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留学編 3章
第169話 裏会議 (三人称視点)
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「いい加減早く策を決めてくれないか?」
いつもの和気あいあいとしていた普通コースの裏会議は緊張に包まれていた。
ピリピリと張りつめた空気がクラス中に広がる。
クラスの全員の目線は壇上に立つ生徒たちに向けられていた。
「もう二学期が始まって一ヶ月。十月だぞ!それなのに未だに方針が決まっていないのは怠慢じゃないのか?」
全員は何も言い返せずに俯いたままだ。
「僕らは君たちが自分たちで何とかする、と言っていたから全てを任せた。それなのに・・・」
壇上に立つ裏会議学年代表は、隣でビクビクしている生徒に目線を向ける。
「君たちは将来が約束されている進学コースとは違う。それを理解しているのか?」
ため息をつきながら言う。
「で、ですが!ルーベルトくん!あいつにどう吠え面をかかせるか、なんて簡単に決まらないよ!考えていないわけじゃないけど・・・上手く纏まらないんだ」
クラス代表の一人が意見をする。
「はぁ~~~、これが普通コースの限界か」
ルーベルトと呼ばれた生徒は呆れ顔になる。
メガネをかけた黒髪のこの青年は、成績学年トップ、実戦訓練成績学年トップ。
大きな財閥の家に生まれ何でも持っている生徒だ。
そう、ルイが表現するなら「民主主義又は資本主義の勝ち組」である。
「君たちだけで全てが決まらないなら僕も交じって話そう」
そう言って早速クラスを掌握する。
「この学年の目標はルイ・デ・ブルボンを潰すこと」
「はい」
「確かに策を考えるのは難しいだろう。相手は仮にも帝国最大の貴族の嫡男だ」
全員が頷く。
「僕たち生徒だけの行動で国際問題に発展するのはまずい。だけど、ルイにこれ以上この国で好き勝手されるのも嫌だ。そうだろ?」
再び全生徒が頷く。
「なるべくバレずに、且つ、言い訳できる時にやらなければならない」
全員は真剣に聞く。
「だから、やるなら学校で。どこかしらのタイミングが良いだろう。それについては、今後しっかり話して詰めていこう。ただ、なるべく早急に、だ」
そう言ってルーベルトは満足したように教室から出ていった。
残った普通コースA組の生徒たちは疲れたように机につっぷす。
ルーベルトの説教で一時間も使われ、疲れてしまった。
「はぁ~~~、あの人、本当に怖い・・・」
誰かがそう呟く。
それに同意するかのような空気が流れる。
皆がどんよりとする中、二人の生徒だけは退屈そうに後ろからその様子を眺めて話していた。
「ねえ、アルス。彼らは本気でやろうとしているのかな?」
「おそらくそうでしょう」
別の意味で深くため息をつく二人。
「私達はどう出る?」
「分かっていますよね?・・・何もしない」
「ええ、そうね」
二人の意見は一致している。
「まず、だいたい、ルイ兄様に喧嘩を売ること自体が間違っていますよ」
アルスは断言する。
「敵の実力も知らずに挑む。この国の人は、ほんと、のほほんとしていますね」
「ええ、そうね」
ルイが無詠唱を使えるということを知らないクラスメートたち。
そして裏会議の生徒たち。
「教えてあげる義理も無いですしね」
淡々と二人は会話をする。
別に彼らは隠れてこの会議に出たわけでは無い。
二人は勝手にルイにいじめられていると勘違いされ、勝手に参加させられていた。
「ルイ様への報告は―――」
「しなくて良いと思う」
「だね」
アルスたちは分かっている。
ルイにこのことを報告すれば全力で潰しにかかるということを。
「成り上がり共の分際で!こんな国、滅ぼしてくれる!!」と言って。
生徒への怒りの矛先が、段々と国へと変わってしまう。
それぐらいの力は持っている。
流石に国ごと潰せば大きな国際問題になる。
・・・ルイは気にしないだろうけど。
「何とか穏便に収めたいですね」
「そのために私達がいるのよ」
再度二人はため息をつく。
従者というのも、なかなか大変である。
いつもの和気あいあいとしていた普通コースの裏会議は緊張に包まれていた。
ピリピリと張りつめた空気がクラス中に広がる。
クラスの全員の目線は壇上に立つ生徒たちに向けられていた。
「もう二学期が始まって一ヶ月。十月だぞ!それなのに未だに方針が決まっていないのは怠慢じゃないのか?」
全員は何も言い返せずに俯いたままだ。
「僕らは君たちが自分たちで何とかする、と言っていたから全てを任せた。それなのに・・・」
壇上に立つ裏会議学年代表は、隣でビクビクしている生徒に目線を向ける。
「君たちは将来が約束されている進学コースとは違う。それを理解しているのか?」
ため息をつきながら言う。
「で、ですが!ルーベルトくん!あいつにどう吠え面をかかせるか、なんて簡単に決まらないよ!考えていないわけじゃないけど・・・上手く纏まらないんだ」
クラス代表の一人が意見をする。
「はぁ~~~、これが普通コースの限界か」
ルーベルトと呼ばれた生徒は呆れ顔になる。
メガネをかけた黒髪のこの青年は、成績学年トップ、実戦訓練成績学年トップ。
大きな財閥の家に生まれ何でも持っている生徒だ。
そう、ルイが表現するなら「民主主義又は資本主義の勝ち組」である。
「君たちだけで全てが決まらないなら僕も交じって話そう」
そう言って早速クラスを掌握する。
「この学年の目標はルイ・デ・ブルボンを潰すこと」
「はい」
「確かに策を考えるのは難しいだろう。相手は仮にも帝国最大の貴族の嫡男だ」
全員が頷く。
「僕たち生徒だけの行動で国際問題に発展するのはまずい。だけど、ルイにこれ以上この国で好き勝手されるのも嫌だ。そうだろ?」
再び全生徒が頷く。
「なるべくバレずに、且つ、言い訳できる時にやらなければならない」
全員は真剣に聞く。
「だから、やるなら学校で。どこかしらのタイミングが良いだろう。それについては、今後しっかり話して詰めていこう。ただ、なるべく早急に、だ」
そう言ってルーベルトは満足したように教室から出ていった。
残った普通コースA組の生徒たちは疲れたように机につっぷす。
ルーベルトの説教で一時間も使われ、疲れてしまった。
「はぁ~~~、あの人、本当に怖い・・・」
誰かがそう呟く。
それに同意するかのような空気が流れる。
皆がどんよりとする中、二人の生徒だけは退屈そうに後ろからその様子を眺めて話していた。
「ねえ、アルス。彼らは本気でやろうとしているのかな?」
「おそらくそうでしょう」
別の意味で深くため息をつく二人。
「私達はどう出る?」
「分かっていますよね?・・・何もしない」
「ええ、そうね」
二人の意見は一致している。
「まず、だいたい、ルイ兄様に喧嘩を売ること自体が間違っていますよ」
アルスは断言する。
「敵の実力も知らずに挑む。この国の人は、ほんと、のほほんとしていますね」
「ええ、そうね」
ルイが無詠唱を使えるということを知らないクラスメートたち。
そして裏会議の生徒たち。
「教えてあげる義理も無いですしね」
淡々と二人は会話をする。
別に彼らは隠れてこの会議に出たわけでは無い。
二人は勝手にルイにいじめられていると勘違いされ、勝手に参加させられていた。
「ルイ様への報告は―――」
「しなくて良いと思う」
「だね」
アルスたちは分かっている。
ルイにこのことを報告すれば全力で潰しにかかるということを。
「成り上がり共の分際で!こんな国、滅ぼしてくれる!!」と言って。
生徒への怒りの矛先が、段々と国へと変わってしまう。
それぐらいの力は持っている。
流石に国ごと潰せば大きな国際問題になる。
・・・ルイは気にしないだろうけど。
「何とか穏便に収めたいですね」
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再度二人はため息をつく。
従者というのも、なかなか大変である。
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