話をしてみますね」
そうして晏寿は“心当たりのある人”に話をすべくその場を後にした。
「そもそもてめぇが余計なこと調べるからこっちは肩が狭い」
「肩身が狭いだよ」
「うるさい夏維!ちょっかい出すな!
とにかく、文官がちょろちょろすると気が散るんだよ!それに隊長である俺になぜ話を先にしない」
「晏寿ちゃんは悪くないよ。隊長に話が通じないからおれの所に来たんだし」
「だから夏維黙ってろ!俺にだって話くらいできる」
晏寿の前に夏維が正すために、佐嶽のイライラが募っていく。
そろそろ自分で説明せねばと晏寿も口を開く開く。
「佐嶽隊長、隊長を差し置いて軍師である夏維君に先に話をしてしまって申し訳ございませんでした。ですが、佐嶽隊長はお取込み中で火急に確認を取りたかったので、夏維君に話をした次第です。
軍費の件ですが、先程水蓮さんが仰ってくださったとおり、大事に正しく使用していればそうそう折れるものではないかと存じます。また丁寧に扱って手入れをしっかりとなされた武具であれば、愛着も持てるかと思います」
「…つまり?」
結局理解が追いつかず、夏維に説明を要求する佐嶽であった。
「だーから!自分でこだわって最高の刀や武具を用意すれば、刃こぼれしても手入れして使いたいって思うんじゃないの?」
子供が大の大人に分かりやすい言葉で噛みに噛み砕いて説明をしている。
その滑稽な姿に自分の説明では、理解が出来なかったのかと晏寿は落胆する。
それを横で見ていた水蓮は、真っ直ぐと我が子を見据えたまま晏寿に言う。
「佐嶽は昔から考えることが苦手だ。だから夏維がいる。気にすることはない」
「…お気遣いありがとうございます」
「佐嶽!」
晏寿と話していたと思っていた水蓮は、突然佐嶽の名を呼ぶ。
「なんだよ」
「この子は、お前が煙たがっている杜 宗寬の部下だ。くれぐれも言葉には気をつけろ?」
「は!?杜文官の部下!?聞いてねぇぞ!」
「今はただの文官ではなく大臣補佐だがな。この子の後ろには杜宗寬、斉水蓮が付いていること、くれぐれも忘れるな?」
杜補佐の名前が出ただけで、佐嶽は震え出す。その姿に更に水蓮はにやりとした。
「そしてお前の直には私達の息子の夏維がいる。何かした場合、すぐに私達の耳に入るということだ。せいぜい杜宗寬の逆鱗に触れないように注意することだな」
とどめを刺すように言い放つ水蓮に佐嶽は、打ちひしがれるのみだった。
だんだんと佐嶽が不憫になってきた晏寿は、佐嶽に近寄り尋ねた。
「あの、さっきの自分のお気に入りの刀なら愛着がわくかもって話なんですが、私は全然わからないんですけども、しかしたら良い所を知っているかもしれない人に心当たりがあるんです。もし良ければその人を紹介しましょうか?」
「晏寿ちゃん、隊長を甘やかしちゃ駄目だよ?」
眉を下げて夏維が晏寿を諭す。
「本当に黙ってろ、夏維。
それは信用できる話なんだろうな?」
「もちろん!この後話をしてみますね」
そうして晏寿は“心当たりのある人”に話をすべくその場を後にした。
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