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第2章

8.

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何事もなく夜が過ぎ、あさがきた。
朝日の指す景色を見て僕は思った。
同じ森の中だというのに僕がついこの間までいた、宵の森とはずいぶんと違う。
宵の森の朝を黄昏と呼ぶのなら、この森の朝は、暁と呼ぶのだろうと思ったのだ。

「うん。とりあえず、まだ2人とも起きてないし、トカチの実を炒っておこうかな。」
僕はそう呟くと、昨日の焚火後に小枝の残りをのせて火をつける。
トカチの実のからは頑丈で火にも強い。
だから、フライパンのないときは、そのまま火に入れて火が消えるのを待つのが一般的なトカチの実の調理法なのだ。

パチパチと小枝が爆ぜるのを僕はぼんやりと聞いていた。
「___ん、んん。あ、さ?」
ぼんやりとウールストがつぶやく。
「そうだよ。」
「___あさ・・・か?」
ほどなくして、ヴィンジェットもめがさめたようだ。
「そうだよ。おはよう2人とも。」
「おはよう・・・。」
「ああ。・・・おはよう。」
2人ともまだ寝起きでぼんやりとしているらしい。
「そろそろ、トカチの実が食べれるころあいだよ。食べたら、先の進もう?」
「え?・・・用意が早くない?アストラル。」
「・・・おれはそうそうに寝落ちしてしまったが、まさかアストラルおまえ夜通し番をしていたのか?」
「うん?してないよ?だってここはチュトラリー守護者の木の下だもの。」
「チュトラリーの木?」
「なんだそれは?」
あれえ?
「しらないの?チュトラリーの木だよ?」
「「知らない」」
そっかあ。一般的だと思ってたよ。
「チュトラリーの木は、<守護者の木>。<守護者の木>は受け入れる。それがどんなものであろうとも<守護者の木>のしたにいたのなら、手を出してはいけない。けして殺してはならないんだ。」
「もし殺したらどうなる?」
「さあね。ぼくにチュトラリーの木について教えてくれた人は、笑ってなにも教えてくれなかったけど、愉快なことにはならないと思うよ。その人曰く『絶対に怒らせてはならない』らしいから。」


もちろん教えてくれたのはオズだ。
僕がしつこく聞いても、
『さて、ね。でも、気になったからといって試してはいけませんよ。チュトラリーの木は怒らせてはいけないのです。』
といって、詳しくは教えてくれなかったのだ。
ただ、思わずつぶやいていた。
『もうあんなことお断りしたいものです。アレと同じことをしでかすものが出なければいいのですが…。』
多分、オズは怒ったチュトラリーの木を見たことがあるのだ。
そして、そこで何かあったのだ。
肝心の内容がわからないのだけれど。



「あさも食べたし、そろそろ出発しようか。」
「そうだね。」
「ああ、ゴールしよう。」
焚火の後に火種が残っていないかを確認して僕たちは、歩き出した。
期限は日没。
頑張ってそれまでにゴールしよう。
・・・罠とかがなければいいんだけどなあ。


________________________________________
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次回は明日投稿予定です。
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