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第7話:ケイトと温室★
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騒動の後も紗香は暫く訓練所に残り、騎士達の訓練風景を眺めたり、休憩中の騎士と雑談を交わしたりして過ごした。
誰も彼も、儀式で会った時とは全然違う顔をしていた。来て良かった、と紗香は胸を撫で下ろした。
聖女と騎士という立場は変わらないが、一人の人間として接することで、彼らの素顔が垣間見えた。
それぞれの顔を見て。この人を、守るためだと思えば。頑張れる気がした。
入れ代わり立ち代わり話し続けて、さすがに疲れが出てきた頃。レナードに促され、紗香は温室へと移動した。
「私は外におりますので。何かあればお声がけください」
紗香が気を抜けるように気遣ったのだろう、レナードは温室内には入らず、出入口の脇に待機した。
長く大勢と接していたので、人疲れしていた紗香にはありがたかった。
温室内で、大きく深呼吸をする。汗と埃の臭いから草花の香りに切り替わって、癒される。
暫くそうして温室内を歩いていると、誰もいないはずの温室内で声がかかる。
「サヤカ様」
どきっとして振り返ると、そこにはケイトが立っていた。
「び……っくりしました」
胸に手を当てる紗香に、ケイトは申し訳なさそうに眉を下げた。
「驚かせてすみません」
「いえ、そんな。どうしたんですか?」
「……サヤカ様が呼ばれたのでは?」
「え?」
きょとん、とする紗香に、ケイトは思い当たる節があるのか、片手で頭を押さえた。
「あ、あの?」
「……お気になさらず」
「はぁ……?」
そう言われても。
激しく気になるが、聞かない方が良いのだろうか、と紗香はそれ以上追及しなかった。
「服、着替えたんですね」
「あのような格好のまま御前に参るわけには」
「わたしは好きですよ。普段よりラフな姿で、どきどきしちゃいました」
冗談めかして言うと、ケイトは一瞬面食らったような顔をして、次いで悪戯っぽく笑った。
「服装だけですか?」
「え? あ、試合もすっごくかっこよかったです! なんか意外な一面が見れたっていうか、案外男らしいとこあるんだなって」
「案外」
「あああいえ、普段はその、大変紳士的でいらっしゃるので。足が出るようなこともあるんだーって意外だったというか、決して悪い意味ではなくて!」
くつくつと笑い出したケイトに、紗香は顔を赤くした。からかわれているのはわかっていたのに、つい要らないことまで口にしてしまった。
「……忘れてください」
「そんな勿体ないことはいたしません」
「うう……」
顔の熱は引かないが、ケイトが楽しそうにしているので、まぁいいか、と思えた。
彼とこのような他愛ない軽口が叩けることが、嬉しかった。
「改めて、試合の件はありがとうございました。なんだか盛り上がってしまって、わたしでは止められなくて」
「いえ。あれはランドルが仕向けたことですから。しかし、サヤカ様もランドルにはお気をつけください。あれは何をしでかすかわかりません」
「随分警戒してるんですね」
「それは……あのようなことがありましたから」
「大丈夫ですよ。あの時は初めて会うタイプだったので、混乱して止めるタイミングを見失ってしまいましたけど。止めれば止まる人だと、わかってますから。あの時も、キスはしないでくれましたし」
どうにもケイトの評価は辛いようだが、紗香自身はランドルに対して、多少の苦手意識はあれど、不快な人物だとは思っていない。
実際に彼はキスを拒んだ紗香をあっさり許容したし、必要最低限にしろと言えば秘所以外には触れなかった。
そもそも、彼が最初にキスをしようとしたのは、いわゆる手順を踏もうとしたのではないだろうか。いきなり体への刺激で快楽を引き出そうとしたのではなく、まず女性の心を解そうとしたのだとしたら。
彼の行動だけを抜き出せば、何らやましいところはない。言葉や態度で誤解されがちなタイプなのではないだろうか。
気の毒に思って軽くフォローをしただけのつもりだったが、紗香の台詞に、ケイトはすっと目つきを鋭くした。
「ランドルに、キスをされそうに?」
「え? あっ儀式の時ですよ!? それに、だめだと言ったらやめてくれましたから。話は通じる人ですよ」
何故だろう。訂正したのに、ケイトの表情は険しくなっていく。
「……サヤカ様にとって、唇を許すことは、そう大したことではないのでしょうか」
「いや大したことですよ? 話聞いてましたか?」
拒否したと言ってるじゃないか。思わず強めに反論してしまった。
「ですが、今回も試合の景品にしたではないですか」
「それは……だから、断れる雰囲気じゃなくて。でも、額へのキスだったでしょう。ケイトさん達だって、手とかにキスするじゃないですか」
「それは、礼儀ですから」
「だったら、それほど気にすることじゃないでしょう」
「貴方は騎士ではありません」
「性差別~……」
男は良くて女はだめなのか、とか言ったらいけないのだろう。この世界では、そうなのだ。ご婦人は容易く男性にキスなど贈らない、と。
仮にそうだったとして。ケイトが怒る理由は、あるのだろうか。聖女らしくないだとか、そういうことを言いそうな人ではない。
紗香がキスに拘ろうと拘るまいと、ケイトには関係のないことだ。しかしそれを口にするわけにもいかない。
気にする理由はなんだろうか、と考えて。ケイトは、紗香のために優勝したのだ。紗香が困っていると思ったから。紗香が、キスを大事にしていると思ったから。
それを軽いもののように扱われたら、やはりいい気はしないだろう。それでは、いったい何のために頑張ったのか。
自分が贈られたものは、特別で大事なものだと思いたいはずだ。
それに。紗香だって、誰にでも唇を許す女だなどと思われたら不名誉だ。
どうしてランドルのキスを拒んだと思っているのか。どうしてケイトに優勝して欲しかったのか。
――ケイトさんなら、って思ったからなのに。
「わたしが自分からキスをしたのは、ケイトさんが初めてですよ」
紗香の言葉に、ケイトは眉間の皺も忘れて目を瞠った。
「もちろん、元の世界にいた頃も含めて。まぁ、男性経験が全然ありませんから、当然なんですけど……。こっちに来てからだって、聖女の務めだと言われたから体は許しましたけど。それなら、せめてキスくらいは、好きな人と……って思ったから。誰とも、交わしてないんですよ」
なんだか余計なことまで言った気がするが、少なくとも紗香にとってキスが特別な行為だということは伝わっただろう。反応を窺うように、紗香は上目遣いにケイトを見上げた。
ケイトはなんとも形容しがたい顔をして、顔の半分を手で覆った。
「申し訳ありません。軽率なことを申し上げました」
「いえ……わかってもらえたのなら、いいですけど」
なんだかむず痒い気持ちで視線を逸らす。しかしケイトは、逆に紗香を見つめたままだった。
「その……今のお言葉からすると、サヤカ様は、私に好意がお有りだと解釈してもよろしいのでしょうか」
「えっ」
問われた内容に紗香の心臓が跳ね上がる。確かに、そう取られてもおかしくない内容だったが。
いや待て考えろ。会って間もない男性に少し優しくされたからといって、ころっと惚れるような女というのはどうなのか。そもそも、これはどういうつもりで聞いているのか。そう言えば、聖女が一人に固執するのはまずいのではなかったか。
一瞬の内に様々な思考が頭を過ぎって。
「ええ、もちろん。好意のない人に、キスなんてしませんよ。ケイトさんは、こっちに来てからずっとわたしに優しくしてくれて……とても、感謝しています。誰からも尊敬される、素晴らしい人です。敬愛の念は常にあります」
――これが社会人の答えだ……!
紗香はやりきった気分だった。相手の言うことを否定せずに、相手を持ち上げて、事の真偽は微妙にぼかす。恋愛のいろはは知らない。しかし交渉の経験はある。日本人は、とりあえず白黒はっきりさせないことが大事なのである。
紗香の回答に、ケイトはほっとしたような、悲しいような、複雑な表情をしていた。
気まずい沈黙があって、ケイトが微笑む。
「私の存在が、サヤカ様のためになっているのなら良かったです。今後も遠慮せずに、何でもおっしゃってください」
ちくりと、胸が痛んだ。何故だろう。
それは罪悪感なのかもしれない。ケイトの献身に見合うものを、紗香は返せていないから。
聖女の務めは果たしている。でもそれは、国のためで。
ケイトのために、何ができるのだろう。
そう考えた時、自分にできることが何もないと気づいた。
「ケイトさんは、わたしに何かしてほしいことはないんですか」
つい口をついた言葉に、ケイトは目を瞠った。
「騎士団長ではなく――あなた個人にしてあげられることは、ありますか」
騎士団のためでなく。国のためでなく。この人にしてあげられることは、ないのだろうか。
訴えかけるような紗香の瞳に、ケイトは目を細めた。
「……ありがとうございます。お気持ちだけで」
「でも」
「どうしても、とおっしゃるのであれば。少しだけ、花の蜜をいただけますか? ここは温室ですから」
回りくどい言い方をしたケイトに、紗香はむくれたように俯いた。
「それって……いつもの、仕事じゃないですか」
「いいえ、今日はお休みですよ。ですから、特別なことです」
それはそうだろうが。
結局それは、ケイトの力となって、ひいては国のためになることだ。
ケイト個人の望みではないだろう。
けれどそれを指摘するのも野暮というものだ。どうしても何かをしたい、という紗香のための折衷案なのだから。
「ええと、どこか場所――」
ベンチか何か置いてないだろうか、と温室内を見回した紗香の前に、ケイトが膝をついた。
「このまま」
「えっ」
ぎょっとした紗香に、ケイトはドレスの裾を軽く持ち上げた。
「恐れ入りますが、裾を持っていていただけますか?」
「や、ここじゃ、ケイトさんの服が汚れます」
「平気ですよ」
いや平気じゃないだろう、と紗香はうろたえた。
確かによく膝をつく人達だが、ここは温室で、歩くために整備された場所にも土は多い。服装も先ほどまでの汚れてもいい訓練着とは異なり、きちんとした団服に着替えている。それで平然と膝をつかせられるほど、紗香はまだ傅かれることに慣れていない。洗濯が大変、などという感想が過ぎってしまうくらいには庶民である。
「サヤカ様」
しかしケイトに微笑まれてしまうと、何故だか言うことを聞いてしまう。
差し出されたドレスの裾を受け取って、そのまま上までたくし上げる。
「もう少し足を開いていただけますか」
言われるままに足を広げる。まるで催眠か何かにでもかかっているようだ。
こんな明るい内から、硝子で遮られているとはいえ屋外とも言える場所で、自分からねだるような真似を。なんてはしたない。
それなのに、この人の声は。
「よくできました」
――こんなにも、抗いがたい。
「んっ」
ふっくらとした恥丘にケイトが唇を寄せる。そっと何度かキスをされ、羽毛でくすぐられるような感触がこそばゆい。
柔肉を唇で食まれ、本当に食べられているような気分になる。
「あ……っ」
舌先でくすぐるような動きに、足が震える。けれど腰を落としすぎるとケイトを潰してしまうので、足に力を込めて耐える。
懸命な紗香を追いつめるように、舌が秘芯に伸びた。
「ふぁあんっ!」
びくりと跳ねた紗香に容赦なく、舌が敏感な芽をねぶっていく。
「あ……っ、んん……っ」
この場には二人きりだが、外にはレナードがいるはずだ。
やっていることは普段と変わらないのに、普段務めをしている聖堂ではなく、温室という場所が、いけないことをしているような気分にさせた。
持ち上げたドレスの裾を口に当て、大きな声が出ないように堪える。
羞恥に頬を染めながらも、与えられる快楽を受け入れ、しかし溺れきれない紗香を、ケイトは熱を持った目で見上げた。
「私の方が、溺れてしまいそうだな……」
「ん、え……?」
よく聞き取れなかった紗香は、ぼうっとしたまま聞き返した。
ケイトはそれに答えることなく、蜜口を隙間なくぴったりと唇で覆い、蜜を啜った。
「んんんっ!」
卑猥な音に耳を塞ぎたくなるが、紗香の両手はドレスをたくし上げるので塞がっている。
大股を開いて、その下に男性を跪かせている光景に、視覚も聴覚も犯されている気分になる。
そして最も鋭敏な触覚は、ぬるりと熱いものが差し込まれる感覚を捉えていた。
「ふぅ……っん、あ、んぁっ」
内部で生き物のように動き回るそれは、ぐるりと蜜壺を掻き回し、壁を押し上げて、優しく撫でていく。
その動きだけで十分気持ちが良いというのに、
――もっと。
「……っ!」
芽生えた思いに、心臓がどくりと音を立てた。
知らなかった頃なら、ただもどかしさを感じるだけで済んだだろうに。
今は、もっと奥に触れられた時の感覚を、知っている。覚えている。
「……ッ!」
「わ……っ! サヤカ様?」
勢いよくドレスの裾をケイトに被せ、そのまま押さえる。
スカートの中からケイトの戸惑った声が聞こえたが、今の顔を見られたくなかった。
ケイトに触れられているのに。別の男性の指を思い出す、など。
これは愛のある性行為ではない。お互いの間に何の制約もないのだから、不貞も裏切りもあるはずがないのに。
どうして、こんなどうしようもない気持ちになるのだろう。
「ひあっ!?」
少しの間沈黙していたケイトだったが、もぞもぞとスカートの中で動きを再開した。
唇と舌を使って秘核を吸い出すと、裏筋の部分に舌を這わせる。
「んやぁっ!?」
強い刺激に、抑えきれずに大きな声が上がる。
敏感な芽の中でも特に感じやすい箇所を責められて、耐え切れずにスカート越しにケイトの肩に手を置く。
「あっあう、だめ、そこ、あ、あっ!」
じゅう、と吸いつかれて、固くした舌で押し潰されて。
遠慮のないその口淫に、ケイトはいったいどんな顔をしているのだろう。
スカートを被せたことで紗香の顔をケイトに見られることはなくなったが、ケイトの顔も紗香からは見えなくなった。
「ふあ、ああっ! まって、足、立ってられな……っ、ひあっ!」
紗香の抗議に答えることもなく、舌はいっそう秘部を責め立てる。
がくがくと足が震えて、慣れた感覚が込み上げる。
「も、だめぇ、ああ、んあ……っ!」
ぎゅう、と体に力が入って、そのまま弛緩する。
紗香の体から力が抜けきる前にケイトはスカートから顔を出し、紗香はその場にへたり込んだ。
「は……っ、はぁ、ん」
座り込む紗香に、手が差し出される。
「大丈夫ですか?」
「は、い……」
大人しく手を取って立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
それを見たケイトは、ふわりと紗香を抱き上げた。
「えっ!?」
「立てないのでしょう? 私がお運びいたします」
「だ、大丈夫ですちょっと待てば立てますから!」
「それまで地面に座らせるわけには参りません。ああ、お召し物も汚れてしまいましたね。申し訳ありません。本日はこのまま、ご入浴された方がよろしいでしょう」
それは、もうこれ以上うろちょろするな、ということだろうか。
言葉の裏を読んでしまい、紗香は眉を寄せた。
ケイトはにっこりと、本心を読ませない笑顔を紗香に向けた。
誰も彼も、儀式で会った時とは全然違う顔をしていた。来て良かった、と紗香は胸を撫で下ろした。
聖女と騎士という立場は変わらないが、一人の人間として接することで、彼らの素顔が垣間見えた。
それぞれの顔を見て。この人を、守るためだと思えば。頑張れる気がした。
入れ代わり立ち代わり話し続けて、さすがに疲れが出てきた頃。レナードに促され、紗香は温室へと移動した。
「私は外におりますので。何かあればお声がけください」
紗香が気を抜けるように気遣ったのだろう、レナードは温室内には入らず、出入口の脇に待機した。
長く大勢と接していたので、人疲れしていた紗香にはありがたかった。
温室内で、大きく深呼吸をする。汗と埃の臭いから草花の香りに切り替わって、癒される。
暫くそうして温室内を歩いていると、誰もいないはずの温室内で声がかかる。
「サヤカ様」
どきっとして振り返ると、そこにはケイトが立っていた。
「び……っくりしました」
胸に手を当てる紗香に、ケイトは申し訳なさそうに眉を下げた。
「驚かせてすみません」
「いえ、そんな。どうしたんですか?」
「……サヤカ様が呼ばれたのでは?」
「え?」
きょとん、とする紗香に、ケイトは思い当たる節があるのか、片手で頭を押さえた。
「あ、あの?」
「……お気になさらず」
「はぁ……?」
そう言われても。
激しく気になるが、聞かない方が良いのだろうか、と紗香はそれ以上追及しなかった。
「服、着替えたんですね」
「あのような格好のまま御前に参るわけには」
「わたしは好きですよ。普段よりラフな姿で、どきどきしちゃいました」
冗談めかして言うと、ケイトは一瞬面食らったような顔をして、次いで悪戯っぽく笑った。
「服装だけですか?」
「え? あ、試合もすっごくかっこよかったです! なんか意外な一面が見れたっていうか、案外男らしいとこあるんだなって」
「案外」
「あああいえ、普段はその、大変紳士的でいらっしゃるので。足が出るようなこともあるんだーって意外だったというか、決して悪い意味ではなくて!」
くつくつと笑い出したケイトに、紗香は顔を赤くした。からかわれているのはわかっていたのに、つい要らないことまで口にしてしまった。
「……忘れてください」
「そんな勿体ないことはいたしません」
「うう……」
顔の熱は引かないが、ケイトが楽しそうにしているので、まぁいいか、と思えた。
彼とこのような他愛ない軽口が叩けることが、嬉しかった。
「改めて、試合の件はありがとうございました。なんだか盛り上がってしまって、わたしでは止められなくて」
「いえ。あれはランドルが仕向けたことですから。しかし、サヤカ様もランドルにはお気をつけください。あれは何をしでかすかわかりません」
「随分警戒してるんですね」
「それは……あのようなことがありましたから」
「大丈夫ですよ。あの時は初めて会うタイプだったので、混乱して止めるタイミングを見失ってしまいましたけど。止めれば止まる人だと、わかってますから。あの時も、キスはしないでくれましたし」
どうにもケイトの評価は辛いようだが、紗香自身はランドルに対して、多少の苦手意識はあれど、不快な人物だとは思っていない。
実際に彼はキスを拒んだ紗香をあっさり許容したし、必要最低限にしろと言えば秘所以外には触れなかった。
そもそも、彼が最初にキスをしようとしたのは、いわゆる手順を踏もうとしたのではないだろうか。いきなり体への刺激で快楽を引き出そうとしたのではなく、まず女性の心を解そうとしたのだとしたら。
彼の行動だけを抜き出せば、何らやましいところはない。言葉や態度で誤解されがちなタイプなのではないだろうか。
気の毒に思って軽くフォローをしただけのつもりだったが、紗香の台詞に、ケイトはすっと目つきを鋭くした。
「ランドルに、キスをされそうに?」
「え? あっ儀式の時ですよ!? それに、だめだと言ったらやめてくれましたから。話は通じる人ですよ」
何故だろう。訂正したのに、ケイトの表情は険しくなっていく。
「……サヤカ様にとって、唇を許すことは、そう大したことではないのでしょうか」
「いや大したことですよ? 話聞いてましたか?」
拒否したと言ってるじゃないか。思わず強めに反論してしまった。
「ですが、今回も試合の景品にしたではないですか」
「それは……だから、断れる雰囲気じゃなくて。でも、額へのキスだったでしょう。ケイトさん達だって、手とかにキスするじゃないですか」
「それは、礼儀ですから」
「だったら、それほど気にすることじゃないでしょう」
「貴方は騎士ではありません」
「性差別~……」
男は良くて女はだめなのか、とか言ったらいけないのだろう。この世界では、そうなのだ。ご婦人は容易く男性にキスなど贈らない、と。
仮にそうだったとして。ケイトが怒る理由は、あるのだろうか。聖女らしくないだとか、そういうことを言いそうな人ではない。
紗香がキスに拘ろうと拘るまいと、ケイトには関係のないことだ。しかしそれを口にするわけにもいかない。
気にする理由はなんだろうか、と考えて。ケイトは、紗香のために優勝したのだ。紗香が困っていると思ったから。紗香が、キスを大事にしていると思ったから。
それを軽いもののように扱われたら、やはりいい気はしないだろう。それでは、いったい何のために頑張ったのか。
自分が贈られたものは、特別で大事なものだと思いたいはずだ。
それに。紗香だって、誰にでも唇を許す女だなどと思われたら不名誉だ。
どうしてランドルのキスを拒んだと思っているのか。どうしてケイトに優勝して欲しかったのか。
――ケイトさんなら、って思ったからなのに。
「わたしが自分からキスをしたのは、ケイトさんが初めてですよ」
紗香の言葉に、ケイトは眉間の皺も忘れて目を瞠った。
「もちろん、元の世界にいた頃も含めて。まぁ、男性経験が全然ありませんから、当然なんですけど……。こっちに来てからだって、聖女の務めだと言われたから体は許しましたけど。それなら、せめてキスくらいは、好きな人と……って思ったから。誰とも、交わしてないんですよ」
なんだか余計なことまで言った気がするが、少なくとも紗香にとってキスが特別な行為だということは伝わっただろう。反応を窺うように、紗香は上目遣いにケイトを見上げた。
ケイトはなんとも形容しがたい顔をして、顔の半分を手で覆った。
「申し訳ありません。軽率なことを申し上げました」
「いえ……わかってもらえたのなら、いいですけど」
なんだかむず痒い気持ちで視線を逸らす。しかしケイトは、逆に紗香を見つめたままだった。
「その……今のお言葉からすると、サヤカ様は、私に好意がお有りだと解釈してもよろしいのでしょうか」
「えっ」
問われた内容に紗香の心臓が跳ね上がる。確かに、そう取られてもおかしくない内容だったが。
いや待て考えろ。会って間もない男性に少し優しくされたからといって、ころっと惚れるような女というのはどうなのか。そもそも、これはどういうつもりで聞いているのか。そう言えば、聖女が一人に固執するのはまずいのではなかったか。
一瞬の内に様々な思考が頭を過ぎって。
「ええ、もちろん。好意のない人に、キスなんてしませんよ。ケイトさんは、こっちに来てからずっとわたしに優しくしてくれて……とても、感謝しています。誰からも尊敬される、素晴らしい人です。敬愛の念は常にあります」
――これが社会人の答えだ……!
紗香はやりきった気分だった。相手の言うことを否定せずに、相手を持ち上げて、事の真偽は微妙にぼかす。恋愛のいろはは知らない。しかし交渉の経験はある。日本人は、とりあえず白黒はっきりさせないことが大事なのである。
紗香の回答に、ケイトはほっとしたような、悲しいような、複雑な表情をしていた。
気まずい沈黙があって、ケイトが微笑む。
「私の存在が、サヤカ様のためになっているのなら良かったです。今後も遠慮せずに、何でもおっしゃってください」
ちくりと、胸が痛んだ。何故だろう。
それは罪悪感なのかもしれない。ケイトの献身に見合うものを、紗香は返せていないから。
聖女の務めは果たしている。でもそれは、国のためで。
ケイトのために、何ができるのだろう。
そう考えた時、自分にできることが何もないと気づいた。
「ケイトさんは、わたしに何かしてほしいことはないんですか」
つい口をついた言葉に、ケイトは目を瞠った。
「騎士団長ではなく――あなた個人にしてあげられることは、ありますか」
騎士団のためでなく。国のためでなく。この人にしてあげられることは、ないのだろうか。
訴えかけるような紗香の瞳に、ケイトは目を細めた。
「……ありがとうございます。お気持ちだけで」
「でも」
「どうしても、とおっしゃるのであれば。少しだけ、花の蜜をいただけますか? ここは温室ですから」
回りくどい言い方をしたケイトに、紗香はむくれたように俯いた。
「それって……いつもの、仕事じゃないですか」
「いいえ、今日はお休みですよ。ですから、特別なことです」
それはそうだろうが。
結局それは、ケイトの力となって、ひいては国のためになることだ。
ケイト個人の望みではないだろう。
けれどそれを指摘するのも野暮というものだ。どうしても何かをしたい、という紗香のための折衷案なのだから。
「ええと、どこか場所――」
ベンチか何か置いてないだろうか、と温室内を見回した紗香の前に、ケイトが膝をついた。
「このまま」
「えっ」
ぎょっとした紗香に、ケイトはドレスの裾を軽く持ち上げた。
「恐れ入りますが、裾を持っていていただけますか?」
「や、ここじゃ、ケイトさんの服が汚れます」
「平気ですよ」
いや平気じゃないだろう、と紗香はうろたえた。
確かによく膝をつく人達だが、ここは温室で、歩くために整備された場所にも土は多い。服装も先ほどまでの汚れてもいい訓練着とは異なり、きちんとした団服に着替えている。それで平然と膝をつかせられるほど、紗香はまだ傅かれることに慣れていない。洗濯が大変、などという感想が過ぎってしまうくらいには庶民である。
「サヤカ様」
しかしケイトに微笑まれてしまうと、何故だか言うことを聞いてしまう。
差し出されたドレスの裾を受け取って、そのまま上までたくし上げる。
「もう少し足を開いていただけますか」
言われるままに足を広げる。まるで催眠か何かにでもかかっているようだ。
こんな明るい内から、硝子で遮られているとはいえ屋外とも言える場所で、自分からねだるような真似を。なんてはしたない。
それなのに、この人の声は。
「よくできました」
――こんなにも、抗いがたい。
「んっ」
ふっくらとした恥丘にケイトが唇を寄せる。そっと何度かキスをされ、羽毛でくすぐられるような感触がこそばゆい。
柔肉を唇で食まれ、本当に食べられているような気分になる。
「あ……っ」
舌先でくすぐるような動きに、足が震える。けれど腰を落としすぎるとケイトを潰してしまうので、足に力を込めて耐える。
懸命な紗香を追いつめるように、舌が秘芯に伸びた。
「ふぁあんっ!」
びくりと跳ねた紗香に容赦なく、舌が敏感な芽をねぶっていく。
「あ……っ、んん……っ」
この場には二人きりだが、外にはレナードがいるはずだ。
やっていることは普段と変わらないのに、普段務めをしている聖堂ではなく、温室という場所が、いけないことをしているような気分にさせた。
持ち上げたドレスの裾を口に当て、大きな声が出ないように堪える。
羞恥に頬を染めながらも、与えられる快楽を受け入れ、しかし溺れきれない紗香を、ケイトは熱を持った目で見上げた。
「私の方が、溺れてしまいそうだな……」
「ん、え……?」
よく聞き取れなかった紗香は、ぼうっとしたまま聞き返した。
ケイトはそれに答えることなく、蜜口を隙間なくぴったりと唇で覆い、蜜を啜った。
「んんんっ!」
卑猥な音に耳を塞ぎたくなるが、紗香の両手はドレスをたくし上げるので塞がっている。
大股を開いて、その下に男性を跪かせている光景に、視覚も聴覚も犯されている気分になる。
そして最も鋭敏な触覚は、ぬるりと熱いものが差し込まれる感覚を捉えていた。
「ふぅ……っん、あ、んぁっ」
内部で生き物のように動き回るそれは、ぐるりと蜜壺を掻き回し、壁を押し上げて、優しく撫でていく。
その動きだけで十分気持ちが良いというのに、
――もっと。
「……っ!」
芽生えた思いに、心臓がどくりと音を立てた。
知らなかった頃なら、ただもどかしさを感じるだけで済んだだろうに。
今は、もっと奥に触れられた時の感覚を、知っている。覚えている。
「……ッ!」
「わ……っ! サヤカ様?」
勢いよくドレスの裾をケイトに被せ、そのまま押さえる。
スカートの中からケイトの戸惑った声が聞こえたが、今の顔を見られたくなかった。
ケイトに触れられているのに。別の男性の指を思い出す、など。
これは愛のある性行為ではない。お互いの間に何の制約もないのだから、不貞も裏切りもあるはずがないのに。
どうして、こんなどうしようもない気持ちになるのだろう。
「ひあっ!?」
少しの間沈黙していたケイトだったが、もぞもぞとスカートの中で動きを再開した。
唇と舌を使って秘核を吸い出すと、裏筋の部分に舌を這わせる。
「んやぁっ!?」
強い刺激に、抑えきれずに大きな声が上がる。
敏感な芽の中でも特に感じやすい箇所を責められて、耐え切れずにスカート越しにケイトの肩に手を置く。
「あっあう、だめ、そこ、あ、あっ!」
じゅう、と吸いつかれて、固くした舌で押し潰されて。
遠慮のないその口淫に、ケイトはいったいどんな顔をしているのだろう。
スカートを被せたことで紗香の顔をケイトに見られることはなくなったが、ケイトの顔も紗香からは見えなくなった。
「ふあ、ああっ! まって、足、立ってられな……っ、ひあっ!」
紗香の抗議に答えることもなく、舌はいっそう秘部を責め立てる。
がくがくと足が震えて、慣れた感覚が込み上げる。
「も、だめぇ、ああ、んあ……っ!」
ぎゅう、と体に力が入って、そのまま弛緩する。
紗香の体から力が抜けきる前にケイトはスカートから顔を出し、紗香はその場にへたり込んだ。
「は……っ、はぁ、ん」
座り込む紗香に、手が差し出される。
「大丈夫ですか?」
「は、い……」
大人しく手を取って立ち上がろうとするが、足に力が入らない。
それを見たケイトは、ふわりと紗香を抱き上げた。
「えっ!?」
「立てないのでしょう? 私がお運びいたします」
「だ、大丈夫ですちょっと待てば立てますから!」
「それまで地面に座らせるわけには参りません。ああ、お召し物も汚れてしまいましたね。申し訳ありません。本日はこのまま、ご入浴された方がよろしいでしょう」
それは、もうこれ以上うろちょろするな、ということだろうか。
言葉の裏を読んでしまい、紗香は眉を寄せた。
ケイトはにっこりと、本心を読ませない笑顔を紗香に向けた。
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