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学園編 4章

第114話 新たな魔法!?

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「なあ、魔法陣ってすべての魔法で違うのか?」
「はい、そうです。同じ魔法だったら発動者が誰であろうと変わりません」

なるほど。

「ちなみに何故、各魔法陣が決まっているのかはまだ判明していません。ただ、私の推測では魔法が生み出された時に何かが起こったのではないかと思います」

考察をし始めるレーナはとりあえず放っておく。

僕は自分の考えが正しいか、少し実験をしてみることにした。

「【ワープ】」

唱えるが何も起きない。

魔法とはイメージ。

火は燃え盛るイメージを、水は流れるイメージをする。

では、転移は何をイメージする?

前世で読んだSF小説でワープの存在を知った。

最初は馬鹿げていると思ったし、実現不可能だと考えた。

複数の小説を読んでも定まった形のワープは無かった。

だが、この異世界には魔法という都合の良いものが存在する。

つまり、前世の向こうの世界では不可能だったものが可能になるかもしれない。

実際にこの世界では瞬間移動ができる。

その瞬間の、意識が消えるような感覚。

点から点まで動かずに行けるはずがない。

必ずそこまで動く必要がある。

ただ、それはもの凄く速い移動で、時間にして一瞬のようにしか感じないのだろう。

・・・・・・・・・

駄目だ!それを頭で理解していても、いざやろうとすると全くイメージできない。

解決の糸口は掴んだが、ピースがまだいくつか足りない。


どうしようか・・・・・

ん?あ!あれなら!

僕は欠けたピースを埋めるための案をひらめいた。

行動は迅速にした方がいい。

その日の僕たちの実験はひとまず解散し、僕はひとり自室に引きこもる。

そして必死に魔法陣を小さな紙・・・・に写した。


三日後、僕はレーナとアルスを屋敷の庭へと連れてくる。

「ルイ様、どうされたのですか?突然引きこもって、セバスさんが心配されていましたよ」
「ルイ兄様、目の下に隈ができています。一度お休みになられた方が―」
「要らぬ心配だ」

僕は言葉を遮断した。

この僕が、三日三晩、徹夜して考えたんだ!

その結果を最後まで見ないで寝れるわけがないだろ。

「見ろ、これが何か分かるか?」

僕は手元にある小さな紙を二人に見せる。

それを見て、二人は声を重ねる。

「「瞬間移動の魔法陣!!!」」

僕は巨大な魔法陣をその十分の一の大きな模造紙へと模写したものを更に十分の一の小さな紙に転写した。

つまり、元のサイズの百分の一。

僕はその紙を薄いバリアで覆い、無詠唱で人のサイズほどの円形の水の膜を作る。

そしてその中へ、バリアを纏わせた紙を入れる。

水中に浮かぶ魔法陣が描かれた紙を少しずつ位置を調整し、ある地点に紙が来た時、

「くっきりと魔法陣が!」

ちょうど庭に太陽が出て光線が差していたこともあり、円形状の水の表面に、はっきりと魔法陣が僕の半分ほどの大きさで見えた。

そう、僕は水中の光の屈折を応用した。

水中で光が屈折することにより、水の中にある本体よりも外からは大きく見える現象である。

その性質を使って視覚や脳をだまし、魔法陣が大きく見えるようにした。

更にここからが重要だ。

あらかじめ魔力でコーティングされた紙に書かれた魔法陣が発動する。

すると、紙の方が光り輝きそれに合わせて大きな魔法陣も光りだす。

僕が更になぞるようにその光る部分に魔力を込めると、魔法陣が形となって目の前で展開される。

「凄いです!瞬間移動の魔法陣ができましたね!」
「いや、違う。これは転移魔法陣だ」

僕の言葉に首を傾げる。

本来ならば魔法陣をもう一つ結ばなければならない。

しかし僕はある盲点に気づいた。

それは魔法陣に流す魔力に少し変化を加えるだけで、全く別の場所に行けるという、この魔法のいかにも都合良すぎる点だ。

本来、魔法陣は同じである。だが、瞬間移動は魔力の”流れ”というとらえ難い大雑把なものを少し変えるだけで別の場所へと行ける。

レーナの話では、その流れを掴むには訓練が必要らしい。

流れは元々誰かによって作られたはず。

だったら僕自身が流れを作り出しても問題はないはず。

そう考えて小さな同じ魔法陣を写し、それぞれに僕独自の魔力を流してみると発動したのだ。

つまり、発動するのに一番必要なのが魔力の流れ。

それさえ習得すれば誰でも自分の好きな所に繋げられる。

僕は唖然とする二人の前で自分の魔力を流してイメージする。

ここで魔法で一番大事なイメージが必要だ。

魔法陣を繋げる時、恐らく同じものを書くだけではダメ。

たぶん、術者は少なからずイメージしている。

普通の魔法と同じだ。

今回は繋げる場所をイメージする。

ブルボン家の屋敷の中をイメージして発動させる。

「【ワープ】!」

僕が唱えると魔法陣が一気に光り輝く。

だが、今回は設置型じゃないため強制的には行かされない。

僕は恐る恐るそこへと入ると、一瞬意識が飛ぶ。

「ど、どどどどどうしてルイが突然現れるんだ!!!!!」

目を覚ましたときには、僕は父の書斎にいた。

後ろを振り返ると本棚に魔法陣がしっかりと光り輝いている。

「・・・さよなら」
「お、おい、せつ―」

僕は急いで戻り魔法陣を消す。

「い、今のは!」
「どうやら成功したようだな」

思っていたところと少しずれた場所に転移したが、それでも成功だ。

ピースは少しずつ埋まっていく。

後は自ら発動できるようになるだけだ。



・・・・それにしても、三日したら父から何かしらお怒りのメッセージが来るだろうな。

それまでに言い訳を考えておかないと。

僕はそのまま倒れるように意識を失った。

―――

色々と書きましたが、とりあえず転移魔法ができるかも!という所が重要です。

明日から文化祭の話を書いていきます。
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