異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

文字の大きさ
114 / 188
学園編 4章

第114話 新たな魔法!?

しおりを挟む
「なあ、魔法陣ってすべての魔法で違うのか?」
「はい、そうです。同じ魔法だったら発動者が誰であろうと変わりません」

なるほど。

「ちなみに何故、各魔法陣が決まっているのかはまだ判明していません。ただ、私の推測では魔法が生み出された時に何かが起こったのではないかと思います」

考察をし始めるレーナはとりあえず放っておく。

僕は自分の考えが正しいか、少し実験をしてみることにした。

「【ワープ】」

唱えるが何も起きない。

魔法とはイメージ。

火は燃え盛るイメージを、水は流れるイメージをする。

では、転移は何をイメージする?

前世で読んだSF小説でワープの存在を知った。

最初は馬鹿げていると思ったし、実現不可能だと考えた。

複数の小説を読んでも定まった形のワープは無かった。

だが、この異世界には魔法という都合の良いものが存在する。

つまり、前世の向こうの世界では不可能だったものが可能になるかもしれない。

実際にこの世界では瞬間移動ができる。

その瞬間の、意識が消えるような感覚。

点から点まで動かずに行けるはずがない。

必ずそこまで動く必要がある。

ただ、それはもの凄く速い移動で、時間にして一瞬のようにしか感じないのだろう。

・・・・・・・・・

駄目だ!それを頭で理解していても、いざやろうとすると全くイメージできない。

解決の糸口は掴んだが、ピースがまだいくつか足りない。


どうしようか・・・・・

ん?あ!あれなら!

僕は欠けたピースを埋めるための案をひらめいた。

行動は迅速にした方がいい。

その日の僕たちの実験はひとまず解散し、僕はひとり自室に引きこもる。

そして必死に魔法陣を小さな紙・・・・に写した。


三日後、僕はレーナとアルスを屋敷の庭へと連れてくる。

「ルイ様、どうされたのですか?突然引きこもって、セバスさんが心配されていましたよ」
「ルイ兄様、目の下に隈ができています。一度お休みになられた方が―」
「要らぬ心配だ」

僕は言葉を遮断した。

この僕が、三日三晩、徹夜して考えたんだ!

その結果を最後まで見ないで寝れるわけがないだろ。

「見ろ、これが何か分かるか?」

僕は手元にある小さな紙を二人に見せる。

それを見て、二人は声を重ねる。

「「瞬間移動の魔法陣!!!」」

僕は巨大な魔法陣をその十分の一の大きな模造紙へと模写したものを更に十分の一の小さな紙に転写した。

つまり、元のサイズの百分の一。

僕はその紙を薄いバリアで覆い、無詠唱で人のサイズほどの円形の水の膜を作る。

そしてその中へ、バリアを纏わせた紙を入れる。

水中に浮かぶ魔法陣が描かれた紙を少しずつ位置を調整し、ある地点に紙が来た時、

「くっきりと魔法陣が!」

ちょうど庭に太陽が出て光線が差していたこともあり、円形状の水の表面に、はっきりと魔法陣が僕の半分ほどの大きさで見えた。

そう、僕は水中の光の屈折を応用した。

水中で光が屈折することにより、水の中にある本体よりも外からは大きく見える現象である。

その性質を使って視覚や脳をだまし、魔法陣が大きく見えるようにした。

更にここからが重要だ。

あらかじめ魔力でコーティングされた紙に書かれた魔法陣が発動する。

すると、紙の方が光り輝きそれに合わせて大きな魔法陣も光りだす。

僕が更になぞるようにその光る部分に魔力を込めると、魔法陣が形となって目の前で展開される。

「凄いです!瞬間移動の魔法陣ができましたね!」
「いや、違う。これは転移魔法陣だ」

僕の言葉に首を傾げる。

本来ならば魔法陣をもう一つ結ばなければならない。

しかし僕はある盲点に気づいた。

それは魔法陣に流す魔力に少し変化を加えるだけで、全く別の場所に行けるという、この魔法のいかにも都合良すぎる点だ。

本来、魔法陣は同じである。だが、瞬間移動は魔力の”流れ”というとらえ難い大雑把なものを少し変えるだけで別の場所へと行ける。

レーナの話では、その流れを掴むには訓練が必要らしい。

流れは元々誰かによって作られたはず。

だったら僕自身が流れを作り出しても問題はないはず。

そう考えて小さな同じ魔法陣を写し、それぞれに僕独自の魔力を流してみると発動したのだ。

つまり、発動するのに一番必要なのが魔力の流れ。

それさえ習得すれば誰でも自分の好きな所に繋げられる。

僕は唖然とする二人の前で自分の魔力を流してイメージする。

ここで魔法で一番大事なイメージが必要だ。

魔法陣を繋げる時、恐らく同じものを書くだけではダメ。

たぶん、術者は少なからずイメージしている。

普通の魔法と同じだ。

今回は繋げる場所をイメージする。

ブルボン家の屋敷の中をイメージして発動させる。

「【ワープ】!」

僕が唱えると魔法陣が一気に光り輝く。

だが、今回は設置型じゃないため強制的には行かされない。

僕は恐る恐るそこへと入ると、一瞬意識が飛ぶ。

「ど、どどどどどうしてルイが突然現れるんだ!!!!!」

目を覚ましたときには、僕は父の書斎にいた。

後ろを振り返ると本棚に魔法陣がしっかりと光り輝いている。

「・・・さよなら」
「お、おい、せつ―」

僕は急いで戻り魔法陣を消す。

「い、今のは!」
「どうやら成功したようだな」

思っていたところと少しずれた場所に転移したが、それでも成功だ。

ピースは少しずつ埋まっていく。

後は自ら発動できるようになるだけだ。



・・・・それにしても、三日したら父から何かしらお怒りのメッセージが来るだろうな。

それまでに言い訳を考えておかないと。

僕はそのまま倒れるように意識を失った。

―――

色々と書きましたが、とりあえず転移魔法ができるかも!という所が重要です。

明日から文化祭の話を書いていきます。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

処理中です...