異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

文字の大きさ
99 / 188
学園編 3章

第99話 発見

しおりを挟む
次の日。

僕らは村長に案内され森を抜けていく。

道を案内しながら村長は話し出す。

「この森も昔はこんなに生い茂ってはいなかったそうじゃ。伝承の戦い以降、何故か木々が何かを覆い隠すように生えてきたと伝わっている」

ふ~ん、そんなことがあるんだな。

僕は興味もなく話を聞く。

「つまり前まではここは平原だったのですか?」

アルスが熱心に質問する。

その問いに村長は首を振った。

「いいや、どうもそうではないらしい。元々は小さな森、始まりの森があったらしい。そこで戦いが行われたそうじゃ。まあ、古い話ゆえ確かめようはないがな」

どんな伝承もそうであろう。

僕は周囲を見渡す。

木々はひしめき合うように生え伸び、まるでジャングルのようだ。

木の根っこは地面にまで顔を出してお互いが絡み合う。

今は日中のためギリギリ足元が見えるぐらいの明るさはある。

だが、ここを夜歩くことはおそらく無理だろう。

「ちなみに村長、この道以外には行けないんですか?」

オールドが質問する。

「いや、無理じゃ。罠がそこら中に仕掛けてあり、何より木の魔物、トレントがそこら中におる」
「この道を通れば大丈夫だと」
「ああ、何故かな。それ故、これから行く伝承の地には何かがあるとされている」

冒険心がくすぐられるのだろう、オールドは嬉々とした表情を浮かべる。

「もう一つ、質問してもよろしいでしょうか?」

今度はレーナが手を挙げる。

「何じゃ?」
「精霊についてどうお考えですか?」

凄いぶっこんだ質問をするな。

「そうじゃな、ここだけの話、わしは精霊は存在すると思うとる」

村長は声を殺しながら言う。

「何よりわしの曽祖父が見たそうなんだ」
「ほ、本当ですか!!!」

レーナが食いつく。

何だ、こいつ、僕よりも熱心ではないか。

「小さい頃、無断でこの森に入ったが迷ってしまった。そんな時に突如七色の光が寄って来たそうだ。そして曽祖父の周りを旋回したかと思うとどこかへ飛んでいったのだ。もしかしたらと思ってついていったら村へ帰れた。そう、曽祖父が話していた」

そんな話、何処にでもありそうな老人の迷信話だ。

僕は冷めた様子で聞いていたが、レーナもアルスも興味津々だ。

そんな真逆の反応を見せる彼らを見て、オールドは苦笑いを浮かべるのだった。



色々と話をしているうちに、急に登り坂になった。

「そろそろ、はぁ、着くぞ、はぁ」

息を荒くさせる村長。

見かねたオールドが村長におんぶを促し、そのまま登る。

最後に階段のようなモノを登った所で、急に視界が開けた場所に出た。

その真ん中には、ぽつんと一個の建石がある。

その場所は決して大きく開けている訳ではなく、縦横大体十メートルほど。

周囲を高い木々に囲まれているため、ここが小さな丘になっているとは、遠目では分からない。

でも、本当に何も無い。

「あまり面白い場所でもない。わしも昔は伝承の地として語られるなら凄い場所に違いないと思っておった。だが、いざ来てみたら意外にも何も無い場所だった。子供心に、わしは結構ショックだったのを覚えておるぞ」

村長が何やら一人語りをしているが、無視だ無視。

それよりも僕は周囲を歩いてみる。が、これといった変化もない。

「う~~~ん何なんだろう。何かある気が・・・!!!まさか」

僕は一つの可能性に気づき、試しに魔法を発動してみる。

が、やはり思っていた通り全く発動しない。

「レーナ、ここ、魔法が発動しないぞ!」
「え!・・・本当ですね!」

僅かに周囲の魔力に違和感を感じる。

僕はある事を思い出して、建石に近寄って行く。

「ルイ兄様、何をされるのですか?」

僕は小説のとある一文を思い出す。

『リリスはそれを引っこ抜き、穴へと手を入れた』

「村長、ここで狼藉を働いた貴族って、どうなった?」
「さあな、その後、忽然と姿を眩ませたのじゃ」

恐らく違う。何者かに殺された。

僕は建石に手を掛けると勢いよく引っこ抜いた。

「な、何をするんじゃ!!!」

村長が慌てたように声を上げる。

思った以上に簡単に抜けた建石を傍にどけ、今度はできた穴へと手を突っ込む。

「おお、これか」

手に何やらレバーのようなモノの感触が伝わる。

それを引くと、轟音を立てて地面が動き出す。

しばらくすると、来た道の反対側に突如として小さな部屋が現れた。

やはりな。

ここがリリスの最終敵。

物語のボスがいる場所だ。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...