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少年編 2章
第19話 侵入者
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「ルイ公爵令息!貴方に決闘を申し込む!」
サラサラの長い茶髪をかき上げ、キザに言う少年。
僕よりは二~三歳歳上で、背丈も高い。派手な装飾の入った使いにくそうな剣を腰に携え、僕を見てくる。
さて、何故この状況になったのか。それは十分前に遡る。
僕はいつものようにアルスとレーナを連れて庭に出て魔法の練習をしていた。
本当に普通に。
少しして休憩に入った時、突然そいつは現れた。
「ルイ公爵令息は貴方か!」
いかにもキザ野郎な顔をした少年が椅子に座っていた僕に何故か詰め寄ってくる。
「誰だ?」
「誰だ?とは何だ!それが歳上への態度か!」
いきなり人の家に来て詰め寄ってきたかと思えば説教を始めるか。
「知らん、そんなの。お前こそ僕はブルボン公爵家の嫡男だと知ってのその行動か?」
「何が、ブルボン公爵家の嫡男、だ。だったら俺を誰だと思っている!」
「知らん!」
「何だと!俺はアルマー侯爵家の嫡男だぞ」
「・・・はぁ~」
頭大丈夫か?公爵と侯爵では家柄が全然違うぞ。しかもアルマー家って、近くに領地を持つとこじゃないかよ。
「何だそのため息は!家柄が上だからって偉いと思うな」
いや、偉いぞ!
「ルイ公爵令息!貴方に決闘を申し込む!」
「・・・・・・は!?」
何故、唐突に、急に、今?
「今すぐにだ。逃げさせはしない!」
・・・展開が理解できません!一人で乗り込んできたかと思えば、僕に決闘を申し込んで。
一応初対面だと思うんだけど。
「ルイ兄様、受けてはなりません。あと、ダン侯爵令息!侯爵家の人間と言えど、勝手に侵入してのこの行いは無礼でありますよ」
アルスが間に入ってくる。剣に手を掛けて護衛の仕事をしてくれる。
レーナはこの場からいなくなったので、おそらくオールドを呼びに行ったに違いない。
「従者風情が黙れ!俺はそいつに話があるんだ」
アルスを睨みつけ、僕を指差す。
「それでも、許される行為ではありません」
「黙れ!お望みならお前ら二人共倒してやるわ!」
そう言って剣を抜いた。
長く鋭い剣身をこちらに向けてくる。一触即発。
「はぁ~アルス、どけ」
「!しかし」
「命令だ、どけ」
「・・・はい」
僕は椅子から立ち上がりダンとか言うキザ野郎を見る。
「やっとやる気になったか」
「あのさ、何で僕を倒したいの?」
体を軽く動かしながら聞く。
「無謀な奴め!その自尊心へし折ってやる!」
どっちのほうが無謀だよ。あ!そうか。僕が聖級まで使えるのはあまり知られてないんだった。
「質問に答えろよ。何で挑んでくる」
「決まりきったことを言うな!レーナ元伯爵令嬢を取り戻すためだ!」
何だそれ?レーナって婚約者いなかったはずだぞ。
「貴方のような悪からレーナ令嬢を救う。その為にどんなことがあろうと貴方に勝つ」
まじでこいつ何言っているんだ?頭のネジ外れたか?
「ルイ兄様、あの人は、その~」
「気にするな。自分に酔っている哀れな馬鹿野郎さ」
僕は奴隷を買っただけだし、まさか、こいつとレーナが元恋人同士という訳ではないだろう。
「それで、決闘するんだな」
「ああ、準備は終わったか。負ける準備は」
「・・・・・・」
「負けても言い訳はするな。親に泣きつくんじゃないぞ!」
「そっちこそ」
「舐めた口を」
キザ野郎が剣を構え、戦いの態勢に入る。
構えは悪くないだろうがおそらくアルスの方が強い。
正直こんな奴に構うのはめんどくさい。
だが、正義を盾にして戦いを挑む弱者を真正面から叩き潰してみたいという気持ちが湧き上がってくる。
この小説内にいる主人公たちを倒した時の快感の前菜として倒す。
「ルイ兄様。怖い顔です」
アルスの言葉を無視して、僕はキザ野郎の地面に魔法を放つ。
「いざ勝ぶ―」
「【スワンドゥ】」
中級の土魔法が地面に展開され、一気に足元が泥沼化する。
「なっ!」
地面が泥になったことに驚愕するキザ野郎。足を地面に取られ身動きが取れなくなる。
「雑魚はくたばれ!水の民よ、水流として集え、【ウォーター・グラン・スロー】」
水色の上級魔法陣が展開され魔力が集まる。
「そ、そんな、俺が、おれがああああ」
強烈な勢いで水流が直撃する。
「ああああああーーーーー・・・・・・・」
しばらくしてその場に崩れるように倒れ込む。
「ルイ兄様。し、死んでないですよね」
「大丈夫だ、気絶しただけだ。しかし・・・可哀想なほど弱かったな」
白目を向いて泥沼に倒れ込むキザ野郎を見て言う。
僕は一瞬でこいつを倒した。
サラサラの長い茶髪をかき上げ、キザに言う少年。
僕よりは二~三歳歳上で、背丈も高い。派手な装飾の入った使いにくそうな剣を腰に携え、僕を見てくる。
さて、何故この状況になったのか。それは十分前に遡る。
僕はいつものようにアルスとレーナを連れて庭に出て魔法の練習をしていた。
本当に普通に。
少しして休憩に入った時、突然そいつは現れた。
「ルイ公爵令息は貴方か!」
いかにもキザ野郎な顔をした少年が椅子に座っていた僕に何故か詰め寄ってくる。
「誰だ?」
「誰だ?とは何だ!それが歳上への態度か!」
いきなり人の家に来て詰め寄ってきたかと思えば説教を始めるか。
「知らん、そんなの。お前こそ僕はブルボン公爵家の嫡男だと知ってのその行動か?」
「何が、ブルボン公爵家の嫡男、だ。だったら俺を誰だと思っている!」
「知らん!」
「何だと!俺はアルマー侯爵家の嫡男だぞ」
「・・・はぁ~」
頭大丈夫か?公爵と侯爵では家柄が全然違うぞ。しかもアルマー家って、近くに領地を持つとこじゃないかよ。
「何だそのため息は!家柄が上だからって偉いと思うな」
いや、偉いぞ!
「ルイ公爵令息!貴方に決闘を申し込む!」
「・・・・・・は!?」
何故、唐突に、急に、今?
「今すぐにだ。逃げさせはしない!」
・・・展開が理解できません!一人で乗り込んできたかと思えば、僕に決闘を申し込んで。
一応初対面だと思うんだけど。
「ルイ兄様、受けてはなりません。あと、ダン侯爵令息!侯爵家の人間と言えど、勝手に侵入してのこの行いは無礼でありますよ」
アルスが間に入ってくる。剣に手を掛けて護衛の仕事をしてくれる。
レーナはこの場からいなくなったので、おそらくオールドを呼びに行ったに違いない。
「従者風情が黙れ!俺はそいつに話があるんだ」
アルスを睨みつけ、僕を指差す。
「それでも、許される行為ではありません」
「黙れ!お望みならお前ら二人共倒してやるわ!」
そう言って剣を抜いた。
長く鋭い剣身をこちらに向けてくる。一触即発。
「はぁ~アルス、どけ」
「!しかし」
「命令だ、どけ」
「・・・はい」
僕は椅子から立ち上がりダンとか言うキザ野郎を見る。
「やっとやる気になったか」
「あのさ、何で僕を倒したいの?」
体を軽く動かしながら聞く。
「無謀な奴め!その自尊心へし折ってやる!」
どっちのほうが無謀だよ。あ!そうか。僕が聖級まで使えるのはあまり知られてないんだった。
「質問に答えろよ。何で挑んでくる」
「決まりきったことを言うな!レーナ元伯爵令嬢を取り戻すためだ!」
何だそれ?レーナって婚約者いなかったはずだぞ。
「貴方のような悪からレーナ令嬢を救う。その為にどんなことがあろうと貴方に勝つ」
まじでこいつ何言っているんだ?頭のネジ外れたか?
「ルイ兄様、あの人は、その~」
「気にするな。自分に酔っている哀れな馬鹿野郎さ」
僕は奴隷を買っただけだし、まさか、こいつとレーナが元恋人同士という訳ではないだろう。
「それで、決闘するんだな」
「ああ、準備は終わったか。負ける準備は」
「・・・・・・」
「負けても言い訳はするな。親に泣きつくんじゃないぞ!」
「そっちこそ」
「舐めた口を」
キザ野郎が剣を構え、戦いの態勢に入る。
構えは悪くないだろうがおそらくアルスの方が強い。
正直こんな奴に構うのはめんどくさい。
だが、正義を盾にして戦いを挑む弱者を真正面から叩き潰してみたいという気持ちが湧き上がってくる。
この小説内にいる主人公たちを倒した時の快感の前菜として倒す。
「ルイ兄様。怖い顔です」
アルスの言葉を無視して、僕はキザ野郎の地面に魔法を放つ。
「いざ勝ぶ―」
「【スワンドゥ】」
中級の土魔法が地面に展開され、一気に足元が泥沼化する。
「なっ!」
地面が泥になったことに驚愕するキザ野郎。足を地面に取られ身動きが取れなくなる。
「雑魚はくたばれ!水の民よ、水流として集え、【ウォーター・グラン・スロー】」
水色の上級魔法陣が展開され魔力が集まる。
「そ、そんな、俺が、おれがああああ」
強烈な勢いで水流が直撃する。
「ああああああーーーーー・・・・・・・」
しばらくしてその場に崩れるように倒れ込む。
「ルイ兄様。し、死んでないですよね」
「大丈夫だ、気絶しただけだ。しかし・・・可哀想なほど弱かったな」
白目を向いて泥沼に倒れ込むキザ野郎を見て言う。
僕は一瞬でこいつを倒した。
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