異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

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プロローグ

第2話 ラノベの世界!?

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自殺を図る数日前。僕は初めてライトノベル小説を読んだ。

名家で御坊っちゃま育ちだったため、これまで読んできた本は海外小説や近代日本文学だけ。

高校生の頃にこっそり友人とミステリー小説を買った以外は世間が面白がるモノを読んだことが無い。

ライトノベルや漫画は友人からよく聞いたがこれまで触れる機会がなかった。

だが死ぬ直前、本屋によってある本を買った。

当時流行っていたらしい異世界モノの小説。



ある大陸に存在する帝国にて、無能と罵られた男爵家の少女がいた。
その世界には魔法と呼ばれるものが存在していたが、その少女は魔法が使えなかった。
両親に捨てられ路頭に迷っていた少女はとある人に拾われ、そこで精霊術を習う。
精霊術の才のあった少女はどんどん力を伸ばしていく。

数年後、少女は平民として帝国の学園に入る。
そこで無双し多くの人と出会い、敵対し、それでも成長していく物語。


僕は納得した。

なるほど、たしかにストーリーは面白かった。一日で全巻読み終えるほどに。

でも、何個かだけ納得できない部分がある。



それは、身分差を気にしない貴族が多すぎるし、無双しすぎ!

主人公の周りにいる男共は、皇子や公爵子息など良い家の生まれ。そのくせ、

『身分など関係ない』

などとほざく。

もちろん物語だって言うことは分かっている。でも、それでも、僕はこいつらが嫌いだ。

家柄あってなんぼだろ!

『身分を捨てる覚悟はある』
だと!どうせルックスや頭の良さは残るんだ。

天は何個こいつらにあげたんだ!

僕には・・・家柄を取ったら何もない。

僕の心は家柄に取り憑かれていた。その考えからは抜け出せない。


とりあえず、面白いと思うと同時に腹がたった。

身分を振りかざす貴族は少女達によって成敗された。少女や平民出身、名家の庶子の奴らはどんどん力を得て成り上がる。

それが何故か許せなかった。

こんな奴らが上に立つなんて絶対認めない!

悪役貴族と同じ気持ちに俺はなった。


でも、同時にそんな考えを持つ自分が恐ろしくなった。

家柄、血筋に取り憑かれている自分を。






目が覚めるとベッドの上。

小さい手足と体。

鏡を見るとふてぶてしい顔をした、薄い金髪の子供が映る。
クリッとした目は吸い込まれるような黒。

「どうしてこうなった・・・」

高く幼い声で僕はつぶやく。

そう、僕は死んだら転生をしていたのだった。



転生をした先はまさに異世界。

しかもまさかの僕が読んだあのライトノベル小説の中だった。

フランシーダ帝国、ブルボン公爵家、アークヤク地方。

全て物語に出てくる名前だった。

まだ断定できないが、ほぼ確実でそうだろう。



何故?



それが正直な感想だった。

死んだはずの僕が何故また生を持つのか?

疑問ばかりだ。


さらに生まれた先も問題だった。

生まれた変わった僕の名前はルイ・デ・ブルボン。小説内に度々出てくる悪役貴族だ。

最初は噛ませ犬として、中盤は主人公にちょっかいをかける悪者として、最後は国を揺るがした反逆者として物語では登場する。

ただ、家柄は良い。

帝国内部でも一番の古い家柄で、名門中の名門。王の次の公爵の地位にいる。


とりあえず、僕はそんな悪役貴族に転生してしまったのだ・・・・・・???

待てよ、これは僕自身が望んでいることじゃないのか?

転生したということはきっと僕の中に生きたいと言う感情があったはず。

転生してまたやり直せるじゃないか!

しかも・・・あのウザったらしい主人公とその周囲のキザ糞奴らとやり合えるかも。

この世界のこの体に生まれ変わったからには他の奴らに権力を振りかざせる!

家柄、血筋こそ正義なのだから!!!
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