異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

文字の大きさ
154 / 188
留学編 2章

第154話 新たな商品

しおりを挟む
前回の章が短かったので、今回は少し長めです!

―――


この国に来て早一ヶ月。

特に変わらない日々が続いた。

アルスとレーナは相変わらずコソコソと動いていて、僕は全校生徒から何故か痛い視線を受ける毎日。

セバスにグチグチ言われるから授業には一応出ている。だが、実技などめんどくさいところは雇った護衛のジョンとマイケルに全て任せている。

もちろん、校長と教育委員会の許可はしっかりと(金と弱みで)貰っている。なので、何も文句は言われない。

周囲からは冷たい目で見られる。だが、そんなの知ったこっちゃない。

僕が良ければ全て良し!だ。


ところで今、僕らはとあるバーに来ている。

あまり目立たない比較的小さめのバーだ。

中へ入るなり、僕はマスターに一通の招待状を見せた。

それを開いて一読したマスターは、「どうぞ、こちらへ」と店の奥に僕たちを手招いた。

それに従い、僕、アルス、レーナの順番で店の奥に入っていく。

奥へ通されると、マスターは何も無い地面に向かって魔法を詠唱し始める。

するとそこに、下へと続く階段が突如現れた。

「隠し通路で巧妙に隠しているんだな」
「ええ、バレると厄介なので・・・」

ニコニコして答えるマスター。

「先に聞いておくが、下から上に出るにはどうすればいい?」
「同じように扉を開ける者が下におります。その者に伝えれば扉を開けます。あるいは、ご自身で魔法を使って開けることも出来ます」

なるほど、作りは簡単なんだな。

「ご苦労」
「ありがとうございます。それでは、素晴らしい夜をお過ごしください」

僕らは階段を下りていった。


しばらく行くと、護衛とおぼしき人物が大きな扉の前に立ちはだかっていた。

僕は再び持っている招待状を渡す。

それをちらっと確認した護衛は、おもむろに分厚い大きな扉を開け始めた。

扉をくぐると、そこには母国の公都にあったような大きな奴隷オークション会場が広がっていた。

レーナは顔を青くしていたが、僕は気にせずに中へと入っていく。

はたから見れば、僕たちはまだ子供にしか見えない。それゆえ、場違いに思われているのか周囲の大人たちは奇妙な目で見る。

招待状の差出人の奴隷商を探すため、しばらく会場をウロウロしていると、一人の大人がこちらへ向かってきた。

「おやおや、こんな場所には不相応のお子様が紛れ込んでいるようですねー?」

クツクツと気持ち悪く笑う。

ずんぐりとした、顔の醜い男。

如何にも奴隷を買いそうな奴だ。

「どいてくれ。お前なんかにかまっている暇は無いんだ!」
「おや、そんな大口叩いていいのかよ?お前、この私を誰だか知った上での狼藉かぁ?」
「殺すぞ、醜い奴が!お前のことなんて知らない。お前こそ、僕を誰だと思っているんだ?!」

この国の奴らは本当に礼儀がなっていない。

通りで”目上”の人に会ったら頭を下げる、と教わらなかったのだろうか?

周囲の奴らもニヤニヤしながら、この状況を眺めている。

「何故、この私が―」
「あぁ、ルイ様!もう来られていたのですね!連絡下されば、お迎えに上がったのですが・・・」

醜い男が目を真っ赤にして何か言おうとしたところで、例の奴隷商人が駆け寄って来た。

「あれ、何かありましたか?!」

白々しくトボける奴隷商。

「おい、そいつは誰なんだ奴隷商!この私の言葉を遮ってまでも呼ぶほどの奴なのか?!」
「な、な、何をおっしゃるのですか、アブライ殿!このお方は、かのフランシーダ帝国随一の大貴族、ブルボン公爵家の嫡男であられるルイ・デ・ブルボン様ですぞ!!」

声高に叫んだ奴隷商の紹介に、周囲が騒然とする。

「な、ブルボン家の嫡男だと!」

やはり家柄が全てだ!!

先ほどまで大口を叩いていた醜い男は、みるみる顔を青くする。

いい気味だ、いい気分だ!

「ところで、僕に何か用か?」
「ご・・・、ご無礼を働いてしまい申し訳ありません!!」

醜男は深々と頭を下げる。

それに特に答えず、そのまま歩き始める。

それよりも、僕たちの後ろを歩く奴隷商の方が腹に立つ。

あえて僕ら子供だけで会場を歩かせ、周囲から絡まれるように仕向ける。

そして先ほどのように相手が無礼な態度を取ったタイミングで、姿を現し、自分がブルボン家と取引していることを最大限に周囲にアピールする。

商魂たくましい奴め!

「あくどいな、お前?」
「?は?何のことでしょうか?」

またも、すっとぼける。

その後は、黙って奴隷商の後をついて行った。

階段を下りて、ステージの裏へと通される。

そしてとある部屋の前で待たされ、しばらくすると、部屋の中へと招き入れられた。

「こちらが、今回、ルイ様にご紹介したかった商品でございます!」

その商品・・・いや姿に、眉を一瞬ひそめた。

四肢の無い、猫耳の生えた少女、

が、椅子に”置かれて”いた。

「こ、これは・・・?」
「はい、こちらは愚かにもブルボン家に侵入して四肢を失った、元暗殺者で獣人族の少女でございます!」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。 タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。 小説家になろうでも公開しています。 https://ncode.syosetu.com/n5715cb/ カクヨムでも公開してします。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500 ●現状あれこれ ・2021/02/21 完結 ・2020/12/16 累計1000000ポイント達成 ・2020/12/15 300話達成 ・2020/10/05 お気に入り700達成 ・2020/09/02 累計ポイント900000達成 ・2020/04/26 累計ポイント800000達成 ・2019/11/16 累計ポイント700000達成 ・2019/10/12 200話達成 ・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成 ・2019/06/08 累計ポイント600000達成 ・2019/04/20 累計ポイント550000達成 ・2019/02/14 累計ポイント500000達成 ・2019/02/04 ブックマーク500達成

処理中です...