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「え。え?!」
「なんで?!」
全員が唖然としている。
正直なところボクもびっくりした。もしろ今もまだうそでしょ?と思っているくらいだ。
まさかこれでいけるとは微塵も思っていなかったからだ。
「ファーブラくん?!いったい何をしたんですか?!」
「えーと。その、魔力を流してみたんです。そうしたら、なんか……開きました」
僕もびっくりしました。と続ければそう……とつぶやいてツェンは考え込んでしまった。
飽いた穴をのぞき込むとそこにはがいた。
「っ?!」
いや、目を凝らしてよく見ればそれはウサギはうさぎでも、それは成人男性ほど大きく二本足で立っている。
タキシードをまとっている。
ただ頭部は間違えようがないほど何というか。うさぎだった。
「おやおや」
そういった声は男のものだった。
なぜだかわからないがとてつもなく嫌な予感がした。目の前にいるコレはなにかがおかしいとボクの本能が叫んでいるようだった。
ウサギ頭の男はこちらを大して気にした風もなく1人で喋っている。
「ようやく開いたのですか。ずいぶんとまたおそかったですねぇ?参加者も増えたようですし。まぁ良いです。では、モノガタリへとご案内いたしましょう。さぁいきましょうか」 
ウサギ頭の男の声に反応したのか、カチリと歯車がまわったようなおとがきこえた。
カチカチ、カチリ
ウサギ頭の男の向こう側が明るくなった。
やっぱり、ウサギ頭の男は鍵だったのだろう。
なにかの仕掛けが動き出して、扉がひらいたようだった。

「ここはアリス様の世界。どうか
アリスをたのしませる?
やっぱり元の物語とはどこかちがうようだった。

「さぁわたしをたのしませてちょうだいな!」
そう高らかにわらっていったのは小さな女の子だった。
もしかしなくても、この幼女が“アリス”なのだろう。
このぐらいの年の頃の女の子がなにを好むのかなんてボクにはサッパリわからない。
他の面々は状況がわかっていないのだろう。固まって何も言わない。
おそらく理解が追いついていないのだと思うが、黙っているというのはたぶん最悪の選択だ。何も言わないボクがいえたことではないのだけど。
何もしないボクたちをみて“アリス”はいった。
「なにもしてくれないの?」
じゃあ、いらない
そういって“アリス”は幼子特有の無邪気なまでの残酷さでボクたちを切り捨てようとした。
ボクたちに対する興味がなくなったらしい“アリス”は、侍従の持つ果物の方に興味が移ったようだった。
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