18 / 28
第2章
8.
しおりを挟む
何事もなく夜が過ぎ、あさがきた。
朝日の指す景色を見て僕は思った。
同じ森の中だというのに僕がついこの間までいた、宵の森とはずいぶんと違う。
宵の森の朝を黄昏と呼ぶのなら、この森の朝は、暁と呼ぶのだろうと思ったのだ。
「うん。とりあえず、まだ2人とも起きてないし、トカチの実を炒っておこうかな。」
僕はそう呟くと、昨日の焚火後に小枝の残りをのせて火をつける。
トカチの実のからは頑丈で火にも強い。
だから、フライパンのないときは、そのまま火に入れて火が消えるのを待つのが一般的なトカチの実の調理法なのだ。
パチパチと小枝が爆ぜるのを僕はぼんやりと聞いていた。
「___ん、んん。あ、さ?」
ぼんやりとウールストがつぶやく。
「そうだよ。」
「___あさ・・・か?」
ほどなくして、ヴィンジェットもめがさめたようだ。
「そうだよ。おはよう2人とも。」
「おはよう・・・。」
「ああ。・・・おはよう。」
2人ともまだ寝起きでぼんやりとしているらしい。
「そろそろ、トカチの実が食べれるころあいだよ。食べたら、先の進もう?」
「え?・・・用意が早くない?アストラル。」
「・・・おれはそうそうに寝落ちしてしまったが、まさかアストラルおまえ夜通し番をしていたのか?」
「うん?してないよ?だってここはチュトラリーの木の下だもの。」
「チュトラリーの木?」
「なんだそれは?」
あれえ?
「しらないの?チュトラリーの木だよ?」
「「知らない」」
そっかあ。一般的だと思ってたよ。
「チュトラリーの木は、<守護者の木>。<守護者の木>はどんなものでも受け入れる。それがどんなものであろうとも<守護者の木>のしたにいたのなら、手を出してはいけない。けして殺してはならないんだ。」
「もし殺したらどうなる?」
「さあね。ぼくにチュトラリーの木について教えてくれた人は、笑ってなにも教えてくれなかったけど、愉快なことにはならないと思うよ。その人曰く『絶対に怒らせてはならない』らしいから。」
もちろん教えてくれたのはオズだ。
僕がしつこく聞いても、
『さて、ね。でも、気になったからといって試してはいけませんよ。チュトラリーの木は怒らせてはいけないのです。』
といって、詳しくは教えてくれなかったのだ。
ただ、思わずつぶやいていた。
『もうあんなことお断りしたいものです。アレと同じことをしでかすものが出なければいいのですが…。』
多分、オズは怒ったチュトラリーの木を見たことがあるのだ。
そして、そこで何かあったのだ。
肝心の内容がわからないのだけれど。
「あさも食べたし、そろそろ出発しようか。」
「そうだね。」
「ああ、ゴールしよう。」
焚火の後に火種が残っていないかを確認して僕たちは、歩き出した。
期限は日没。
頑張ってそれまでにゴールしよう。
・・・罠とかがなければいいんだけどなあ。
________________________________________
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
面白いと思ってくださったらお気に入り登録や感想など是非お願いします!!
作者の励みになります。
次回は明日投稿予定です。
早めに書き終わったら、本日中にもう1話更新するかもしれません。
朝日の指す景色を見て僕は思った。
同じ森の中だというのに僕がついこの間までいた、宵の森とはずいぶんと違う。
宵の森の朝を黄昏と呼ぶのなら、この森の朝は、暁と呼ぶのだろうと思ったのだ。
「うん。とりあえず、まだ2人とも起きてないし、トカチの実を炒っておこうかな。」
僕はそう呟くと、昨日の焚火後に小枝の残りをのせて火をつける。
トカチの実のからは頑丈で火にも強い。
だから、フライパンのないときは、そのまま火に入れて火が消えるのを待つのが一般的なトカチの実の調理法なのだ。
パチパチと小枝が爆ぜるのを僕はぼんやりと聞いていた。
「___ん、んん。あ、さ?」
ぼんやりとウールストがつぶやく。
「そうだよ。」
「___あさ・・・か?」
ほどなくして、ヴィンジェットもめがさめたようだ。
「そうだよ。おはよう2人とも。」
「おはよう・・・。」
「ああ。・・・おはよう。」
2人ともまだ寝起きでぼんやりとしているらしい。
「そろそろ、トカチの実が食べれるころあいだよ。食べたら、先の進もう?」
「え?・・・用意が早くない?アストラル。」
「・・・おれはそうそうに寝落ちしてしまったが、まさかアストラルおまえ夜通し番をしていたのか?」
「うん?してないよ?だってここはチュトラリーの木の下だもの。」
「チュトラリーの木?」
「なんだそれは?」
あれえ?
「しらないの?チュトラリーの木だよ?」
「「知らない」」
そっかあ。一般的だと思ってたよ。
「チュトラリーの木は、<守護者の木>。<守護者の木>はどんなものでも受け入れる。それがどんなものであろうとも<守護者の木>のしたにいたのなら、手を出してはいけない。けして殺してはならないんだ。」
「もし殺したらどうなる?」
「さあね。ぼくにチュトラリーの木について教えてくれた人は、笑ってなにも教えてくれなかったけど、愉快なことにはならないと思うよ。その人曰く『絶対に怒らせてはならない』らしいから。」
もちろん教えてくれたのはオズだ。
僕がしつこく聞いても、
『さて、ね。でも、気になったからといって試してはいけませんよ。チュトラリーの木は怒らせてはいけないのです。』
といって、詳しくは教えてくれなかったのだ。
ただ、思わずつぶやいていた。
『もうあんなことお断りしたいものです。アレと同じことをしでかすものが出なければいいのですが…。』
多分、オズは怒ったチュトラリーの木を見たことがあるのだ。
そして、そこで何かあったのだ。
肝心の内容がわからないのだけれど。
「あさも食べたし、そろそろ出発しようか。」
「そうだね。」
「ああ、ゴールしよう。」
焚火の後に火種が残っていないかを確認して僕たちは、歩き出した。
期限は日没。
頑張ってそれまでにゴールしよう。
・・・罠とかがなければいいんだけどなあ。
________________________________________
ここまで読んでくださりありがとうございます!!
面白いと思ってくださったらお気に入り登録や感想など是非お願いします!!
作者の励みになります。
次回は明日投稿予定です。
早めに書き終わったら、本日中にもう1話更新するかもしれません。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
黒き叛竜の輪廻戦乱《リベンジマッチ》
Siranui
ファンタジー
そこは現代であり、剣や魔法が存在する――歪みきった世界。
遥か昔、恋人のエレイナ諸共神々が住む天界を焼き尽くし、厄災竜と呼ばれたヤマタノオロチは死後天罰として記憶を持ったまま現代の人間に転生した。そこで英雄と称えられるものの、ある日突如現れた少女二人によってその命の灯火を消された。
二度の死と英雄としての屈辱を味わい、宿命に弄ばれている事の絶望を悟ったオロチは、死後の世界で謎の少女アカネとの出会いをきっかけに再び人間として生まれ変わる事を決意する。
しかしそこは本来存在しないはずの未来……英雄と呼ばれた時代に誰もオロチに殺されていない世界線、即ち『歪みきった世界』であった。
そんな嘘偽りの世界で、オロチは今度こそエレイナを……大切な存在が生き続ける未来を取り戻すため、『死の宿命』との戦いに足を踏み入れる。
全ては過去の現実を変えるために――
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる