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第3話 もふもふのお留守番
#8 もふーと電話
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リボンで遊んでいるうちに、時は夕方。そろそろ夕ご飯の準備をしないといけない頃である。
「もふー、テレビを見ててね~」
「もふ~」
ご主人様がキッチンに行った後、もふーはソファーに座る。その時、小さくて硬い感触があった。
「もふ?」
よけてみると、そこにあったのはご主人様の携帯で。もふーはおててで取り、携帯をぺちぺちと触った。もふーは、携帯を知らないのだ。
「……もしもし? どうしたの?」
どうやら、もふーはご主人様の母親に電話をかけてしまったようで。
「もふふ?」
「もふ? あら、どこかで聞いた事が……」
なぜ声が聞こえるのか分からず、またぺちぺちと触るもふー。すると、もふーの顔が母親に見えるようになった。テレビ電話になったのである。
「あらぁ! 可愛らしい子ねぇ!」
「もふ~もふふ~」
「もふもふ鳴いてるの? あらあらぁ、どうしたのぉ~」
「もふぅ~!」
「ええっ! ちょっ、もふー!」
もふーが電話をかけている事に気づき、ご主人様は慌てて取り上げる。テレビ電話を普通の電話に戻し、母親との電話を続けた。
「ごめん、母さん。何か用だった?」
「私は何もないわよ~。多分、あの子がかけたんだと思うんだけど~」
「あらら……」
「それよりも! あの子なの、一緒に暮らしてる子!」
嬉しそうにもふーの事を聞く母親の声は、可愛い初孫を見た時のような声色だった。
「う、うん。もふーって名前なんだ」
「へぇ。それなら、呼び方はもふちゃんね! ……ねぇ、またテレビ電話にしてくれないかしら」
「えっ、なんで」
「決まってるでしょ! もふちゃんとお電話したいのよ! ほら、早く!」
「うぅ……はいはい……」
母親の熱気に負けたご主人様は、小さいスタンドに携帯をセットしてからテレビ電話に変えて、もふーの前に置いた。
「もふー。僕の母さんが、もふーとお話したいんだって」
「もふ?」
「も~ふちゃ~ん!」
「もふっ! もふぅ~!」
母親の声に気づいて、もふーがおててを振る。そのたびに母親の幸せそうな声が聞こえてくる。
「母さん。僕は夕ご飯を作るから、いなくなるよ」
「別にいいわよ~。もふちゃんと仲良くしてるから~。ねぇ、もふちゃ~ん」
「もふもふぅ~!」
ご主人様の母親は、もふーの虜になった。笑顔の母親の姿を見て、実家に帰る時はもふーを連れて行こうと思ったご主人様なのだった。
「もふー、テレビを見ててね~」
「もふ~」
ご主人様がキッチンに行った後、もふーはソファーに座る。その時、小さくて硬い感触があった。
「もふ?」
よけてみると、そこにあったのはご主人様の携帯で。もふーはおててで取り、携帯をぺちぺちと触った。もふーは、携帯を知らないのだ。
「……もしもし? どうしたの?」
どうやら、もふーはご主人様の母親に電話をかけてしまったようで。
「もふふ?」
「もふ? あら、どこかで聞いた事が……」
なぜ声が聞こえるのか分からず、またぺちぺちと触るもふー。すると、もふーの顔が母親に見えるようになった。テレビ電話になったのである。
「あらぁ! 可愛らしい子ねぇ!」
「もふ~もふふ~」
「もふもふ鳴いてるの? あらあらぁ、どうしたのぉ~」
「もふぅ~!」
「ええっ! ちょっ、もふー!」
もふーが電話をかけている事に気づき、ご主人様は慌てて取り上げる。テレビ電話を普通の電話に戻し、母親との電話を続けた。
「ごめん、母さん。何か用だった?」
「私は何もないわよ~。多分、あの子がかけたんだと思うんだけど~」
「あらら……」
「それよりも! あの子なの、一緒に暮らしてる子!」
嬉しそうにもふーの事を聞く母親の声は、可愛い初孫を見た時のような声色だった。
「う、うん。もふーって名前なんだ」
「へぇ。それなら、呼び方はもふちゃんね! ……ねぇ、またテレビ電話にしてくれないかしら」
「えっ、なんで」
「決まってるでしょ! もふちゃんとお電話したいのよ! ほら、早く!」
「うぅ……はいはい……」
母親の熱気に負けたご主人様は、小さいスタンドに携帯をセットしてからテレビ電話に変えて、もふーの前に置いた。
「もふー。僕の母さんが、もふーとお話したいんだって」
「もふ?」
「も~ふちゃ~ん!」
「もふっ! もふぅ~!」
母親の声に気づいて、もふーがおててを振る。そのたびに母親の幸せそうな声が聞こえてくる。
「母さん。僕は夕ご飯を作るから、いなくなるよ」
「別にいいわよ~。もふちゃんと仲良くしてるから~。ねぇ、もふちゃ~ん」
「もふもふぅ~!」
ご主人様の母親は、もふーの虜になった。笑顔の母親の姿を見て、実家に帰る時はもふーを連れて行こうと思ったご主人様なのだった。
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