白薔薇の紋章

サクラ

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第4章 生贄

第4話

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初めてマリーと会ったあの日から
私たちは昼休みのたびに屋上で、今日あった出来事とか
家族のこと、自分のこといろんな話をした。


クラスの中にも行動を一緒にする人はいるけれど
こういう風に楽しく話せる相手はいないからすごく楽しい。
そりゃあ、戒さんたちとも話はするけれど、友達とは言えないよね。
みんなとは白薔薇姫伝説の話や刀の話ばっかりだし。
こういう風に普通の話ができる人がいるのはやっぱり嬉しい。

この時間は私の癒しだ。





マリーと昼休みを過ごし、放課後は例の図書室へ通うのが
ここ最近の日課だ。

白薔薇姫の力を目覚めさせるために
毎日図書室に通っているけど
それらしき文献は見つからない。

授業終了のチャイムと同時に教室を出て図書室に向かう。
もう何度も来ているから慣れてしまったけど
最初ここに来たときはびっくりした。
まず壁が隠し扉があるなんて思わないし。

図書室へ入る。
まだ誰も来ていないみたいだ。
今日はまだ見ていない奥の本棚を探してみよう。

大きくて分厚い本や古くてしばらく誰にも開かれていないような本
何語なのか分からないタイトルの本がたくさん並んでいる。
一体どこから手をつければいいのやら…

さらに奥のほうへ進んで行くと
床に白い靄がかかっているように見えた。
恐る恐る近づくと、その床には
真っ白なバラの模様の描かれた小さな扉のようなものがあった。

しゃがんでその扉の取っ手を握って開こうとするけどびくともしない。
押しても引いても開かない。
鍵がかかっているのか、それともさびて開かなくなっているのか…
そもそもどこにつながる扉なのかも分からない。
でも気になる…


「珠姫?何をしているんだ?」

「蛍さん!授業終わったんですか?」

「あぁ、戒は用事があって遅くなるから先に行ってくれと言われた」

「そうですか」

「ところで、何をしてるんだ?こんなところでしゃがみこんで」

「あの、これ!扉があるんですけど、開かなくて。でも、きっとこの中に何かあるはずなんです!カンですけど」


蛍さんもしゃがみこんで、取っ手を引いたり押したりしたけれど
やっぱり開かなかった。
二人でどうしたものかと固まっていたら
みんなが集まってきた。
それからさらに十分後、戒さんもやってきて
みんなで扉の前でしゃがみこんでどうしようか首をかしげた。
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