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少年編 4章
第58話 試験
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「ルイ兄様。朝になりましたので起きてください」
布団に潜り込んでいた僕をアルスが起こしに来る。
僕は目を覚ましていたが、その声を無視して狸寝入りする。
「ルイ兄様が実践試験を見ると言われたのですよ。起きてください!」
僕はその言葉を無視して寝続ける。
そう、今日はアルスとレーナの実践試験日。
二日前に行われた記述試験を簡単に二人は合格し、今日に至る。
そして僕は昨日、実践試験を見たいと言ってしまっていた。
何しろ、敵と戦うには情報が必要だから。
だが、今日になって行きたくない気持ちが芽生えた。
何か嫌な予感がする。
絶対面倒くさいことになる気がする。
「ルイ兄様。早くして!ください!」
そうアルスが声に力を込めると、思いっきり掛けていた毛布を奪い取る。
「お、おい!主人に乱暴するなんて!」
「これは主君を思って取った行動ですから」
ぐぬぬぬ。ああ言えばこう言う。
最近こいつを配下にしたことを後悔してきている。忠誠心はあついが。
「ルイ様。早く着替えてください」
どうやら近くに控えていたセバスが、服を持ってくる。
「あ~行きたくな~い」
僕は文句を言いながら着替え始めた。
「「・・・・・・」」
その間、二人は僕をじーっと見てくる。
何だかむず痒くなり、大声で聞く。
「何でそんなにじっと見てくるんだ。気持ち悪いぞ!」
僕の問いにセバスが遠慮した感じで聞く。
「いや~そのですね。前から思っていたことなのですが、普通の貴族は自分の着替えも出来ないんですよ。着替えは使用人たちにやらせていて、ルイ様が出来るのに驚いているんですよ」
・・・なるほど。貴族はそういうものなのか。
前世の名残で毎日自分で着替えていたわ。
「よし、じゃあ」
「これからもご自分で着替えてください」
「まだ何も言ってないわ!」
僕の思考を読んでアルスが言う。
「とりあえず早く着替えてください。試験を受けないルイ様が一番遅いんですから」
主人を主人とも思わない態度で言うセバス。
「私の主人はラノルド様ですから」
「だからまだ何も言ってないわ!」
ドタバタしながらも、時間通り彼らは家を出た。
会場である、学園の大競技場に着く。
中世のコロシアムみたいな場所で、観客席が中心を囲うようにできている。
「アルス、お前は何番目だ?」
「自分は十番目です」
「レーナは?」
「三十五番目です」
「そうか、まだ時間はあるな。少し見るか」
そう言って僕はフードを被る。
流石に公爵令息がいるとなると僕の周りに人だかりが出来てしまうので、身を隠すことにした。
観客席の最前列に着いた時、既に試験は始まっていた。
中心には二人の少年が相対しており、離れた位置に五人の試験官と思われる人がいる。
その中でも中心にいた一人が大きな野太い声で開始の合図を言う。
「始めぇ!!!」
その合図とともに、二人の少年が一斉に魔法を唱えだす。
この試験に来るのは基本的二種類。
魔法使いと剣使い。
僕やレーナのように魔法を使って戦うのが魔法使い、アルスやオールドのように剣と魔法を組み合わせて使っているのが剣使い。
僕は同年代がどんな実力なのか関心を持ちながら試合を見る。
二人共、身なりからして下級貴族。よく練習された魔法で、それぞれが的確に相手に当てようとしている。が―
「弱いな」
魔法のレベルが中級。種類を二種しか使われていない。
戦いの立ち回りは上手いが決定打にはならない。
結局勝負のつかないままタイムアップになる。
「はぁ~無理か」
全受験生の戦いを見た訳では無いが、こういう奴らが相手だったら・・・アルスとレーナが負けるわけない。
僕の平穏(?)な学園生活が無くなる・・・
そんなこんなしているうちに、アルスの出番となった。
布団に潜り込んでいた僕をアルスが起こしに来る。
僕は目を覚ましていたが、その声を無視して狸寝入りする。
「ルイ兄様が実践試験を見ると言われたのですよ。起きてください!」
僕はその言葉を無視して寝続ける。
そう、今日はアルスとレーナの実践試験日。
二日前に行われた記述試験を簡単に二人は合格し、今日に至る。
そして僕は昨日、実践試験を見たいと言ってしまっていた。
何しろ、敵と戦うには情報が必要だから。
だが、今日になって行きたくない気持ちが芽生えた。
何か嫌な予感がする。
絶対面倒くさいことになる気がする。
「ルイ兄様。早くして!ください!」
そうアルスが声に力を込めると、思いっきり掛けていた毛布を奪い取る。
「お、おい!主人に乱暴するなんて!」
「これは主君を思って取った行動ですから」
ぐぬぬぬ。ああ言えばこう言う。
最近こいつを配下にしたことを後悔してきている。忠誠心はあついが。
「ルイ様。早く着替えてください」
どうやら近くに控えていたセバスが、服を持ってくる。
「あ~行きたくな~い」
僕は文句を言いながら着替え始めた。
「「・・・・・・」」
その間、二人は僕をじーっと見てくる。
何だかむず痒くなり、大声で聞く。
「何でそんなにじっと見てくるんだ。気持ち悪いぞ!」
僕の問いにセバスが遠慮した感じで聞く。
「いや~そのですね。前から思っていたことなのですが、普通の貴族は自分の着替えも出来ないんですよ。着替えは使用人たちにやらせていて、ルイ様が出来るのに驚いているんですよ」
・・・なるほど。貴族はそういうものなのか。
前世の名残で毎日自分で着替えていたわ。
「よし、じゃあ」
「これからもご自分で着替えてください」
「まだ何も言ってないわ!」
僕の思考を読んでアルスが言う。
「とりあえず早く着替えてください。試験を受けないルイ様が一番遅いんですから」
主人を主人とも思わない態度で言うセバス。
「私の主人はラノルド様ですから」
「だからまだ何も言ってないわ!」
ドタバタしながらも、時間通り彼らは家を出た。
会場である、学園の大競技場に着く。
中世のコロシアムみたいな場所で、観客席が中心を囲うようにできている。
「アルス、お前は何番目だ?」
「自分は十番目です」
「レーナは?」
「三十五番目です」
「そうか、まだ時間はあるな。少し見るか」
そう言って僕はフードを被る。
流石に公爵令息がいるとなると僕の周りに人だかりが出来てしまうので、身を隠すことにした。
観客席の最前列に着いた時、既に試験は始まっていた。
中心には二人の少年が相対しており、離れた位置に五人の試験官と思われる人がいる。
その中でも中心にいた一人が大きな野太い声で開始の合図を言う。
「始めぇ!!!」
その合図とともに、二人の少年が一斉に魔法を唱えだす。
この試験に来るのは基本的二種類。
魔法使いと剣使い。
僕やレーナのように魔法を使って戦うのが魔法使い、アルスやオールドのように剣と魔法を組み合わせて使っているのが剣使い。
僕は同年代がどんな実力なのか関心を持ちながら試合を見る。
二人共、身なりからして下級貴族。よく練習された魔法で、それぞれが的確に相手に当てようとしている。が―
「弱いな」
魔法のレベルが中級。種類を二種しか使われていない。
戦いの立ち回りは上手いが決定打にはならない。
結局勝負のつかないままタイムアップになる。
「はぁ~無理か」
全受験生の戦いを見た訳では無いが、こういう奴らが相手だったら・・・アルスとレーナが負けるわけない。
僕の平穏(?)な学園生活が無くなる・・・
そんなこんなしているうちに、アルスの出番となった。
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