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名前の呼び方
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「彼はどうだったかな?」
お父様にそう聞かれて正直困った。が、ここでも猫をかぶることにする!
「素敵な方でしたね」
「そう。それはよかったよ」
相変わらず、うさん臭い顔してんなあ……。
そんな初対面だったが、まあ互いに悪感情はなかったわけで。いい感情も大してなかったわけだが。
義務的な関係が続いた。
時の流れは速いもので7年の時が立っていた。
第2皇子の側近として、王子の留学に同行した婚約者が、帰ってくることになった。
合うのは2年ぶりだ。
変わってたらどうしようなあ。見分けられる自信いまいちないんだけど。
7年もたてばあたしの猫かぶりスキルだって向上している。……とはいえ、婚約者の顔がわかりませんはやべーし、なにより言い訳が大変だ。
子爵家訪れた婚約者ーークリストファーさまはあいかわらずの美形でいらっしゃった。
「お久しぶりですね、レーア。元気でしたか?」
穏やかに微笑みながら問いかけてくる婚約者を相手にいつもよりも何匹か多めに猫をかぶる。
「お久しぶりですわ。クリストファーさまこそ元気でいらっしゃいましたか?」
「ええ」
さーて。会話が続かなーい!
留学先のこととか聞いてもいい案件なのかなあ!?
誰か教えてほしいなあ!
「……そういえばレーアも学園に入学する年ですか。……早いものですねえ」
しみじみと何言ってんですかね、この方は!?
「そうですわ」
「レーアもそろそろ私のことは呼び捨てていいのですよ?」
「わたしなどが、おこがましいですわ」
お貴族様なんて基本的に雲の上なんだよ!庶民からしたら!
呼び捨て?……そんなの怖すぎるわっ!
……え?おまえも貴族だろうって?
こちとらお育ちよくねーのよ。
たかが7年で根本が変わるわけねーだろーがっ
お貴族様の会話についてくために必死で猫作ってかぶってんですよ、こっちは!
生粋と比べんな!
「呼んでくれてもいいですよ?」
「いつか、ですわ。クリストファーさま」
「そうですか。ではその日を心待ちにしていますね?」
そういって婚約者のクリストファーさまは帰っていった。
やっぱり帰国直後であれこれやるべきことがあるのだろう。
いやー、お疲れ様です。
呼び捨てねえ?できる気がしねーのよねえ……ま。そのうち諦めてくれるでしょう
お父様にそう聞かれて正直困った。が、ここでも猫をかぶることにする!
「素敵な方でしたね」
「そう。それはよかったよ」
相変わらず、うさん臭い顔してんなあ……。
そんな初対面だったが、まあ互いに悪感情はなかったわけで。いい感情も大してなかったわけだが。
義務的な関係が続いた。
時の流れは速いもので7年の時が立っていた。
第2皇子の側近として、王子の留学に同行した婚約者が、帰ってくることになった。
合うのは2年ぶりだ。
変わってたらどうしようなあ。見分けられる自信いまいちないんだけど。
7年もたてばあたしの猫かぶりスキルだって向上している。……とはいえ、婚約者の顔がわかりませんはやべーし、なにより言い訳が大変だ。
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「お久しぶりですわ。クリストファーさまこそ元気でいらっしゃいましたか?」
「ええ」
さーて。会話が続かなーい!
留学先のこととか聞いてもいい案件なのかなあ!?
誰か教えてほしいなあ!
「……そういえばレーアも学園に入学する年ですか。……早いものですねえ」
しみじみと何言ってんですかね、この方は!?
「そうですわ」
「レーアもそろそろ私のことは呼び捨てていいのですよ?」
「わたしなどが、おこがましいですわ」
お貴族様なんて基本的に雲の上なんだよ!庶民からしたら!
呼び捨て?……そんなの怖すぎるわっ!
……え?おまえも貴族だろうって?
こちとらお育ちよくねーのよ。
たかが7年で根本が変わるわけねーだろーがっ
お貴族様の会話についてくために必死で猫作ってかぶってんですよ、こっちは!
生粋と比べんな!
「呼んでくれてもいいですよ?」
「いつか、ですわ。クリストファーさま」
「そうですか。ではその日を心待ちにしていますね?」
そういって婚約者のクリストファーさまは帰っていった。
やっぱり帰国直後であれこれやるべきことがあるのだろう。
いやー、お疲れ様です。
呼び捨てねえ?できる気がしねーのよねえ……ま。そのうち諦めてくれるでしょう
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