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1章
6.
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「えーと。リィ、おいで。」
話を戻そうと宰相閣下がおっしゃたので、私はその通りにしようと思って、リィを喚んだ。
「はーい。なあに?私のご主人様?」
リィがふわりと宙に現れていった。
ここで少し、この世界の魔物との契約についてお話させていただこう。
この世界において、魔物と契約を結ぶものはそう多くない。
なぜなら”まものである”という認識から警戒心を抱いてしまいその警戒心が魔物と契約を結ぼうとした際に邪魔をしてしまい、うまくけいやくができないことがあるからだ。
それはともかくとして、魔物と契約するにあたって、だいぜんていとなるのは、魔力量である。
主従の契約を結ぶ際、主となる側の方が魔力が高い事これが有用になってくる。
なぜならば、契約を結ぶと一定量の魔力を常に供給しなければならないからだ。
そのため、複数の魔物と契約を結んでいるものは少ないのだ。
また、契約した魔物を常にそばに置く者もいるが、普段はそばにおらず必要な時に呼び出すものもいる。
呼び出し方は、2つの方法が存在する。
1つが一時顕現であり、もう1つが、完全権限である。
それぞれの違いとして挙げるならば、能力をフルで使いたい場合は完全圏芸だがそれ以外であるならば、一時顕現の方が大変使い勝手がいいということである。
また、完全顕現の場合は、詠唱を必要とするが、一時顕現の場合であれば、契約を結んだ魔物の対する呼びかけだけで済むためまあ、ぶっちゃけ楽なのである。
今回、『時計の魔女ルー・ルー』が行ったのは一時顕現の方である。
そちらの方が楽なのもあるが完全顕現をさせてしまうと警戒されてしまう…というか、下手すると「攻撃の意志あり」として、反逆罪に問われかねないからであった。まあ、確かについこの間隣国を滅ぼした張本人(張本魔物?)を目の前にフルで力を発揮できる状態で出された怖いとかいうレベルではないだろう。
「ほお、これがあの報告にあった魔物か…。」
「はい。この子が水の魔物のうち”アメフラシ”のリィで私が主人です。真名に関しましてはご容赦ください。」
私はそういって、この場にいる者たちにリィの紹介をした。
リィは水色の片口くらいまでのふわふわとした髪に同じ色の目を持つ少女のような外見を持っている。
”アメフラシ”は正確な男女差がわかりにくくなっている。
というか、明確な男女の差というものがないらしい。
ふわふわとした白のワンピースを着てふわふわと浮いている。
「”アメフラシ”そなたは今後も国を沈めたりはするのか?」
いきなり切り込んできたっ
どうするべきかな
「していいなら、ぜんっぜんやるよ?でもね、私のご主人様は、それをだめっていうでしょ。だから、私もやんないの。私のご主人様が望むならやるけどねえ。」
「機会と許可があればまたするのか。」
「止められる存在がいるのですし、いいのでは?」
しばらくすればざわめきは自然とおさまった。
「その魔物が何か問題を行った場合、そなたが責任を負うことになるがもんだいないな?}
「はい。ございません。」
「できれば、こんなこともう起こさないでくれよ…。頼むから。」
人はこれをフラグを立てるというのだ。
見事だった。
とはいえ、リィレベルの魔物なぞ早々お目にかかれるものではないため、警戒されまくってしまうのだろう。
「このような事態なんぞ、めったにあることではないのでご安心ください。」
そう返すと「なんかこう、またこうなるような気が……。気のせいであってほしい……。」とつぶやいていた。
気のせいだと思いますよ。
一般的に複数契約なんてあんまりないし。
とりあえずうちの子かわいい。
「では、御前失礼いたします。」
私はそういって、王の前を後にした。
廊下に出て、人心地してあた謁見とか絶対嫌だと心底思った。
「リィ。来てくれてありがとう。かえってくれてもいいよー。……またよろしくね。」
「了解したわ。私のご主人様。」
そういって、すうっとリィは消えたのだった。
話を戻そうと宰相閣下がおっしゃたので、私はその通りにしようと思って、リィを喚んだ。
「はーい。なあに?私のご主人様?」
リィがふわりと宙に現れていった。
ここで少し、この世界の魔物との契約についてお話させていただこう。
この世界において、魔物と契約を結ぶものはそう多くない。
なぜなら”まものである”という認識から警戒心を抱いてしまいその警戒心が魔物と契約を結ぼうとした際に邪魔をしてしまい、うまくけいやくができないことがあるからだ。
それはともかくとして、魔物と契約するにあたって、だいぜんていとなるのは、魔力量である。
主従の契約を結ぶ際、主となる側の方が魔力が高い事これが有用になってくる。
なぜならば、契約を結ぶと一定量の魔力を常に供給しなければならないからだ。
そのため、複数の魔物と契約を結んでいるものは少ないのだ。
また、契約した魔物を常にそばに置く者もいるが、普段はそばにおらず必要な時に呼び出すものもいる。
呼び出し方は、2つの方法が存在する。
1つが一時顕現であり、もう1つが、完全権限である。
それぞれの違いとして挙げるならば、能力をフルで使いたい場合は完全圏芸だがそれ以外であるならば、一時顕現の方が大変使い勝手がいいということである。
また、完全顕現の場合は、詠唱を必要とするが、一時顕現の場合であれば、契約を結んだ魔物の対する呼びかけだけで済むためまあ、ぶっちゃけ楽なのである。
今回、『時計の魔女ルー・ルー』が行ったのは一時顕現の方である。
そちらの方が楽なのもあるが完全顕現をさせてしまうと警戒されてしまう…というか、下手すると「攻撃の意志あり」として、反逆罪に問われかねないからであった。まあ、確かについこの間隣国を滅ぼした張本人(張本魔物?)を目の前にフルで力を発揮できる状態で出された怖いとかいうレベルではないだろう。
「ほお、これがあの報告にあった魔物か…。」
「はい。この子が水の魔物のうち”アメフラシ”のリィで私が主人です。真名に関しましてはご容赦ください。」
私はそういって、この場にいる者たちにリィの紹介をした。
リィは水色の片口くらいまでのふわふわとした髪に同じ色の目を持つ少女のような外見を持っている。
”アメフラシ”は正確な男女差がわかりにくくなっている。
というか、明確な男女の差というものがないらしい。
ふわふわとした白のワンピースを着てふわふわと浮いている。
「”アメフラシ”そなたは今後も国を沈めたりはするのか?」
いきなり切り込んできたっ
どうするべきかな
「していいなら、ぜんっぜんやるよ?でもね、私のご主人様は、それをだめっていうでしょ。だから、私もやんないの。私のご主人様が望むならやるけどねえ。」
「機会と許可があればまたするのか。」
「止められる存在がいるのですし、いいのでは?」
しばらくすればざわめきは自然とおさまった。
「その魔物が何か問題を行った場合、そなたが責任を負うことになるがもんだいないな?}
「はい。ございません。」
「できれば、こんなこともう起こさないでくれよ…。頼むから。」
人はこれをフラグを立てるというのだ。
見事だった。
とはいえ、リィレベルの魔物なぞ早々お目にかかれるものではないため、警戒されまくってしまうのだろう。
「このような事態なんぞ、めったにあることではないのでご安心ください。」
そう返すと「なんかこう、またこうなるような気が……。気のせいであってほしい……。」とつぶやいていた。
気のせいだと思いますよ。
一般的に複数契約なんてあんまりないし。
とりあえずうちの子かわいい。
「では、御前失礼いたします。」
私はそういって、王の前を後にした。
廊下に出て、人心地してあた謁見とか絶対嫌だと心底思った。
「リィ。来てくれてありがとう。かえってくれてもいいよー。……またよろしくね。」
「了解したわ。私のご主人様。」
そういって、すうっとリィは消えたのだった。
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