異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

文字の大きさ
73 / 188
学園編 1章

第73話 魔法とは?

しおりを挟む

「間違っているだと?君は・・・ふっ。奴隷に落ちぶれた元伯爵令嬢のレーナくんではないか。で、そんな君が私に文句を?」
「文句ではありません。あくまで指摘です」

明らかに見下した態度を取るアンドレに対して、特に気にした様子のないレーナ。

「指摘、だと?たかだか一学生に過ぎない君が、私のような魔法を追求してきたものに意見を言うなど馬鹿だろ。何?私の考えが本当に間違っていると言いたいのかね?」
「ええ、そうです」

アンドレはレーナの返答に顔を顰める。

「本当に言っているのか?だったら本物の馬鹿だな。いいか、魔法学会においても魔法詠唱派が支持されている。魔法は詠唱が長いほどより強い魔法を放てるそれが常識だ。まあ、君には分からないだろうけどね」
「では、教えてください。どうして長い詠唱が必要なのか?」

レーナは表情を変えずに聞く。

「さっきから言っているだろう!詠唱は魔力から魔法に変える神聖なもの。どんな魔法でも長ければ長いほど威力が上がるのは普通のことだろう」
「ですから、その原理を聞いているのですよ」
「何!」

なるほど。

確かに、さっきから当たり前当たり前と言っているが、詳しいことは言っていない。

「そ、それはだな・・・君たちには難しいんだ!」
「いいえ、そうではありませんよ」

レーナは淡々と答える。

「貴方方、詠唱派の言い分は長ければ長いほど魔力が集まりやすい。魔力がより変換されやすいと仰っているのですよね」
「!あ、そうだ」

レーナは続ける。

「ですが、それだと説明が付かないことがあるんですよ」
「何だ?」
「簡単なことです。どうして変換されるのかと?」
「は???」

アンドレが首を傾げた。

「詠唱の始まり方は全てが同じということは無いです。にも関わらず魔力が魔法へと変換します」

確かにそうなる。

詠唱とは詠文と詠発に分けられる。

詠文は魔力を物質化するものだが、それは一定ではない。

別々の詠文にも関わらず変化する物質が同じ場合もあるし。逆に同じ詠文の始まりにも関わらず別々の物質が作り出されるときもある。

具体的言うと、『我が元に集い』という始まり方をする魔法がある。
この魔法はいくつか詠発が存在する。

水魔法の【ウォール・ホリー・グラン】や火魔法の【ファイレス・ホリー・クロス】など。

「これについて、どう説明されます?」
「そ、それは・・・」

レーナが詰める。

「確かに詠唱は大事かもしれません。でも、先生の考えは間違っています。先生は何級まで使えますか」
「上級と一部の聖級だ!君はどんぐらいなんだ。どうせ中級か―」
「全属性の聖級です」

「「「はぁぁぁ!!!!!」」」

講義室全ての生徒が声を上げる。

アンドレも驚きのあまり口をあんぐり開けてしまう。

「あ、ありえない!君はいくつだ!」
「十三です」
「だとしても、あり得ないではないか」
「試しても構いませんよ」

レーナの言葉を疑うアリオスだが、レーナの自身たっぷりな言葉に追求ができない。

「だ、誰に教わったんだ!」
「私の主人のです」

!!!

おいおい、勝手に人の名前を出すな!

「いや、そんなことより。君が聖級を使えるからって何だって言うんだ!」
「私はほとんど全ての詠唱を知っています。その中には上級より短い詠唱にも関わらず威力が五倍ある魔法もあります」
「・・・・・・」
「恐らくですが、詠唱派の方々の大半は聖級以下では無いのでしょうか?」
「うっ」

図星をつかれたのか顔を顰める。

「聖級では短い詠唱のものがよくあります。ですから、貴方の考えは間違っていると思います」

アンドレは何も言えずに押し黙る。

「ですから、私が思うに一番重要なのはイメージです」
「イメージだと。まさか君は想像派なのかね!」

想像派とは魔法学会にある派閥の一つ。

魔法学会の2大派閥が詠唱派と魔法陣派。

詠唱派は、魔法詠唱こそが最も重要だと考える派閥。

魔法陣派が、魔法を発動させたときに出る魔法陣の形こそ重要であると考える派閥だ。

そしてその他にも色々小さな派閥があり、その中に想像派がある。

まあ、小規模でほとんど相手にされていない派閥だ。

「想像派とは少し違いますが似たような考えです」
「はっ、何を言い出すかと思えば、あんな馬鹿共と同じ考えなのか」

想像派は、所謂魔法は想像で作り出すという考えだ。

魔法というものを想像するという抽象的な考えのためあまり支持されていない。

だが、僕はこの考えに同意をする。

なにせ、

「そうでしょうか?魔法イメージするだけで無詠唱で魔法を出せるのですから」

「「「は!?!?!?」」」

・・・なんで言うんだよ!

「ですよね、ルイ様」

なんでそんなドヤ顔をするんだよ!

こちらを見て笑いかけるレーナ。

ああ、もう仕方ない。

僕は立ち上がった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...